ツール・ド・ランカウイ第7ステージは集団スプリントに持ち込まれ、アンドレア・グアルディーニがフランチェスコ・キッキを破って今シーズン初勝利。西谷泰治が9位となるなど、日本人選手の活躍が目立ったステージとなった。

華やかなクァンタンのスタート地点華やかなクァンタンのスタート地点 photo:Sonoko.Tanaka開幕から1週間を経過したツール・ド・ランカウイ。第7ステージの舞台となったのは、マレー半島東岸のクァンタンから北上し、ドングンへと至る149.8kmだ。中盤にカテゴリー4級の山岳ポイントが2つ設定されるものの全体的に難易度は低く、ゴールへと続く最後の50kmには高い丘も無い。勝負は大集団によるスプリントに持ち込まれるものと予想されていた。

逃げるトラヴィス・マイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)とシリル・ゴチエ(フランス、ユーロップカー)逃げるトラヴィス・マイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)とシリル・ゴチエ(フランス、ユーロップカー) photo:Sonoko.Tanakaここまで1勝しているフランチェスコ・キッキ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)や、アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)、スティール・ヴォンホフ(オーストラリア、ガーミン・シャープ)、地元マレーシアのアヌアル・マナン(シナジー・バク サイクリング)らのスプリントに期待が掛かる。

チームNIPPO・デローザやオメガファーマ・クイックステップ、アスタナ勢がコントロールするメイン集団チームNIPPO・デローザやオメガファーマ・クイックステップ、アスタナ勢がコントロールするメイン集団 photo:Sonoko.Tanaka連日すっきりとしない天候が続くマレーシア。豪雨に見舞われた前日よりは回復したものの、この日も上空は曇りがち。そんな空模様の下、125名の選手たちがクァンタンの街から走りだした。

まず最初にスタートアタックを掛けたのはマレーシアナショナルチーム。これを皮切りに主導権を握りたいチームが代わる代わる攻撃を仕掛け、この動きに新城幸也(ユーロップカー)も加わったものの決定的な動きとはならず。

リーダージャージを着て走るジュリアン・アレドンド(コロンビア、チームNIPPO・デローザ)リーダージャージを着て走るジュリアン・アレドンド(コロンビア、チームNIPPO・デローザ) photo:Sonoko.Tanakaリーダージャージのジュリアン・アレドンド(コロンビア)擁するチームNIPPO・デローザ勢が逃げをチェックする展開が続いた。

やがてトラヴィス・マイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)とシリル・ゴチエ(フランス、ユーロップカー)、中島康晴(愛三工業レーシング)が抜け出しに成功したものの、中島は付ききれず脱落。2名の動きをチームNIPPO・デローザが容認したことで、ここから2人のエスケープが始まった。

先を急ぐマイヤーとゴチエの2人は、徐々に集団とのタイムギャップを広げ、38km地点では最大タイム差7分をマーク。しかしこれを境に徐々にタイム差は縮小し、5分ほどで落ち着きを見せる。

後半になると集団スプリントに持ち込みたいアスタナやオメガファーマ・クイックステップ、が集団の牽引を開始したことで、先頭2人のリードは急速に失われていく。佐野淳哉らヴィーニファンティーニ勢が加わったこともペースアップに拍車を掛けた。

抵抗した先頭2人も集団の勢いには敵わず、早くも残り40km地点でグルッポコンバット。グレーム・ブラウン(オーストラリア)をエースに据えるブランコプロサイクリングも集団前方に立ち、各チームが激しい位置取り争いをしながら最終ストレートに到達した。

フランチェスコ・キッキ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)を破ったアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)フランチェスコ・キッキ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)を破ったアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ) photo:Sonoko.Tanaka

そして残り200m、ルスラン・トレウバイエフ(カザフスタン)のアシストを受けたグアルディーニが一気にスプリントを開始。「風が右から吹いていたから、グリーンエッジの選手(アイディス・クルオピス)の左側に位置取ってスプリントを始めた」と、練熟した戦術をみせたグアルディーニはキッキの追い上げをかわすと、先頭で力強いガッツポーズを繰り出した。

