2011年のラインナップではアルミ系モデルを一新してきたアンカーだが、その中においてトップに位置するモデルが「RCS6エキップ」である。カーボンモデルのRHM9RSの系譜を受け継ぎながらも、ロードレースに挑戦するエントリークラスのユーザーに向けて素材をアルミ+カーボンとし、シマノ・105のコンポーネントをアッセンブルして20万円以下という手ごろな価格が実現されている。

アンカー RCS6 Equipeアンカー RCS6 Equipe
メインフレームのチューブにはハイドロフォーミング成形が積極的に採用されている。液圧によってチューブを成形するこの技術は複雑な断面形状を容易に作り出すことが可能になり、その結果ガセットのような補強も必要としないため、剛性と軽さを高いレベルで両立することが可能だ。

実際にRCS6エキップのフレーム形状を前にすると、非常に複雑な形状に仕上げられていることが確認できる。トップチューブは三角断面からシートチューブに向かってT字断面に、ダウンチューブは四角形の断面からBBシェルに向かって横扁平しながら菱形に変形する。そしてシートチューブにいたってはRMZを思わせる突起が設けられ、デザインのアクセントになっている。こうしてハイドロフォーミングを積極的に用いることで、ヘッドやBB周辺といった剛性を必要とされる部分に的確に剛性が与えられ、BB部分の横剛性は先代のRCS5に比べて向上している。

エアロフィンを思わせる出っ張りを備えるシートチューブ。上位機種RMZを受け継ぐ形状だ。デザイン的なアクセントではあるが、これもハイドロフォーミングがなせる技エアロフィンを思わせる出っ張りを備えるシートチューブ。上位機種RMZを受け継ぐ形状だ。デザイン的なアクセントではあるが、これもハイドロフォーミングがなせる技
トップチューブはヘッド側を菱形断面に整形。シートチューブに向かってT字断面に変化する形状とすることで、必要な剛性を確保しつつ乗り心地の向上が狙われているトップチューブはヘッド側を菱形断面に整形。シートチューブに向かってT字断面に変化する形状とすることで、必要な剛性を確保しつつ乗り心地の向上が狙われている チューブの接合部は溶接痕を必要以上に削らない仕上げ。コストを抑えると共に耐久性を重視している。あらゆる使い方を想定したエントリーモデルらしい配慮といえるだろうチューブの接合部は溶接痕を必要以上に削らない仕上げ。コストを抑えると共に耐久性を重視している。あらゆる使い方を想定したエントリーモデルらしい配慮といえるだろう


アルミフレームが苦手とする振動吸収性については、前後のカーボンセクションがこれを受け持つ。モノタイプカーボンシートステーは新設計されたもので、素材が持つ振動減衰特性を最大限発揮しつつ、ねじれ剛性を確保するため、ブレードの断面形状とベンド形状に工夫が凝らされている。また重量についてもフルアルミのRA6シリーズよりも40gほど軽量に仕上げられている(490㎜サイズの場合)。

フロントフォークはRCS6シリーズのもう1つの大きな注目点といえる。ハイエンドのロードバイクでは既に定番となっている上下異径タイプのベアリングを新たに搭載し、ロワーベアリングを1-1/4インチ径とした。フォークはブレードからステアリングコラムに至るまでモノコック構造のフルカーボン製となり、先代のモデルに比べて270gという大幅な軽量化が達成された。

ヘッドチューブはロワーベアリングに1-1/4インチ径を採用したテーパードタイプ。これによりダウンチューブとの溶接面が増加して、フロント周りの剛性アップに貢献するヘッドチューブはロワーベアリングに1-1/4インチ径を採用したテーパードタイプ。これによりダウンチューブとの溶接面が増加して、フロント周りの剛性アップに貢献する ダウンチューブのヘッド側を角断面とし大径に成型することで、あらゆる方向からの力にしっかりとした剛性を発揮する。BBシェル付近ではねじれ剛性確保のために横扁平するダウンチューブのヘッド側を角断面とし大径に成型することで、あらゆる方向からの力にしっかりとした剛性を発揮する。BBシェル付近ではねじれ剛性確保のために横扁平する カーボン製のモノステーはステー上部を翼断面に成型し、リアエンドに向かって丸断面へと変化する。中間に近い部分を内側に絞り込みねじれ剛性と振動吸収性をバランスするカーボン製のモノステーはステー上部を翼断面に成型し、リアエンドに向かって丸断面へと変化する。中間に近い部分を内側に絞り込みねじれ剛性と振動吸収性をバランスする

