6月29日、地中海に浮かぶコルシカ島でいよいよ開幕した第100回大会のツール・ド・フランス。世界最大規模を誇る、記念すべき今大会に出場する選手は22チームから、全198名。この中において、実に14チーム/126名もの選手が使うコンポーネント、それがシマノだ。

距離0km。ツール・ド・フランスが開幕した距離0km。ツール・ド・フランスが開幕した photo:A.S.O.

世界最高峰のレースでトッププロからチョイスされるシマノとPRO


機材スポーツと呼ばれるプロロードサイクリング。1馬力にも満たない人間の力を推進力へと変換する機材には、非常に精密かつ正確、そしてロスの無い性能が求められる。ごく一部のエース級選手を含めて、毎年選手たちは栄光のツール・ド・フランスに出場するためにシーズン前から厳しいトレーニングを重ね、実戦での結果を求め続ける。

今シーズンは参加22チーム中、14チームがシマノ製コンポーネントを使用する今シーズンは参加22チーム中、14チームがシマノ製コンポーネントを使用する photo:Makoto.Ayano
クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)のバイクに装備されたデュラエースDi2 STIとPROステム&ハンドルクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)のバイクに装備されたデュラエースDi2 STIとPROステム&ハンドル photo:Makoto.Ayanoベルキンプロサイクリングのバイクに組み込まれたデュラエースクランクベルキンプロサイクリングのバイクに組み込まれたデュラエースクランク photo:Makoto.Ayano

第100回目の開催を祝う今年のツール・ド・フランスは、近年では珍しく1歩も国外に出ない「ル・ツール100:100%フレンチ」を掲げる、計21日間・走行距離3403kmに渡るコースを設定。山岳や平坦などコースの内訳こそ例年と同様だが、名峰・ラルプデュエズへの2度に渡るヒルクライムや、ナイターレースとなる最終シャンゼリゼステージなど、記念大会にふさわしい非常に濃く、かつスペクタクルなプログラムが用意された。

そんな厳しいプロフェッショナルサイクリング界のトップレースで、選手やチームから最も高い信頼を得ているコンポーネントブランドがある。もの作り大国・日本が誇るシマノだ。

ベルキンプロサイクリングのバイクに組み込まれた9070系デュラエースDi2ベルキンプロサイクリングのバイクに組み込まれた9070系デュラエースDi2 photo:Makoto.AyanoベルキンプロサイクリングのバイクにセットされたPROのディスクホイールベルキンプロサイクリングのバイクにセットされたPROのディスクホイール photo:Makoto.Ayano

PROのエアロハンドルやステムをで固められたFDJ.frのTTバイク。フロントホイールはデュラエースC75PROのエアロハンドルやステムをで固められたFDJ.frのTTバイク。フロントホイールはデュラエースC75 photo:Makoto.Ayano
今回のツールでは、実に参加22チーム中で半数を超える14チームがシマノ製コンポーネントを採用している。その中でシマノが機材供給を行うのは、アルゴス・シマノ、ベルキンプロサイクリング、スカイプロサイクリング、オリカ・グリーンエッジ、FDJ.FR、BMCレーシングチーム、そしてレディオシャック・レオパードの7チーム。その他7チームは純粋なシマノスポンサードでは無いが、自らチョイスしてシマノ製品を使っている。このことは、シマノがいかに選手やチームからの信頼が高いかを証明するファクターと言えよう。

また、様々なバリエーションを誇るデュラエースホイールを使用するのは全6チーム。ハンドルやステム、シートポストなどのPRO製品は5チームが採用。更にカスタムフィットなどの導入で高性能を誇るシューズまでを含めると、実に多くの選手がシマノやPROの製品を使用している。スタート前に選手やバイクが集うヴィラージュでの存在感は際立っている。

ツール限定カラーのメタリックブルーのR320シューズも見られたツール限定カラーのメタリックブルーのR320シューズも見られた photo:Makoto.AyanoスカイプロサイクリングもPROのディスクホイールを使用しているスカイプロサイクリングもPROのディスクホイールを使用している photo:Makoto.Ayano

開幕4連勝を上げたデュラエースコンポーネント

地中海に浮かぶコルシカ島での3ステージと、風光明媚なニースでのチームタイムトライアルを終えた7月2日現在、シマノコンポーネントを使う選手は開幕から負け無しの4連勝を飾ってみせた。

ゴールゲートへのバス衝突事故と集団落車に混乱を極めた第1ステージでは、シマノがスポンサードするアルゴス・シマノの若手ジャーマンスプリンター、マルセル・キッテルが勝利。見事大会初のマイヨジョーヌの獲得に成功した。

第1ステージのゴールスプリントを制したマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)。デュラエースDi2コンポーネントにC50ホイール、ハンドルとステムはPRO第1ステージのゴールスプリントを制したマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)。デュラエースDi2コンポーネントにC50ホイール、ハンドルとステムはPRO photo:Makoto.Ayano
開幕ステージの勝利により、マイヨジョーヌを獲得したマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)開幕ステージの勝利により、マイヨジョーヌを獲得したマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ) photo:Makoto.Ayano第2ステージを1秒差で逃げ切ったヤン・バケランツ(ベルギー、レディオシャック・レオパード)。デュラエースDi2コンポーネントのバイクを駆る第2ステージを1秒差で逃げ切ったヤン・バケランツ(ベルギー、レディオシャック・レオパード)。デュラエースDi2コンポーネントのバイクを駆る photo:A.S.O.



