デダ・エレメンティのホイールインプレッション前編は、バルディアーニCSFのメイン機材であるチューブラーモデル2種、SL30とSL45をピックアップ。世界最高峰の舞台で戦う「勝つための機材」を、かつてヨーロッパ経験を積み、機材への知見も深く広い2人の元全日本王者に試してもらった。

バルディアーニCSFがメインで使うチューブラーホイール、SL30・SL45

45mmハイトのリムを採用したSL45は、バルディアーニCSFのメインホイール45mmハイトのリムを採用したSL45は、バルディアーニCSFのメインホイール photo:Makoto.AYANO
SL30はその名の通り30mmハイトの山岳用モデルだSL30はその名の通り30mmハイトの山岳用モデルだ photo:Makoto.AYANO
デダ・エレメンティのホイールラインナップの中心的存在であり、イタリアの名門プロコンチネンタルチームであるバルディアーニCSFが常用するのがSL30とSL45だ。その名の通りSL30は30mmハイト、SL45は45mmのリムハイトを持つことが特徴で、その他スペックは全て共通化が図られている。

SL30の重量は前後セットで1290gと見た目通りの軽さに仕上がっているが、よりオールラウンドな性能が与えられたSL45も1390gと、同価格帯かつ同程度のリムハイトのホイールの中では大きな重量アドバンテージを持つことが特徴だ。登りの間に長い平坦路を挟んだり、丘陵コースや、ある程度のスピードでこなすヒルクライムの場合にもSL45が多く使われることも頷ける。反対に2018年ジロ・デ・イタリアの最終山岳ステージ3連戦ではSL30が多く使われていた。

2モデル共にリム幅は25mmとトレンドに則った形状を採用している2モデル共にリム幅は25mmとトレンドに則った形状を採用している
リムハイト30mmのSL30。先代比での横剛性向上は+23%リムハイト30mmのSL30。先代比での横剛性向上は+23% エアロダイナミクスを意識したSL45。先代モデルから+19%の横剛性向上を果たしたエアロダイナミクスを意識したSL45。先代モデルから+19%の横剛性向上を果たした


また、ハイモジュラスカーボンを使用したリムが第2世代(現行)からワイド化したこと、そしてスポークパターンの改善などによって先代比でSL30は+23%、SL45では+19%という大幅な横剛性向上を実現していることも大きな特長だ。

プロユースのハイエンドモデルだけに、前章で説明したエンデューロ製セラミックベアリングの採用や、ストレートプルスポークを使った2:1組み、緩みを防ぎ安全性と耐久性を上げるABSセルフロックニップルなど、デダ・エレメンティが誇るテクノロジーはフル投入。実際にホイールの細部を見渡しても作りの荒い部分は見当たらず、ハブの切削加工まで丁寧に作業されていることが把握できた。それでいてSL30は189,990円(税抜)、SL45でも195,200円(税抜)とリーズナブルな価格設定であることは大きな魅力と言えるだろう。

バルディアーニCSFの走りを支えるSL45とSL30バルディアーニCSFの走りを支えるSL45とSL30 photo:Kei.Tsuji
今回デダ・エレメンティのホイールを試すのは、かつて日本最高レベルのプロレーサーとしてそれぞれ2度ずつ全日本王者に輝き、現在は"走れる"ショップ店長として活躍する大石一夫さん(シクロオオイシ ラヴニール)、藤野智一さん(なるしまフレンド)という両名。それぞれのホイールには同じくカワシマサイクルサプライが扱うチャレンジのSTRADA320(25mm)タイヤを取り付けた状態で乗り比べた。

大石一夫×藤野智一 SL30とSL45をインプレッション

「リム剛性が高く、機敏に反応してくれる」大石一夫(シクロオオイシ ラヴニール)

「リム剛性が高く、機敏に反応してくれる」大石一夫(シクロオオイシ ラヴニール)「リム剛性が高く、機敏に反応してくれる」大石一夫(シクロオオイシ ラヴニール) photo:Makoto.AYANO大石:うん、予想していたよりも全然良かった。どちらも剛性感があって、ペダリングに対して機敏に反応して進んでくれる感じですね。

藤野:本当ですね。もがいてダンシングしても、下りのタイトコーナーでバイクを寝かしても嫌なよじれは一切ありません。すごくしっかりしたホイールだと思いました。

大石:カーボンリムの剛性が高いのでプロ選手が使えるだけの基本性能は確かにありますよ。ブレーキング時の制動力が強くてコントロールもしやすい。セラミックベアリングが仕事をしているのか回転も滑らかです。

藤野:剛性感の強さはむしろ、突き上げが大きいなと思うほどです。だから踏み込んでも全然ブレないし、ダルさを感じません。しなりで進む性格では無いので好き嫌いは分かれると思いますが、なるしまフレンドのスタッフ間で試乗した際も概ね好印象でしたね。

大石:どちらか一つを自分で購入するならば、僕はSL30。踏み出しが軽いので登りでも良いし、どんな状況・コースにでも使いやすいですから。

藤野:使いやすさで言えばその通りですね。でもSL45はSL30と比べてほんの僅かに出足が重たいものの、リムハイトが高い分、そこからぐっと伸びていく。レース機材として使い分けを考えると、狭いコーナーの連続で頻繁に加減速を強いられるクリテリウムならSL30。サーキットエンデューロだったり、ある程度の勾配があっても流れるように進む実業団レースや、長距離をマイペースで走りたい方であればSL45が向いているかな、と思います。