それだけでなく、上下異型ヘッドの採用はテーパードコラムとクラウン部分のボリュームアップによってフォーク剛性も大幅に向上。フロントセクションの総合的な剛性アップにより安定したコーナリング、ハンドリング性能を獲得している。このフォークはハイドロフォーミングによって軽量化と剛性アップを果たしたフレームにとってベストなコンビネーションといえるだろう。

ダウンチューブの変速用アウターストッパーは、しっかりとしたタイプを備える。マイクロアジャスターは走行中でもネジを回しやすく、確実に変速調整ができる実戦仕様だダウンチューブの変速用アウターストッパーは、しっかりとしたタイプを備える。マイクロアジャスターは走行中でもネジを回しやすく、確実に変速調整ができる実戦仕様だ チェーンステーのBB側は一般的な楕円断面に成型。チェーンステーブリッジは省かれるものの、左右ステーはBBシェルの両端に限りなく近い場所に接合されねじれ剛性を高めるチェーンステーのBB側は一般的な楕円断面に成型。チェーンステーブリッジは省かれるものの、左右ステーはBBシェルの両端に限りなく近い場所に接合されねじれ剛性を高める
フォークブレードは新たにストレートタイプを採用。ボリュームアップされたクラウン&コラム下部と相まって、レーシングバイクらしい軽快なハンドリング性能を追求するフォークブレードは新たにストレートタイプを採用。ボリュームアップされたクラウン&コラム下部と相まって、レーシングバイクらしい軽快なハンドリング性能を追求する

価格的にはエントリークラスに位置づけられるものの、ハイドロフォーミングを駆使したRCS6シリーズはカーボンフレームにはないアルミフレーム独特のダイレクトなペダリングフィールとシャープな加速感、そして前後に配置したカーボンセクションによりアルミ素材が苦手とする振動吸収性を最大限に高められている。そのスペックはロードレースを本格的に始めたいユーザーには十二分な存在といえる。フレームセットの価格も10万円程なので、アルミフレームの軽快な走りを再び体感したいと考えるベテランユーザーが好みのパーツをアッセンブルして楽しむにも興味深い1台だ。

アンカー RCS6 Equipeアンカー RCS6 Equipe

スペック

フレームSQシェイプ アルミニウム+カーボン
A6061 トリプルバテッド インテグラルヘッド
フォークカーボンモノコック ストレート形状
スーパーオーバーサイズ
サイズ460S、460、490、520、550㎜
メインコンポシマノ・105
ホイールシマノ・WH-R500
タイヤブリヂストン・エクステンザRR-2X 700×23C
ハンドルアンカー/ニットー・M101F
ステムアンカー・アルミニウム
シートポストアンカー・アルミニウム φ31.6×300L
サドルアンカー・レーシングM-ホワイト/ブラック
重量9.0㎏(490㎜ ペダル付き)、
1550g(490㎜フレーム単体)、
2010g(490㎜フレームセット)
カラーレーシングカラー5色、
シングルカラー32色から選択可
(一部カラーはアップチャージが必要)
価格195,000円(完成車標準価格)
105,000円(フレームセット標準価格)
※セレクトパーツの仕様によって価格は変わります。



インプレッション

「ホイールをアップグレードするだけで、かなり戦闘力の高いバイクになる」
(佐野友哉 YOU CAN海老名店)

CW:一時代を築いたアルミ×カーボンバックの組み合わせですが、最近はアルミ素材のモデルがビギナー向けになったことを受け、製造コストを抑えられるフルアルミタイプが多くなり、カーボンバックのモデルは以前に比べて見かけなくなりましたね。

佐野:そうですね。僕も正直なところカーボンバックの効果をあまり期待していなかったのですが、実際にこのRCS6エキップ(以下RCS6)を試乗するとその効果を体感できました。

浅野:今回試乗をした7台の中で、最も驚いたのがこのRCS6の性能でした。カーボンバックのアルミフレームってもう過去のモデルなのかなぁ、という印象だったのですが着実に進化を遂げているんですね。

CW:どんな部分が良かったですか?

