7月23・24日に開催されるシマノ・バイカーズフェスティバルは、レースだけでなくサポート付きで楽しめるツーリングが人気だ。今回は今年のコースの詳細とお楽しみメニューを徹底的に事前ガイドしよう。本当のMTBの楽しさを味わえるツーリングの世界にようこそ!

入笠山山頂駅からは八ヶ岳連峰などが一望にできる入笠山山頂駅からは八ヶ岳連峰などが一望にできる photo:cyclowired.jp

シマノバイカーズフェスティバルに出たことがある人ならば、「入笠山や八ヶ岳山麓の林間をMTBで走ってみたい」と思われた方も多いのでは?あるいはツーリングをしたくてMTBを持っているという人も多いはず。そんな人たちのために取っておきのツーリングコースが用意されたのが、今年のシマノバイカーズフェスティバルだ。申し込みは6月20日まで。あとわずかしかない。今すぐ申し込もう!

ツーリングは11コース用意される
毎年充実していく本大会のツーリングコース。今年は場所や内容、難易度、日程別に11コースが用意された。
(大会開催期間 7月23~24日)

釜無林道ビューツアー 23日
里山ランチツーリング 23日、24日 新登場
入笠山天上トレッキング 23日、24日
法華道ワンウェイツーリング 23日 新登場
八ヶ岳グランツーリング・ロング 23日
八ヶ岳グランツーリング・ショート 23日
トレジャーハントツーリング・ハーフ 23日、24日
仏平峠トレイルツアー 24日
富士見町B級グルメツーリング 24日 新登場
杖突峠ワンウェイツーリング 24日 新登場
富士見KING OF MOUNTAIN ツーリングエンデューロ 24日

毎年超人気なのは「富士見KING OF MOUNTAIN ツーリングエンデューロ」。釜無林道のスペシャルステージ(SS)でタイム計測など、ステージ間はのんびりツーリングできる上級者向けコースだ。

そして今年新登場するのは4コース。走った後にバーベキューランチができるのが「里山ランチツーリング」と、周辺の味のスポットを楽しみながらツーリングできる「富士見町B級グルメツーリング」の2コースはまったくのMTB初級者でも安心して参加できる。ちなみに食券は1500円分が用意され、立ち寄るグルメスポットは公式サイトのこちらに紹介されている。

ゴンドラに乗っていざ山頂駅へ!ゴンドラに乗っていざ山頂駅へ! photo:cyclowired.jpこんな素敵な道が待っている!こんな素敵な道が待っている! photo:cyclowired.jp急坂を下ります。押して下る部分も急坂を下ります。押して下る部分も photo:cyclowired.jp高遠城址へループ橋を上ります。目が回りそう?高遠城址へループ橋を上ります。目が回りそう? photo:cyclowired.jpワンウェイツーリングとは?
今年のツーリングコースの目玉は、2つのワンウェイツーリングだ。1日目の23日に法華道ワンウェイツーリングが、2日目の24日には杖突峠ワンウェイツーリングがある。何が目玉かというと、まず、ゴンドラで入笠山山頂近くまで運んでもらえる!そしてコース終点から富士見パノラマの会場まではバスで運んでもらえる!
コースには大会期間中だけ特別に許可を得て入れる区間もあって、まさにこの大会だけでしか味わえない極上ツーリングルートなのだ。

今回はその2つのコースを実走取材したので皆さんに見ていただこう。

■■法華道ワンウェイツーリング 実走ガイド■■

7月23日(土)実施、定員80名、距離約29km、積算標高+215m/-1200m、ゴンドラ&シャトルバス、中級者以上

ゴンドラで山頂駅まで運んでもらい、入笠(にゅうかさ)牧場を経て法華道(ほっけみち)を走り、芝平(しびら)、小豆坂(あずきざか)を経由して高遠に至るコースです。基本は下りですが、3箇所のピークがあります。

ゴンドラで山頂駅まで
集合場所からすぐ近くのゴンドラ駅へ移動します。このゴンドラで入笠山へ上ります。ゴンドラ1基に2台2人まで載せることができます。きつい上りはこのゴンドラでパスしてしまいましょう。標高差700m以上を一気に上がって山頂駅へ。

降りるとそこは標高1775mの高地で、少しひんやりするほど。会場の麓から気温で5度ぐらい、都会の平地と比べたら10度ぐらいは低いのです。
真夏に行われるこの大会ですが、その時期でも山頂駅の気温はせいぜい25度ぐらいと別世界です。天気がよければ雄大な八ヶ岳連峰が眼前に広がります。ちなみにここには「恋人の聖地展望台」があり、夕方以降はLEDの光が灯るそう。夫婦やカップルで改めて行くのもおススメです。

入笠牧場を通る
山頂駅から進むと舗装路を2kmほど走ります。ここの数百メートル、実は上りです。しかもけっこうきつい。勾配にして10%ほど? まだ序盤なのでここはペース配分を考えましょう。マイペースで上ればいいウォーミングアップになります。大きな望遠鏡のドームがあるマナスル山荘の前を通ると本当の頂上です。

