オンラインサイクリングコミュニティ「ズイフト」の魅力を探る特集コンテンツ。前回、編集部員が体感したレポートでは様々な機能や導入方法を紹介した。第2弾では同社が開催した別府史之選手と一緒に楽し苦しむグループワークアウトと、150名が一堂に会しズイフトを楽しんだリアルイベントのレポートをお届けする。

フミと一緒にトレーニング ズイフトに新実装されたグループワークアウトを皆で楽しむ

全世界のサイクリストと一緒にライドを楽しむ、実走しているようなスピード感や負荷のかかり具合など様々な要素が魅力的なバーチャルサイクリング「ズイフト」。淡白で飽きやすい室内トレーニングに革命をもたらしたズイフトだが、現実は今までのローラー台での練習と変わらず、1人でライドしているという事実には変わりない。

大勢のサイクリストと同じメニューでトレーニングするグループワークアウトもズイフトでは実施されている。一人で淡々とペダル回すよりも、高いモチベーションでライドできる大勢のサイクリストと同じメニューでトレーニングするグループワークアウトもズイフトでは実施されている。一人で淡々とペダル回すよりも、高いモチベーションでライドできる (c)zwift.com
画面上には沢山の仲間がいるが、横を向くと見知った壁があるだけ。KOMに差し掛かり、剛脚サイクリストが自分を抜かしていくと非力さに気付かされる。誰よりも辛い思いをしてペダルを踏み込んでいるのに、置いてけぼりになってしまう。そんな悲しい気持ちを救済してくれるのが「グループワークアウト」だ。

グループワークアウトはライドのように参加者全員が1つの集団となり、与えられたトレーニングに全員で励むもの。ビジュアル面だけではなく、全員が同じような身体的な辛さを感じる負荷に調整されるため、1人でサイクリングしている時の「辛いのは自分だけ?」という疑念は一切抱かなくて済む。「全員が同じように苦しんでいるのだから、自分も頑張れる!」とモチベーションや負けん気でトレーニングを行うことが可能となっている。

具体的に負荷が調整されることを説明しよう。グループワークアウトでは自身のFTP値に基づき、メニューで求められる出力が算出されているのだ。仮にFTP250Wの人が高強度インターバルで求められるパワーが800Wとしよう。FTPが20%減の200Wの人の場合では、要求パワーが20%減の640Wとなるように計算されているという。実際の計算方法などはメニューなどによって異なるだろうし、この例ではあくまで人によって調整されるというニュアンスを掴んでもらいたい。それぞれに与えられた負荷で走り続けることで、グループメンバーと一緒に走り続けることができるような設計だ。

別府史之選手と一緒に走るグループワークアウト コースはマヤ遺跡!


最新サービスをトレック・セガフレードの別府史之と一緒にいち早く体験できるイベントが11月7日に開催された。もちろん自宅にいながらワンクリックで参加することができるオンライン上でのイベントである。今回は都合によりワークアウトに参加できない方のために、フミの実兄であり、レース中継の実況解説でお馴染みの別府始さん(スポーツジャーナリスト)とズイフトのサチさんこと高尾幸子さんがナビゲートするYouTubeライブも配信された。

フミと最初から最後まで一緒に走ることができる貴重な時間を過ごすべく、約400名という数多くの方がトレーニングを開始する。今回のイベントでは、Jon's Mixというズイフトのデベロッパー自ら組んだというオリジナルメニューでトレーニング。ウォーミングアップと中強度インターバル、高強度インターバル、中強度ペース走などライダーを飽きさせない約55分のメニューで、数多くのサイクリストが苦しむことに。

フミは配信中に画面の向こうにいる参加者とコミュニケーションをとるために、要求されるパワーが少し低くなるように設定されていた。低いと言っても高強度インターバルで求められた値は800W。一般参加者からすると十分高い値だが、実際にフミが高強度インターバルでパワーを出してみると一瞬で1000Wを越える数値を弾き出す。

インターバル時はパワーが抑えられているとは言え、真剣な表情でもがくフミインターバル時はパワーが抑えられているとは言え、真剣な表情でもがくフミ (c)zwift japan / Shojiro Nakabayashi
インターバル後にも関わらず爽やかな笑顔を見せるインターバル後にも関わらず爽やかな笑顔を見せる (c)zwift japan / Shojiro Nakabayashi
ライブ配信ではズイフトの画面にフミが現れるという工夫がされていたライブ配信ではズイフトの画面にフミが現れるという工夫がされていた (c)zwift japan / Shojiro Nakabayashi