危なげなくリーダージャージを守ったジュリアン・アレドンド(コロンビア、チームNIPPO・デローザ)危なげなくリーダージャージを守ったジュリアン・アレドンド(コロンビア、チームNIPPO・デローザ) photo:Sonoko.Tanaka第7ステージ表彰第7ステージ表彰 photo:Sonoko.Tanaka


記者会見で語るアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)記者会見で語るアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ) photo:Sonoko.Tanaka各賞ジャージ表彰各賞ジャージ表彰 photo:Sonoko.Tanaka


「完璧な位置取り、完璧なタイミング、完璧な勝利だった」と語るグアルディーニは、この日が今シーズン初勝利。「すごく大変だった。でも今は(勝利できて)嬉しいし、リラックスできている。勝ったことでチーム全体のパワーとモチベーションが凄く高くなっているのが分かるよ」と加えた。

また、スプリントに絡んだ西谷泰治はブライアン・コカール(フランス)に次ぐ9位を獲得。UCIポイントの獲得は逃したものの、1級のスプリント力を世界に示した。




ツール・ド・ランカウイ2013第7ステージ結果
1位 アンドレア・グアルディーニ (イタリア、アスタナ)3h37′17″
2位 フランチェスコ・キッキ (イタリア、ヴィーニファンティーニ)
3位 アイディス・クルオピス (リトアニア、オリカ・グリーンエッジ)
4位 アラン・デイヴィス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
5位 アンドリュー・フェン (イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)
6位 スティール・ヴォンホフ (ガーミン・シャープ)
7位 グレーム・ブラウン(オーストラリア、ブランコプロサイクリング)
8位 ブライアン・コカール (フランス、ユーロッパカー)
9位 西谷泰治 (愛三工業レーシング)
10位 リコ・ロジャース(ニュージーランド、シナジー・バク サイクリングプロジェクト)
15位 福田真平 (愛三工業レーシング)
54位 中島康晴 (愛三工業レーシング)
68位 徳田鍛造 (チームNIPPO・デローザ)
73位 伊藤雅和 (愛三工業レーシング)
90位 石橋学 (チームNIPPO・デローザ)
93位 盛一大 (愛三工業レーシング)
107位 佐野淳哉 (ヴィーニファンティーニ)
110位 福島晋一 (チームNIPPO・デローザ)
111位 新城幸也 (チーム ヨーロッパカー)
122位 綾部勇成 (愛三工業レーシング) +1′05″

個人総合成績
1位 ジュリアン・アレドンド(コロンビア、チームNIPPO・デローザ)25h55′05″
2位 ピーター・ウェーニング(オランダ、オリカ グリーンエッジ) +1′15″
3位 セルヒオ・バルディージャ(スペイン、MTNキュベカ) +2′10″
4位 ピーター・ステティーナ (アメリカ、ガーミン・シャープ) +2′32″
5位 ワン・メイエン(中国、ハンシャンサイクリングチーム) +2′40″
6位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ガーミン・シャープ) +2′48″
7位 フォルッナート・バリアーニ (イタリア、チームNIPPO・デローザ)+2′49″
8位 ジョン・エブセン(デンマーク、シナジー・バク サイクリング) +2′55″
9位 ツガブ・グルメイ(エチオピア、MTNキュベカ・サムスン) +2′58″
10位 アミール・コラドザグ(イラン、タブリーズ・ペトロケミカル チーム)

ポイント賞
アンドレア・グアルディーニ (イタリア、アスタナ)

山岳賞
ワン・メイエン (中国、ハンシャンサイクリングチーム)

アジア・ライダー総合成績
ワン・メイエン (中国、ハンシャンサイクリングチーム)

チーム総合成績
MTNキュベカ・サムスン


text:So.Isobe
photo:Sonoko.Tanaka

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