浅野:エントリーグレードなだけに重量は正直なところ軽いとは言えないのですが、それを上回る走りの軽さがあります。アルミフレームらしい軽快さを十分に感じることができて、加速もスムーズ行なうことができます。ダンシングなどでバイクを振るような横の動きに対する軽さもあります。このクラスのアルミモデルとして性能はかなり高いですね。

佐野:僕も走りの軽さを強く感じました。フルアルミのRA6にも乗りましたが、RCS6の方が走りの軽さが強調されているように思います。フレームの重量差もほとんど無くてパーツ構成も同じですから、やはりこれはカーボンバックの差ではないかと。RCS6のほうが剛性は高いのか、または剛性のバランスがいいのか、力がよく伝わるような感覚があり、それが走りの軽さに繋がっているように感じました。アルミフレームとしての基本性能はとても高いレベルにまとめられているので、ホイールをアップグレードするだけでもかなり戦闘力の高いバイクになるでしょう。

走りの軽さが強く感じられ、ペダルを踏んだ時に感じる脚へのストレスも無い(佐野)走りの軽さが強く感じられ、ペダルを踏んだ時に感じる脚へのストレスも無い(佐野)
CW:ロワーベアリングを大型化した上下異径ヘッドチューブ採用していますが、反応性の良さはそのあたりも貢献しているのでしょうか。

佐野:フロント周りはアルミモデルとしてはかなり高い反応性を示します。この部分のシャープさが無いとバイクは乗りにくくなってしまいます。やはりフォークを含めてフロント部分の剛性がしっかりしているのと、コラムやフォーククラウンまでフルカーボンになって軽量化されたことで軽さが際立っているのが原因かもしれません。

CW:アルミフレームの場合、路面からの突き上げ感が強いことをウイークポイントとして挙げられることも多いですが、全体的な乗り心地の印象はどうでしょう。

浅野:RA6と乗り比べると分かりますが、僕の印象ではカーボンバックがあったほうが乗り心地はいいですね。さすがにカーボンフレームには及びませんが、アルミフレームとしては十分な乗り心地です。ロングライドにも使えると思いますよ。

佐野:僕もアルミフレームとしてはかなり乗り心地のいい部類に入ると感じました。ペダルを踏んだ時に感じる脚へのストレスも無いので、ビギナーの方でも走りやすいですね。

「この価格でこれだけの性能なら、ビギナーであれば文句のつけようはない」
(浅野浩一 YOU CAN八王子店)

CW:お2人ともかなりの好印象のようですね。では、例えばご自身が選手だとしてRCS6のフレームを渡されてレースを走ってくださいと言われたらどうですか?

佐野:十分いけますね。

浅野:エースじゃなきゃ文句は言えませんし(笑) 納得して使えますね。

CW:最新モデルを見渡すとRCS6の20万円程度の価格だとカーボンフレームのモデルもありますが、それと比較してのプライスパフォーマンスはいかがでしょうか。

浅野:RCS6はこのクラスとしては不満に感じる性能は無いといってもいいほどです。他社のモデルでもライバルになるのはかなり数が少ないと思います。キャノンデール・CAAD10シリーズぐらいでしょうか。確かにカーボンという選択肢もあるかと思いますが、カーボンというスペックにこだわって下手なモデルを購入するのなら、絶対RCS6を買った方が楽しめると思います。

佐野:落車などのトラブルにも強いでしょうし、耐久性もあるので安心して乗れますね。

CW:フルアルミのRA6とは完成車で1万5000円しか差がないのですが、性能差であるとか、ご自身なら実際にどっちを買われますか?

浅野:RA6も非常に完成されたバイクですが、カーボンバックは乗った感じが軽いですし、乗り心地も良くなっている印象を受けるので、わずかな金額差で性能の違いを体験できるのなら、僕はカーボンバックに乗ります。

このクラスとしては不満に感じる性能は無い完成度(浅野)このクラスとしては不満に感じる性能は無い完成度(浅野)
佐野:僕も走りの軽さがあるのでRCS6を選びます。といっても2台とも非常に完成度が高くて、プライスパフォーマンスは抜群です。ですから、どちらを購入しても十分な満足が得られるでしょう。

浅野:この価格でこれだけの性能があれば、ビギナーであれば文句のつけようはないと思います。

佐野:カーボンフレームには手が届かないけど、これからロードレースを始めたい人、特に予算が限られてしまう高校生など若い人には一番いいモデルと言えるでしょう。

CW:実際に前作のアルミ×カーボンモデルも、そのプライスパフォーマンスの高さから高校生をはじめとするヤングレーサーには人気でしたが、性能がブラッシュアップされたRCS6はさらに支持を集めそうですね。

提供:ブリヂストンサイクル株式会社 企画/制作:シクロワイアード