画面の向こう側の参加者と同じように歯を食いしばり、インターバルを繰り返すフミも思わず「キツいですね」と漏らしてしまうほど。全力スプリントではないが、同じようにプロ選手も息を上げている。画面の向こうにいる400名近いサイクリストも同じと思うと、力が湧いてくるのではないだろうか。

レストのタイミングでは、フミが「ワークアウトモードでトレーニングしていると、踏むワット数が切り替わるゲートが怖くなるんですよね。スタートボタンを押すのを躊躇してしまいます。」という場面も。「でも、スタートボタンを押してしまえばコースを走るだけですからね!」と言い、再び高強度インターバルへと突入していく。それぞれが全力を尽くせば同じ集団に残れるというのは、スタートボタンを押す勇気と大きなモチベーションを与えてくれるはずだ。

ズイフトの魅力と言えば、ペダリングに合わせて流れていく景色を楽しめること。今回はリリースされたばかりのマヤ遺跡コースを舞台としており、レストの間は風景を楽しんだ。初めてこのコースを走ったというフミからは「冒険しているみたいでワクワクしますね」という感想や、巨大な吊橋に出た時は「オオーッ!」と驚きの声も。レストの間も淡々とペダルを回しているだけではなく、画面の変化を楽しめるのは大きなメリットだとフミは言う。

グループワークアウト配信の裏側を見せちゃいます!グループワークアウト配信の裏側を見せちゃいます! (c)zwift japan / Shojiro Nakabayashiライブ配信のMCは ズイフトのサチさんと、ロードレースナビゲーターの別府始さんライブ配信のMCは ズイフトのサチさんと、ロードレースナビゲーターの別府始さん (c)zwift japan / Shojiro Nakabayashi

約1時間に及ぶワークアウトを終え参加者皆と喜ぶ約1時間に及ぶワークアウトを終え参加者皆と喜ぶ (c)zwift japan / Shojiro Nakabayashiフミのアカウントにはプロ選手を意味するジャージアイコンが加えられているフミのアカウントにはプロ選手を意味するジャージアイコンが加えられている (c)zwift japan / Shojiro Nakabayashi

フミの顔からも汗が滴り落ちるほどのハードトレーニングはクールダウンで終了する。ズイフトのワークアウトはウォーミングアップから最後のクールダウンまでしっかりとメニューが組まれており、指示に従うだけで練習の全てを遂行できるという。

ズイフトでモチベーションを保ちながらトレーニングできることは、パリ~ルーベ覇者のマシュー・ヘイマンが実証している。ロードレースで結果を求める方や、ヒルクライムのタイムを縮めたい方、仲間内のサイクリングで遅れたくない方など様々な方が、トレーニングを日々続けるためのツールとして、ズイフトは大いに貢献してくれるだろう。

「トレーニングは継続することが大事。そのツールとして大いに役立つ」別府史之

グループワークアウトを終えたフミにインタビューを行い、プロ目線から見たズイフトの印象や魅力を語ってもらった。

「コミュニケーションをとりながら走れるのは嬉しいです」とフミは言う「コミュニケーションをとりながら走れるのは嬉しいです」とフミは言う (c)zwift japan / Shojiro Nakabayashi
―別府選手が思うズイフトの魅力とは何でしょうか

やはり1人じゃないというところだと思います。1人で乗ることも良いですが、みんなと楽しく乗ることが自転車の良いところです。事故の心配もないですし、大勢の人と一緒に走りながら、短い時間でしっかりと汗を流すことができることがズイフトの良いところです。

仕事をされている方が取れる時間というのは、朝と夜ぐらいしかありませんよね。でも、運動をしたいと思っている方はいると思います。体を動かすためにジムに通うというのでも良いですが、往復の移動時間を考えると長い時間を取られてしまいます。そう考えると、仕事に行く前や帰ってきた後の少ない時間を利用できるのは魅力でしょう。

トレーニングは集中することと継続することが大切だというトレーニングは集中することと継続することが大切だという (c)zwift japan / Shojiro Nakabayashiそして、トレーニングは集中力が大事です。飽きてしまったらペダルを踏めなくなるので、集中力を大事にして乗ってもらいたいですね。映像や負荷、ワット数が変わったりすれば乗り続けることができるのかな、と思います。

今回、新しく登場したマヤ遺跡コースもそうですが、ボルケーノコースであったり、山岳コース、水中トンネルなど、「今何処を走っているんだろう?」と迷ってしまいそうなほど道が増えています。色々なコースを組み合わせたり、逆回りしてみたり、1周することだけにこだわらずグルグルと周り続けているだけでも面白いです。「やっと1時間だよ」と思うより、飽きずに1時間や2時間乗れてしまったとなれば、ネクストステップに繋がるはずです。

