ここ数年キャノンデールが提唱する新時代のMTBカテゴリ、オーバーマウンテン。クロスカントリーや、ダウンヒルといった、ジャンルの垣根をクロスオーバーするライディングスタイルを想定したバイク、「ジキル」と「トリガー」が27.5インチホイールを手に入れた。

世界のMTBシーンをけん引するエンデューロに対応するジキル&トリガー

27.5インチ化を果たしたジキル27.5インチ化を果たしたジキル
世界的にMTBシーンを牽引している「エンデューロ」。下り区間を計測するタイムドセッションとし、登り区間は非計測のリエゾン区間という形式のイベント。初めてのトレイルを、下りの計測区間のスタート地点を仲間と一緒に探しながら登っていく。そして参加者みなが初めての下りでテクニックを競いあう。そして、走り終わった後には、その日走ったコースについて、自転車について、語らう。そんなMTBの遊び方の原点に立ち返った遊び方ができるのが「エンデューロ」だ。

そのエンデューロシーンに完全対応するのが、キャノンデールがここ数年描き続けてきた「オーバーマウンテン」という構想。一つの山の中”だけ”ではなく、山を登って、その向こうへと超えて、下ってどこまでも走っていけるという思いが込められている。キャノンデールが最重要視するこのカテゴリを担ってきたのは、2011年に登場したジキル、そして2年前に発表されたトリガーの2モデルだ。

27.5インチ化し、完全新設計となったフレーム

今回、この2モデルがアップデートされて、27.5インチホイールを手に入れた。29インチの走破性と巡航性、26インチの小回りの良さやポジションの幅広さ。双方のメリットを併せ持つ、27.5インチというホイールサイズを手に入れてトリガーとジキルは更に進化した。

当初、27.5インチホイールへのアップデートのために、キャノンデールはリアスイングアームの延長で対応しようとした。それは、通常のフレームメーカーが行う一般的な手法だ。しかし、4種類程度のスイングアームを用意し、テストしようとしたところ、テストライダーを務めた2013エンデューロチャンピオン、ジェローム・クレメンツはこう言った。

短めのステムを使用し、ハンドリングを向上させる短めのステムを使用し、ハンドリングを向上させる
2つのサスペンションモードを持つDYADショック2つのサスペンションモードを持つDYADショック
ドロッパーシートポストがアッセンブルされるドロッパーシートポストがアッセンブルされる

「26インチのジキルとトリガーは完全なバランスが取れている。だから、そのバランスを崩すのは反対だ。27.5インチにするなら、ホイールサイズに合わせた完全なバランスをイチから設計しよう。」そして、キャノンデールはその意見に応え、2車種のすべてを完全新設計とした。

まず、下りのハンドリングをよくするため、ステムを短くし、トップチューブを伸ばした。シートチューブを立て、効率的にペダリングパワーを伝えることができるようになった。ヘッドチューブは68度から67度に寝かせられ、安定性を増した。車輪径の変更に伴うトレイルの増加には、フォークオフセットを増やすことで対応した。これは、フォークも自社開発しているキャノンデールだからこそできる設計だ。

2つのサスペンションを1つに。オーバーマウンテンのコアテクノロジー、DYADショック

完全に新設計されたトリガー完全に新設計されたトリガー
オーバーマウンテンの核となるのが、FOXとの共同開発による「DYAD(ダイアード)」ショック。2つのシリンダーを持つダイアードは、ショートトラベルで登り用のエレベートモードと、ロングトラベルで下り用のフローモード、2つのモードを切り替えることができる。そして、この2つのモードはスプリングレートやサグ高、ジオメトリーまで変化する。つまり、2つのサスペンションを交換しながら走っているのと同じなのだ。

エレベートモードでは、よりプログレッシブなダンピング特性になり、大きな負荷がかかるほどストローク量が小さくなっていくことで、高いトラクションとペダリング効率を実現している。サグ高は高くなり、ヘッド角が立つことで、前荷重にしやすく、登りやすいポジションをとれる。

27.5インチ専用設計のレフティスーパーマックス2.027.5インチ専用設計のレフティスーパーマックス2.0
140mm/85mmトラベルのDYADショックを持つ140mm/85mmトラベルのDYADショックを持つ
マグラの油圧ブレーキを採用マグラの油圧ブレーキを採用


一方、フローモードでは、リニアなダンピング特性を持つ。負荷に応じて、一定の割合でストロークしていくため、素直で挙動の変化がつかみやすい。また、新たなダンピング回路が搭載され、ストロークが素早くなった。この変更で、新ダイアードは中速から高速走行時に細かな振動を確実にいなすコイルスプリングのような感覚をライダーにもたらす。

圧倒的なスタビリティをもたらす強固なリンク周り

フルサスペンションバイクにとって、最もボトルネックとなるリンク周り。キャノンデールは強固なリンクをジキルとトリガーに採用した。ホローリンクと名付けられたそれは、コスト増になるに関わらず、アルミ鍛造によって製作された2ピース構造のリンクで高い剛性と軽量性を誇る。

そして、リンク支持部には15mmスルーアクスルを採用。そして、ホローリンクがアクスルを直接クランプすることで、シャフトとリンクを一つの構造材のように強固な部品とすることに成功した。スルーアクスルが使用できない箇所にはベアリングを2つ並列に配置することで、高い剛性を実現した。これらの工夫によって、高いねじれ剛性を獲得したジキルとトリガーは、他のバイクにはない高い感度と反応性を獲得した。

