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開発者インタビュー

Challengerが生まれた経緯と、パラチノースが可能にする「持続するエネルギー補給」

滝川次郎さん(左/パワースポーツ代表)と堀信之さん(三井製糖株式会社フードサイエンス本部)滝川次郎さん(左/パワースポーツ代表)と堀信之さん(三井製糖株式会社フードサイエンス本部)
ここからは、Challengerがどういった経緯で発案され、製品化されたのかを2人の開発者の話で紐解いてゆく。登場するのは前出の堀信之さん(三井製糖株式会社フードサイエンス本部)と、有限会社パワースポーツの滝川次郎さん。

堀さんは製品のキーとなる糖質「パラチノース」の開発と製品への応用についてを担当する。滝川さんはサイクリストにおなじみセルフディスカバリーアドベンチャーやツール・ド・宮古島などの耐久系自転車レースの企画・主催者にして、「パワーバー」の輸入・販売を行うパワースポーツ社の代表にして、自身もトライアスロンやウルトラマラソンなどをたしなむ本格派アスリートでもある。

ー このChallengerの開発に至った経緯を教えてください。

滝川:最初は宮古島トライアスロンで堀さんにお会いしてからですね。

滝川次郎さん(パワースポーツ代表)トレイルランやサイクルレースを楽しむアスリートだ滝川次郎さん(パワースポーツ代表)トレイルランやサイクルレースを楽しむアスリートだ 堀:そうですね。たまたま近くにブース出展していてお会いしました。

滝川: 通りすがりに「なんか凄い砂糖がある」ということで、堀さんにいろいろお話をお聞きして、そこから話が膨らんでこの製品の開発が始まりました。

実際、ロングディスタンスのトライアスロンや自転車レース、トレイルランニングは、競技中に沢山のエネルギーを補給しなければいけないんですが、エネルギー食品やジェルが身体に合わなくて胃が荒れてしまったり、気持ち悪くなってしまったり、苦労されてる方を多く見てきました。そういった方々のニーズにどのように答えるべきか考えていた時にこの「パラチノース」の存在を知りました。

パラチノースはエネルギーをしっかり摂取できる糖質で、ゆっくり消化吸収され、最後まで頑張り続けられるという特性がある。それを使ったドリンクが出来たら良いなと思い、三井製糖さんと相談し、このChallengerという高カロリースポーツドリンクが生まれてきました。

ー どういったものを開発して欲しいというイメージを滝川さんの方から出されたんですか?

滝川:カロリーが水分で摂れるものがいいというお話をしました。それで、500mlでどれくらいのカロリーが摂れるのか?ということを色々検証して頂きました。開発当初は250キロカロリー取れるということでしたが、実際出来あがったものは500mlで280キロカロリー摂ることができるということで、ジェル2個以上のカロリーがこの500mlで摂れる、アスリートにとって非常に効率の良い商品になりました。

PowerDrink  Challenger(チャレンジャー)PowerDrink Challenger(チャレンジャー)
ー 今までの既存品とはエネルギー補給の面でどのような違いがあるのでしょうか?

滝川:実は私の場合、長時間ジェルを摂り続けても大丈夫なので、そこまで高カロリードリンクというものは必要ないです。ですが、様々なアスリートの話を聞いてると、たくさんのジェルを受け付けられなくなったとか、おにぎりになどを途中のエイドステーションで食べてもエネルギーが足りずにハンガーノックになってしまったり、途中でリタイヤしてしまったりということを多く聞いてきました。

そこで、飲料でエネルギーを摂ることができれば、胃に負担がからず、吸収も安定し、ジェルによるエネルギーの急激な乱高下も軽減できて良いだろうと考えました。実際、私もChallengerのサンプルをUTMB(ウルトラトレイル・デュ・モンブラン)という山岳レースで使用しました。いつもでしたらジェルを50個ぐらい摂っていますが、それが今回Challengerを飲用することで46個に抑えることが出来ました。ジェルが身体に合う人でも合わない人でも、これを飲んでジェルを摂る分、飲料に変えることにより胃への負担が楽になるかと思います。

