スラムが放つRED eTAP AXSの特集記事最終回は、プレゼンテーション会場で開発者に聞いたインタビューを紹介。ロードコンポーネントの常識を打ち破るX-RANGEはいかにして生まれたのか、そしてメリットとは?プロダクトリーダーだからこそ話せる、開発ストーリーを聞いた。
チーフシステムエンジニアのアンソニー・メデリア氏(左)と、ロードプロダクトマネージャーのJP・マッカーシー氏に話を聞いた photo:So.Isobe
「X-RANGEギア誕生の最大の理由は、フロント変速をよりスムーズにするため」 photo:So.Isobe従来から存在する52/36や50/34、そしてグラベル用として近年出現した48/32Tや46/30は、いわゆる「成功したギア」です。市場に存在する90%以上のバイクがこれらのギアを搭載していますが、我々は大きな問題を感じていました。
それは、インナーとアウターギア間に16Tもの大きな落差があること。これがX-RANGE ギアリングを生み出した最大の理由です。
16Tという落差は、正直に言ってあまりにも大きく、スムーズな変速を妨げてしまうし、第一に使っていて気持ちよくない。しかし落差を小さくしようとすると、インナーリングが巨大化してホビーユーザーには乗れません。そこで我々は、リア10Tを採用することで解決しました。我々の新しい50/37、48/35、そして46/33の落差は全て13T。先述したギアから落差を20%抑えた計算ですが、これはそのまま変速性能の向上に繋がります。もうトラディショナルなギアは過去のものとなるわけです。
そして、12速化によってカセット単体でもワイドレンジをカバーするようになりました。例えば、目の前の坂を登り切る時、今までだったら仕方なくフロント変速をするような状況で、新型REDならフロント変速無しで対応できるようになったわけです。これは大きなアドバンテージだと思いませんか?特にレースの勝負所のような、ほんの少しの変速ロスもしたくない状況でのメリットは計り知れません。
また、トップ側を10Tに設定したことも大きなポイントです。例えば最もワイドな10-33Tカセットは従来の11-36Tに対応しますが、11-36Tはあまりにもワイドで、重量増やコスト増、そしてロングケージのリアディレイラーを使わなければならないといったデメリットが存在します。しかしX-RANGEならそういった問題を解消しつつ、よりワイドなギアレシオを提供できます。今回は常識に捉われることなく、全く白紙の状態から開発したため、色々な制約がなかった。それだけに開発チームの中で意欲的なアイディアを議論できたことが良かったと思いますね。
フロント変速性能の向上と、カセットのカバー範囲の広さ。そしてクロスレシオ化を遂げたトップ〜ミドルギア。合理的に進化を果たしたX-RANGEは、我々の自信作と言えるものです。
先代REDには変速スピードが遅く感じるという意見が寄せられていたため、改善点の一つとして取り組みました。チェーン位置によって変速スピードが変わるため一概には言えませんが、シフトボタンとの通信改善によってリア側はおおよそ0.05秒の変速向上を果たしています。
「一般的なギアと比べてフロントギアの落差を20%減少。これがスムーズな変速に貢献している」 (c)SRAM
「変速系統を全て同時開発したことが性能向上の鍵でした」 (c)SRAM
限られたスケジュールを縫って各メディアの質問時間が設けられた (c)SRAM
フロント側は変速スピードではなく、重点を置いたのは変速時のスムーズさと信頼性。リア側と同じく通信速度の向上はもちろん、アウターとインナーの落差が小さくなったことに加え、変速ポイントの改善など様々な工夫を凝らしているので、結果的に変速スピードの向上を感じてもらえたと思います。
例えば従来の48/32Tや46/30など近年登場したチェーンリングは、我々からするとディレイラーとの相性が考えられていません。しかしRED eTAP AXSは全ての変速系統を同時開発しているため、各ギアのマッチングは過去にないレベルでスムーズ。グラベルやシクロクロス、グランフォンドなどユーザーの楽しみ方が多様化する現在にこそマッチする、本当のロードコンポーネントだと自負しています。
― 3Tはトップ9Tカセットを使っていますが、スラムとしてはどう見ていますか?
非常にユニークで、既存概念に捉われない姿勢は素晴らしいですね。ただしスラムとしては、9Tまで小さくするとチェーンラップ(チェーンの掛かっている範囲)が小さくなり、駆動効率の低下やオフロードでの歯飛びなど様々な懸念が生まれるため採用しませんでした。我々は既にMTBカテゴリーで10Tの実績がありますし、性能的にもシステム的にも信頼性は十分だと自負しています。
2日間のライドにも同行したマッカーシー氏。健脚の持ち主であった (c)SRAMこれもギアによってバラつきが生じるのですが、従来の52/36T+11-28Tと新型の48/35T+10-28Tを計測器上で比較したところ、新型は各コグで最大0.2%弱の駆動抵抗低減。主に偶力の差があるためトップギアは11Tの方が効率的ですが、その差はごく僅かであり、ワイドかつクロスレシオの歯数構成やスムーズな変速など様々なメリットを考えれば問題にはなりません。
― リアディレイラーにナローワイドプーリーが搭載されましたが、その意味は?