このあたり、両側は牧草地帯。そう、入笠牧場なのです。夏の間は乳牛や肉牛が放牧されます。道路の途中には「テキサスゲート」があります。間隔の広いグレーチングですが、これは牛が出られないような仕組みになっています。鹿追のワナもあって、野生の鹿はここでは害獣なのだと認識できます。

御所平から法華道へ
入笠牧場からのダブルトラックを数百メートル走ると、いきなり右手の山道へ。ここからが法華道です。甲斐の国と信州伊那谷を結ぶ道で、法華経伝来の足跡を今に伝えることからこの名が付いたそうです。入り口には「MTB乗り入れ禁止」の看板がありますが、本大会にのみ入山が許可されています。普段は走れないのでご注意!

こんなところに家が!下は芝平の集落、自然と共存していますこんなところに家が!下は芝平の集落、自然と共存しています photo:cyclowired.jpここからはシングルトラックです。しかも上り!上級者でも完全乗車は無理でしょう。迷わず押したほうがラク。15分ほど押し上げると御所平峠に出ます。林間の峠です。ここから基本は下りですが、部分的には押して下るハードなところも。道はシングルトラックからやがてダブルトラックの下りへ。道のわだちの山をうまく使えば下り標高差700mの豪快なダウンヒルが楽しめます。

芝平から小豆坂へ
ダウンヒル途中でいきなり視界が開けて左下に集落が見えてきます。ここが芝平です。いい撮影ポイントになりますね。撮影時は、上から下ってくる人のことを考えて、自転車も人も道の端に!
ダブルトラックを下り終えるとそこにはシマノカーが停まっています。なんと水と簡単な補給食が積んであるのです。全行程6時間ほどのツーリングですが、こういった配慮があるのでボトルは1本で足りるかも(もちろん頑張る人は2本持参しておきましょう)。

トイレポイントを経由して山室川沿いの舗装路を約9km下っていきます。ここは道が細く見通しの効かないところもあるので、くれぐれも対向車に注意しましょう。バスも通ります。そしていきなり右手にコースをとります。
ここからこの日最後の上り、小豆坂の上りです。舗装路面から未舗装のダブルトラックに変わります。勾配もかなりあり、10%近くある部分も。マイペースで上りましょう。ここでかなり追い込んでも、あとは下り基調なので大丈夫。上りきるとそこは小豆坂の峠。実はトンネルが下を通っているのですが、あえて未舗装の峠道を行くのがサイクリストですね!

芝平で補給です。水と補給食をゲット芝平で補給です。水と補給食をゲット photo:cyclowired.jpゴールの高遠へ
小豆坂から高遠方面へダブルトラックの林道を下ります。実はここの林道が曲者。下りなのですが、こがないと進んでくれない下りなのです。この区間、かなりのエネルギーを使うはず。少なくとも筆者はここでバテました!
ひたすらこいでこぎまくって下って、国道152号に出ます。するとなぜだか安堵感が。やはり適度な疲労感があって、はじめて走り応えというものが感じられますね。

ゴールは高遠のループ橋下です。オプションで高遠城址公園まで行けます。戦国時代の高遠城を中心にした公園で、4月にはコヒガンザクラが満開になる桜の名所です。青々とした桜の木が私たちを迎えてくれます。そして迎えのバスに乗って会場へ戻るのです。

走り終えると、「中級者以上」という意味がわかります。ゴンドラに乗って帰りはバスという、MTBのいいとこ取りをしたコースですが、それなりに上りはあるし、下り区間のテクニックもある程度要求されます。最低でもオン・オフ問わず週1回以上は自転車で走っている基礎体力は必要と思いました。それだけに走り終えたときの疲労感は、何物にも変えがたい達成感です。


■■杖突峠ワンウェイツーリング 実走ガイド■■

7月24日(日)実施、定員80名、距離約24km、積算標高+280m/-1300m、ゴンドラ&シャトルバス、中級者以上

入笠牧場から遠く中央アルプスまで望める入笠牧場から遠く中央アルプスまで望める photo:cyclowired.jp

ゴンドラで山頂駅まで行き、入笠牧場を経て千代田湖、杖突峠、そして諏訪大社へ至るルート。基本は下りで小さなアップダウンと、舗装路の上りがあります。

林間の舗装路を進む林間の舗装路を進む photo:cyclowired.jp林間からは諏訪や茅野の町並みが林間からは諏訪や茅野の町並みが photo:cyclowired.jp千代田湖畔で休憩。時間のたつのも忘れます千代田湖畔で休憩。時間のたつのも忘れます photo:cyclowired.jp杖突峠展望台からの眺めは必見!杖突峠展望台からの眺めは必見! photo:cyclowired.jp山頂駅から池ノ平へ
法華道コースと同じく、ゴンドラで山頂駅まで登ります。途中に富士見パノラマが誇るDHコースを眼下にしながら標高を稼ぎます。天気がよければもちろん八ヶ岳連峰も望めます。山頂駅を降りての舗装路を進めると現れる上りもマイペースで行きましょう。まだまだ序盤、ペース配分はしっかりと。