モンブランのトレイルを走る耐久レースUTMBに挑戦した滝川次郎さん(パワースポーツ代表)モンブランのトレイルを走る耐久レースUTMBに挑戦した滝川次郎さん(パワースポーツ代表)
UTMBは168kmの山を走るトレイルランニングレースで、滝川さんは滝川さんは約32時間58分・総合142位・エイジ5位の好成績でフィニッシュ。レース中にパワージェル46個とChallengerを6リットル飲んだとのこと。Challengerだけで280×12=3,360キロカロリーとなり、ジェルとChallengerだけで十分エネルギー補給ができ、最後まで頑張り続けることが出来たという。(滝川さんのUTMB参戦レポートはこちら

ボトル一本500mlに溶かすと280kcalの高カロリードリンクになるボトル一本500mlに溶かすと280kcalの高カロリードリンクになる ー すでにそこまでご自身で使われたんですね。

滝川:そうですね。甘すぎず、べとつかないのも良いですね。他のスポーツ飲料ですと、結構べとついて途中で嫌になってしまうものもありますが、Challengerはスッキリした甘さで、ずっと摂り続けられる良さがあります。

ー カロリーだけ考えるとコーラはどうですか? 愛飲者は多いですね。

滝川:コーラですとカロリーも高いのですが、入っているのが吸収の早い糖質でコンディションキープには向いていないんです。また、摂りすぎるとカフェイン過多になったり、炭酸飲料などで継続摂取には向いていません。あくまで競技中のカンフル剤的に飲むにはいいのかもしれませんね。Challengerでしたら水の替わりに継続的な摂取もできますし、ジェルと一緒に飲んで必要なカロリーをゆっくり摂ることが出来ます。水分補給とエネルギー補給を同時に行う、効率的な飲料だと思います。

ー 堀さんは、滝川さんからのオファーに対してはどの様なイメージをお持ちでしたか?

「ゆっくり吸収されるというパラチノースの特性は持久系スポーツのエネルギー補給に非常に適している」「ゆっくり吸収されるというパラチノースの特性は持久系スポーツのエネルギー補給に非常に適している」 堀:もともとパラチノースはゆっくり吸収されるエネルギーという特徴があり、持久系スポーツでのエネルギー補給に非常に適しているという事をスポーツ栄養の先生や、生理学の先生方からご指導頂いており、弊社は数年前からスポーツ分野へのアプローチを始めておりました。

そのためいくつか持久系サプリメントでのパラチノース使用実績もございました。そのような実績をPRするためにトライアスロン大会にブース出展をして、選手の方にパラチノースの良さ、持続性をPRしていました。そんな中で前々から滝川さんのことは存じあげており、いつかこの方に会いたいなと思っていました。

何故かと言うと、エネルギー補給を追求していくと、POWER BARのジェルに行き着きます。持久系スポーツのエネルギー補給食分野で世界一位のシェアを持っている会社の日本の社長さんですし、滝川さんの会社が様々な持久系スポーツにおいてプロモーションをされているということを存じ上げておりました。やはりこの方にパラチノースを認めてもらうのが一つの目標でした。そんな時にたまたま宮古島のトライアスロンでブース出展している際に、POWER BARのロゴTシャツを着た方が熱心に話を聞いていただきました。「では御社で使ってくださいよ」なんて言って、ついでに名刺をどうぞと渡したら滝川社長じゃないですか!と驚きました(笑)。そこから改めて、何回も通ってパラチノースの良さをアピールさせて頂きました。