チェーンマネジメントの一環です。ナローワイド形状が歯飛びを防ぎ、堅牢なチェーンラインを構成することでラフロードでのシフト性能を維持させる目的があります。MTBでは長年に渡って採用していますし、FORCE 1でも上下プーリーをナローワイド化させています。ただしシクロクロスからのフィードバックによって、ガイドプーリーはナローワイド形状でなくともあまり影響が無いという結果が導き出されました。ナローワイド化は確実なチェーンキャッチの反面若干の抵抗を生むため、今回はテンションプーリーのみナローワイドを採用しています。
アフターマーケットではビッグプーリーが流行していますが、我々の公式回答としては「オススメしません」。確かにフリクション低減は可能ですが、プーリーが巨大化することでカセットへのチェーンラップが犠牲(=歯飛びの可能性)になったり、そもそも重量増や、動作不良が起こったりとデメリットは否めません。シフト操作のテクニックがあり、更にリスクを承知で使うプロ選手向けの「マージナルゲイン」と言えるでしょう。
― それら機能面の進化はもちろん、シフト操作の高級感が増していますね。プレゼンテーションでは語られなかったことですが。
それは良かった。とある女性スタッフが担当したのですが、これはある意味最も難しい課題だったと言えます。確かに先代REDのシフトは安っぽさがありましたが、これは感覚の問題なので何をもって良しとするかが難しいわけです。長期間使用でヘタるようなボタンではいけませんし、それこそ何万回とボタンを押す実験を繰り返しました。今回のメディア陣は誰もその部分を評価してくれなかったので良いフィードバックとなりますね。
「RED eTAP AXSは一般ユーザーのためを思って作り上げた自信作。全く新しい体験をしてもらえるはずです」 (c)SRAM
まずはスラム製品を愛用してくれる日本のユーザーに感謝を。そして、新しいRED eTAP AXSを使い、楽しんで下さいということですね。RED eTAP AXSは一般ユーザーのためを思って作り上げた自信作です。従来のコンポーネントとは全く違う、全く新しい体験ができると思います。
シマノしかりカンパニョーロしかり、もう電動変速にメリットがあることは疑いの余地すらありません。コンマ数秒を争うレーサーはもちろんですが、ホビーユーザーにも大きなメリットがあります。そして、新型REDはX-RANGEを採用したことでコンポーネントの新たな境地を開くものとなりました。難しく考えるよりも、まずは一度乗ってみてほしい。「百聞は一見にしかず」です。
そろそろ「シクロワイアード」を、「シクロワイヤレス」に改名するタイミングだと思いますよ(笑)。
開発のキーマンに聞く、SRAM RED eTAP AXSのこと
メディアプレゼンテーションに参加した我々メディア一同を迎えてくれたのは、多数集結したスラムのロード・MTBカテゴリーの開発主要メンバーたち。筆者はロードプロダクトマネージャーのJP・マッカーシー氏と、チーフシステムエンジニアのアンソニー・メデリア氏に話を聞くことができた。RED eTAP AXSについて聞いた、そのインタビューの模様をお伝えしたい。
「課題はチェーンリングの歯数差を減らすこと」
― 今回2日間試乗して、あらゆる場面で進化したRED eTAP AXSには驚かされました。そもそも、なぜ既存のギア構成を覆すX-RANGEの開発に至ったのでしょうか?
それは、インナーとアウターギア間に16Tもの大きな落差があること。これがX-RANGE ギアリングを生み出した最大の理由です。
16Tという落差は、正直に言ってあまりにも大きく、スムーズな変速を妨げてしまうし、第一に使っていて気持ちよくない。しかし落差を小さくしようとすると、インナーリングが巨大化してホビーユーザーには乗れません。そこで我々は、リア10Tを採用することで解決しました。我々の新しい50/37、48/35、そして46/33の落差は全て13T。先述したギアから落差を20%抑えた計算ですが、これはそのまま変速性能の向上に繋がります。もうトラディショナルなギアは過去のものとなるわけです。
そして、12速化によってカセット単体でもワイドレンジをカバーするようになりました。例えば、目の前の坂を登り切る時、今までだったら仕方なくフロント変速をするような状況で、新型REDならフロント変速無しで対応できるようになったわけです。これは大きなアドバンテージだと思いませんか?特にレースの勝負所のような、ほんの少しの変速ロスもしたくない状況でのメリットは計り知れません。
また、トップ側を10Tに設定したことも大きなポイントです。例えば最もワイドな10-33Tカセットは従来の11-36Tに対応しますが、11-36Tはあまりにもワイドで、重量増やコスト増、そしてロングケージのリアディレイラーを使わなければならないといったデメリットが存在します。しかしX-RANGEならそういった問題を解消しつつ、よりワイドなギアレシオを提供できます。今回は常識に捉われることなく、全く白紙の状態から開発したため、色々な制約がなかった。それだけに開発チームの中で意欲的なアイディアを議論できたことが良かったと思いますね。
フロント変速性能の向上と、カセットのカバー範囲の広さ。そしてクロスレシオ化を遂げたトップ〜ミドルギア。合理的に進化を果たしたX-RANGEは、我々の自信作と言えるものです。
「各パーツのマッチングが性能改善の鍵」
― 変速スピードの向上を感じましたが、その差はどの程度なのでしょうか。特にフロント側の進化は明確ですね。先代REDには変速スピードが遅く感じるという意見が寄せられていたため、改善点の一つとして取り組みました。チェーン位置によって変速スピードが変わるため一概には言えませんが、シフトボタンとの通信改善によってリア側はおおよそ0.05秒の変速向上を果たしています。



