個人TTを終えツール・ド・サンルイスは再び山岳ステージへ。後半に1急山岳が用意された第5ステージは、序盤アタックしたエマヌエル・ゲバラが逃げ切り勝利。ステージ2位のリカルド・ディアスが総合首位に立ち、アルゼンチン勢がレースを掌握した。

ファナ・コスライをスタートしていくファナ・コスライをスタートしていく (c)tour de san luis南米アルゼンチンで開催されているツール・ド・サンルイス(UCI2.1)。1月26日に開催された第5ステージは、昨日個人タイムトライアルが開催されたサンルイスから程近いファナ・コスライをスタートし、カロリナへと至る169.8kmだ。

逃げるボイテフ・ハチェツキー(チェコ、デュクラ・プラハ)とエマヌエル・ゲバラ(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス)逃げるボイテフ・ハチェツキー(チェコ、デュクラ・プラハ)とエマヌエル・ゲバラ(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス) (c)tour de san luis後半に掛けては平坦なルートを走るが、残り40km地点から山岳地帯へと突入し、標高1720mの1級山岳チェッロ・エル・アマゴをクリア。頂上からゴールへは17kmの平坦路が用意されており、精鋭集団によるゴール勝負が繰り広げられるものと予想された。しかしこの山岳コースで最後に用意された結末は、劇的な逃げ切り勝利だった。

この日序盤に逃げを決めたのは、ボイテフ・ハチェツキー(チェコ、デュクラ・プラハ)とエマヌエル・ゲバラ(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス)の2人。集団が追走を諦めると、共にUCIコンチネンタルチームに所属するハチェツキーとゲバラはすぐさま10分以上のタイム差を稼ぎだすことに成功する。

この日集団は非常にスロースピードでレースを展開し、先頭を行く2人とのタイムギャップは中盤を過ぎても一方的に広がるばかり。残り70km地点で14分20秒、更に最大では18分までタイム差は拡大し、ようやく落ち着きを見せたのは山岳路が始まる残り40kmになってからのことだった。

アルゼンチン中部の山岳地帯を駆ける集団アルゼンチン中部の山岳地帯を駆ける集団 (c)tour de san luis

1級山岳チェッロ・エル・アマゴを逃げるエマヌエル・ゲバラ(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス)1級山岳チェッロ・エル・アマゴを逃げるエマヌエル・ゲバラ(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス) (c)tour de san luis1級山岳チェッロ・エル・アマゴを行く先頭グループでは、快調なペースを刻むゲバラからハチェツキーが脱落。アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)ら総合上位陣がハイペースを刻むメイン集団の、そのはるか先をゲバラは独走で駆け抜けていく。

劇的な逃げ切り勝利を成し遂げたエマヌエル・ゲバラ(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス)劇的な逃げ切り勝利を成し遂げたエマヌエル・ゲバラ(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス) (c)tour de san luisペースの上がりきったメイン集団では、コンタドール、ダニエル・ディアズ(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス)、ミゲルアンヘル・ルビアーノ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)らが精鋭集団を形成。ここからディアスが総合首位を狙ったアタックを成功させ、コンディションの整っていないコンタドールを置き去りにし独走を開始した。

ステージ表彰 南米勢が1位~3位を独占したステージ表彰 南米勢が1位~3位を独占した (c)tour de san luisチェッロ・エル・アマゴを先頭で通過したゲバラは、そのまま後続の追い上げを振りきってゴールへ。地元コンチネンタルチーム所属のアルゼンチン選手が、母国最大のステージレースで劇的な逃げ切り勝利を決めた。

2位にはディアスが入り、サンルイス・ソモストドスがワンツー勝利、さらにリーダージャージを着ていたミカル・クヴィアトコウスキ(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)が遅れたことでディアスが一躍総合首位の座に立つことに成功した。

「完璧な勝利、今日は本当に僕らのチームが最強だった。これまでのステージで調子の良さを感じていたから、今日はアタックしようと決めていた。明日も僕らにとって良い日となりそうだよ」とゴール地点で喜びを爆発させたゲバラ。

翌第6ステージは2日連続の山岳コースとなり、最後は1級山岳ミラドール・デル・ソル「太陽の展望台」へと駆け上がる難関コースだ。ディアスは強豪オールラウンダーに対し1分強の差を持って翌日に望む。

またこの日増田成幸(キャノンデール・プロサイクリング)は20分遅れの集団内でゴール。総合順位を112位としている。


ツール・ド・サンルイス2013第5ステージ結果
1位 エマヌエル・ゲバラ(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス) 4h17′48″
2位 リカルド・ディアス(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス) +15″
3位 ミゲルアンヘル・ルビアーノ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ) +1′17″
4位 アーノルド・アルコレア(キューバ、キューバナショナルチーム)
5位 ハビエル・アセヴェド(コロンビア、ジェイミス・ハーゲンス) +1′21″
6位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)
7位 タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)
8位 アレックス・ディニス(ブラジル、ファンヴィック・ブラジリアンベスト)
9位 マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ・セライタリア) +1′41″
10位 マッテオ・モンタグーティ(イタリア、アージェードゥーゼル)
112位 増田成幸(キャノンデール・プロサイクリング) +20′59″

個人総合成績
1位 ダニエル・ディアズ(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス) 16h49′52″
2位 タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) +17″
3位 アレックス・ディニス(ブラジル、ファンヴィック・ブラジリアンベスト) +39″
4位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ) +1′04″
5位 ユルゲン・ヴァンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル) +1′07″
6位 ミゲルアンヘル・ルビアーノ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ) +1′47″
7位 ヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +2′14″
8位 マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ・セライタリア) +2′17″
9位 ミカル・クヴィアトコウスキ(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ) +2′19″
10位 ハビエル・アセヴェド(コロンビア、ジェイミス・ハーゲンス) +2′20″
84位 増田成幸(キャノンデール・プロサイクリング) +31′17″

山岳賞
エマヌエル・ゲバラ(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス)

ポイント賞
ラーンドロ・メッシネオ(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス)

新人賞
アレハンドロ・シヴォーリ(アルゼンチン、アルゼンチンナショナルチーム)

チーム総合成績
サンルイス・ソモストドス


text:So.Isobe
photo:tour de san luis,Cor.Vos

最新ニュース(全ジャンル)