やはり我々は糖質メーカーですから、エネルギー補給を生理学的に考えると、消化吸収の速い糖質はメリットもありますが、デメリットもあると認識しております。そこでゆっくり消化吸収するエネルギーであるパラチノースが、一般的に消化吸収が速い砂糖やブドウ糖、マルチデキストリンに出来ないことが出来ると思っていた節がありました。ですので、様々な研究をし、新しい使い方を試していけば、新しい商品が出来るだろうと思っておりました。そこで、実際どういった商品にするかを滝川社長とディスカッションしたところ、高カロリードリンクが良いだろうということになりました。

結晶パラチノース結晶パラチノース (c)三井製糖持続性エネルギー糖質「パラチノース」を配合した持続性エネルギー糖質「パラチノース」を配合した

今まで日本で発売しているスポーツドリンクというのは水分補給をメインにした製品が多く、エネルギー補給をメインにした商品はあまりないのが現状です。ですので、このChallengerは糖質で高エネルギーを補給することをメインコンセプトにした最初の飲料となるかと思います。

さらに、ゆっくり消化吸収するエネルギー源であるパラチノースを入れることによって、今までに出来なかった使い勝手の良さというものが実現できるかと思います。普通のジェル等ですと、消化吸収が速い糖質が入っているのですぐ元気になりますが、頑張ろうという気持ちが長続きしないのです。そしてそれを防ぐためにまたジェルを飲むという、糖質摂取による気持ちと体調の乱高下を繰り返す状態が発生してしまいます。

ですが、パラチノースを使用したエネルギー補給は糖質を素早く補給しながらもゆっくり消化吸収されるので、コンディションを維持でき、最後まで頑張りを続けられる商品を作れます。そのような意味では、このChallengerは非常に優れている商品だと思います。やはりあえて飲料でエネルギー摂取を狙ったところが狙い目なんですね。

滝川:そうですね。ジェル系や固形も様々なものがありますが、どれも乱立してしまい、競争過多になっていますから今更そのような新商品を売り出すというのも非常に難しいです。そこで飲料の商品にしようと思い立ちました。水分とカロリーが取れる製品は他にもありますが、エネルギー補給に特化したドリンクがあったら良いのではないかということになりました。

ー 中村龍太郎選手も言っていますが、レースが厳しくなるとジェルでさえ摂るのがおっくうになって、やっぱり飲み物で摂りたい、と。パッケージを開ける動作さえ大変に感じたり、口の中に入れてそれを飲み込むのが呼吸を妨げると。やっぱりドリンクに近いほど望ましいでしょうね。

ロードレース中はボトルのドリンクで水分と同時にエネルギーも補給できれば理想的だロードレース中はボトルのドリンクで水分と同時にエネルギーも補給できれば理想的だ photo:Makoto.AYANO堀:最初の頃はパラチノースが含まれるこのお砂糖(スローカロリーシュガー)を一般的なスポーツドリンクに加えることで高エネルギーなスペシャルドリンクを作ることをトライアスロン選手などに提案しておりました。これはスポーツ栄養の先生と一緒に考えた糖の使い方でした。しかしこの方法では少し甘すぎる飲料ができてしまうという難点がありました。カロリーアップの方法としてスポーツ飲料にどう落としこんで行こうかと考えて、このChallengerになったというところです。

トレイルランニングやトライアスロンでは4~5時間が魔の時間と言われているそうです。ジェルで補給をし続けた時の胃への負担が、ドリンクでカロリーが摂れることによって非常に良い解決策になると思います。多くの方にChallengerを使用して頂き、補給食の摂りすぎによる気持ち悪さを軽減できることを実感をして頂きたいですね。手応えはあります。

Challengerは基本的に水分補給の為にボトルを携帯して行う持久系スポーツに向いています。サイクルレースのほかにもトレイルランニングやトライアスロン、オープンウォータースイミングのような競技にも使用できますね。