第2ステージではレディオシャック・レオパードのヤン・バケランツ(ベルギー)による、劇的な逃げ切り勝利というドラマが生み出され、コルシカ最終日となる第3ステージでは接戦のスプリントの末にサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)が勝利。バケランツはマイヨジョーヌを守りきることに成功した。

そして迎えた第4ステージのチームタイムトライアル。機材の差が如実に現れるこの種目では、前日活躍を見せたオリカ・グリーンエッジがチームTT世界王者のオメガファーマ・クイックステップをほんの0.75秒上回っての勝利。選手自身の力に加え、デュラエースの優位性が証明されたといっても過言ではないだろう。この日オリカ・グリーンエッジは9070Di2コンポーネントに加えてPROのホイールやハンドル・ステムを使用している。

一方で序盤逃げに乗りレースを湧かせた選手の活躍も忘れてはならない。ベルキンプロサイクリングのラース・ボーム(オランダ)は開幕2ステージを連続で逃げ存在感をアピール。第3ステージで積極的に山岳ポイントを重ねたサイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)はこの日、軽量性と空力を兼ね備えたC35をチョイスして敢闘賞を獲得してみせた。

第2ステージで使用された、マイヨジョーヌの黄色があしらわれたマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)のバイク第2ステージで使用された、マイヨジョーヌの黄色があしらわれたマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)のバイク photo:Makoto.Ayano
マルセル・キッテルの使うPROのハンドルとステムは高い剛性を誇る。ドロップ部にはDi2のスプリンタースイッチも見えるマルセル・キッテルの使うPROのハンドルとステムは高い剛性を誇る。ドロップ部にはDi2のスプリンタースイッチも見える photo:Makoto.Ayanoこの日はマイヨジョーヌカラーのPROサドルもアッセンブルされたこの日はマイヨジョーヌカラーのPROサドルもアッセンブルされた photo:Makoto.Ayano

ステージ2連勝と同時にマイヨジョーヌを獲得したオリカ・グリーンエッジとサイモン・ゲランスステージ2連勝と同時にマイヨジョーヌを獲得したオリカ・グリーンエッジとサイモン・ゲランス photo:Makoto.Ayanoオリカ・グリーンエッジのTTバイクは、9070Di2、そしてPROのTTハンドル&ディスクホイールを使用するオリカ・グリーンエッジのTTバイクは、9070Di2、そしてPROのTTハンドル&ディスクホイールを使用する photo:Makoto.Ayano

第4ステージのチームTTへと駆け出していくオリカ・グリーンエッジの選手達。シマノとPROはこの日最高速で駆け抜けた彼らの出力を受け止め、無駄なく推進力へと変換していった第4ステージのチームTTへと駆け出していくオリカ・グリーンエッジの選手達。シマノとPROはこの日最高速で駆け抜けた彼らの出力を受け止め、無駄なく推進力へと変換していった photo:Makoto.Ayano

幅広いライダーチューンを可能とした9000系デュラエース

シマノ デュラエース9000グループセットシマノ デュラエース9000グループセット (c)Shimano
デュラエース使用選手のほぼ100%は昨年デビューを果たした9070系Di2コンポーネントを使用する。昨年大会ではホイール(WH-9000系)のみ先行して使用されていたが、9000系デュラエースコンポーネントがフルにツールに投入されるのは今回が初めてとなる。

Di2コンポーネントがツール・ド・フランスにデビューを果たしたのは2010年のこと。圧倒的なストレスフリーと雨にも揺るがない信頼性、そして整備性の高さはプロトンで認められ、急速に普及した。スイッチを押すだけで確実に変速してくれるその性能は、山岳ステージやタイムトライアルなど、極限の状態では大きなメリットとなっていることは間違いない。

9000系から4アームへと変更されたクランク9000系から4アームへと変更されたクランク photo:Makoto.Ayano11速化を遂げたことでギアの選択肢が大きく広げられている11速化を遂げたことでギアの選択肢が大きく広げられている photo:Makoto.Ayano

9070系最大のトピックスは、ギアを1枚追加し11スピード化を成し遂げたことだろう。カセットスプロケットにはこれまでを大きく上回るギアオプションが用意され、あらゆる状況に対応するライダーチューンが可能となった。コンピューターと接続することで変速速度や、連続シフトの段数を選手それぞれの好みに合わせてセッティング出来る。

更にオプションで設定されている「スプリンタースイッチ」や「サテライトスイッチ」「TTスイッチ」などは7090系より引き継がれ、よりバリエーションを増している。選択肢の広さはコンマ1秒を争うトップライダーのみならず、ホビーレーサーにも間違いなく大きなメリットとなる。

アルゴス・シマノのバイクに組み込まれたスプリンタースイッチアルゴス・シマノのバイクに組み込まれたスプリンタースイッチ photo:Makoto.AyanoTTバイクにアッセンブルされたスイッチ。各タイプが揃うTTバイクにアッセンブルされたスイッチ。各タイプが揃う photo:Makoto.Ayano

整備性の高さは各チームのメカニックが高く評価することろだ整備性の高さは各チームのメカニックが高く評価することろだ photo:Makoto.Ayano
次回ではシマノ製品を使う選手の活躍を追いかけつつ、ツールで使用されているデュラエースホイールやシューズにフォーカスを充ててご紹介していく。プロトタイプや未発表機材の紹介も合わせて行う。
提供:シマノ 企画/制作:シクロワイアード