さて、巷では僕のことを「自転車も組み立てられる塗装屋」なんて言われてるみたいですが、ナニナニ~~...。これでもTEAM NIPPOを支えるメカニック3人衆の長です! 単に年齢順ですけど!

塗上がったフレームを最高の技術で組み上げていこう!

ちなみにカツリーズでフルメンテナンスをオーダーすると、フレームの各部全てのねじ切りからやり直すんです。
やっぱり長年ストレスが加わり放しの所なんで、せっかく分解したんだから、ちゃんとやんなきゃね!

カンパニョーロ工具での組み立て

モチロン工具はキャンパニュョ~ロ!(=Campagnolo) この工具無しで自転車を組み上げることなんて、僕には考えられない! 手にしただけで分かる超高精度は、自転車工具の最高峰だ。

BBの再タップ立て。カンパ工具で施すと精度が違ってきますBBの再タップ立て。カンパ工具で施すと精度が違ってきます リアエンドの再タップ立て メカがビシっとつきますリアエンドの再タップ立て メカがビシっとつきます


回転最高! マイクロロングリスでの調整

塗り替えの前に取り外してバラした全てのパーツは洗浄済みだ。新品の時と同じ輝きと性能を取り戻している。パーツの組み付けに使用するグリスは、僕が絶対的な信頼を置く、マイクロロンのアッセンブル・ルブリカントだ。2オンス(56g)で¥8,400(税込)もするって、高性能と同時に価格も桁外れの高級グリスだ!

絶対的な信頼多くグリス「マイクロロン アッセンブル・ルブリカント」絶対的な信頼多くグリス「マイクロロン アッセンブル・ルブリカント」

何人かの競輪選手が大切なレース前に、必ず回転部の調整に僕のところへやってくる。彼たちのお目当ては、このグリスでの調整なのだ。
自転車を組むことは確かに誰にでもできる。しかし、細かな配慮と、かける「一手間」にこそ、プロフェッショナルとアマチュアの差があるのだ。

傷つきを防ぐシリコン保護チューブ

せっかくお色直ししたシクロワイアード号。飾るだけじゃなく、実際に乗って貰いたい。しかし折角の塗装がアウターワイヤーで擦れて傷ついちゃったら、悲しい...。新車のときから気になるところだ。

カツリーズではオリジナルのシリコンチューブを製作し、プロテクターとして使用している。半透明なので、装着しても目障りにならない逸品。綺麗な状態で永く乗って貰いたい。そんな思いを込めているんです。

塗装の傷つきを防ぐシリコン保護チューブ塗装の傷つきを防ぐシリコン保護チューブ

握れば向日葵が見えるクリアバーテープを

約3時間ほどをかけて組み上げられていくロードバイク。いよいよ作業も終盤へ。バーテープを巻き上げる時が来た。しかし、ハンドルにはせっかく向日葵の写真を貼り込んだのに、上からバーテープを巻いたんじゃ見えなくなってしまうよ!
な~んて、ご心配無用!
透明なCinelliのJELLY ROBBONを巻くことを最初から考えていたからだ!

ハンドルに描かれた向日葵のグラフィックスを隠さないクリアバーテープハンドルに描かれた向日葵のグラフィックスを隠さないクリアバーテープ

さらにディテールの追求心は弱まる事は無い。バーテープの最後に「解れ防止」の為に巻かれるエンドテープは、何処のメーカーも黒色に自社のロゴマークが入っているだけ。それじゃ面白くない。カツリーズでは常時3デザイン、20色の計60種ものエンドテープを用意している。
可愛い編集長には、ハートパターンのグリーンをセレクトだね!(笑)

バーテープ末端はハートマークのテープでキメっバーテープ末端はハートマークのテープでキメっ フレームカラーに合わせられるように数種類をラインナップしていますフレームカラーに合わせられるように数種類をラインナップしています


ワイヤー末端はハンダづけ処理

変速機の調整も終わり、ワイヤーをカット! でも僕はワイヤーキャップを使わない。これもプラスひと手間なんだけど、必ずハンダづけしている。最近は、こんな仕事をするサイクルショップは激減中だ。でも、仕上がりの格好がいいこともそうなんだけど、実際に便利なのだ!