フロント側は変速スピードではなく、重点を置いたのは変速時のスムーズさと信頼性。リア側と同じく通信速度の向上はもちろん、アウターとインナーの落差が小さくなったことに加え、変速ポイントの改善など様々な工夫を凝らしているので、結果的に変速スピードの向上を感じてもらえたと思います。
例えば従来の48/32Tや46/30など近年登場したチェーンリングは、我々からするとディレイラーとの相性が考えられていません。しかしRED eTAP AXSは全ての変速系統を同時開発しているため、各ギアのマッチングは過去にないレベルでスムーズ。グラベルやシクロクロス、グランフォンドなどユーザーの楽しみ方が多様化する現在にこそマッチする、本当のロードコンポーネントだと自負しています。
― 3Tはトップ9Tカセットを使っていますが、スラムとしてはどう見ていますか?
非常にユニークで、既存概念に捉われない姿勢は素晴らしいですね。ただしスラムとしては、9Tまで小さくするとチェーンラップ(チェーンの掛かっている範囲)が小さくなり、駆動効率の低下やオフロードでの歯飛びなど様々な懸念が生まれるため採用しませんでした。我々は既にMTBカテゴリーで10Tの実績がありますし、性能的にもシステム的にも信頼性は十分だと自負しています。
「最大0.2%弱の駆動抵抗低減」
― 具体的な駆動抵抗低減の数値は教えてもらえますか?
― リアディレイラーにナローワイドプーリーが搭載されましたが、その意味は?
チェーンマネジメントの一環です。ナローワイド形状が歯飛びを防ぎ、堅牢なチェーンラインを構成することでラフロードでのシフト性能を維持させる目的があります。MTBでは長年に渡って採用していますし、FORCE 1でも上下プーリーをナローワイド化させています。ただしシクロクロスからのフィードバックによって、ガイドプーリーはナローワイド形状でなくともあまり影響が無いという結果が導き出されました。ナローワイド化は確実なチェーンキャッチの反面若干の抵抗を生むため、今回はテンションプーリーのみナローワイドを採用しています。
アフターマーケットではビッグプーリーが流行していますが、我々の公式回答としては「オススメしません」。確かにフリクション低減は可能ですが、プーリーが巨大化することでカセットへのチェーンラップが犠牲(=歯飛びの可能性)になったり、そもそも重量増や、動作不良が起こったりとデメリットは否めません。シフト操作のテクニックがあり、更にリスクを承知で使うプロ選手向けの「マージナルゲイン」と言えるでしょう。
― それら機能面の進化はもちろん、シフト操作の高級感が増していますね。プレゼンテーションでは語られなかったことですが。
それは良かった。とある女性スタッフが担当したのですが、これはある意味最も難しい課題だったと言えます。確かに先代REDのシフトは安っぽさがありましたが、これは感覚の問題なので何をもって良しとするかが難しいわけです。長期間使用でヘタるようなボタンではいけませんし、それこそ何万回とボタンを押す実験を繰り返しました。今回のメディア陣は誰もその部分を評価してくれなかったので良いフィードバックとなりますね。
「一般ユーザーを思って作り上げた自信作です」
― ありがとうございました。最後に日本のスラムユーザー、そしてこれからユーザーとなるサイクリストにメッセージをお願いします。
まずはスラム製品を愛用してくれる日本のユーザーに感謝を。そして、新しいRED eTAP AXSを使い、楽しんで下さいということですね。RED eTAP AXSは一般ユーザーのためを思って作り上げた自信作です。従来のコンポーネントとは全く違う、全く新しい体験ができると思います。
シマノしかりカンパニョーロしかり、もう電動変速にメリットがあることは疑いの余地すらありません。コンマ数秒を争うレーサーはもちろんですが、ホビーユーザーにも大きなメリットがあります。そして、新型REDはX-RANGEを採用したことでコンポーネントの新たな境地を開くものとなりました。難しく考えるよりも、まずは一度乗ってみてほしい。「百聞は一見にしかず」です。
そろそろ「シクロワイアード」を、「シクロワイヤレス」に改名するタイミングだと思いますよ(笑)。
フォトギャラリー
ディスクローターは6ボルト。センターロック版も用意され、本体形状も変更されている(c)SRAM
