「被りたくても、被れなかった」。そんな思いが過去のものとなる時がやってきた。ジロのハイエンドヘルメット「AETHER」と「SYNTHE」、そしてミドルグレードの「SYNTAX」に、待望のアジアンフィットモデルが追加されたのだ。

今回はそのインプレッションとリリースに至るまでの開発ストーリー、そしてMIPSの採用など安全性に対するこだわりを総力特集。選手やホビーユーザーの声、そして本社スタッフへのインタビューを含め、それら製品の使い勝手やブランドの魅力に迫っていきたい。

AETHER、SYNTHE、SYNTAXが待望のアジアンフィット化

ジロの人気モデル、AETHERとSYNTHE、SYNTAXが一挙アジアンフィット化を果たしたジロの人気モデル、AETHERとSYNTHE、SYNTAXが一挙アジアンフィット化を果たした photo:So.Isobe
「ジロのヘルメットは日本人には合わない」。今でもそんなイメージを持っている方は少なくないはずだ。その昔からジロのシェル型は欧米ブランドの中でも狭めで、大多数の日本ユーザーにはフィットしなかったのは一つの事実。思い返せばディスカバリーチャンネルに始まり、ラボバンクやBMCレーシングなど世界屈指のトップチームに愛用されてきた印象があるだけに、試着で涙を飲んだ方も少なくはないだろう。

トップモデルのAETHER MIPS AF。トップチームが使用中のオールラウンドモデルだトップモデルのAETHER MIPS AF。トップチームが使用中のオールラウンドモデルだ photo:So.Isobe
高いコストパフォーマンスを誇るSYNTAX MIPS AF高いコストパフォーマンスを誇るSYNTAX MIPS AF photo:So.Isobe根強い人気を誇るSYNTHE MIPS AF。多くのトップ選手が使用した実績を誇る根強い人気を誇るSYNTHE MIPS AF。多くのトップ選手が使用した実績を誇る photo:So.Isobe

そんなジロに変化が起こったのは5年前のこと。SAVANTを皮切りに、かつてのトッププロチームに使用されたAEONが、そしてエアロロードヘルメットのVANQUISHが次々とアジアンフィット化。そして今年は遂にハイエンドモデル「AETHER」と「SYNTHE」、そしてミドルグレードの「SYNTAX」がアジアンフィット対応となったことで隙のないアジアンフィットのラインナップが完成したのだ。2019年は日本国内のジロファンにとって大きな変革の年と言えるだろう。

本社スタッフに聞く、アジアンフィットを拡充させたワケ

ジロのグローバルマーケティングとして活躍するエリック・リクター氏に話を聞いたジロのグローバルマーケティングとして活躍するエリック・リクター氏に話を聞いた photo:So.Isobe
筆者はジロのアジアンフィットモデルについて、同社でグローバルマーケティングを務めるエリック・リクター氏に話を聞く機会を得た。今アジアンフィットを拡充させた理由や、グローバルフィットとは実際に何が違うのか、そしていかにして研究開発したのかを聞いてみた。

― 長い間グローバルフィットしかなかったジロが、今アジアンフィットに力を入れている理由は?

やはりグローバル的には無視できないものでしたから。ただし取り掛かりたくてもノウハウがなく、データを収集するのにだいぶ時間を費やしました。ジロがアジアンフィットのヘルメットをリリースしたのは5年ほど前からで、それ以前の2年ほどはデータを収集し、多方面から検証しています。最初の製品としてはスキー用のヘルメットでしたね。

― アジアンフィットとグローバルフィットの違いは?

アジアンフィットというと単に横幅が広いことだけが注目されがちですが、実際は鉢回りはもちろん、頭頂から耳までの遠さ、鼻までの遠さなど、様々な要素が3D的に絡み合っているんです。現在のところアジアンフィットの反応は上々ですが、ジロとしてはまだ経験値が浅いため、これからもデータの収集と分析を重ねていかなければなりません。これはアジアンフィットに限った話ではなく、グローバルとしても数年に一度は形状のデータ分析を行っているのです。

左がグローバルフィット、右がアジアンフィット(共にMサイズ)。その差はごくわずかだ左がグローバルフィット、右がアジアンフィット(共にMサイズ)。その差はごくわずかだ photo:So.Isobe最も異なるのが内側シェルの形状。アジアンフィット(右)の横幅が広いことに気づく最も異なるのが内側シェルの形状。アジアンフィット(右)の横幅が広いことに気づく photo:So.Isobe

