ジロのアジアンヘルメット特集では、ジロサポートチームの一つ「AVENTURA CYCLNG」を率いる管洋介さんによる手記を紹介します。AFモデルの印象や、各製品のインプレッション、そして、もし万が一の落車事故の時、ジロのヘルメットはどう機能するのか?選手だからこそ語れる言葉に注目してほしい。

ジロのサポートを得て走るAVENTURA CYCLING

立ち上げ当初からジロのヘルメットを使うAVENTURA CYCLING立ち上げ当初からジロのヘルメットを使うAVENTURA CYCLING (c)Yosuke.Suga
KIDSファーストエイドの授業の様子。ヘルメットの大切さはレクチャーにおける重要項目だKIDSファーストエイドの授業の様子。ヘルメットの大切さはレクチャーにおける重要項目だ (c)Yosuke.Sugaジロのヘルメットはキッズ生徒の絵にも登場した(秋谷コウスケ君作(当時小6))ジロのヘルメットはキッズ生徒の絵にも登場した(秋谷コウスケ君作(当時小6)) (c)Yosuke.Suga


設立3年目を迎えるAVENTURA CYCLINGは、初年度からジロのサポートチームとしてレース活動を行う傍らライディングテクニック、ファーストエイド、トレーニングレクチャー、イベントのアテンドなど様々な活動に従事出来るメンバーを揃えて活動してきました。

私、菅はAVENTURA CYCLNGの代表として、22年間ロード選手としてスペイン・アフリカ・アジア圏のロードレースを走って来た経験を生かし、メンバーとともにバイクコントロールの技術向上の指南役として、3年間で500名以上のサイクリストを指導。そこでは、ジロの快適性やデザインの素晴らしさの他、私自身の落車経験を踏まえてヘルメットの重要性、被り方、MIPS機能についても語ってきました。

ヘルメットも表情のひとつ。アジアンフィットは日本人の顔にマッチ

2層構造のシェルを持つAETHER MIPS AF。AVENTURA CYCLNGの主力モデルだ2層構造のシェルを持つAETHER MIPS AF。AVENTURA CYCLNGの主力モデルだ (c)Yosuke.Suga
個人的にGIROとの初めての出会いは、1998年頃に被ったVENTOUXでした。しっかりとしたボリュームを持ちながら流線型且つ大胆なベンチレーションでエアーを取り込む、開放的な被り心地が斬新でした。そして、そのフォルムは現在のAETHER/ SHYNSEに受け継がれている名作でもあります。こうした一貫性のある歴史的なデザインに最新鋭の技術でアップデートされた多くのモデルは、長年に渡り多くのユーザーにGIROが愛され続けて来た理由の一つ。ライディングの意欲をそそるアイテムとして、サイクリストの表情として今やヘルメットは大きな存在感を持つ様になりました。

2019年はそんなジロに大きな変化が起きました。AVENTURA CYCLNGは今年からAETHER MIPS AFとSYNTAX MIPS AFを使用していますが、アジアンフィット(以下AF)になってからの被り心地は、側頭部の圧迫感もなくなり、チームメンバー全員が希望のサイズでフィット感を得ることができたのです。というのも、AETHERやSYNTHEはワンサイズ小さくなると、ひと目に大きさの違いが分かる程、顔のラインにマッチしたコンパクトなシェイプになっています。比較的丸顔な日本人に対応したAFの登場はGIROを楽しみたいサイクリストにとって朗報といえるでしょう。以下は、選手目線で見た主力3製品のインプレッションです。

AETHER MIPS AF:驚くべき進化を遂げたヘルメット

AETHER MIPS AFを使用する筆者。完成度の高さが魅力だと感じるAETHER MIPS AFを使用する筆者。完成度の高さが魅力だと感じる (c)Yosuke.Suga
昨年末サイクルモードでAETHERに出会いました。フォルムはSYNTHEをベースに、ヘルメットを2層に重ねたMIPS Spherical Tecnology採用の斬新な構造。手応えのあるMIPSの動きに転倒時におけるその効果を明確に想像出来る上、1日に2度目の転倒をしても衝撃吸収効果を得る事が出来るという驚くべき進化を遂げたヘルメットです。この安全性の信頼もあり今季AVENTURA CYCLINGのメンバーはAETHERを被って活動をすることになりました。

AETHERを使用し、西日本ロードクラシックのユースカテゴリーを制した村山悠平選手AETHERを使用し、西日本ロードクラシックのユースカテゴリーを制した村山悠平選手 photo:Satoru Kato
現在JBCFユースツアーのリーダーを守る村山悠平選手現在JBCFユースツアーのリーダーを守る村山悠平選手 photo:Satoru KatoAETHERの気になる通気性はSYNTHE同様大型のエアベントで取り込まれる風が内部を通気し、髪がグッシャリと汗で濡れる事無く快適性を保ってくれます。また風のない登坂やトンネルなどでサングラスを外す場面ではアイウェアーをポートに差し込み良好な視界を確保してくれるのも特徴です。

