2019/07/22(月) - 12:10
キャノンデールの高性能アルミロードバイクCAADシリーズの最新作「CAAD13」が登場。CAAD12の優れた剛性と軽さをそのままに、新型SUPERSIX EVO譲りのエアロシェイプで空力性能と快適性を大幅に強化した注目の一台だ。CAADシリーズの歴史を振り返りつつ"13"の詳細を解説していこう。
「Cannondale Advanced Aluminum Design(=キャノンデール・アドバンスド・アルミニウム・デザイン)」、略してCAADは、キャノンデールの歴史と伝統が凝縮された由緒あるアルミロードだ。高性能アルミMTBを皮切りにレーシングブランドとして確固たる地位を築いてきたキャノンデールだけに、歴代のCAADには同社が「Aluminati(アルミナティ)」と自負するアルミへの情熱が注ぎ込まれてきた。
CAADシリーズを語る上で外せないのが、1996~2004年に活躍したイタリア籍の強豪プロチーム「サエコ」の存在だろう。同チームに機材供給を開始した1997年、当時のフラッグシップであったCAAD3を駆ったマリオ・チポッリーニがジロ・デ・イタリアでステージ5勝を飾るなど大活躍し、そのレッド×イエローロゴのバイクは一躍注目を集めることとなる。
CAAD4からは緩くS字にベンドさせたアワーグラス型のシートステーを投入し、それまで硬くソリッドな乗り味が一般的だったアルミバイクに快適性を与える。曲げ加工が難しいアルミチューブながら、滑らかな曲線を描いたデザインで技術の高さを見せつける革新的な1台となったのだ。以降、このアワーグラスシートステーはCAAD9まで受け継がれる、CAADシリーズを代表するテクノロジーとなる。
アルミとカーボンのハイブリッドバイク「SIX13」のデビュー(2004年)まで、サエコの活躍はCAADシリーズと共にあった。2003年にはジルベルト・シモーニのジロ・デ・イタリア総合優勝や、イゴール・アスタルロアの世界選手権優勝を始めとする数々の勝利を記録。また、2004年にはSIX13が投入されたにも関わらず、アルミバイクの乗り味を好んだダミアーノ・クネゴはCAAD8を選択し、ジロ・デ・イタリアでステージ4勝とともにマリアローザ獲得を果たす輝かしい結果を残した。
その後はSIX13、SYSTEMSIX、そしてSUPERSIXとプロ供給バイクは完全カーボン化を果たしたが、CAADシリーズはキャノンデールのロードラインアップを支える万能機として現在までアップデートが続けられてきた。2010年には当時世界最軽量のアルミロードとしてCAAD10がデビューし、2015年にはCAAD12へとモデルチェンジ。その頃のアルミロード復興ブームの中でも一際輝きを放ち、ビギナー層はもちろん、アルミロードを愛するマニアからも根強い人気を獲得してきた。
そして今年、SUPERSIX EVOのフルモデルチェンジに合わせてCAADシリーズも4年ぶりに刷新される。新型SUPERSIX EVOを踏襲したエアロフォルムを纏い、軽量性や剛性はそのままに、空力性能や快適性をさらに強化した待望のニューモデル「CAAD13」が誕生した。それでは詳細を見ていこう。
CAAD13最大の変化は、各所に採用されたエアロチュービングと、コンパクトなリアトライアングルなど、新型SUPERSIX EVO同様のエアロフォルムが与えられたことだ。
ダウンチューブやシートチューブには翼断面形状の後端を切り落としたD型のエアロシェイプを採用することで、ラウンド形状のチューブに比べ、最大30%もの空力性能向上を果たしている。カーボンバイクと見紛うほどのルックスは、さすがアルミの扱いに長けたキャノンデールと言うべきだろう。
シートステーとシートチューブの接合位置を下げたデザインは、昨今のエアロロードには欠かせないもの。前方投影面積を減らすことで空気抵抗を低減するほか、チューブ自体が短くなることで重量削減と剛性強化にも繋がる部分であり、かつシートチューブ上部の突き出し量が増えることでフレームのしなり量が大きくなり、振動吸収性の向上にも寄与している。
シートポストも従来の円形ではなく、新型SUPERSIX EVOと同形状の”KNØT27シートポスト”を採用し、D型のチューブ断面とフレーム内蔵のクランプ方式によってエアロ効果を高めている。Force eTap AXS完成車のみカーボンシートポストを装備し、フレックスゾーンを設けた形状によって乗り心地を向上。カーボンシートポストは単体でも用意され、アルミシートポストから交換することも可能だ。
さらにForce eTap AXS完成車は、フラッグシップであるSUPERSIX EVO Hi-Modと同じく、エアロと快適性を両立するカーボン製の”SAVEハンドルバー”と、45mmハイトでエアロ効果を高めてくれる”HollowGram KNØT45ホイール”をアセンブル。トップグレード準拠のスペックを備えたレースレディな1台に仕上がる。SUPERSIX EVOやSYSTEMSIXのようなケーブル完全内装のシステムは採用しておらず、ごく一般的なインターナルルーティングだ。
ダウンチューブにはボトルケージ用のボルトを3つ配置し、上下2箇所から取り付け位置を選べる設計に。2ボトルなら上側に、1ボトルなら下側に取り付けることで、ストレージ容量か空力性能かどちらかを優先したボトルポジションを選ぶことができる。