REDをメインに、EAGLEのリアディレイラーとカセットを投入したグラベルロード。互換性がもたらす広がりは大きい(c)SRAM
フロントシングルとロー50T。スラムが考える究極のファンバイクだ(c)SRAM
HRDシフト/ブレーキシステムの構造は従来品を踏襲する。肌と触れる部分を中心に改良が施された(c)SRAM
12速化とトップ10T、従来よりも小さなチェーンリングを組み合わせた「X-RANGE ギアリング」(c)SRAM
リアディレイラーは内部に油圧ダンパーを取り入れるなど大幅に進化した(詳細は次章にて)(c)SRAM
プレゼン会場に用意された新型RED搭載の試乗車。全世界が注目するコンポーネントが姿を現した(c)SRAM
ホテルから離れた駐車場がメイン会場。数十台の試乗車が用意されていた(c)SRAM
岩山とサボテンが無限に続く、アリゾナ州ツーソンの景色(c)SRAM
プレゼンテーションを受けるロードバイク班のメンバー(c)SRAM
TT/トライアスロン用のフロントシングルエアロチェーンリング。1x用リングは合計8種類用意される(c)SRAM
初披露されたRED eTAP AXS。革新をもたらす新時代のロードコンポーネントだphoto:So.Isobe
チェーンリングはダイレクトマウント化に伴いデザインを一新。2xの場合50/37、48/35、46/33の3種類が用意されるphoto:So.Isobe
カセットはXDよりも1.8mm広いXDRフリーボディの採用で12速化、そしてトップ10T化を果たしたphoto:So.Isobe
「高速化するプロレース、多様化するホビーユーザーの走り方をカバーするギアがX-RANGE」 (c)SRAM
シクロクロスバイクに取り付けられた38Tチェーンリングphoto:So.Isobe
ロードのシフトスイッチでロックショックスの新型ワイヤレス電動ドロッパーポスト「Reverb AXS」を操作可能にphoto:So.Isobe
シフトモード選択や各ボタンの役割設定、バッテリー残量のチェックなどがワイヤレスで操作可能 (c)SRAM
シフトモードは2種類。新たにフロント変速を自動で行う「シーケンシャル」モードが追加された (c)SRAM
スマートフォンのアプリを介してコンポーネントの各種設定が可能。これがAXS(アクセス)たる所以だ (c)SRAM
最大4箇所設置可能な変速ボタン、BLIPSも継続。TT用も用意され、そのメリットは計り知れない (c)SRAM
新機軸を多数盛り込んで生まれたX-RANGE ギアリングphoto:Makoto.AYANO
従来の歯数構成に対するX-RANGE ギアリングの構成例(c)SRAM
従来ギアに比べワイドレンジ化を達成していることが分かる。12速化がもたらす恩恵は大きい(c)SRAM
トップ〜ミドル域のクロスレシオ化も達成し、変速性能の向上やより細やかなケイデンス調整が可能に(c)SRAM
チェーンリングセットは3種類。写真の48/35は一般ライダー向けだphoto:Makoto.AYANO
スプロケットは3種類に集約。削り出しによる一体構造(X-Dome)を引き継いでいるphoto:Makoto.AYANO
変速ポイントを工夫し、徹底的な変速性能向上が行われているphoto:So.Isobe
最もワイドレシオな10-33Tであってもトップ側5枚は1T刻みだphoto:Makoto.AYANO
1xの50Tと48TはTT/トライアスロン用のエアロタイプ(c)SRAM
前シクロクロス世界王者ワウト・ファンアールト(ベルギー)のバイク。1xの46Tを使うphoto:Nobuhiko.Tanabe
トップ10Tを実現するXDRドライバー。対応ホイールも市場に数多く存在する(c)SRAM
外周部が平らな特殊形状を採用したフラットトップチェーンphoto:Makoto.AYANO
もちろん専用ミッシングリンクも用意されているphoto:Makoto.AYANO
特殊形状によってチェーンの強度と耐久性を補う。駆動音の低減も同時に叶えたphoto:Makoto.AYANO
リアディレイラーは変速系統を司る。ファンクションボタンでスマートフォンとのペアリングが可能だphoto:So.Isobe
