シマノ・バイカーズの魅力はレースだけではない。メイン会場の富士見パノラマ周辺を走るツーリング・イベントも年々充実し、見逃せないイベントに成長している。今回は2日間合わせて14本ものツーリングが開催された。実走しての体験レポートをお届けしよう。

シングルトラックを抜けると再び林道へ。長い下りを爽やかな風を切って走る至福の時シングルトラックを抜けると再び林道へ。長い下りを爽やかな風を切って走る至福の時 photo:Shuji.Yamamoto

基本的にガイドについて走るため迷うことはないが、分岐点にはコースごとの行き先を記す親切な標識が特設されていた基本的にガイドについて走るため迷うことはないが、分岐点にはコースごとの行き先を記す親切な標識が特設されていた photo:Shuji.Yamamotoシマノ・バイカーズのツーリングは実走コースガイドでも紹介したとおり、11ものコースが用意された。
最長85kmのコースや、諏訪や高遠など隣町まで片道だけを走り、ピックアップサービスで帰るワンウェイツアーなど、本格的なコースも登場し人気を博した。また、富士見町をマイペースで走り、途中、グルメスポットで食事が楽しめるB級グルメツアーは、カップルや親子連れなどマイペースでまったり走りたい参加者でにぎわった。

そんな魅力的なツアーの中から、2日目に開催された『仏平峠トレイルツアー』を体験取材した。
ルートは約15km。その大半がトレイル(未舗装路)で構成されている。しかも、このイベントでしか走れない特別許可区を走れる点に惹かれた。

ツアー出発前、ガイドスタッフから、トレイルを走る際のマナーや注意事項について丁寧に説明されたツアー出発前、ガイドスタッフから、トレイルを走る際のマナーや注意事項について丁寧に説明された photo:Shuji.Yamamotoツーリングの部に用意されたゼッケンツーリングの部に用意されたゼッケン photo:Shuji.Yamamoto

スタート前には、トレイルを荒らさない走り方のコツや、コースを走る上での注意事項が丁寧に説明された。その後、数名のリーダーがグループを先導するスタイルで、12名の参加者と共に会場をスタートした。

この日は曇り空だったが、晴れればゴンドラから八ヶ岳を望めるこの日は曇り空だったが、晴れればゴンドラから八ヶ岳を望める photo:Shuji.Yamamotoゴンドラを使って山頂駅まで移動するため、辛い上りが少ないのがうれしいゴンドラを使って山頂駅まで移動するため、辛い上りが少ないのがうれしい photo:Shuji.Yamamoto

まずはゴンドラで山頂駅へ。残念ながら霧に覆われ目の前の八ヶ岳は望めなかった。そこから3kmほど、砂利とアスファルトの道を大阿原湿原まで上った。これがなかなかきつかったが、清々しい高原の気候の中、ウォーミングアップを兼ねていい汗をかけた。

すると驚くことに、上りきった湿原を望む広場にエイドステーションが出現した。スタッフが氷水で冷やした地元産のトマトやキュウリをふるまってくれた。これが美味いのなんの。夏野菜の深い味と冷たさが疲れと熱をサッと癒してくれた。感謝!

エイドステーションでは、地元で収穫された新鮮なトマト、キュウリ、セロリがふるまわれた。これが冷たくてうまいのだエイドステーションでは、地元で収穫された新鮮なトマト、キュウリ、セロリがふるまわれた。これが冷たくてうまいのだ photo:Shuji.Yamamoto小さな橋から川を覗いてみた。その流れの清らかなこと。足をつけて涼みたくなった小さな橋から川を覗いてみた。その流れの清らかなこと。足をつけて涼みたくなった photo:Shuji.Yamamotoエイドに用意された高原トマト。よく冷えて美味しかったエイドに用意された高原トマト。よく冷えて美味しかった photo:Shuji.Yamamoto

そこから先は、特別許可区のトレイルを行く。序盤は、笹の生い茂った車が通れるほどの幅の林道を行く。しばらく走ると森の中に潜むシングルトラックへ入る。このトレイルは、あきらかに人工的に作られたもの。それもマウンテンバイカーが使うために。