AETHER MIPS(Mサイズ)を被り比べた。アジアンフィットモデル(写真)でもルックス的に全く違和感はないAETHER MIPS(Mサイズ)を被り比べた。アジアンフィットモデル(写真)でもルックス的に全く違和感はない photo:Gakuto.Fujiwaraこちらはグローバルフィット(筆者私物)。こちらはグローバルフィット(筆者私物)。 photo:Gakuto.Fujiwara

例えば同じアジアンフィットでも、製品によって被り心地が異なる場合がありますが、これはアウターシェルのデザインによってパッド形状も違えば、クロージャーもMIPSも形状が異なってくるため。ヘルメットの様々なパーツによってフィットが変わるといって過言ではありません。

ヘルメットブランドとして最も重要なことは、安全性の追求です。それが二重シェル構造のAETHER MIPSを作った理由ですし、ジロはヘルメットの全ラインナップをMIPS化した最初のブランドであることからも理解して頂けるはずです。

― トップモデル各種がアジアンフィット化したことは大きいですね。

「SYNTAX MIPSは軽く、トップモデルに見劣りしない形状を与えました」「SYNTAX MIPSは軽く、トップモデルに見劣りしない形状を与えました」 photo:So.Isobeええ。そしてそれだけでなく、ミドルグレードのSYNTAX MIPSがアジアンフィットになったことも非常に大きなことだと考えています。ルックス的にはもっと高級なヘルメットに見えますし、重量も重くない。ビギナーにとって素晴らしい選択になると自負しています。

今まで我々のヘルメットを諦めていた方も、ぜひ一度試着をしてみて下さい。今までとは違うジロを体感できるはずです。

GIRO STUDIO TOKYO店長が語る、売り場のリアル

GIRO STUDIO TOKYOのストアマネージャー、内田雅樹さんにアジアンフィットに対する反応を聞いたGIRO STUDIO TOKYOのストアマネージャー、内田雅樹さんにアジアンフィットに対する反応を聞いた photo:So.Isobe
これまで紹介したようにジロのアジアンフィットヘルメットが拡充されたわけだが、実際のところ、アジアンフィットを求める声や、一般ユーザーの反応はどのようなものなのだろう? それを聞き求めるべく取材班は東京都港区、東京タワー至近にある世界初のジロ専門ストア「GIRO STUDIO TOKYO」を訪問。ストアマネージャーの内田雅樹さんに、これまでの実情や、売り場での本音を聞いてみた。

― 今日はよろしくお願いします。もう売り場のヘルメットのほとんどがアジアンフィットモデルに刷新されていますね。ジロのアジアンフィットの特徴とはどのようなものなのでしょう?

「お客様の反応はすごく良いです。"あれっ、これ被れますよ!"って。とても嬉しいです」「お客様の反応はすごく良いです。"あれっ、これ被れますよ!"って。とても嬉しいです」 photo:So.Isobe「ジロのデザインに憧れる方はすごく多い。アジアンフィットならば自信を持って皆さんにお勧めできます」「ジロのデザインに憧れる方はすごく多い。アジアンフィットならば自信を持って皆さんにお勧めできます」 photo:So.Isobeジロのアジアンフィットモデルの特徴は、幅広頭に対応しつつ、見た目がほとんど変わってないこと。これは良いポイントですよ。特にジロは安全はもちろんルックスにもこだわるブランドですから、その辺りは重視されたんでしょう。せっかく被るんだから、スマートに、カッコよく乗りたいですからね。

実際の日本人のユーザーで、欧米フィットのヘルメットが合う方って、私の体感的におよそ1割、せいぜい2割くらいしかいないんです。特にAETHER MIPSは2重シェル構造になっているので、インナーシェルはSYNTHEよりもずっとタイト。前側には余裕を持たせたシェルなんですが、側面がきついのでどうしても日本人には厳しくなってしまったんですね。

SYNTHEと同じつもりで試着にいらっしゃっても「あれ?これ被れないや...」という声が多く、売り手として申し訳なかったわけです。デザインが良いのに被れない方が多くて、アジアンフィットへの要望は非常に高かったですね。

― そして遂にアジアンフィットが発売されました。GIRO STUDIO TOKYOを訪れる方の反応はいかがですか?