15mmスルーアクスルを使用し、高い剛性を持つリンク部15mmスルーアクスルを使用し、高い剛性を持つリンク部 シートステーとリアエンドのリンクにはベアリングが二つ並列で配置されているシートステーとリアエンドのリンクにはベアリングが二つ並列で配置されている

このように、多くの共通するテクノロジーによって生み出されたジキルとトリガー。両者の違いは、主にトラベル量の差だ。ジキルがフロント160mm、リア95mm~160mmのトラベル量を持つ一方、トリガーはフロント140mm、リア85mm~140mmとなっている。この差によって、ジキルはトリガーよりも下りが得意で、エンデューロレースでの成績を狙うライダーに、トリガーはXCバイク並みの登坂性能を持つことで、どこまでも走っていくアドベンチャーツーリングが好きなライダーにもってこいのバイクとして仕上がっている。

今回、インプレッションを行ったのは、ジキル、トリガーともに最上位機種となるカーボン チームモデル。大径化されたカーボンアウターレッグを持つ、レフティスーパーマックス2.0とSRAM XX1を搭載したフラッグシップモデルだ。

TRIGGER

サイズSM、MD、LG
フォークSuperMax Carbon PBR 2.0 140 27.5
リアショックFox DYAD RT2 140/85mm adj. travel 2015 tune
BBBB30A
メインコンポSRAM XX1
ホイールMavic CrossMax SLR
税抜価格790,000円

JEKYLL

サイズSM、MD、LG
フォークSuperMax Ca rbon PBR 2.0 160 27.5
リアショックFox DYAD RT2 160/95mm adj. travel 2015 tune
BBBB30A
メインコンポSRAM XX1
ホイールWTB Team Issue
税抜価格790,000円

ジキル&トリガー インプレッション

何をしても安心できる懐が深いバイク何をしても安心できる懐が深いバイク
ジキルは下りメインのバイクに感じました。下りバイクとして考えるとすごく扱いやすいくて、何をしても安心できる懐が深いバイクですね。全開で下っても、ドロップオフで飛んでも余裕があります。全力でのブレーキングでもフォークはダイブすることはありませんでした。

リアのダイアードショックについては、よく働いていますね。特にフローモードにするとあからさまに違いを感じました。登りに関しては、少しダルさがあります。でも、下り系のバイクという基準で考えるならば、良く登れるという部類になるでしょう。

みっちりと八ヶ岳のトレイルを乗り込んだみっちりと八ヶ岳のトレイルを乗り込んだ 試乗に向かう試乗に向かう

昔のレフティは、ばらしてインナーレッグを0.1mm単位でチューニングすることで、動きを滑らかにしていました。新しいレフティではそんなこともなく、滑らかな動きになっており、ダルさがなくなっているのも驚きでした。剛性も非常に高くグッと粘ってくれるので、自分の思い描くラインで倒しこんでいけました。

前後のサスのマッチングも良く、バランスに優れています。シーソー感がなく、後ろに加重しても姿勢が崩れるような感覚はありませんでした。取り回しも良く、振りも軽いですね。登り返しでも問題なくいけるのですが、少し伸び感は薄いところはあります。

MTBの楽しみの原点に立ち返ったようなバイクMTBの楽しみの原点に立ち返ったようなバイク
一方で、トリガーは登りの軽快さが非常に印象的でした。日本のトレイルにここまでマッチしているバイクとは想像つきませんでした。良い意味で、逃げ道を作ってくれているバイクです。これまで、日本のトレイルでは29erのXCバイクがよいのではと思っていたのですが、どうしてもXCバイクだと、シャカリキに走ってしまうきらいがありました。

でも、このトリガーなら、トレーニングモードになることもなく、登りでつらければ自然とペースを落として走ることができる雰囲気を持っています。目を三角にしてスピードを追い求めるのではなく、トレイル自体を楽しむことができる、まさにMTBの楽しみの原点に立ち返ったようなバイクです。

ハードテールだと、やはり体へのダメージが大きいので長く楽しめないですが、トリガーならば一日中遊んでいられます。下りはもちろんXCバイクよりも余裕があって、安心できます。日本のトレイルであれば、ジキルだとオーバースペックで、BBが下がりすぎてペダリングが路面にヒットすることもあるので、ちょうど良いバランスといえるかもしれません。コーナーでは、ジキルよりもプログレッシブな感覚があり自然に外に押し出してくれるような動きをしてくれます。

多くの試乗車が用意された多くの試乗車が用意された 泥詰まり対策もしっかりとされている泥詰まり対策もしっかりとされている

リアの2モードの違いはジキルほどはっきりとした違いはありません。しかし、エレベートモードにすると剛性が上がり、一本芯が通ったような踏み心地へと変化します。27.5インチということも相まって、非常に登りは楽ですね。

ジキルとトリガーなら、下りのジキル、登りのトリガーというイメージですね。走る場所によって、使い分けることができれば、最高です。なので、どちらにするか迷ったら、自分が普段走るシーンによって決めると良いのではないでしょうか。

たとえば、富士見パノラマだとジキルならAコースやDコース、トリガーならBコースやCコースといったイメージでしょうか。加えて言うならば、ジキルはエンデューロレースで速さを求める人、トリガーはいくつも山を自分のペースで越えていく、オフロードツーリングを楽しみたいという人にぴったりでしょう。
提供:キャノンデール・ジャパン 編集:シクロワイアード編集部