昨年末からプロ選手によるテストが目撃され、デビューが噂されていたジロの新型ロードシューズがデビューする。その名は"最上級"を意味する「IMPERIAL」。イタリア、トスカーナで開催されたプレゼンテーションの模様を通し、シューズの詳細を掘り下げていきたい。

トスカーナで披露されたIMPERIAL テーマは「最上のフィット感」

正式デビューを飾ったIMPERIAL。快適性とフィット感を追い求めたレーシングシューズだ正式デビューを飾ったIMPERIAL。快適性とフィット感を追い求めたレーシングシューズだ photo:So.Isobe
ジロが新型シューズのお披露目の場として選んだのは、イタリア中部のトスカーナ地方。眼下に葡萄畑を見渡すホテルであり、キアンティ・クラシコの名門ワイナリー「カステッロ・ディ・アマ」がその舞台だ。今回招聘されたメディアは数少ないが、英Rouleurなどスタイルのある媒体が選ばれているのは何ともジロらしい。

ジロ本社でブランドマネージャーを務めるエリック・リクター氏のプレゼンテーションによって、履き心地とフィット感を最重視したハイエンドロードシューズ「IMPERIAL(インペリアル)」が正式にデビューを飾った。

小規模で開催されたプレゼンテーション。メディアの数は10名以下だった小規模で開催されたプレゼンテーション。メディアの数は10名以下だった photo:So.Isobe2日間に渡りトスカーナのアップダウンコースでIMPERIALを試した2日間に渡りトスカーナのアップダウンコースでIMPERIALを試した photo:So.Isobe


ジロのシューズ史上初となる2ダイヤル式のBOAを除けば、繊維の並びが見えるアッパー素材や、メッシュを多用した大胆なカッティングなどのルックスはどことなく見覚えがあるものだ。そう、このIMPERIALは、世界で初めてアンダー150gを達成した超軽量シューズ「PROLIGHT TECHLACE」の進化版。重量をやや増やす代わりに最上の快適性とフィット感を追い求め、実用性をプラスしたプロレベルのレーシングシューズだ。

今回のプレゼンテーションでは、このIMPERIALと、シューレース式の兄弟分であり、第2世代となった「EMPIRE SLX」(準備が間に合わず情報のみ)が披露。参加者一同は各サイズのIMPERIALに足を通し、以降2日間に渡り周囲に広がるアップダウンコースを駆け抜けたのだった。

ブランド初のフルBOAシューズ シューレース版のEMPIRE SLXも同時発表

アッパーには日本のテイジン社製素材が使われている。開口部が広く通気性やフィット感も高いアッパーには日本のテイジン社製素材が使われている。開口部が広く通気性やフィット感も高い photo:So.Isobe
もはや「ジロ=ヘルメットだけのブランド」というイメージを持つ方は少ないだろう。2010年にサイクリングシューズ界に華々しくデビューすると、2年後にはそれまでの常識を覆すシューレース(靴紐)採用のEMPIREで一斉を風靡。その後も軽量版のEMPIRE SLXや、シューレースとBOA/ベルクロを組み合わせたTECHLACE、アンダー150gの世界最軽量モデルPROLIGHT TECHLACEなど、次々と革新的なモデルをリリース。スタイリッシュさという側面でも多くのファンを捉え、神出鬼没的にリリースされる限定カラーはその度に話題をさらってきた。

これまでの集大成としてデビューするIMPERIALのテーマは、最上の快適性とフィット感を追い求めること。ここ最近のサイクリングシューズのトレンドと共通しているが、思い返せばEMPIREの登場も、TECHLACEの登場も、あるいはニット素材の採用も全ては快適性のためであり、ジロは10年前からその課題に取り組んできた。

「フィット感だけで言えばシューレース式が最高ですが、やはり手間が掛かるし、走行中の調整はできませんので」と前置きしつつ、リクター氏は2ダイヤル式のBOAを採用した理由を話す。「調整の素早さとフィット感の両立を目指したTECHLACEは大きな成功を収めましたが、正直に言えばシューレース部分でわずかな遊びが生まれ、細やかな調整という意味で完全に満足できてはいませんでした。そこで一般/プロ問わず愛されている2BOAダイヤル式の開発に踏み切りました」。

BOAのIP1ダイヤルを搭載。1mm単位で調整可能で、ダイヤルを引き上げれば全開放となるBOAのIP1ダイヤルを搭載。1mm単位で調整可能で、ダイヤルを引き上げれば全開放となる photo:So.Isobe
BOAのワイヤーを止めるのは袋状の布素材。柔らかい足当たりを追求するための工夫だBOAのワイヤーを止めるのは袋状の布素材。柔らかい足当たりを追求するための工夫だ photo:So.Isobe唯一シーム(縫い目)があるのがヒール部分だが、肌に当たらないよう配慮されている唯一シーム(縫い目)があるのがヒール部分だが、肌に当たらないよう配慮されている photo:So.Isobe


格子状の繊維が見えるアッパー素材は、3層構造の「SYNCHWIRE(シンクワイヤ)SLX」と呼ばれる新開発品だ。テイジン社製TPU溶接補強材を芯材にしたメッシュ素材で、表面はPROLIGHT TECHLACEと同じだが、細部の変更を行うことで薄く軽量に。放射状のカッティングデザインは足全体を包むように締め上げる工夫だという。