キャノンデール独自のSAVEテクノロジーによって、リアセクションのコンプライアンスもさらなる向上を果たした。路面追従性は前作の2倍にもなり、よりスムーズなライディングを楽しめる快適性を実現している。
また、ジオメトリーとサイズ展開が刷新され、新型SUPERSIX EVOと共通の設計へとアップデート。より多くのライダーにフィットするよう、わずかにスタックが長くリーチが短くなっている。ピュアレーシングなSYSTEMSIXとアップライトなSYNAPSEのちょうど中間に当たるスタック&リーチの値だ。加えてCAAD12よりもホイールベースが延長されており直進安定性も向上させている。
タイヤクリアランスもよりワイドな最大30mm幅まで対応(リムブレーキモデルはキャリパーの構造上28mmまで)。標準でも28Cタイヤがアセンブルされる仕様で、エアボリューム増大による快適性の向上を図っている。また、ディスクブレーキモデルは12mmスルーアクスル仕様ながら、エンドの片側にスリットを入れたスピードリリース機構とすることでスムーズなホイールの着脱が可能だ。さらには、通勤等でも使いやすいようフェンダーマウントも各所に備わっている。
各種ハイスペックなパーツを組み込んだForce eTap AXS完成車を筆頭に、シマノULTEGRAとシマノ105完成車で展開。もちろんディスク/リムブレーキモデルともに用意され、好みや予算に応じて選べるラインアップが揃う。
次項では国内発表会にて実際にCAAD13に試乗した、ショップスタッフによるインプレッションをお届けする。
アルミバイクの金字塔 キャノンデールが放つCAADシリーズ
「Cannondale Advanced Aluminum Design(=キャノンデール・アドバンスド・アルミニウム・デザイン)」、略してCAADは、キャノンデールの歴史と伝統が凝縮された由緒あるアルミロードだ。高性能アルミMTBを皮切りにレーシングブランドとして確固たる地位を築いてきたキャノンデールだけに、歴代のCAADには同社が「Aluminati(アルミナティ)」と自負するアルミへの情熱が注ぎ込まれてきた。
CAADシリーズを語る上で外せないのが、1996~2004年に活躍したイタリア籍の強豪プロチーム「サエコ」の存在だろう。同チームに機材供給を開始した1997年、当時のフラッグシップであったCAAD3を駆ったマリオ・チポッリーニがジロ・デ・イタリアでステージ5勝を飾るなど大活躍し、そのレッド×イエローロゴのバイクは一躍注目を集めることとなる。
CAAD4からは緩くS字にベンドさせたアワーグラス型のシートステーを投入し、それまで硬くソリッドな乗り味が一般的だったアルミバイクに快適性を与える。曲げ加工が難しいアルミチューブながら、滑らかな曲線を描いたデザインで技術の高さを見せつける革新的な1台となったのだ。以降、このアワーグラスシートステーはCAAD9まで受け継がれる、CAADシリーズを代表するテクノロジーとなる。
アルミとカーボンのハイブリッドバイク「SIX13」のデビュー(2004年)まで、サエコの活躍はCAADシリーズと共にあった。2003年にはジルベルト・シモーニのジロ・デ・イタリア総合優勝や、イゴール・アスタルロアの世界選手権優勝を始めとする数々の勝利を記録。また、2004年にはSIX13が投入されたにも関わらず、アルミバイクの乗り味を好んだダミアーノ・クネゴはCAAD8を選択し、ジロ・デ・イタリアでステージ4勝とともにマリアローザ獲得を果たす輝かしい結果を残した。
その後はSIX13、SYSTEMSIX、そしてSUPERSIXとプロ供給バイクは完全カーボン化を果たしたが、CAADシリーズはキャノンデールのロードラインアップを支える万能機として現在までアップデートが続けられてきた。2010年には当時世界最軽量のアルミロードとしてCAAD10がデビューし、2015年にはCAAD12へとモデルチェンジ。その頃のアルミロード復興ブームの中でも一際輝きを放ち、ビギナー層はもちろん、アルミロードを愛するマニアからも根強い人気を獲得してきた。
そして今年、SUPERSIX EVOのフルモデルチェンジに合わせてCAADシリーズも4年ぶりに刷新される。新型SUPERSIX EVOを踏襲したエアロフォルムを纏い、軽量性や剛性はそのままに、空力性能や快適性をさらに強化した待望のニューモデル「CAAD13」が誕生した。それでは詳細を見ていこう。
より走りを洗練したハイパフォーマンスアルミレーサー「CAAD13」
スムーズな走りを実現するエアロプロファイルを新採用
CAAD13最大の変化は、各所に採用されたエアロチュービングと、コンパクトなリアトライアングルなど、新型SUPERSIX EVO同様のエアロフォルムが与えられたことだ。
ダウンチューブやシートチューブには翼断面形状の後端を切り落としたD型のエアロシェイプを採用することで、ラウンド形状のチューブに比べ、最大30%もの空力性能向上を果たしている。カーボンバイクと見紛うほどのルックスは、さすがアルミの扱いに長けたキャノンデールと言うべきだろう。
シートステーとシートチューブの接合位置を下げたデザインは、昨今のエアロロードには欠かせないもの。前方投影面積を減らすことで空気抵抗を低減するほか、チューブ自体が短くなることで重量削減と剛性強化にも繋がる部分であり、かつシートチューブ上部の突き出し量が増えることでフレームのしなり量が大きくなり、振動吸収性の向上にも寄与している。