頂上を越えてから舗装路を右折していよいよ諏訪方面を目指します。高原の気持ちよい舗装路の周辺一帯は入笠牧場です。360度の視界が開けるところもあり、南アルプスや中央アルプスが一望できます。
舗装路を5kmほど進み、今度は左折して未舗装路に入ります。下り基調で明るい林間を進みます。このあたりが池ノ平です。

千代田湖で休憩
緩めのアップダウンや舗装・未舗装路を進めると看板が。「信玄公ゆかりの地 金鶏金山」とあります。今から450年前の武田信玄公の時代の金山だそうです。周辺には採掘跡などがあります。当日はコースの時間調整で現場を見ることができるかもということです。

気持ちよい砂利道を行くと千代田湖畔に出ます。ここで休憩タイム。トイレもあります。シマノカーが停まっていて、水と簡単な補給食を準備してくれます。せっかくなのでボトルに水を入れておきましょう。まだまだ先はありますから。

杖突峠へ 展望台は最高の眺め!
千代田湖を出発すると舗装路面になります。車も時々通るので前をよく見て走りましょう。そしてゴルフ場を横に見ながら坂を上っていきます。ここがこのコースで最もきつい上り区間です。路面はきれいに舗装されていますが、勾配がきつい!やはり10%ほどあるようです。迷わずローギアにして上りましょう。でもここをクリアすれば、あとは諏訪へ下るだけ。かなりの体力を使っても大丈夫!

坂の頂上をクリアして少し下ると国道152号の杖突峠に出ます。そう、「出る」のです。今まで大体尾根沿いを走ってきたので、下ってきたところが国道の峠なのです。
国道152号を諏訪方面へ1kmほど進むと茶店があります。ここの展望台で見たいときは100円を入れてから行きましょう。そこは眼下に諏訪盆地を一望にし、そして八ヶ岳連峰から霧ケ峰方面まで見渡せるのです。こんなに高いところまで楽しく来れるのも、ゴンドラに乗ったからなんですね。

ゴールの諏訪大社前宮へ
展望台横から林道を諏訪方面へ降ります。ここからゴールの諏訪大社前宮まで標高差400mのダウンヒルです。がけ崩れや倒木などある荒れた林道なので、スピードはそれほど出せませんがスリル満点です。車の通らない手入れされていない林道です。切り株なども多くハンドルを取られるので、しっかりと路面を読んで走ります。基本は前走者を信頼しないこと、自分の責任でラインを取ることですね。

途中で小川にかかる木橋を渡ります。軽四輪が通れるらしいのですが、ちょっとだけスリルがあります。やがて舗装路に出ると諏訪大社前宮へ到着です。御柱祭で名高い場所ですね。ふだんは静かなところです。ここで迎えのバスに乗って会場の富士見パノラマまで戻ります。

自転車選びとウェアのオススメ

MTBはフルサスが一番、楽しめますMTBはフルサスが一番、楽しめます photo:cyclowired.jpここで紹介した2つのコースとも中級者以上で考えられています。MTBに限らずロードなど、ある程度自転車を走っているだけの体力と技術が要ります。上りの体力や下りの技術はもちろんですが、転んだときのリカバーも必要なのです。すばやくペダルを外したり、うまく転んで受身をするなどで怪我を防ぐことができます。上級者には物足りないコースかもしれませんが、どんな人でもなめてかかってはいけません。

MTBは前後ともサスペンションのあるフルサスタイプが断然有利です。良くできたフルサスモデルならばそれほど重くないし、何よりも楽しめます。突然現れるギャップなどを簡単に乗り越え、林間の下りがこの上もなく楽しいものになります。タイヤの空気圧やサスペンションの調整などは、同行するベテランのガイドさんに相談してもいいでしょう。

携行品はまずボトルを最低でも1本。できれば水(スポーツドリンクでない)を用意したいところ。傷口を洗うのにも役立ちます。そしてパンク修理セットやポンプ、アーレンキーなどの最低限の工具。それらをサドルバッグやジャージのポケット、小さめのザックへ入れましょう。重いザックは腰が痛くなり、大きいザックは倒木をくぐるときにひっかかったりするのです(筆者経験済み!)。

ウェアは天候次第ですが、晴れていても高地なので天候が急変するときもあります。ウインドブレーカー程度は持っておきましょう。下草や枝対策で、レッグ&アームカバーをしてもいいでしょう。夏場用の紫外線よけ加工されたものが快適(今回筆者使用)。もちろんヘルメットとグローブは必携です。シューズとペダルは、シマノSPDなどのビンディングがいいですが、普段からフラットペダルを使っているならば、上りが少ないのでこれもアリですね。


きつい上りはゴンドラでパスして、帰路はバスに揺られてと、なんと贅沢なツーリングなのでしょうか。心強いサポート付きで、オイシイところだけを選んだ極上のコース。今夏はぜひシマノ・バイカーズで一味違ったMTBツーリングを楽しみましょう。


photo&text:高木秀彰

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