僕も一般の方々と走ることも多いですよ。一緒に走れるのはモチベーションも上がりますし、面白いですし嬉しいです。チャットで話しかけられてもズイフトモバイルを使い、コミュニケーションをとっています。自分たちが走っている強度と合わせて走っているわけだから、隣で走っている人の鼓動が聞こえてくるようです。

―どのようなシチュエーションでズイフトを利用しますか

主に天気が悪い時とか、レース後のリカバリーライドの時です。レースがキツくて体調が悪い時や汗を流したいな、という時に軽く乗るようにしています。ズイフトでトレーニングを行うようになってから、外の天気を気にすることや、雨の中無理やり走りに行って体調を崩すことはなくなりましたね。

本格的なトレーニングはできるならば外で行いますが、先ほど説明したようなシチュエーションや距離を乗らないといけないような場面で、午前中と午後に1時間半ずつ乗り、3時間分のトレーニングとすることもあります。

フミはチームがサポートを受けるサイクルオプスのHammerでズイフトを楽しんでいるフミはチームがサポートを受けるサイクルオプスのHammerでズイフトを楽しんでいる (c)zwift japan / Shojiro Nakabayashi
ホームトレーニングは強度が高く、辛いので嫌がる選手は多いのですが、チームのトレーナーは決まった時間のワークアウトを行える固定ローラーを勧めています。信号待ちとかもありませんし、しっかりとトレーニングを行えるのはメリットですよね。ただ、本格的に練習するのであれば、脱水症状に気をつけ、ファンをつけて身体の熱を冷ましながら取り組んだりする必要があります。

―ズイフトのワークアウトメニューは行いますか

普段のトレーニングはチームから渡されるメニューを行っていますが、たまに面白半分でズイフトのワークアウトを行うこともありますよ。これが意外とキツくて、普段の練習もこれでいいのでは?と思うほどですよ(笑)。

今回のイベントでは800Wのインターバルを行いましたが、800~900Wというのはレース中のコーナー立ち上がりで出る数値です。今年は30秒998wという数字を出していて、それはワールドツアーでもトップクラスの数字なんです。チームのトレーナーとかも認めてくれる数字で、自分の持ち味ですね。

和気あいあいとした雰囲気でグループワークアウト配信は勧められた和気あいあいとした雰囲気でグループワークアウト配信は勧められた (c)zwift japan / Shojiro Nakabayashi
かといって全てのメニューがハードなわけではなく、レベルに合わせてトレーニングメニューが作られているんですよね。初心者はいきなりキツいメニューをこなすことはできないので、1週間や2週間の段階を踏み、ビルドアップしていくメニューが収録されています。ただ面白半分でキツかっただけではなく、しっかりと自転車を乗り込めるシステムとなっています。

ズイフトやストラバにトレーニングデータを保存することができ、それを見ていると自分が強くなってきたことが目に見えてわかります。通勤ライドだけでは強くなってきた実感は湧きにくいと思いますが、FTPの値がどんどんと上がっていく様子を見て実感することができますし、強くなっていることが証明できますよね。そういうところも面白さのひとつかなと思います。

日本初開催 インドアライドイベント Zwift on tour TOKYO 2017 presented by Wahoo


ズイフトはオンライン上だけではなく、イベント出展などを通じて多くのサイクリストと触れ合う機会を設けてきた。自動負荷調整機能のローラー台を持つブランドの体験展示もズイフトを利用しているところも増えてきており、少しだけ試してみたことある方もいるのではないだろうか。これまでの体験型展示はお試し程度であったが、ズイフトは11月中旬に東京と大阪でガッツリと魅力を体感できる大規模リアルイベント「Zwift on tour 2017 presented by Wahoo」を開催した。

寒空に向かって綺羅びやかに伸びる東京タワーの足元にあるスタジオに足を踏み入れると、そこはクラブハウスのように暗く、音楽が鳴る空間が広がっていた。ビールやソフトドリンク、軽食がサーブされ、ズイフトの体験イベントというよりは、ズイフトを使用したフェスのよう。企画が行われていない時は自由にズイフトを楽しみ、居合わせたサイクリングファンたち同士が交流を深めている。サイクリングジャージを着用しシッカリと体を動かそうという方や、仕事帰りにスーツのまま来場した方など三者三様の150名が集まった。