シートポストも従来の円形ではなく、新型SUPERSIX EVOと同形状の”KNØT27シートポスト”を採用し、D型のチューブ断面とフレーム内蔵のクランプ方式によってエアロ効果を高めている。Force eTap AXS完成車のみカーボンシートポストを装備し、フレックスゾーンを設けた形状によって乗り心地を向上。カーボンシートポストは単体でも用意され、アルミシートポストから交換することも可能だ。
さらにForce eTap AXS完成車は、フラッグシップであるSUPERSIX EVO Hi-Modと同じく、エアロと快適性を両立するカーボン製の”SAVEハンドルバー”と、45mmハイトでエアロ効果を高めてくれる”HollowGram KNØT45ホイール”をアセンブル。トップグレード準拠のスペックを備えたレースレディな1台に仕上がる。SUPERSIX EVOやSYSTEMSIXのようなケーブル完全内装のシステムは採用しておらず、ごく一般的なインターナルルーティングだ。
ダウンチューブにはボトルケージ用のボルトを3つ配置し、上下2箇所から取り付け位置を選べる設計に。2ボトルなら上側に、1ボトルなら下側に取り付けることで、ストレージ容量か空力性能かどちらかを優先したボトルポジションを選ぶことができる。
カーボンバイクに迫る軽量性と快適性を実現したアルミフレーム
フレーム素材は前作から引き続き、重量剛性比に優れた6069アルミニウムを使用する。アルミフレームのトップグレードに用いられる「スマートフォームC1プレミアムアルミ構造」を採用し、極限まで重量を削減する一方で、剛性が必要な箇所には適切な素材の厚みを持たせることで高いパワー伝達性とレーシーな反応性を有したフレームに仕上げられた。加えて、CAAD13用に再設計したフルカーボンフォークを組み合わせ、安定したハンドリング性能を生み出したという。キャノンデール独自のSAVEテクノロジーによって、リアセクションのコンプライアンスもさらなる向上を果たした。路面追従性は前作の2倍にもなり、よりスムーズなライディングを楽しめる快適性を実現している。
また、ジオメトリーとサイズ展開が刷新され、新型SUPERSIX EVOと共通の設計へとアップデート。より多くのライダーにフィットするよう、わずかにスタックが長くリーチが短くなっている。ピュアレーシングなSYSTEMSIXとアップライトなSYNAPSEのちょうど中間に当たるスタック&リーチの値だ。加えてCAAD12よりもホイールベースが延長されており直進安定性も向上させている。
タイヤクリアランスもよりワイドな最大30mm幅まで対応(リムブレーキモデルはキャリパーの構造上28mmまで)。標準でも28Cタイヤがアセンブルされる仕様で、エアボリューム増大による快適性の向上を図っている。また、ディスクブレーキモデルは12mmスルーアクスル仕様ながら、エンドの片側にスリットを入れたスピードリリース機構とすることでスムーズなホイールの着脱が可能だ。さらには、通勤等でも使いやすいようフェンダーマウントも各所に備わっている。
各種ハイスペックなパーツを組み込んだForce eTap AXS完成車を筆頭に、シマノULTEGRAとシマノ105完成車で展開。もちろんディスク/リムブレーキモデルともに用意され、好みや予算に応じて選べるラインアップが揃う。
キャノンデール CAAD13ラインアップ
CAAD13 DISC
フレーム | All-New, SmartForm C1 Premium Alloy, integrated cablerouting w/ Switchplate, SAVE, BB30a, 142x12 SpeedRelease thru-axle, Di2 Ready, flat-mount disc |
フォーク | All-New, BallisTec Carbon, SAVE, 12x100mm SpeedRelease thru-axle, flat mount disc |
サイズ | 44, 48, 51, 54, 56, 58(Force eTap AXSは44, 58の展開なし) |
価格 | 590,000円(税抜、Force eTap AXS), 210,000円(税抜、105) |
CAAD13
フレーム | All-New, SmartForm C1 Premium Alloy, direct mountrim brake, integrated cable routing w/ Switchplate,SAVE, BB30a, 130x9mm QR, Di2 Ready |
フォーク | All-New, BallisTec Carbon, direct mount rim brake, SAVE, 100x9mm QR |
サイズ | 44, 48, 51, 54, 56, 58(Women'sモデルは44, 48のみ) |
価格 | 240,000円(税抜、Ultegra), 180,000円(税抜、105) |
次項では国内発表会にて実際にCAAD13に試乗した、ショップスタッフによるインプレッションをお届けする。
提供:キャノンデール・ジャパン text&photo:Yuto.Murata