2層構造にも関わらずコンパクトで軽量、そして安全。この完成度の高さがAETHERの魅力だと思います。


SYNTAX MIPS AF:安心感のある被り心地

SYNTAX MIPS AFは深い被り心地が特徴。安心感に繋がる部分だSYNTAX MIPS AFは深い被り心地が特徴。安心感に繋がる部分だ (c)Yosuke.Suga
AVENTURA CYCLINGではSYNTAXも使用しています。ココナッツの様な形状のAETHERやSYNSEに比べるとSYNTAXは細かなエアインテークを搭載した丸形のシルエット。サイドまで深く覆われたシェルはまさに「頭を守られている」というをフィーリングを得る事が出来ます。この感覚は実はとても重要で、必然的にリスクと向き合うロードレースではひとつの精神的な不安要素を解消してくれます。GIROの中堅グレードといった位置づけながらMIPSも採用され、ビギナーからシリアスレーサーまで唸らせるハイスペックなヘルメットです。

AEON AF:真夏でも涼しい通気性と軽量感

特に夏場のレースで活躍するAEON。東南アジアのレースでも使い勝手は良かった特に夏場のレースで活躍するAEON。東南アジアのレースでも使い勝手は良かった (c)Yosuke.Suga
AVENTURA CYCLINGが2018年度に使用したヘルメットがAEONです。SYNSEに比べ深めの被り心地と抜群の軽量感、真夏でも清涼感を得られる大胆なデザインのエアインテークは非常に戦闘的なシルエット。日本の蒸し暑い夏はもちろん、昨年12月に遠征したタイのツアーオブチェンライでも選手からヘルメットが熱いという声が上がる事はありませんでした。昨年はレースで2度の落車事例がありましたが軽量でありながらAEONはヘルメットとしての役割をしっかりと果たしてくれました。

落車事例(2018年5月鴨川クリテリウム E2) 矢野和也選手

レースやファーストエイド講習でも活躍する矢野和也選手レースやファーストエイド講習でも活躍する矢野和也選手 (c)Yosuke.Suga鴨川クリテリウムを走る矢野和也選手鴨川クリテリウムを走る矢野和也選手 (c)Yosuke.Suga高速でテクニカルなクリテリウム。レースは決定的なエスケープが無い状態で最終周回へもつれ込みました。広い道から狭いコースへ侵入する場面で、前方の選手と前に行きたい後方の選手が交錯し落車が発生。矢野選手は後からハンドルをすくわれ、時速45km程で地面に叩き付けられました。

矢野選手はAVENTURA CYCLINGのファーストエイド担当として活躍している現役消防士でもあります。以下矢野選手談。

― 「気づいたら倒れていた」。まさに鴨川クリテリウムでの落車はその表現が当てはまるものでした。管さんに頭部保持をされていることにより自由がきかない状態で何となく空を見上げた際、「落車したんだな」とすぐに認識しました。

さらに、左鎖骨を骨折していることが自分で分かるほど左腕をあげることが困難、かつ、左腕を上げようするたびに激痛が走るような状態でした。激痛を和らげるために鎮痛剤を服用したらしいのですが、服用したことすらすぐに忘れるほどの健忘症と思われる症状が出ていたようでした。

のちに健忘症もなくなり、落車した際に被っていたヘルメットのGIRO"AEON"を確認したところ、外側はへこみ、内側は割れていました。頭部へ相当な衝撃が加わったのだと推測されます。まさに医療現場で言う高リスク受傷機転(高エネルギー事故)に当てはまるものです。しかし、それほどの強い衝撃を受けたにも関わらず、私の頭部に目立った外傷がなかったこと、大して脳へのダメージがなかったという点ではヘルメットがしっかりと機能し、守ってくれたおかげだと思います。


筆者プロフィール:管洋介(AVENTURA CYCLING 代表監督)

管洋介(AVENTURA CYCLING 代表監督)管洋介(AVENTURA CYCLING 代表監督) (c)Yosuke.Suga競技歴23年のベテランロード選手。国内外で50ステージレースを経験。近年は長い経験を生かしてメディア出演も多く、自転車専門誌のレギュラーキャストとして、モデル、インプレッション、ライディングアドバイス、好評の連載を持つ。プロライディングアドバイザーとしてAVENTURA CYCLING イベント他、様々なコミュニティでのテクニカルコーチ務める。2017年よりAVENTURA CYCLING を立ち上げ、自転車界の明るい未来をリードしていく。日本スポーツ協会公認コーチ。

AVENTURA CYCLING HP


提供:ダイアテック text:Yosuke.Suga