ここまで、三篇にわたってDOGMAシリーズの持つ歴史、性能、そして魅力をお伝えしてきたこのスペシャルコンテンツだが、最後にお届けするのはDOGMAのDNAから生み出された弟分であるGANシリーズ。その中から、セカンドグレードであるGAN RS、そしてラインアップ中唯一のディスクロード、GAN Diskをピックアップする。

DOGMAの世界を垣間見させるバリューモデル GAN


DOGMAの血統を継ぐセカンドモデル ピナレロ GAN RS DOGMAの血統を継ぐセカンドモデル ピナレロ GAN RS 
ピナレロのテクノロジーと情熱を結集したハイエンドモデルDOGMA。その血統を受け継ぐ直系のミドルグレードがGANシリーズだ。Flatback世代のピナレロレーシングバイクを手に届きやすい価格へリビルドした価値あるラインアップが揃っている。

現在のピナレロバイクのボリュームゾーンを担うGANシリーズがデビューしたのは2015年。当時のトップモデルであったDOGMA F8の形状をベースとしつつ、素材として使用するカーボンファイバーや細やかな造形、ペイントなどを見直すことで、コストを圧縮し、より幅広い層に届きやすいミドル~エントリーグレードとして誕生した。

GAN以前も、ピナレロのバイクラインアップの特徴といえば、ハイエンドからエントリーグレードまで、一貫したデザインスキームを持つということ。つまり、グランツールで活躍する憧れのスーパーバイクとほぼ同じルックスのバイクを手ごろなプライスで自分のモノにできるのだ。

トップチューブに輝くMAGIXパターントップチューブに輝くMAGIXパターン インテグレートデザインのフロント周りインテグレートデザインのフロント周り

ITALIAカラーにはイタリア空軍の認識票のモチーフがあしらわれるITALIAカラーにはイタリア空軍の認識票のモチーフがあしらわれる カムテールデザインのダウンチューブにはクロームカラーのピナレロロゴが輝くカムテールデザインのダウンチューブにはクロームカラーのピナレロロゴが輝く

ベースとするのは先代のF8となるため、これまで紹介してきたF10世代に取り入れられた”フォークフラップ”や”Concave Down Tube”といったテクノロジーは搭載していないが、最新世代のピナレロバイクの特徴である、オールラウンド性能とエアロダイナミクスを併せ持つ”Flatback”形状を全面的に採用するアグレッシブな設計は健在だ。

コンパクトなリアトライアングルやインテグレートデザインのヘッドチューブ周辺の造形もDOGMA譲り。左右バランスを是正するためのアシンメトリックデザインもフレーム全体に採用され、他ブランドの同グレード帯のバイクとは一線を画す、手の込んだ設計こそがGANシリーズの真骨頂だ。

シリーズに用意されるのは、"GAN RS"、”GAN S”、”GAN”という3グレード。それぞれフレーム形状は共通とされる一方、カーボン素材をT900 ,T700 ,T600と使い分けることでそれぞれのターゲットとする層にマッチした走行性能を実現している。

DOGMAに次ぐセカンドモデルとなるGAN RSは、実質上のピュアレーシングモデルでもあり、フレームに施されるグラフィックもDOGMAのそれを受け継いだもの。DOGMA F10にて新規に採用されたMAGIXと呼ばれるドット柄のデザインがGAN RSにもあしらわれる。ピナレロの中で、GAN RSの位置づけがいかにDOGMAに近いものであるか、この一事からも窺えよう。

ピナレロ GAN Diskピナレロ GAN Disk
一方、今回インプレッションするもう一つのモデルが、GANシリーズ中ただ一つとなるディスクブレーキロード、”GAN Disk”だ。ベースモデルとなったGANと同様に高強度で耐久性に優れるT600を素材とし、ディスクブレーキの制動力に対応するため、フレーム各部を強化している。

昨年まではクイックリリースを採用していたGAN Diskだが、2018年モデルでは最新規格へ対応する。ディスクブレーキロードのスタンダードとなったフロント12×100mm、リア12×142mmのスルーアクスル、そしてブレーキ台座はフラットマウントを採用。また、ブレーキシステム自体も機械式ブレーキから油圧ブレーキへとアップグレードが施され、ディスクブレーキの持つコントロール性能や引きの軽さといった美点を100%体験できるアセンブルへと進化した。