もちろんアッパーはワンピース構造のシーム(縫い目)レスで、ヒール部分に唯一存在する縫い目も肌には当たらない。PROLIGHT TECHLACEよりも大きくデザインされた通気孔も柔らかな脚あたりに貢献し、目に見えない部分にも違和感の原因となるプラスチックや金属部品は使われていない。「第二の肌のような脚あたりを目指した」とリクター氏は言う。

アッパーに使用されている部材。3種類を重ね合わせていることがわかるアッパーに使用されている部材。3種類を重ね合わせていることがわかる photo:So.Isobe
アウトソールはイーストンのEC90 SLX。軽さと耐久性を考慮した結果だというアウトソールはイーストンのEC90 SLX。軽さと耐久性を考慮した結果だという photo:So.Isobeヒールパーツは交換式。決戦用のPROLIGHT TECHLACEとは設計思想が異なるヒールパーツは交換式。決戦用のPROLIGHT TECHLACEとは設計思想が異なる photo:So.Isobe


快適性に次ぐIMPERIALのテーマが実用性だ。徹底的に軽さを突き詰めたPROLIGHT TECHLACEのアウトソールには格子目が特徴のテキストリームカーボンが奢られているが、例えば落車時など不意の衝撃が加わった際にクラックが入るという事例がプロ選手などから寄せられていたという。

そこでIMPERIALではEMPIREシリーズなどで使用実績のあるイーストン社のEC90 SLXカーボンを使用することで、軽量性と耐久性を最適化。それでもテキストリームカーボンソールに比べて4〜5g程度の差だといい、重量自体も片側215gと十分軽量シューズの範疇に納められている。PROLIGHT TECHLACEと異なりヒールが交換式となったことも実用性に貢献する部分と言えるだろう。

ヒールカウンターには補強が入るが、窮屈すぎない適度なフィット感ヒールカウンターには補強が入るが、窮屈すぎない適度なフィット感 photo:So.Isobe
ラスト(足型)自体に変更は無いものの、リクター氏によればアッパー素材の薄さや伸び、カッティングによって従来よりもシューズ内のボリュームはやや増しているという。現在のところワイドフィットの展開は無いが、現地で足を入れてみたところ、甲高の筆者でも一切問題なし。PROLIGHT TECHLACEよりもずっと余裕があり、日本人のラストにフィットすると感じたのであった。

発表と同時に一般販売開始。60日間の品質保証も安心

ホワイト、ブラック、レッドと3カラー展開となるIMPERIALの国内価格は49,800円(税抜)で、シューレース版のEMPIRE SLXはホワイト、ブラック、ブルーの3カラー展開で44,800円(税抜)。本日6月4日の発表と同時に発売が開始され、東京港区のGIRO STUDIO TOKYOをはじめ下記全国6店舗で先行発売される。従来ジロでは60日間の品質保証プランを用意してきたが、もちろんこの新製品2種類にも適応される。

ジロ IMPERIAL スペック

ジロ IMPERIAL(Bright Red、White、Black)ジロ IMPERIAL(Bright Red、White、Black)
アッパーOne-piece SynchwireTM upper design with thermal-welded Teijin® TPU reinforcement
フィッティングシステムTwin Boa IP1 dials
アウトソールイーストン EC90TM SLX2
フットベッドSuperNatural Fit Kit with adjustable arch support
重量片側215g(サイズ42.5)
サイズ39-48(42.5〜45.5はハーフサイズあり)
カラーBlack、White、Bright Red
価格49,800円(税抜)

ジロ EMPIRE SLX スペック

ジロ EMPIRE SLX(Iceberg Blue、Crystal White、Carbon Black)ジロ EMPIRE SLX(Iceberg Blue、Crystal White、Carbon Black)
アッパーOne-piece SynchwireTM upper design with thermal-welded Teijin® TPU reinforcement
フィッティングシステムEmpire laces
アウトソールイーストン EC90TM SLX2
フットベッドSuperNatural Fit Kit with adjustable arch support
重量片側185g(サイズ42.5)
サイズ39-48(42.5〜45.5はハーフサイズあり)
カラーCarbon Black、Crystal White、Iceberg Blue
価格44,800円(税抜)

先行販売店舗情報(※最新情報はGIRO HPをご確認ください)

Giro Studio Tokyo東京都港区芝2-1-23ニューカナール升田ビル1F03-6809-3998https://www.girotokyo.com
TOKYO Wheels 東日本橋店東京都中央区東日本橋2-27-2日機会館ビル1F03-5820-0042https://www.tokyolife.co.jp/blog/twt/
TOKYO Wheels 三宿店東京都世田谷区三宿1-3-23クラールハイト三宿1F03-6706-4686https://www.tokyolife.co.jp/blog/twm/
SPORTS CYCLE SHOP Swacchi千葉県流山市南流山1-19-7 グランドルーシス10104-7158-3196https://www.swacchi.com/
カトーサイクル愛知県名古屋市南区駈上2-8-26052-811-3741 http://www.katocycle.com
Y's Road・大阪ウェア館大阪府大阪市中央区博労町2-4-1106-6265-5850http://ysroad.co.jp/osaka-wearkan/
シルベストサイクル 梅田店大阪府大阪市北区梅田2-5-25ハービスPLAZA B1F06-6344-3808http://www.silbest.co.jp
次回はトスカーナで開催されたテストライドの模様と、リクター氏へのインタビューを紹介。IMPERIALの足入れ感は「幅狭」という従来のジロシューズのイメージを覆すものだった。乞うご期待。

提供:ダイアテック text:So.Isobe