大石:SL30の魅力はやっぱり登りでしょう。軽さゆえに長い登りでは当然ながら、先述したようにレスポンスが悪くないので、細かい登りが連続するようなコースを走る時にも向いていると感じます。

藤野:ただやはり、ヒルクライム職人と呼ばれるような方々にとっては少し重たいですね。やっぱり1100g台や1200g台のホイールとは動きが違いますから。でも、そういう決戦用ホイールは登り以外では使いづらいという側面もありますし、オールラウンドに使って、たまにヒルクライムレースに挑戦するような人にはSL30は良い選択肢になるでしょうね。

「一切不安感が無い。信頼できる作りと走りは流石デダ」藤野智一(なるしまフレンド)

「一切不安感が無い。信頼できる作りと走りは流石デダ」藤野智一(なるしまフレンド)「一切不安感が無い。信頼できる作りと走りは流石デダ」藤野智一(なるしまフレンド) photo:Makoto.AYANO
大石:後はやっぱり値段ですよ。SL30もSL45も前後セットで20万円を切っているわけですから、それを踏まえて評価しないといけない。高価で良く走るホイールはいくらでもあるけれど、アンダー20万円で見ればかなり優秀なんじゃないですか?作りの悪さを感じることもありませんし。

藤野:価格は手ごろでも、OEMメーカーのノーブランド品とは全く違う信頼できる作りと走りをしています。思いっきりブレーキを掛けた時にその違いって分かりますよね。デダのホイールはハードブレーキングでも全然たわまない。流石はデダだな、と思いますよね。

大石:そうそう。だからスピードコントロールがしやすい。破綻しないし、ブレーキシューが焦げ付く感じも一切ない。ブレーキの当たり面もしっかり作られているように見えるし、シューとの相性も考えられています。今回も新品ホイールと新品シューの組み合わせだったのに全然問題ありませんでした。ちゃんとしてないホイールって急にドカン!とブレーキが掛かることがありますが、デダのホイールにはそれが無い。滑らかなのに制動力が強いんですよ。

すごく厳しいことを言えば、ハブのデザインなどはもう少し洗練されてもいいかなー?と思うのですが、その一方でねじ込み式のキャップを外すとすぐにベアリングが見えたりと、メンテナンス性に配慮されていて好感が持てます。

「アンダー20万円という目で見ればとても優秀」大石一夫(シクロオオイシ ラヴニール)「アンダー20万円という目で見ればとても優秀」大石一夫(シクロオオイシ ラヴニール) photo:Makoto.AYANO
藤野:セッティングのアドバイスとしては、タイヤの空気圧を下げめにして乗ることでしょうね。ホイール剛性が高いから空気圧をカンカンに上げて走るとレスポンスが良くなる気がするんですが、実は弾かれて進んでいない。私は空気圧を下げて乗った時に凄く良いフィーリングを得られました。基本中の基本ですが、体重とタイヤのベストバランスを探すことがホイールを活かす上で大切ですね。

大石:レースを走るなら、もしくは安曇野周辺のような信号の無い場所で走れるのであればSL45。レースを考えていないホビーユーザーが登りも含めてオールラウンドに使うならSL30。そんな使い分けが良いと感じますね。同価格帯の製品と比べれば、ホイール市場においてとても魅力的な製品だと言えるでしょう。

インプレッションライダープロフィール

大石一夫(左、シクロオオイシ ラヴニール)、藤野智一(右、なるしまフレンド)大石一夫(左、シクロオオイシ ラヴニール)、藤野智一(右、なるしまフレンド) photo:Makoto.AYANO
藤野智一(なるしまフレンド)

92年のバルセロナオリンピックロードレースでの21位を皮切りに、94・97年にツール・ド・おきなわ優勝、98、99年は2年連続で全日本ロードチャンピオンとなるなど輝かしい戦歴を持つ。02年に引退してからはチームブリヂストン・アンカーで若手育成に取り組み、11年までは同チームの監督を務めた。2012年より出身チームのなるしまフレンドに勤務し、現在は神宮店の店長として親しまれている。ブリヂストン時代にはフレームやタイヤの開発ライダーも務め、機材に対して非常に繊細な感覚を持つ。

→なるしまフレンド神宮店HP
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大石一夫(シクロオオイシ ラヴニール)

国際サイクルロードレース(現ツアー・オブ・ジャパン)初代王者となったことでキャリアがスタート。歴史上初めて結成された日本ナショナルチームの第1回遠征メンバーとして1986年のツール・ド・ラヴニールに参加。1989年にはツール・ド・北海道とツール・ド・おきなわをダブル優勝、1990年と1993年に全日本選手権優勝、国体3回優勝など屈指のオールラウンダーとして君臨した。長野県安曇野市に移り住み、98年に自身のショップをオープン。今でも全国屈指の"走れる店長"としての脚力を維持している。

→シクロオオイシ ラヴニールHP
提供:カワシマサイクルサプライ 制作:シクロワイアード編集部