最後のエイドステーションは、シングルトラックを抜けた森の中に出現。気持ちのいい風が吹き抜ける最後のエイドステーションは、シングルトラックを抜けた森の中に出現。気持ちのいい風が吹き抜ける photo:Shuji.Yamamotoテクニカルなコーナーや、小さなドロップオフも出現する本格的なシングルトラック・エリア。腕が試されるテクニカルなコーナーや、小さなドロップオフも出現する本格的なシングルトラック・エリア。腕が試される photo:Shuji.Yamamoto

テンポ良く現われる小さなコーナーには、適度なバンクがついていて走りやすいのなんの。しかもダウンヒルだけ。かなり長いトレイルを気持ち良く楽しんだ。
コースプロデューサーの石丸英明さんの話では、このルートは、昔、荷物を運ぶために牛や馬を使って通った道をベースに組み立てたという。シングルトラックは、かつて地元のマウンテンバイクガイドの方が使っていたもので、今は立ち入りが規制されているため、富士見町から特別に許可をもらって使用したそうだ。
普段、使われていないだけありトレイルが荒れていないため、じつに気持ち良く本格的なトレイル・ライディングを楽しめた。

序盤のダブルトラック・エリア。まだ斜度は緩いので、隊列を組んで進んだ序盤のダブルトラック・エリア。まだ斜度は緩いので、隊列を組んで進んだ photo:Shuji.Yamamoto別荘地へ降りてきた一行。それまでの森の景色とは一変。洒落たログハウスや橋が出現し、だんだんと里の雰囲気になってきた別荘地へ降りてきた一行。それまでの森の景色とは一変。洒落たログハウスや橋が出現し、だんだんと里の雰囲気になってきた photo:Shuji.Yamamoto

長いダウンヒルを楽しむと、再びエイドステーションが現われた。涼しい森の木陰で、食べる新鮮なトマトやキュウリの美味しいこと。こんな主催者の心遣いがうれしかった。

そこから先は、林道を気持ちよく下り、別荘地を経由して田園風景が広がる里へ降りる。爽やかに揺れる稲や古い木造の家屋など里の風景が、山林とは違った癒しを与えてくれた。

富士見パノラマ近くに広がる田んぼや畑がある田園風景の中を走る。視覚的変化を楽しめるのもこのコースの魅力だ富士見パノラマ近くに広がる田んぼや畑がある田園風景の中を走る。視覚的変化を楽しめるのもこのコースの魅力だ photo:Shuji.Yamamoto

最後は、会場まで少し上るが、それも長い距離ではない。それほど長い時間をかけず、富士見町周辺の魅力を楽しめる良くまとまったコースだった。
レースもいいが、競技以外のマウンテンバイクの楽しさを手軽に味わえる機会として、今後、ツーリング・イベントの持つ意味もより大きくなっていくのではないだろうか?

大阿原湿原のエイドステーションで記念撮影。ここから楽しいダウンヒルがはじまる。ウィリーするのは野寺秀徳さん大阿原湿原のエイドステーションで記念撮影。ここから楽しいダウンヒルがはじまる。ウィリーするのは野寺秀徳さん photo:Shuji.Yamamotoゴール後、本部で配られた富士見町名産のヨーグルトドリンク。濃厚で美味しかった。ただ走るだけでなく、おもてなしの心にあふれた素敵なツーリングだったゴール後、本部で配られた富士見町名産のヨーグルトドリンク。濃厚で美味しかった。ただ走るだけでなく、おもてなしの心にあふれた素敵なツーリングだった photo:Shuji.Yamamoto


すべてのレースとツーリングが終わると、メインステージでは抽選会が行われ、完成車などたくさんのプレゼントが贈られたすべてのレースとツーリングが終わると、メインステージでは抽選会が行われ、完成車などたくさんのプレゼントが贈られた photo:Shuji.Yamamoto雨に降られることもなく2日間のイベントは無事終了。最後の抽選会では、協賛メーカーから何台もの自転車やグッズがプレゼントされた。そして、参加者の皆様は充実した笑顔で帰路に着いた。

シマノ・バイカーズフェスティバルは、いわゆる勝利絶対主義のレースではなく、家族で仲間で、誰もが気軽に参加してお祭り気分を楽しめる。もちろん最新のマウンテンバイクでなくても整備さえされていればOK。
こんな素敵なマウンテンバイカーにとって特別なイベントを21年も続けているシマノには敬意を表したい。そして、25年、30年と、さらに充実しながら継続してくれることを心から願う。


text&photo:山本修二 Shuji YAMAMOTO

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