静岡県の浜松を拠点にサイクルツーリズムの魅力を発信する施設「はままつペダル」が社会実験を経て新装オープン。E-bikeもあるレンタサイクルが可能で、浜名湖一周「ハマイチ」や浜松での自転車散策のベースとなる施設の概要を訪問レポートしよう。



湖を眺めながら気持ち良く走る浜名湖一周サイクリング「ハマイチ」湖を眺めながら気持ち良く走る浜名湖一周サイクリング「ハマイチ」 (c)はままつペダル
静岡県浜松市の市街地の回遊性向上や自転車を観光振興に生かすことを目的に、浜松市の都市型レンタサイクル社会実験の拠点として誕生した「はままつペダル」。今年1月からは民間による運営となり、遠州鉄道浜松駅の高架下にある「浜松魅力発信館The GATE」内に移転し、本格営業が始まった。レンタサイクルを核に、サイクリングなどで訪れた利用者に浜名湖一周をはじめ地域の観光情報を提供する拠点として期待されている。

The GATEの一角にあるはままつペダル。同館内にはNHK大河ドラマ「いだてん」のPRを行うコーナーや、浜松のマリンスポーツの魅力を発信するコーナーもあるThe GATEの一角にあるはままつペダル。同館内にはNHK大河ドラマ「いだてん」のPRを行うコーナーや、浜松のマリンスポーツの魅力を発信するコーナーもある photo:Masanori.Asano
はままつペダルがある遠州鉄道浜松駅高架下の浜松魅力発信館The GATE。JR浜松駅からも近くアクセスも良好だはままつペダルがある遠州鉄道浜松駅高架下の浜松魅力発信館The GATE。JR浜松駅からも近くアクセスも良好だ ロードバイクはカーボンフレーム、アルミフレームが用意されている。「カーボンバイクを一日試乗してみたい」というニーズにも対応するロードバイクはカーボンフレーム、アルミフレームが用意されている。「カーボンバイクを一日試乗してみたい」というニーズにも対応する


Eバイクもある充実のレンタサイクル

浜松駅前の商業ビルが建ち並ぶ一角に建つ、浜松の魅力をあらゆる角度から発信するための施設「浜松魅力発信館The GATE」。その一角に、数年に及ぶ社会実験期間を終え、本格営業を始めたはままつペダルがある。

テナントの正面にレンタサイクルが並び、シティサイクルやクロスバイク、小径車、ロードバイク、Eバイクなど多彩な車種が並ぶ。もちろんこれらはレンタサイクルとして供されているバイクだ。バイクは表に出されているもの以外にもあり、全車種の合計で70台ほどあるという。

施設内には休憩スペースが設けられており、自転車専門雑誌などを読むことができるほか、パソコンも利用できる。情報収集にも活躍しそうだ施設内には休憩スペースが設けられており、自転車専門雑誌などを読むことができるほか、パソコンも利用できる。情報収集にも活躍しそうだ
「利用者のほとんどは県外の方ですね。それもスポーツバイク乗りではなくて、出張や観光で訪れた方が移動の手段として自転車をレンタルするケースが全体の半数を占めます」と、はままつペダルマネージャーの柳本静宏さん。中にはEバイク目当てでやってくるお客さんもいるという。

Eバイクもレンタル可能。ヤマハのYPJシリーズはクロスバイクタイプやロードバイクタイプ、MTBタイプとあらゆるモデルが用意されているEバイクもレンタル可能。ヤマハのYPJシリーズはクロスバイクタイプやロードバイクタイプ、MTBタイプとあらゆるモデルが用意されている スポーツタイプのレンタサイクルはたくさん用意されているスポーツタイプのレンタサイクルはたくさん用意されている


「最近のEバイクはバッテリーの持続距離も長くなっていて、巡航距離が100km以上持つものもありますから、ここを拠点に浜名湖を一周して帰って来ることもできますね。これから暖かくなってくれば、スポーツサイクルの利用者がもっと増えるのではないでしょうか」

“ハマイチ”をはじめ浜松のサイクリング拠点として期待

のどかな湖畔を走れる浜名湖一周サイクリングのどかな湖畔を走れる浜名湖一周サイクリング (c)はままつペダル
浜松は“ハマイチ”の愛称のある人気コース、浜名湖一周だけでなく、上りごたえのある天竜峡方面にルートを引くこともでき、サイクリングの好適地と言える。将来的には千葉から和歌山に至る全長1400kmを誇る日本最長の自転車道・太平洋岸自転車道のルートでも自転車ナビマークの設置などの整備が順次進むはずだ。

浜松市内も自転車散策に最適だ浜松市内も自転車散策に最適だ (c)はままつペダル静岡ならではのお茶畑を眺めて走る静岡ならではのお茶畑を眺めて走る (c)はままつペダル


