レイザーの2019年モデルで新たにラインアップに加わったCentury AFをインプレッション。創業100周年という節目に相応しいディティールのミドルグレードの性能に迫る。

100周年という節目にあわせて作られたミドルグレード Century AF

1919年、第一次世界大戦が終結した年に産声を上げたレイザー。設立当初はオートバイ用レザー製品を扱うブランドだったが、サイクルスポーツが確立された1980年代に自転車用ヘルメットに参入。その後は世界の名だたるチーム、選手たちの安全を守りながら歴史を紡ぎ、2019年に創業100周年というアニバーサリーイヤーを迎えた。

長い時代に渡ってブランドが続いてきた理由は、ひとえに着用する人々の安全を第一に考えていることにある。どの時代においてもイノベーティブなアイデアを製品に落とし込んだ、高い安全性かつ革新的なヘルメットのクオリティの高さこそ、ユーザーの心を掴んでいるものだ。レイザーの詳しいブランドヒストリー、アイデンティティなどはこちらの特集を御覧あれ。

創業100周年を記念したCentury AF創業100周年を記念したCentury AF photo:Makoto.AYANO
創業100周年という記念すべき年の新モデルとして、その歴史に相応しいネーミングの「Century(センチュリー)」がリリースされた。日本で店頭に並ぶのはアジアンフィットモデルとなるため、皆さんが目にする正式なモデル名は「Century AF」となっている。ラインアップにおける立ち位置は、UCIワールドツアーのレースで活躍するZ1とBULLET 2.0に次ぐセカンドグレード。

エントリーグレードのBlade AFは、GENESISやZ1のようなレイザーを代表するオールラウンドヘルメットの系譜を継ぐデザインが採用されていた。対して、Centuryは最新のエアロモデルであるBULLET 2.0の血を色濃く受け継ぐスリークな帽体。側頭部の格子状シェルはZ1を感じさせる形状でもあり、Centuryは現在のレイザーを象徴する2モデルを掛け合わせた雰囲気のデザインとなっている。

見た目からも分かる通り、BULLET 2.0のようにエアロダイナミクスを意識しつつ、様々なシチュエーションにマッチさせるために通気性にも配慮したCentury。卵型で非常に空力に優れていそうなシェル形状も重要だが、特に空力と通気性どちらも追求する「TWISTCAP」テクノロジーはこの記念モデルを象徴するポイントだ。

TWISTCAPの向きを変えることで通気性やエアロといった性能を調整できるTWISTCAPの向きを変えることで通気性やエアロといった性能を調整できる TWISTCAPは単体で26gTWISTCAPは単体で26g

最もエアロダイナミクスを重視した状態でも、後方のエアベンチレーションから空気は逃げていく最もエアロダイナミクスを重視した状態でも、後方のエアベンチレーションから空気は逃げていく
TWISTCAPの向きを変えて通気孔を活かしたセミエアロVerTWISTCAPの向きを変えて通気孔を活かしたセミエアロVer UCIルールに準拠するレースはTWISTCAPを外した状態でのみ参加できるUCIルールに準拠するレースはTWISTCAPを外した状態でのみ参加できる

TWISTCAPはヘルメット前中央部のみを覆うシェルカバー。単純にベンチレーションホールを塞ぎ空力効果を向上させるだけではなく、カバーの片側には通気口を設けヘルメット内部の熱を逃がせるようにデザインされている。カバーはマグネット留めかつ前後対称設計であるため、前後の向きを入れ替えて使用する事も容易だ。

エアロを重視したい時はカバーが塞がれている方を、通気性も確保しつつエアロを気にしたい場合は通気孔側を前に装着し、うだるような熱さで通気性を最大限に求めたい時は"カバー無し"という使い方ができる。1つのヘルメットで3役を担ってくれるのがCenturyである。

Centuryの通気性の良さは、Z1譲りの格子形状とされたヘルメット側頭部のデザインによるところが大きいが、それだけではない。ヘルメット内部まで空気の流れを意識した作りとされており、各ベンチレーションから取り入れられた空気がヘルメット後方に効率的に流れるエアチャネルが設けられている。加えて、額部分からも空気が流れ込むように、切り欠きを設けていることもポイント。空気がヘルメット内で流れることで、エアロダイナミクスとクーリング性能を両立する設計がこのモデルの大きな特徴だ。

額にも溝が設けられており、熱がこもりにくくなっている額にも溝が設けられており、熱がこもりにくくなっている コメカミから側頭部に風が流れる作りとなっており、非常に通気性に優れているコメカミから側頭部に風が流れる作りとなっており、非常に通気性に優れている