ー 自然環境の中で長時間動き続けるスポーツに適していますね。

SDA王滝で用意した補給食の例。ジェルやバーにより総計3000kcal以上を用意したが、ドリンクでエネルギーが摂取できればジェルや固形物は減らすことができるSDA王滝で用意した補給食の例。ジェルやバーにより総計3000kcal以上を用意したが、ドリンクでエネルギーが摂取できればジェルや固形物は減らすことができる 堀:我々は「スローカロリー」いわゆる消化吸収がゆっくりなエネルギー源というものを追求しているのですが、実際に商品化してみるとアスリートが抱える胃への負担という問題もパラチノースがクリアできるんだなと分かりました。

ー 滝川さんはジェルを46個食べても大丈夫ですか?

滝川:私は全然大丈夫ですね。でもChallengerと併用することでジェルの量を減らすことが出来ますので、レースに持参する補給食の重さが少し軽くなるというメリットもあります。

ー 人口甘味料はお腹を下しやすいと言われている面があるじゃないですか。スポーツをやっている方で人工甘味料使用のスポーツドリンクは飲まない方が良いと考えている人は多いと思いますが、パラチノースはそのような副作用のようなものはないのですか?

堀:そうですね。現在世の中に出回っていて飲料に使用されている物で、下痢を誘発するものというのは実はあまりありません。いわゆる人工甘味料と呼ばれるステビア、アスパルテーム、スクラロース等は甘さをつける添加物になります。砂糖の100倍甘いなんてこともあるので、甘さをつけるフレーバーのような意味合いで入れられています。ただそういった人口甘味料はあまりにも微量しか入れないので、カロリーが無い訳です。ですから低カロリーやゼロカロリーの飲料が出来あがる訳です。

しかし、持久系スポーツをやられている方は飲料摂取において、水分補給に加えてエネルギー補給も同時にすべきかと思います。その時に人口甘味料が添加してある低カロリーの飲料を摂るというのは、持久系スポーツでの補給を考えると十分とは言えないかと思います。本来、エネルギーのある糖質の入った飲料を摂るべきですが、多くのエネルギー系の糖質は消化吸収が速く、急速に摂取できるのですが、長持する感覚を体感しにくいかと思います。

ゆっくり消化吸収すると糖質は長持ちする感覚があり、コンディションを一定に保ち、最後まで頑張ろうという気持ちを持ち続けられると多くのアスリートより聞いております。Challengerはエネルギー補給を主眼において、パラチノースとブドウ糖を配合しており、消化吸収の遅い糖質と早い糖質の組み合わせで、シンプルに作った糖質エネルギー補給スポーツドリンクなんです。

マウンテンバイク耐久レースでは、水が確保できるなら粉末を携行すれば良いだろう(SDA王滝100kmより)マウンテンバイク耐久レースでは、水が確保できるなら粉末を携行すれば良いだろう(SDA王滝100kmより) (c)Akihiko.Harimoto
ー 開発していく中で成分を改良していったことがあれば教えてください。

滝川:味はグレープフルーツ味なのですが、セレンゾと呼ばれる心身のリラックス効果があるオレンジの成分を足すことにしました。また、高カロリーを求める為、糖質が水に溶けてくれる限界量まで配合しています。ゆえに少し溶けにくいということがありますが、ボトルをしっかり振っていただき、しばらく放置していただくと溶けていきます。溶けやすさの改善は今後の課題かもしれませんね。

堀:でも一番の工夫は高カロリーのドリンクを開発したということと、消化吸収速度にこだわったということ、あとは電解質をあえて入れてないということもポイントですね。

「これは凄い砂糖がある」と、製品化のアイデアがひらめいたという滝川さん「これは凄い砂糖がある」と、製品化のアイデアがひらめいたという滝川さん 滝川:そうですね。電解質は一緒にジェルを摂ることによって十分摂取できると考えて、あえて配合していません。例えばパワージェルであったら1個あたりナトリウムが200mg入っているので、十分電解質が摂れます。このChallengerは電解質を摂ることは排除して、エネルギー補給だけに特化して開発しました。

堀:長時間にわたる持久系スポーツにおいてジェルと飲料を併用することを前提にしたドリンクになっています。ジェルをいくつも摂るとナトリウム過多になってしまいますので、ドリンクからは摂る必要がないので、あえて抜いているという点がポイントですね。もしこのChallengerを単体で使用する場合は、塩分をほんの少し入れてあげるといいかもしれません。

ー HPの説明に書いてあったのですが、パラチノースは菌に使用されにくいんですか?