「そうは言ってもジロだから被れないでしょ?」という声が多かったのですが、実際に見て触って被ったお客さんは皆驚くわけです。「あれ!?被れるじゃん!」、「これMサイズだよ!?僕今までジロのMなんて被れた試しがないよ」って。

そういう反応をそれこそ無数に見てきたので、すごく嬉しかったですね。今まで何とかLサイズを被っていた方が、何のストレスもなくアジアンフィットのMサイズを被れるようになった。これはユーザーにとって素晴らしいことですよ。特にSYNTHEなんてコンパクトなデザインのままですから、よりスマートな出で立ちを実現できるようになったんです。

「SYNTAXは深い被り心地が特徴です。守られている感覚が強くて安心できますね」「SYNTAXは深い被り心地が特徴です。守られている感覚が強くて安心できますね」 photo:So.Isobe
― 人気はどのモデルですか?やはり新作のAETHER?

アジアンフィット化してからの売れ線は断然SYNTHEですね。アーティストとコラボした限定モデルも多くて、国内外価格差もほとんどなくて、特にホワイトとブラックの売れ行きは入荷が追いつかない程なんです。AETHERはまだ見慣れない方が多いこともあってか2番人気、といったところでしょうか。

― ミドルグレードのSYNTAXがアジアンフィット化したことについては?

SYNTAXの他ともっとも異なる点は被り心地なんですよ。SYNTHEやAETHERとも違って、かなり深めにすっぽりと頭を覆ってくれるので安心感があるし。ほぼAETHERの半値ですし、デザインだって2つのトップモデルの特徴を合わせたもので見劣りしません。これから自転車を始める方にとってはすごく良い選択肢だと思いますよ。GIRO STUDIO TOKYOではほぼ全製品を在庫していますので、新しくなったアジアンフィットモデルを是非試しにいらっしゃって頂きたいですね。

GIRO STUDIO TOKYO紹介

GIRO STUDIO TOKYOと、内田マネージャーGIRO STUDIO TOKYOと、内田マネージャー 東京都港区、東京タワーからすぐの場所にある世界初のジロオフィシャルストア。ヘルメットやシューズのフィッティングにうってつけであるだけでなく、店内ディスプレイやインハウスイベントを通してジロの世界観を伝える唯一無二の存在。内田店長の親切な接客も評判だ。

住所:東京都港区芝2丁目1-23 ニューカナール升田ビル 1F
電話:03-6809-3998
営業時間:11:00~19:00
定休日:火曜、水曜
店舗オフィシャルサイト
店舗オンラインストア




アジアンフィットモデル一覧、スペック・カラー一覧

AETHER MIPS AF

ジロ AETHER MIPS AFジロ AETHER MIPS AF (c)ダイアテック
サイズS、M、L
重量270g(Mサイズ)
カラーMatte Black
Mmatte-Red-Dark-red
Matte-White-Silver
Matte-Mmidnight-Blue
Black-flash
価格37,000円(税抜)

SYNTHE MIPS AF

ジロ SYNTHE MIPS AFジロ SYNTHE MIPS AF (c)ダイアテック
サイズS、M、L
重量250g(Mサイズ)
カラーMatte-Dusty-Purple-Heatwave
Matte-Olive-Citron
Matte-Citron-White
Matte-Black
Matte-White-Silver
価格27,500円(税抜)



VANQUISH MIPS AF

ジロ VANQUISH MIPS AFジロ VANQUISH MIPS AF (c)ダイアテック
サイズS、M、L
重量305g(シールド無し)
355g(シールドあり)
カラーMatte Black、Matte Dazzle
Red / Black、Matte White
Matte-Citron-White
Matte-Midnight Blue
Matte Grey Firechrome
価格36,000円(税抜)

AEON AF

ジロ AEONジロ AEON (c)ダイアテック
サイズS、M、L
重量211g(Mサイズ)
カラーMatte Frost / Charcoal
Matte Black
Matte Black / Bright Red
Matte White / Silver
Mat Flame / Vermillion Fade
Matte Titanium Fade
価格18,500円(税抜)



SYNTAX MIPS AF

ジロ SYNTAX MIPS AFジロ SYNTAX MIPS AF (c)ダイアテック
サイズS、M、L
重量290g(Mサイズ)
カラーMatte Black、Matte White
Midnight-Blue
Citron White
BLACK / BRIGHT RED
価格14,600円(税抜)

SAVANT AF

ジロ SAVANT AFジロ SAVANT AF (c)ダイアテック
サイズS、M、L
重量226g(Mサイズ)
カラーMatte Black /White
Matte White / Black
Matte Titanium /White
Highlight Yellow
価格9,600円(税抜)




Vol.2では、ジロサポートチームの一つ「AVENTURA CYCLNG」を率いる管洋介さんによる手記で、各ヘルメットの印象や、選手の落車体験を通して"もしもの時"にどうヘルメットが機能するのかを紹介します。
提供:ダイアテック text:So.Isobe