頭頂部付近も左右に渡る溝が設けられており、ヘルメット内部の熱がたまらないようになっている頭頂部付近も左右に渡る溝が設けられており、ヘルメット内部の熱がたまらないようになっている Century AFにはLEDリアライトが内蔵されているCentury AFにはLEDリアライトが内蔵されている

レイザーは赤色LEDリアライトをヘルメットに搭載する取り組みをいち早く積極的に行ってきたブランドだ。Centuryも例外ではなく、購入段階から既に搭載されている。Z1やBlade AFはオプションとして用意されているため、最初から装着されているお得感は高い。LEDライトはUSB充電式とされているため気軽に繰り返して使用することが可能。昼夜問わずサブライトとして常に点灯させておくことで、安全性は向上するはずだ。あくまでもテールライトと併用する補助ライトであることは頭に入れておいて欲しい。

LEDの光を透過させるクリアパーツを囲う銀色の枠もポイント。この銀色の枠は光を反射するためLEDを点灯させると、まるで枠も光っているかのような演出となる。赤く光る面積が広くなるため被視認性にも寄与してくれるだろう。

加えて、ダイヤモンドのブリリアントカットのような形にも意味がある。本社のマーケティングマネージャーであるマイク・スミンク氏によると、ブリリアンカット形状はレイザーが拠点を置くアントウェルペンの町の形なのだとか。自転車を国技とするベルギー、自分たちの故郷を誇りに思っていることが伝わってくる。

Century AFは赤色LEDリアライトが備えられているCentury AFは赤色LEDリアライトが備えられている
LEDユニットは頭頂部の穴から押し出して簡単に取り出すことができるLEDユニットは頭頂部の穴から押し出して簡単に取り出すことができる Micro USBで充電を行うため、会社や自宅など充電できるシチュエーションは多いはずだMicro USBで充電を行うため、会社や自宅など充電できるシチュエーションは多いはずだ

帽体は日本人の丸型頭に適したアジアンフィット形状。アジャスターはアドバンスドターンフィットという一般的なダイヤル式を採用している。頭部を支えるサポーターはZ1や他のモデルと同じようなバスケット構造だ。ヘルメット単体重量(Mサイズ)は276g、TWISTCAPは26g、2つ組み合わせた状態で302g(いずれも実測重量)。価格は17,500円(税抜)。

インプレッション 見た目以上の通気性を備えたミドルグレードヘルメット

今回インプレッションを担当するCW編集部の藤原は、カブトのヘルメットが最もしっくりくる典型的丸型頭の持ち主。頭の鉢周りは58cmで、カブトヘルメットのサイズはS/Mがベストマッチ。レイザーで言えばZ1よりBlade AF、Mサイズの場合はやや大きめと感じる。

今回のテストで使用したCentury AFのサイズはM。カタログのM(55-59cm)という表記通り、筆者にとってはジャストフィットな大きさ。アジャスターを開放した状態で首を左右に振っても一切ズレることがなく、ユーロモデルより横幅が3.4%拡幅している設計が筆者にはマッチする。参考までに、同じように首を縦に振ると少しズレるのでカタログ表記通り+1cmほどの余裕がある。購入の際は是非自分の頭でフィッティングしてほしい。丸型頭の方ならば完成度の高い帽体に驚くはずだ。

Century AFを試したCW編集部・藤原Century AFを試したCW編集部・藤原
帽体は非常に被りが深く安心感がある上、眉上とこめかみから頭頂部周辺までシェルが頭に接している。Century AFの設計上の理由からか後頭部には空間が生まれているものの、包み込むように後頭部を下から支えてくれるアジャスターのおかげもあり、頭全体をシェルが覆い包んでくれているような印象だ。ピッタリとしたフィット感に加えて、肉厚なインナーライナーや後方に突き出た形のシェル形状からもCentury AFのプロテクション性能を感じられる。

Century AFの目玉テクノロジーであるTWISTCAPは、当然だが3通りの使い方それぞれに特徴があって面白い。今回のテストは冬の冷え切った気候の中行っているため、夏場に感じる通気性とはイメージが異なる場合もあるだろう。そのあたりを差し引きしつつ読み進めてもらえたら幸いだ。

丸みを帯びたTTヘルメットのようなシェル形状が特徴だ丸みを帯びたTTヘルメットのようなシェル形状が特徴だ 後方は首の付根に向かってすぼまっていく後方は首の付根に向かってすぼまっていく

モデル名が刻印されたメタルプレートが高級感を演出するモデル名が刻印されたメタルプレートが高級感を演出する 側頭部の後方から風が抜けていくデザインだ側頭部の後方から風が抜けていくデザインだ