エントリーグレードながらエアロ形状のステムを採用するなど高級感あるパーツアセンブルエントリーグレードながらエアロ形状のステムを採用するなど高級感あるパーツアセンブル
DOGMAから受け継ぐ大胆なエアロフォルムDOGMAから受け継ぐ大胆なエアロフォルム
フロントフォークもスルーアクスル化されたフロントフォークもスルーアクスル化された

ピナレロの考えるロードバイクの在り方がギュッと詰め込まれたバリューモデル、GAN。多くのサイクリストを虜にするピナレロワールドへの入り口となる2台を徹底インプレッション。

DOGMAの血脈に連なるGANシリーズをインプレッション

DOGMA直系のポピュラーモデル GANシリーズDOGMA直系のポピュラーモデル GANシリーズ

レースユースに対応するポテンシャルを秘めたセカンドグレード GAN RS

小西:セカンドグレードですが、国内の実業団レースであれば十分すぎるほどの性能です。一世代前のハイエンドレーサーに勝るとも劣らないですよ。それだけのレーシング性能を持ちつつも、あくまで乗りやすいバイクに仕上がっているというのが、GAN RSの優れた点です。

もちろんDOGMAと比べてしまうと振動の拾い方など粗はありますが、基本となる剛性感はしっかりと出されており、レーサーにとっては申し分ない走りを見せてくれる一台ですね。

「一世代前のハイエンドレーサーに勝るとも劣らない」小西裕介(なるしまフレンド)「一世代前のハイエンドレーサーに勝るとも劣らない」小西裕介(なるしまフレンド)
上萩:DOGMAに比べれば、多少剛性は抑えめですが、それでも十分以上のレベル。自分くらいの脚力であれば、文句のつけようは一切ないですよ。完成車のホイールでこの走りなんだったら、ある程度のレーシングホイールを組み合わせればもっと良くなるんだろうな、と思わせるようなポテンシャルの高さを感じました。

小西:同感です。BORAをはじめとしたカーボンディープホイールなどは相性ばっちりでしょうね。より反応性も良くなるでしょうし、高速域の伸び代もまだまだありそうです。

「自分くらいの脚力であれば、文句のつけようは一切ない」上萩泰司(カミハギサイクル)「自分くらいの脚力であれば、文句のつけようは一切ない」上萩泰司(カミハギサイクル) 上萩:フレーム自体のスペックがとても高いので、パーツを妥協する必要は全くないですよね。むしろ、ある程度良いパーツを奢ってあげた方が車格にもマッチする。例えばハンドルをカーボンにしてあげれば、突き上げも和らぐでしょうから、もっと乗りやすくなると思います。

フレーム単体で40万円程度と他社であればハイエンドモデルの価格帯ですが、それらのライバルと比べても、セカンドグレードだからといって劣っている部分はほぼありません。逆に完成車パッケージで考えれば、フレーム価格プラス7万円で最新のULTEGRA一式とホイールが付いてくる。これぐらいの差額だと105が相場ですから、魅力的ですよね。

小西:始めの一台として選ぶのも良いでしょうね。フレームの持つ性能がしっかりしているので、どんなパーツを組み合わせてもしっかりと性能を引き出してくれます。ハンドルやサドル、ホイールといったパーツを交換しながら自分好みにカスタムしていく楽しみを味わえ、長く付き合っていける一台でしょうね。

もちろん、レーサーにとっても魅力的な選択肢だと思います。直前まで乗っていたDOGMAの性能が抜きんでていたこともあり、比べると振動の角が立っているように感じる部分もありましたが、絶対的な基準で見れば十分。レーシングバイクの中ではむしろ乗り心地は良い部類なので、長距離のレースでも全く問題ありません。

上萩:DOGMAと比べちゃうとどのバイクだってかわいそうですが、直系モデルらしい性格は感じ取れました。あと、ルックスもいいですよね。塗装もこだわっているのがわかります。DOGMA譲りのMAGIXデザインは高級感があって「いかにもハイエンドです!」という主張がある。所有欲もしっかりくすぐってくれる良い一台ですよ。

GANシリーズについて語り合うGANシリーズについて語り合う

ディスクブレーキロードの可能性を感じさせる野心作 GAN Disk

小西:今回乗った中で、一番驚いたのがこのバイクです。ピナレロのカーボンバイクシリーズではエントリーグレードに位置付けられるモデルですが、こんなに良く走るのか!と。