堀:そうですね。スポーツ飲料にした場合、特に問題があるわけではありません。例えば、パンづくりに使用するとイースト菌などに使用され難く、少し膨らみにくいということはあります。菌に使われにくい性質を持っているので、虫歯にならないという特長もありますね。

人間はパラチノースを完全に小腸で消化吸収します。ただ、パラチノースはゆっくり消化吸収され、このゆっくりしたスピードが絶妙に良いわけです。もともと人間は雑穀みたいなものを何千年来食べてきたので、消化吸収が速いものには身体が追いついていないんです。例えればお砂糖、ぶどう糖、マルトデキストリンが白米だとすれば、パラチノースは糖質界の玄米みたいなものです。ゆっくり糖質を消化吸収してエネルギーを摂取するというのはスポーツだけではなくて、一般の食生活にも良い面がありますね。

スポーツシーンにおいて糖質は、選手にとってはガソリンに例えることができます。パラチノースは質の良いガソリンだとも言えますね。精製されている点も良いんです。精製された糖質で消化吸収がゆっくりなものはほとんど無いです。精製されておりエネルギーとして使いやすいけれども、ゆっくり使えるというところがポイントになります。

スローカロリーシュガーが秘めたポテンシャルをどう製品するかがキーだスローカロリーシュガーが秘めたポテンシャルをどう製品するかがキーだ パラチノースを採用したスポーツ関連商品パラチノースを採用したスポーツ関連商品

ー ではアスリートが日常的に使用するのでもオススメですか?

堀:そうですね。実際、このChallengerを開発する前にはトライアスロンの選手の方に「パラチノースが入っているスローカロリーシュガーでスペシャルドリンクを作ってみてください」と紹介していました。現在もそういった使い方をされるプロのスポーツチームや選手の方がいます。ただどうしてもスローカロリーシュガーは砂糖然とした粉末ですので、使用方法のイメージが湧かない現状がありました。

ですので、Challengerは500mlの水に溶かしてすぐ使えるというのは非常に良いです。スポーツ向けの味にクエン酸も配合され、アスリートの方に手軽に使って頂ける製品になったと思います。

ー 例えば100kmの自転車のレースでしたら、どの様な使い方をするのか、滝川さんのイメージはありますか?

ツール・ド・おきなわ市民レースのような長距離ロードにChallengerは最適だろうツール・ド・おきなわ市民レースのような長距離ロードにChallengerは最適だろう photo:Makoto.AYANO滝川:100kmの自転車レースだと大体3時間ですよね。気温やコースによるかもしれませんが、3時間の競技時間でしたら、Challengerとジェルを45分に1個摂取すれば良いのではないでしょうか。ジェル3個とChallengerで走り切れそうですね。

ー 200kmの自転車レースだとどうでしょう?

滝川:ジェルが6個〜7個とChallengerを2ボトルでいけるかもしれません。時速30km/h前半のスピードでしたら6時間ぐらい。プロレベルでしたら4時間半ぐらいと考えると、2ボトルで走り切れますね。2ボトル持参すれば560キロカロリー摂取出来ますので、それにジェルを6個持つと、ジェルが1つ120キロカロリーなので、合計で1,280キロカロリーになりますね。

ー クリテリウムなど、距離の短い自転車レースはどうでしょうか?