ディレイラー内部に油圧ダンパーを搭載。従来以上に緻密かつスムーズなチェーン制御が可能に(c)SRAM
モーションコントロールシステム「Orbit(オービット)」を搭載したリアディレイラーphoto:Makoto.AYANO
テンションプーリーはナローワイド形状で確実にチェーンを捉えるphoto:Makoto.AYANO
クランクセットにはダイレクトマウントや新規格BBなど多数のアップデートが加えられた(c)SRAM
パワーメーター「DZero」。クランクと同時開発することで大幅な軽量化と計測精度の向上を果たしたphoto:So.Isobe
DZeroのバッテリーはCR2032を採用photo:So.Isobe
BBは7種類が用意される。アダプターと組み合わせることで対応BBの種類も広がる(c)SRAM
世界選手権を走ったマリアンヌ・フォス(オランダ)のバイク。未舗装路での信頼性は大幅に向上しているphoto:Nobuhiko.Tanabe
スラムが提唱するDUB(ダブ)BB。1種類のクランクをほとんどのBB規格に対応させることができるphoto:Makoto.AYANO
ブラケット部分の形状は変わらず、滑り止めのパターンがアップデートされたphoto:Makoto.AYANO
シフトボタンは滑り止め加工が施された。画像で見るよりも実際の効果は大きいphoto:Makoto.AYANO
デビューと同時に発売が開始されるRED eTAP AXS。手元に届くのも間も無くだ(c)SRAM
筆者と、RED eTAP AXSを組み込んだスペシャライズドのS-WORKS TARMAC DISC(c)SRAM
緩やかなアップダウンが続くツーソン郊外。乾いた空気と暖かな気温が嬉しい(c)SRAM
小休止中にアプリを使い、異なるシフトモードを試した(c)SRAM
軽やかなチェーン駆動と変速性能。RED eTAP AXSは見た目と同じく性能面でも大きく進化を見た(c)SRAM
トップ〜ミドル域のクロスレシオは緩やかな勾配変化で大きな味方となってくれる(c)SRAM
岩山に巨大なサボテンが立ち並ぶ。地名や食文化などにもラテン文化が色濃くにじむ土地だ(c)SRAM
局所的に15%以上を刻んだ本格的な登り。ギアのワイドレシオが効く場面だ(c)SRAM
テストライドにはスラムのオフィシャルサポートカーが随行してくれた(c)SRAM
ラフな操作でも、全く変速性能に鈍りは見られない(c)SRAM
乾いた砂が覆う、スリッピーなグラベル登り。ワイドなギア設定がありがたく感じる(c)SRAM
グラベルライドに供されたのはジャイアントのDEFY ADVANCEDphoto:So.Isobe
チェーンリングは最小サイズの46/33。ギア板が小さく見えないデザインも良いphoto:So.Isobe
カセットはロードバイクと同じく10-33だった。この組み合わせでギア比1.0のローギアードを達成するphoto:So.Isobe
広大なフラットグラベルが数10kmにも続く区間。しかし路面にはキャタピラの跡が刻まれ、洗濯板のような過酷な振動を受けた(c)SRAM
カセットはワイドレシオの10-33photo:So.Isobe
革新性と高性能、そして上質な操作感を融合したRED eTAP AXS。魅力溢れるロードコンポーネントだった (c)SRAM
2日間のライドにも同行したマッカーシー氏。健脚の持ち主であった(c)SRAM
3Tのグラベルロードを駆る開発スタッフの一人。スラムのメンバーは全員熱心なサイクリストだ(c)SRAM
限られたスケジュールを縫って各メディアの質問時間が設けられた(c)SRAM
「一般的なギアと比べてフロントギアの落差を20%減少。これがスムーズな変速に貢献している」(c)SRAM
「変速系統を全て同時開発したことが性能向上の鍵でした」(c)SRAM
「X-RANGEギア誕生の最大の理由は、フロント変速をよりスムーズにするため」photo:So.Isobe
チーフシステムエンジニアのアンソニー・メデリア氏(左)と、ロードプロダクトマネージャーのJP・マッカーシー氏に話を聞いたphoto:So.Isobe
「RED eTAP AXSは一般ユーザーのためを思って作り上げた自信作。全く新しい体験をしてもらえるはずです」(c)SRAM

