2月21日、マレーシアでツール・ド・ランカウイ(UCI2.HC)が開幕。第1ステージで福島晋一(チームNIPPO・デローザ)が早速逃げを打ってみせたが、ラスト13kmで吸収される。最後は大集団によるゴールスプリント勝負に持ち込まれた。

メイン集団を牽引する佐野淳哉(ヴィーニファンティーニ)メイン集団を牽引する佐野淳哉(ヴィーニファンティーニ) photo:Sonoko Tanakaランカウイ初日、第1ステージはカンガーからクリムまで南下する162.7kmの行程。レース中盤に設定された4級山岳は、標高70mほどの小高い丘でしかない。

逃げる福島晋一(チームNIPPO・デローザ)ら3名逃げる福島晋一(チームNIPPO・デローザ)ら3名 photo:Sonoko Tanaka起伏の少ないステージはスプリンター向き。そんな平坦コースで逃げを試みたのは3名。出場選手の中で最年長の41歳福島晋一と、24歳のワン・メイイン(中国、ハンシャンサイクリング)、そして22歳のジュンロン・ホー(シンガポール、OCBCシンガポール)。

UCIプロチーム勢が集団前方を固めるUCIプロチーム勢が集団前方を固める photo:Sonoko Tanaka中国を担う次世代のライダーとして注目を集めるワンは、3つある中間スプリントを全て先頭通過し、さらに4級山岳も先頭通過してみせる。福島は「調子はよくなく、山岳賞も取れなかった!ビックチャンスだったのに残念」と振り返る。

タイム差は最大10分40秒まで広がったが、ブランコプロサイクリングやアスタナ、ヴィーニファンティーニがコントロールするメイン集団が徐々にそのギャップを詰める。最終的に福島、ワン、ホーの3人はラスト13km地点で吸収。UCIプロチームが先導する集団がクリムの街に突進した。

コーナーが連続するゴール手前、主導権を握ったのはブランコプロサイクリング。ラスト1kmを切り、グレーム・ブラウン(オーストラリア)が強力なリードアウトでボスを引き連れて先頭へ。ラスト200mでボスが踏み始めると、すぐに後続との距離が開いた。

「他に何も考えず、ただグレーム・ブラウンに付いていった。最後は自分のタイミングでスプリントを開始したんだ。チームメイトたちが強力なテンポで引いたので、他のスプリンターたちは苦しんだと思う」。そう語るボスが、昨年怒濤のステージ6勝を飾ったアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)やブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)を振り切った。

ゴールスプリントを制したテオ・ボス(オランダ、ブランコプロサイクリング)ゴールスプリントを制したテオ・ボス(オランダ、ブランコプロサイクリング) photo:Sonoko Tanaka

ステージのトップスリーが表彰台に上がるステージのトップスリーが表彰台に上がる photo:Sonoko Tanaka過去のトラック世界選手権で、スプリントと1kmタイムトライアル、ケイリンで合計5つの金メダルを獲得している29歳のボス。2009年にロードに転向した元トラックスターがそのスピードを見せつけ、ステージ優勝とリーダージャージを手にした。「これからもっと勝ちたいけど、このランカウイには強いスプリンターが沢山出場しているので、簡単にはいかないだろうね。初日に勝つことが出来てとにかくハッピーだ」。

日本人選手はスプリントの前線に絡めず、綾部勇成(愛三工業レーシング)のステージ20位が最高位。逃げた福島以外、全員トップと同タイムの集団でゴールしている。


ツール・ド・ランカウイ2013第1ステージ結果
1位 テオ・ボス(オランダ、ブランコプロサイクリング)          4h00'17"
2位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
3位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)
4位 スティール・ヴォンホフ(オーストラリア、ガーミン・シャープ)
5位 ジェイコブ・キーオ(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
6位 アルドイノ・イレシチュ(スロベニア、ユナイテッドヘルスケア)
7位 アヌアル・マナン(マレーシア、シナジーバクサイクリング)
8位 フランチェスコ・キッキ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)
9位 ホセイン・ナテギ(イラン、タブリスペトロケミカル)
10位 マウロアベル・リケーゼ(アルゼンチン、チームNIPPO・デローザ)
20位 綾部勇成(日本、愛三工業レーシング)
22位 盛一大(日本、愛三工業レーシング)
29位 福田真平(日本、愛三工業レーシング)
31位 西谷泰治(日本、愛三工業レーシング)
48位 伊藤雅和(日本、愛三工業レーシング)
67位 中島康晴(日本、愛三工業レーシング)
109位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
111位 石橋学(日本、チームNIPPO・デローザ)
115位 佐野淳哉(日本、ヴィーニファンティーニ)
122位 徳田鍛造(日本、チームNIPPO・デローザ)
132位 福島晋一(日本、チームNIPPO・デローザ)             +4'43"

個人総合成績
1位 テオ・ボス(オランダ、ブランコプロサイクリング)          4h00'07"
2位 ワン・メイイン(中国、ハンシャンサイクリング)             +01"
3位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)            +04"
4位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)            +06"
5位 ジュンロン・ホー(シンガポール、OCBCシンガポール)
6位 スティール・ヴォンホフ(オーストラリア、ガーミン・シャープ)      +10"
7位 ジェイコブ・キーオ(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
8位 アルドイノ・イレシチュ(スロベニア、ユナイテッドヘルスケア)
9位 アヌアル・マナン(マレーシア、シナジーバクサイクリング)
10位 フランチェスコ・キッキ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)

スプリント賞
テオ・ボス(オランダ、ブランコプロサイクリング)

アジアンライダー総合成績
ワン・メイイン(中国、ハンシャンサイクリング)

山岳賞
ワン・メイイン(中国、ハンシャンサイクリング)

チーム総合成績
ユナイテッドヘルスケア

text:Kei Tsuji
photo:Sonoko Tanaka