上萩:正直、期待してなかったんですよ(笑)だって、DOGMAに何台も乗った後に、エントリーモデル、それも走りが重くなりがちなディスクブレーキモデルだというので、「どうやってコメントしようかな」って心配してたくらい。でも、全然そんな心配する必要無かったね。先入観を抜きにしても、とても良く走るバイク。剛性感も程よくて、エントリーモデルとは思えない反応性の良さがある。

「ビギナーの最初の一台にはとてもいい」小西裕介(なるしまフレンド)「ビギナーの最初の一台にはとてもいい」小西裕介(なるしまフレンド)
小西:キャリパーモデルのGANにも乗ったことはありますが、ここまでキビキビ走るイメージは無かったんです。だから、ディスクブレーキ化に伴って性能が向上していることは間違いない。スルーアクスルになったことで、剛性面が大幅に改善されたのではないでしょうか。

「エントリーモデルとは思えない反応性の良さがある」上萩泰司(カミハギサイクル)「エントリーモデルとは思えない反応性の良さがある」上萩泰司(カミハギサイクル) 上萩:去年までのクイックリリースモデルとは別物になっているはずです。性能が上がった分価格も上がっていますが、コンポーネントも油圧モデルにアップグレードしているので、コストパフォーマンスという意味ではむしろ向上しているといってもいいほど。ホイールを軽くすれば、もう一皮剥けた走りを見せてくれそうですね。

もちろん、上位モデルと比べるとカーボン素材のグレードも抑えられているし、重量もあるのでマイルドで穏やかな性格ではあります。ですが、必要となる部分の剛性はしっかり確保されているので、バランスがとれているのでしょう。良く走ってくれますよ。

DOGMA F10がディスクブレーキ化すると、安定志向が強くなっていたのに対して、逆にGANは切れ味が増しているというのは面白いよね。今回は2018年モデルのGANとGAN Diskを比べたわけじゃないので、過去の経験との比較になるけれど、これぐらいのグレードだとディスクブレーキモデルの方が剛性を出しやすいのかもしれない。

小西:そうですね、このぐらいのグレードだと重量の増加もあまり気にならないですよね。ディスクブレーキ化するにあたって重量増は避けられないのでしょうが、ベースモデルが軽ければ軽いほど比率が大きくなるわけですからね。エントリーモデルにとって、ディスクブレーキ化はデメリットが少なく感じられる一方で、もたらすメリットが大きくなるのでしょう。

個人的にはロングライドやツーリング用にぴったりだなと。もちろん、レギュレーションもあるのでレーサーにとって選択肢には入りづらいでしょうが、そうでない人からすればとても乗りやすい。レースに出る予定のないビギナーの最初の一台にはとてもいいでしょうね。

後は、ピナレロのレースバイクを持っている人が、セカンドバイクとして使うというのもいいでしょうね。肉厚で強度に優れるので、輪行時にもそこまで気を使わなくていいのは嬉しいポイントです。どうしてもハイエンドモデルは軽い分、チューブも薄くて扱いがシビアになるので、こういったバイクを一台持っていたい。遊びの幅が広がりますよね。

ディスクブレーキ化でより走りが良くなったと評されたディスクブレーキ化でより走りが良くなったと評された
上萩:そうだね、油圧ディスクブレーキが標準装備されていることもあるし、天候も気にせず毎日どんどん乗り倒したいバイクですよ。油圧だと引きも軽いですし、ディスクブレーキは制動力が安定していますから、女性にもぴったりでしょう。ちょっとブラケットが大きいですが。

フレームとしてはThink2を採用しているので、電動コンポーネントもスマートに組み付けることが出来るから、ブラケットの大きさが気になる方は将来的に組み替えを視野に入れてもいいでしょうね。



ピナレロ GAN RS
サイズ44SL, 46.5SL, 50, 51.5, 53, 54, 55, 56
カラー134/イタリア、130/ラ・ロッサ、131/マリアネラ、132/アステロイド・スカイ
価格428,000円(税抜、フレームセット)、498,000円(税抜、アルテグラ完成車)

ピナレロ GAN Disk
サイズ44SL, 46.5SL, 50, 51.5, 53, 54, 55, 56
カラー149/BOB
価格398,000円(税抜、105完成車)

提供:ピナレロジャパン 制作:シクロワイアード編集部