ディスクローターは6ボルト。センターロック版も用意され、本体形状も変更されている

REDをメインに、EAGLEのリアディレイラーとカセットを投入したグラベルロード。互換性がもたらす広がりは大きい

フロントシングルとロー50T。スラムが考える究極のファンバイクだ

HRDシフト/ブレーキシステムの構造は従来品を踏襲する。肌と触れる部分を中心に改良が施された

12速化とトップ10T、従来よりも小さなチェーンリングを組み合わせた「X-RANGE ギアリング」

リアディレイラーは内部に油圧ダンパーを取り入れるなど大幅に進化した(詳細は次章にて)

プレゼン会場に用意された新型RED搭載の試乗車。全世界が注目するコンポーネントが姿を現した

ホテルから離れた駐車場がメイン会場。数十台の試乗車が用意されていた

岩山とサボテンが無限に続く、アリゾナ州ツーソンの景色

プレゼンテーションを受けるロードバイク班のメンバー

TT/トライアスロン用のフロントシングルエアロチェーンリング。1x用リングは合計8種類用意される

初披露されたRED eTAP AXS。革新をもたらす新時代のロードコンポーネントだ

チェーンリングはダイレクトマウント化に伴いデザインを一新。2xの場合50/37、48/35、46/33の3種類が用意される

カセットはXDよりも1.8mm広いXDRフリーボディの採用で12速化、そしてトップ10T化を果たした

「高速化するプロレース、多様化するホビーユーザーの走り方をカバーするギアがX-RANGE」

シクロクロスバイクに取り付けられた38Tチェーンリング

ロードのシフトスイッチでロックショックスの新型ワイヤレス電動ドロッパーポスト「Reverb AXS」を操作可能に

シフトモード選択や各ボタンの役割設定、バッテリー残量のチェックなどがワイヤレスで操作可能

シフトモードは2種類。新たにフロント変速を自動で行う「シーケンシャル」モードが追加された

スマートフォンのアプリを介してコンポーネントの各種設定が可能。これがAXS(アクセス)たる所以だ

最大4箇所設置可能な変速ボタン、BLIPSも継続。TT用も用意され、そのメリットは計り知れない

新機軸を多数盛り込んで生まれたX-RANGE ギアリング

従来の歯数構成に対するX-RANGE ギアリングの構成例

従来ギアに比べワイドレンジ化を達成していることが分かる。12速化がもたらす恩恵は大きい

トップ〜ミドル域のクロスレシオ化も達成し、変速性能の向上やより細やかなケイデンス調整が可能に

チェーンリングセットは3種類。写真の48/35は一般ライダー向けだ

スプロケットは3種類に集約。削り出しによる一体構造(X-Dome)を引き継いでいる

変速ポイントを工夫し、徹底的な変速性能向上が行われている

最もワイドレシオな10-33Tであってもトップ側5枚は1T刻みだ

1xの50Tと48TはTT/トライアスロン用のエアロタイプ

前シクロクロス世界王者ワウト・ファンアールト(ベルギー)のバイク。1xの46Tを使う

トップ10Tを実現するXDRドライバー。対応ホイールも市場に数多く存在する

外周部が平らな特殊形状を採用したフラットトップチェーン

もちろん専用ミッシングリンクも用意されている

特殊形状によってチェーンの強度と耐久性を補う。駆動音の低減も同時に叶えた

リアディレイラーは変速系統を司る。ファンクションボタンでスマートフォンとのペアリングが可能だ