ワイヤー末端バラケ防止処理はキャップでなくハンダづけで処理ワイヤー末端バラケ防止処理はキャップでなくハンダづけで処理

ワイヤーのハンダ処理についてはエピソードがある。あれは確か2001年の東日本実業団ロードレースでのこと。あと5分程でスタートするって時に、当時TEAM NIPPOに所属していた広瀬敏君が「ナリタさ~ん、後ろの変速機が全く動きません...助けて~」って来た。この年僕はTEAM NIPPOのメカニックでなく、後にオリンピック選手となるカラミッチ(唐見実世子選手)のサポートで群馬CSCに行っていた。

しかしそんな事、言ってらんない。何とかしてあげなきゃ。変速機を見たところ、アジャスターボルトが根本からポッキリ折れている! これじゃー動きません。
でも、助かったことは広瀬君は同郷で、普段から僕が自転車整備をしていたこと。つまりワイヤーはキャップでなくてハンダづけされていたんです。

スタートまでの時間を確認し、アジャスターを交換。ギリギリスタート時間に間に合った事を覚えている。
これ、もしワイヤーも交換って事になっていたら...彼はスタートに並べなかった。ヒュ~寒....。

オリジナルバーエンドでキメッ!

さて、最後のお仕事。バーエンドを取り付けて完成! バーエンドにも悪戯してみた。綾野編集長の座右の銘?「根性!」「闘魂!」この言葉を描き、シリコンコートして出来上がり!(笑)

バーエンドにはちょっとしたアソビを(笑)バーエンドにはちょっとしたアソビを(笑)


野菜のラベルデザインなんかもやっています

僕のデザインは、とっくに自転車の世界を飛び出しています。例えば加賀野菜。写真は早朝の金沢中央市場場内にて。お正月の縁起物「くわい」のラベルのデザインをしました。全国のイオングループ店頭に並んだデザインです。

イオングループに並んだ「加賀野菜・くわい」のパッケージイオングループに並んだ「加賀野菜・くわい」のパッケージ 青果市場にて。くわいのパッケージをデザインするための下見です青果市場にて。くわいのパッケージをデザインするための下見です


他にもレストランの看板やメニュー、アンティークショップなんかの総合デザインも請け負っています。あ、「自転車も組み立てられる塗装屋」って言われてもしかたない??

完成したシクロワイアード号の細部は、次回スタジオ撮影した写真にて隅々までお楽しみいただきます。お楽しみに。




成田 加津利(カツリーズサイクル)成田 加津利(カツリーズサイクル) プロフィール
成田 加津利(なりた かずとし)


1967年11月27日生まれ(ブルースリーと同じ日である事が自慢)。文化系の生い立ちで美術系への進学を試みるが、ことごとく失敗。その反動で、体育会系へ転身。

高校時代にピスト競技で日本一に輝き、実業団へと進む。ツール・ド・北海道や国際大会で入賞し、平成元年に競輪へと進む。2000年に現役を引退し、現在のショップ「カツリーズ」を開業。

同時に選手指導への思いも強く、アテネオリンピック代表の唐見実世子を育成。現在も石川県のヘッドコーチを務める。メカニックとしても活躍し、現在はNIPPO COLNAGOに所属。過去にはジャパンナショナル、愛三工業、EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン、ブリヂストン・アンカーでもスポットでメカニックを努めた事がある。

デザイナーとしては自分が選手として参加した、石川インターハイのパンフレットや、グッドデザインにも輝いたナカガワサイクルワークスの初代チームジャージを手がけている。ちなみに現在のカツリーズサイクルのカツリは、中川茂氏が間違えて読んだ事からニックネームとして定着。開業時に相談したところ、「カツリで行け!」と、かん高い声で名付けたという(分かる人には分かる話!)。

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