滝川:クリテリウムなどの距離の短いレースはこのChallengerだけで十分ではないでしょうか。ジェルを摂る時間は無いでしょうし、Challengerのみで大丈夫だと思います。スタート前に飲みたいですね。

堀:むしろ距離が短くなればなるほど、事前のエネルギー補給が非常に大切になりますので、前日辺りからChallengerを飲んで頂くことが良い備えになります。フルマラソンなどは一流選手でも途中のエネルギー補給はそれほど行わずに走り切ります。やはり競技前に身体にどれだけ溜めておけるかというのが重要になってきますので、エネルギー補給の回数が少ない場合は、前日から飲用しておくのが良いですね。

長距離ロードレースなどではエネルギーの速効性よりも持続性が重要になってくる長距離ロードレースなどではエネルギーの速効性よりも持続性が重要になってくる photo:Akihiko.HARIMOTOスポーツ中のエネルギー補給に関しては、今までは速く吸収されるほどいいということが焦点になっており、即効性のエネルギー補給を、と言われてきたのですが、基本的に一番起こってはいけないことはエネルギーが切れてしまうことです。いわゆる糖質切れによるハンガーノックですね。つまりそれを防ぐほうが大切なんです。素速く吸収するのではなくて、身体がエネルギーを蓄えている状況がずっと続くということが一番良いんです。

走る前、活動する前にある程度糖質を仕込んで、万全の準備をしておく。そういった状態でスタートして、競技中も糖質切れを防ぐために消化吸収のゆっくりな糖質を摂り続けていくというのが一番安全な方法です。

最近、スポーツ栄養学の先生方は「糖質をどう摂取するかを考えないと競技で勝てない」ということを盛んにお話されています。もちろん日々のメンテナンスや身体づくりを考えると、たんぱく質なども非常に大切です。よく考えれば当たり前のことですよね。糖質は車で言うガソリンですから。ガソリンをどんなタイミングでどう入れるかが重要です。

例えば柔道は1日に何試合も行います。その試合と試合の合間にどのように糖質を摂っていくかということは非常に大切です。長距離・持久系ではない競技においても、試合数が多かったり、連日の試合が続くような競技でも、上手くエネルギー補給することは非常に重要です。

糖質によるエネルギー補給というのは、しっかり考えていくとまだまだ進化できる分野ですし、パフォーマンスサポートに凄く寄与できる可能性を秘めています。運動中のエネルギー補給が必須な持久系スポーツであるサイクリングやトレイルランニングのためにChallengerのような商品が出てくるのは必然のような気がします。

Challengerは「ジェルと併用することを考慮したドリンク」だ。そのため不要な成分を含めないように製品化したChallengerは「ジェルと併用することを考慮したドリンク」だ。そのため不要な成分を含めないように製品化した
ー 非常に考え抜かれた商品ですよね。発案してくれた滝川さんはやはり着眼点が凄いなと思いました。ジェルと併用するエネルギードリンクというのはニッチな感じになってしまいますので、大手のサプリメントメーカーでは実現しづらいかもしれませんね。

滝川:ジェルでエネルギー補給することを日本で広めたのは弊社ですからね(笑)。最初は全然売れませんでした。あんな美味しくないもの普通は摂らないし(笑)。ですが、今では様々なエネルギー補給ジェルが競合他社より発売されるほどになりました。ここまで需要が大きくなるとは思っていなかったですが、今となっては持久スポーツで当たり前に使われるようになりました。ですので、このChallengerも近年中にもアスリートに普通に飲まれるようになると思います。

堀:糖質メーカーの私から見ると、持久系スポーツにおいて長年、エネルギー補給の大切さを一番実感してきたジェルメーカーである滝川さんだからこそ開発できた高エネルギードリンクだと思います。エネルギー補給方法を根本的に変える画期的な高カロリースポーツドリンクだと思います。
提供:三井製糖株式会社 取材・編集:綾野 真(シクロワイアード)