ディレイラー内部に油圧ダンパーを搭載。従来以上に緻密かつスムーズなチェーン制御が可能に

モーションコントロールシステム「Orbit(オービット)」を搭載したリアディレイラー

テンションプーリーはナローワイド形状で確実にチェーンを捉える

クランクセットにはダイレクトマウントや新規格BBなど多数のアップデートが加えられた

パワーメーター「DZero」。クランクと同時開発することで大幅な軽量化と計測精度の向上を果たした

DZeroのバッテリーはCR2032を採用

BBは7種類が用意される。アダプターと組み合わせることで対応BBの種類も広がる

世界選手権を走ったマリアンヌ・フォス(オランダ)のバイク。未舗装路での信頼性は大幅に向上している

スラムが提唱するDUB(ダブ)BB。1種類のクランクをほとんどのBB規格に対応させることができる

ブラケット部分の形状は変わらず、滑り止めのパターンがアップデートされた

シフトボタンは滑り止め加工が施された。画像で見るよりも実際の効果は大きい

デビューと同時に発売が開始されるRED eTAP AXS。手元に届くのも間も無くだ

筆者と、RED eTAP AXSを組み込んだスペシャライズドのS-WORKS TARMAC DISC

緩やかなアップダウンが続くツーソン郊外。乾いた空気と暖かな気温が嬉しい

小休止中にアプリを使い、異なるシフトモードを試した

軽やかなチェーン駆動と変速性能。RED eTAP AXSは見た目と同じく性能面でも大きく進化を見た

トップ〜ミドル域のクロスレシオは緩やかな勾配変化で大きな味方となってくれる

岩山に巨大なサボテンが立ち並ぶ。地名や食文化などにもラテン文化が色濃くにじむ土地だ

局所的に15%以上を刻んだ本格的な登り。ギアのワイドレシオが効く場面だ

テストライドにはスラムのオフィシャルサポートカーが随行してくれた

ラフな操作でも、全く変速性能に鈍りは見られない

乾いた砂が覆う、スリッピーなグラベル登り。ワイドなギア設定がありがたく感じる

グラベルライドに供されたのはジャイアントのDEFY ADVANCED

チェーンリングは最小サイズの46/33。ギア板が小さく見えないデザインも良い

カセットはロードバイクと同じく10-33だった。この組み合わせでギア比1.0のローギアードを達成する

広大なフラットグラベルが数10kmにも続く区間。しかし路面にはキャタピラの跡が刻まれ、洗濯板のような過酷な振動を受けた

カセットはワイドレシオの10-33

革新性と高性能、そして上質な操作感を融合したRED eTAP AXS。魅力溢れるロードコンポーネントだった

2日間のライドにも同行したマッカーシー氏。健脚の持ち主であった

3Tのグラベルロードを駆る開発スタッフの一人。スラムのメンバーは全員熱心なサイクリストだ

限られたスケジュールを縫って各メディアの質問時間が設けられた

「一般的なギアと比べてフロントギアの落差を20%減少。これがスムーズな変速に貢献している」

「変速系統を全て同時開発したことが性能向上の鍵でした」

「X-RANGEギア誕生の最大の理由は、フロント変速をよりスムーズにするため」

チーフシステムエンジニアのアンソニー・メデリア氏(左)と、ロードプロダクトマネージャーのJP・マッカーシー氏に話を聞いた

「RED eTAP AXSは一般ユーザーのためを思って作り上げた自信作。全く新しい体験をしてもらえるはずです」
text:So.Isobe 提供:インターマックス