楽し苦しいズイフトに思わず笑顔に楽し苦しいズイフトに思わず笑顔に 歯を食いしばりゴールを目指す歯を食いしばりゴールを目指す photo:Makoto.AYANO

今回のイベントで使用されたスマートトレーナーは全てワフーのKICKR今回のイベントで使用されたスマートトレーナーは全てワフーのKICKR photo:Makoto.AYANOズイフトの魅力を体験できるオフラインイベントとなったズイフトの魅力を体験できるオフラインイベントとなった photo:Makoto.AYANO

MCはJ SPORTSのロードレース中継でおなじみの実況/解説コンビ、サッシャさんと栗村修さんの2名。テレビで聞くような緩い掛け合いのトークでイベントは進んでいく。このオフラインイベントではズイフト内のKOMポイントを利用したヒルクライムレースと、グループライド機能を使った公式のレースという2種類のレースが行われた。

まず行われたのはヒルクライムレース。選ばれた7名が一斉にヒルクライムをはじめ1着を競うもの。ズイフト内に現れる勾配に応じて負荷が自動調整されるダイレクトドライブ式ローラー台「ワフー KICKR」を使用していたため、参加者は実際の登坂のような負荷に苦しみながら頂上を目指した。

そして、このインドアライドイベントのメインレースは、ズイフトが公式で行っているレースを利用して行われた。こちらも選ばれし14名が2グループにわかれ、レースの順位ではなくフィニッシュのタイムで競われる。上位入賞者にはワフーのハイエンドサイクルコンピューターなどが豪華景品として用意された。

バーチャルレースながら勝利の味わいはリアルと同じ。気持ちよくガッツポーズを繰り出したバーチャルレースながら勝利の味わいはリアルと同じ。気持ちよくガッツポーズを繰り出した photo:Makoto.AYANO景品がプレゼントされるレースでは真剣な表情で脚を回す景品がプレゼントされるレースでは真剣な表情で脚を回す

KOMチャレンジの1番時計には別府史之サイン入りボトルがプレゼントされたKOMチャレンジの1番時計には別府史之サイン入りボトルがプレゼントされた photo:Makoto.AYANO栗村修さん(右)、サッシャさん(左)がロードレース中継を見ているかのようなトークで会を進める。中央ではズイフトの佐藤さんが機能を説明する栗村修さん(右)、サッシャさん(左)がロードレース中継を見ているかのようなトークで会を進める。中央ではズイフトの佐藤さんが機能を説明する photo:Makoto.AYANO

このレースはオフライン会場に集った方だけではなく、世界中からサイクリストが参戦するという本格的なもの。大集団で走ればドラフティング効果を得ることができ、ゴールスプリントに向けて温存することも可能。地形を活かした逃げなども発生し、戦術も重要な本格的なレースとなった。

実際にレースに参加している方は画面に食いつき、勝負に没頭している。ローラー台と言えば体を鍛えるツールという認識でしかなかったが、オンライン上でのレースで真剣に追い込んでいる姿をみたら認識を改めざるを得ない。練習やフィットネスだけではなく、全世界からサイクリストが集まるズイフトのレースで勝利をあげたいというサイクリストもでてくるのではないかと思わされた。

多くの方が東京タワーの足元にあるスタジオに集まり、ズイフトのインドアライドイベントを楽しんだ多くの方が東京タワーの足元にあるスタジオに集まり、ズイフトのインドアライドイベントを楽しんだ photo:Makoto.AYANO
自転車だけではなく、ランニング用のセンサーを使用するとズイフト内で走り回る事ができる自転車だけではなく、ランニング用のセンサーを使用するとズイフト内で走り回る事ができる 栗村修さん、サッシャさんとの距離が近く、記念撮影にも気軽に応じてくれた栗村修さん、サッシャさんとの距離が近く、記念撮影にも気軽に応じてくれた photo:Makoto.AYANO

勝負の行方を見守る全員から直ぐ側で応援されるという、普段のローラートレーニングやレースではないシチュエーションに奮起した方も多かったはずだ。観客も体を揺らし目一杯に漕いでいるレース姿を目の当たりにしたら自分もなんだか辛いという錯覚に陥った方もいただろう。

レースの合間にはズイフトでトレーニングを行いパリ~ルーベを制覇したマシュー・ヘイマンがテレビ電話で出演し、別府史之やキャノンデール・ドラパックのサイモン・クラークがビデオメッセージを届けてくれた。ディメンションデータが行っているトライアウトのプロモーションも行われ、プロ選手たちの間でもズイフトが根付いていることを感じられた。

レースはオンライン、応援はオフラインという形はまるでe-スポーツの大会。ズイフトの魅力をレースで体感することで存分に味わうファンイベントの要素もありながら、参加する方は真剣に勝負するという新感覚のイベントであった。

提供:ZWIFT 制作:シクロワイアード編集部