はままつペダルは、浜松駅の近くにあるという利便性もあり、レンタサイクルの利用者はもちろん、輪行でやってきてサイクリングを楽しむ観光客の利用も期待できる。施設にはコインロッカーも設けられていて、サイクリング中に必要ない荷物を有料で保管できる。また、コインロッカーに入らない大きな荷物も有料で預かってもらえるという。

レンタサイクル利用者は無料でヘルメットを借りることができる。ヘルメットだけのレンタルは1つ200円レンタサイクル利用者は無料でヘルメットを借りることができる。ヘルメットだけのレンタルは1つ200円 ハマイチや市内の観光に関するパンフレットも無料で提供されているハマイチや市内の観光に関するパンフレットも無料で提供されている


はままつペダルでは、浜松の観光情報を紹介したパンフレットやハマイチのマップなども無料で配布していて、浜松を拠点としたサイクリングの情報が得られるスポットとしても機能する。また、タイヤチューブの販売を行うほか、空気入れや工具を借りることもできるので、輪行中にトラブルに見舞われてしまったときにも助かりそうだ。

新名神・新東名の開通で首都圏や関西圏から浜松へのアクセスも向上したことにより、ハマイチを日帰りで楽しむ人も増えそうだ。ハマイチは時速20kmで走っても4時間ほどで走れ、これらのエリアからも日帰りで十分ハマイチを楽しむこともできるからだ。

タイヤチューブも販売されている。ロードバイクの700Cサイズのほか、小径車用も用意されていたタイヤチューブも販売されている。ロードバイクの700Cサイズのほか、小径車用も用意されていた ハマイチのオリジナルデザインのピュリストボトルも販売されている。ハマイチ達成記念にいかが?ハマイチのオリジナルデザインのピュリストボトルも販売されている。ハマイチ達成記念にいかが?


「浜松は餃子やうなぎなどのグルメで有名ですが、浜名湖ではスッポンの養殖も盛んなんです。こうした浜松の魅力とともにハマイチをより多くの方に知っていただけるよう、ビワイチ(琵琶湖一周)やカスイチ(霞ヶ浦一周)とともに、“湖を一周するサイクリングコースを擁する”という共通点があるエリア同士でお互いのパンフレットを施設に置くなど相互PRを始めています。いずれはイベントなどで交流できればと思います」。

浜松のゆるキャラ「出世大名家康くん」「出世法師直虎ちゃん」の自転車レンタルも浜松のゆるキャラ「出世大名家康くん」「出世法師直虎ちゃん」の自転車レンタルも (c)はままつペダルはままつペダルのマネージャー・柳本静宏さん。浜松市自転車競技連盟や浜松自転車協会の監事も務めるはままつペダルのマネージャー・柳本静宏さん。浜松市自転車競技連盟や浜松自転車協会の監事も務める photo:Masanori.Asano


今後はオリジナルイベントの充実を

はままつペダルでは、レンタサイクルの他にガイド付きサイクリング「ガイドライド」も行っている。このガイドライドは、イベントを企画して参加者を募って行うもののほか、利用者のサイクリングのサポートを行うサポートサイクリング、利用者の要望に応える形でコースを提案し、案内もしてくれるオーダーメードサイクリングなど、さまざまな形態に対応する。また、WEBサイト上では、浜松市の町中観光や主な観光施設を巡るコース、スタッフおすすめのサイクリングコースも案内している。

「はままつペダルがリニューアルオープンしたのが冬だったので、オリジナルイベントの開催はまだまだこれからというのが実情。サイクリングコースもこれからもっと充実させていきたい」
と柳本さんは話す。イベントはホームページやフェイスブックでチェックしたい。素晴らしい自転車環境の浜名湖周辺のサイクルツーリズムの拠点となるはままつペダルの今後の展開に期待しよう。

はままつペダル 施設概要
営業時間:9:00〜18:00(貸出し終了時刻16:00)
※3月中旬〜11月中旬の土日祝日 は8:30〜18:30(貸出し終了時刻16:00)
定休日:年末年始
電話:080-3652-3196

●レンタサイクル利用料
クロスバイク(スポーツ):4時間1200円、1日1800円
Eミニベロ・Eバイク(YPJ-C):4時間1500円、1日2800円
ロードバイク(アルミ)・Eバイク(YPJ-R):4時間1800円、1日3000円
ロードバイク(カーボン):4時間2400円、1日4000円
Eバイク(YPJ-EC):4時間2800円、1日4500円
ほか
※料金は会員料金。会員登録は入会金・年会費無料で即日入会が可能
※宿泊など連日のレンタルにも対応(受付時に相談)
※レンタサイクル利用者は無料でヘルメットのレンタルも可能

●施設利用料
コインロッカー:小サイズ200円/1日、中サイズ300円/1日
荷物預かり:300円/1日


photo&text:Masanori.Asano