さて、TWISTCAPはエアロ、セミエアロ、通気性をコントロールすることができるテクノロジーであり、通気性に関しては使い方次第で性格が変わるユニークなシステムであった。エアロ重視のセッティング(ツルッとした面が前)の場合は、風の流入をシャットアウトしながらも、頭から立ち上った熱気が頭頂部のベンチレーションから逃げていく。Century AFはベンチレーションホールが埋められたエアロ系ヘルメットのように熱がシェル内部に溜まることが無く、息が上がるテンポのライドでも快適さは維持してくれる。

対してベンチレーションが設けられた面を前にするセミエアロのセッティングでは、前頭部から風が流入してくるため、涼しさはこちらのセッティングの方が感じられる。ベンチレーションホールがない頭頂部の熱が気になる場合は、ライド途中でもキャップがマグネット式の利点を存分に発揮し、TWISTCAPを回転させて状況にフィットさせて使うと良いだろう。

シェル前方が突き出ているため、落車時に顔が障害物に直接ヒットしにくくなっているシェル前方が突き出ているため、落車時に顔が障害物に直接ヒットしにくくなっている 片手で簡単にキャップを外せるため、ライド中も気軽にTWISTCAPを反転させられる片手で簡単にキャップを外せるため、ライド中も気軽にTWISTCAPを反転させられる

頭を下から支えるようにサポートしてくれるバスケット。アジャスターは一般的なダイヤル式頭を下から支えるようにサポートしてくれるバスケット。アジャスターは一般的なダイヤル式 Mサイズの重量はキャップ無しで276gMサイズの重量はキャップ無しで276g

TWISTCAPを外して使用するとベンチレーションホールの有難みを感じられるだろう。キャップのどちらの面を前にしていても、外した瞬間から内側に滞留していた熱と湿気がヘルメットの外側に散ってくれるのだ。ライド途中の気分転換には丁度よい。ちなみにUCIルールに準拠するレースの場合は、TWISTCAPを外さなければならないので、そういったレースに参加する可能性のあるサイクリストは気をつけよう。

筆者には、こめかみ上部分のベンチレーションホールにCentury AFの通気性の真髄があると感じられた。キャップの状態に関わることのないこの部分は、非常にスムースに風をヘルメット内部に誘導してくれ、常にヘルメット内部の空気を押し出してくれる。実際に排気用の通気口に手を当てると風が流れていることを把握できるほどだ。今回のテストライドでは通気性に関してはこちらの印象が非常に強く感じられたため、TWISTCAPでエアロ重視にしたとしてもある程度の快適性は確保されていると考えても良さそうだ。

LEDリアライトを点灯させることで被視認性は向上するだろうLEDリアライトを点灯させることで被視認性は向上するだろう
Century AFを象徴するギミックの1つ、インテグレーテッドLEDは点灯と点滅という2パターンの機能が備えられており、シチュエーションに応じて使い分けることができる。自転車に装着するテールライトとの併用は必須だが、インテグレーテッドLEDは後頭部の高い位置でライトが光るため非常に目立つ存在となる。

ライトの数を増やすことは被視認性、ひいては安全性に寄与することからもCentury AFを着用して朝や夕暮れ時、夜に走行する際は必ず点灯しておきたい。充電はmicroUSBからの給電で、充電をする際にはヘルメットからLEDモジュールを取り外して行う。

Z1とBulletを始めとするエアロ系ヘルメットをかけ合わせたミドルグレード。安全性、パフォーマンス、ベルギー発というレイザーのアイデンティティを感じるには十分な魅力が詰め込まれており、これまで欧米系ヘルメットを諦めていた丸型頭の方にオススメできるヘルメットだ。

CENTURY AF(アジアンフィット) 通気性と空力を調整できるミドルグレード

レイザー CENTURY AF(ブルー/ブラック)レイザー CENTURY AF(ブルー/ブラック) (c)シマノ
レイザー CENTURY AF(フラッシュイエロー/ブラック)レイザー CENTURY AF(フラッシュイエロー/ブラック) (c)シマノレイザー CENTURY AF(レッド/ブラック)レイザー CENTURY AF(レッド/ブラック) (c)シマノ

レイザー CENTURY AF(ホワイト/ブラック)レイザー CENTURY AF(ホワイト/ブラック) (c)シマノレイザー CENTURY AF(マットブラック)レイザー CENTURY AF(マットブラック) (c)シマノ

サイズS、M、L(Sはマットブラック、ホワイトブラックのみ)
重量277g(Mサイズ)
カラーマットブラック、ホワイト/ブラック、フラッシュイエロー/ブラック、レッド/ブラック、ブルー/ブラック
価格17,500円(税抜)
提供:シマノセールス 文&写真:藤原岳人 写真:綾野真