大分県の国東半島を巡るサイクリングルート「仁王輪道(におうりんどう)」完成を記念した走行会が開催された。大分大学の自転車部出身である今中大介さんらを招き行われたライドの様子をレポートしよう。



国東半島を巡るサイクリングルート「仁王輪道(におうりんどう)」完成を記念した走行会が開催された国東半島を巡るサイクリングルート「仁王輪道(におうりんどう)」完成を記念した走行会が開催された
皆さんは国東半島をご存知だろうか。私は読み方すら知らず、今回の取材にアサインされてから初めて国東と書いて「くにさき」と読むことを知った。確かに”くにひがし”やら”こくとう”では音的にスマートでない気がするのでこれがベストなんだろう。ウェブで調べてみると古代に天皇がこの地を訪れ「国の東の先」とか言ったとか言わないとか。気になる方は調べてみて欲しい。

国東半島サイクルルート 仁王輪道 ロゴ 国東半島サイクルルート 仁王輪道 ロゴ 場所は大分県の北東側。九州から瀬戸内海に丸く突き出た半島はまるでたんこぶのような形だ。半島全体が綺麗な円をしているのは標高721mの両子山を始めとする火山群により形成された火山地形が理由であり、丘陵地と谷が海岸に向かい放射状に伸びている。そのため内陸部はアップダウンの続く山地となっており、北部の海岸線は入り江と岬が連続するリアス式海岸だ。

そんな山と海の自然溢れる国東半島にこの度「仁王輪道(におうりんどう)」というサイクリングルートが制定された。海側を楽しむ40kmほどの初心者向けコースから、内陸部のアップダウンを含む130kmほどのロングコースまで、全9種類のバリエーション豊かなルートだ。それぞれで国東半島の魅力を存分に堪能することが出来るサイクルルートに仕上がっている。

国東半島サイクルルート「仁王輪道」

仁王輪道のマップ。国東半島の魅力が詰まった9つのサイクリングコースが制定された仁王輪道のマップ。国東半島の魅力が詰まった9つのサイクリングコースが制定された 仁王輪道公式サイトより

この「仁王輪道」という名前は、神仏習合発祥の地として知られる国東半島で地元の人に長く親しまれてきた仁王様にあやかっている。半島内には300体以上の石造仁王像があり、地域の人たちに親しまれているという。仁王様のように長く愛され、時に力強く走って欲しいという思いを込めたサイクルルートとなっている。ちなみに今回の走行会にも石造仁王様がいくつか登場するポイントがある。

走行会に先立ち、公式ウェブサイトも公開。各々のコース詳細や、コース上にある観光スポット、工具や空気入れ、レンタサイクルを借りる事が出来るサイクルオアシスなどの情報も記載されている。国東半島をサイクリングする上で必要な情報のすべてが詰まっているサイトだ。詳細はこちらの公式ウェブサイトをチェックして欲しい。

大分大学に自転車部を創部した今中大介さん。今中さんの歴史は大分から始まったと言っても過言ではない大分大学に自転車部を創部した今中大介さん。今中さんの歴史は大分から始まったと言っても過言ではない 元MTBマラソン日本代表であり、自転車ブランドBike is Lifeを立ち上げた山田大五郎さん元MTBマラソン日本代表であり、自転車ブランドBike is Lifeを立ち上げた山田大五郎さん

元香港代表で現在はPeaks Coaching Groupのトレーナーであるケン・ウェグさん元香港代表で現在はPeaks Coaching Groupのトレーナーであるケン・ウェグさん 大分県北地域を中心に活動するチームエスカルゴがライドをエスコートしてくれる大分県北地域を中心に活動するチームエスカルゴがライドをエスコートしてくれる


今回行われたのはそんな「仁王輪道」の完成を記念した走行会。半島の北部の豊後高田市にある昭和の町を出発し、半島外周を沿岸沿いに国東市、杵築市、と経由し日出町の城下町まで走る総距離約90kmのライドだ。参加者は地元のサイクリストの方やゲストライダーなど29名が招待された。

集合場所は豊後高田市にある昭和の町。昭和30年代の商店街の姿をイメージした人気の観光スポットで、古き良き時代にタイムスリップしたかのような感覚になれる。昭和ロマン蔵には昔懐かしの展示品が出迎えてくれる他、サイクルオアシスとしてレンタサイクルも完備しており、ここを起点にサイクリングを楽しむ事が出来る。

今中大介さんを先頭に「仁王輪道」完成記念ライドがスタート今中大介さんを先頭に「仁王輪道」完成記念ライドがスタート
ライド前のセレモニーには豊後高田市の市長も来場。「サイクリングを通じて地域の交流がより活発になることを期待している。国東半島に伝わる独自の宗教文化である六郷満山文化なども堪能して欲しい。」と挨拶。このサイクルルート策定を機にサイクルツーリズムに力を入れていきたいということで、市町村の期待度も窺える。

ゲストライダーは元香港代表で現在はPeaks Coaching Groupのトレーナーであるケン・ウェグさん。元MTBマラソン日本代表であり、現在は九州で自転車ブランドBike is Lifeを立ち上げた山田大五郎さん。そして大分大学で自転車部を創部した経緯を持つ、言わずと知れた自転車界のレジェンド、今中大介さんだ。

海岸線を行くライドグループ海岸線を行くライドグループ
夕日が綺麗な真玉海岸で記念撮影。夕暮れ時には美しい夕焼けを見ることが出来る夕日が綺麗な真玉海岸で記念撮影。夕暮れ時には美しい夕焼けを見ることが出来る 岬から周防灘が一望できる岬から周防灘が一望できる


粟嶋公園にある縁結びのモニュメント粟嶋公園にある縁結びのモニュメント
スタート前の記念撮影をこなしたらライドスタート。一路、沿岸方面へ走り出していく。スタート地点の昭和の町から景勝地として知られる真玉海岸までは10km弱の道のりだ。真玉海岸は日本の夕日百選にも選ばれる美しい夕焼けを眺めることができる海岸。遠浅なため、干潮時には干潟が顔を覗かせ、夕日とのコントラストが美しいのだとか。今回は朝方に立ち寄るスケジュールなため夕日こそ見れなかったものの、美しい海を目にすることが出来た。

そのまま海岸線沿いにペダルを回していく。入り江と岬が連続するリアス式海岸に沿った沿岸路はアップダウンの連続。サイクリストが大好きなアメとムチ状態で飽きることがない。加えてこの国道は通称「恋叶ロード」とも呼ばれており、縁結びの神様である「粟嶋社」や季節になると菜の花やひまわり咲き乱れる「花とアートの岬・長崎鼻」などロマンチックなスポットが連続する。

国東半島は起伏が激しくトンネルが連続する区間も国東半島は起伏が激しくトンネルが連続する区間も
今回のライドでは最初のエイド休憩として粟嶋社のある栗嶋公園に立ち寄ることに。周防灘を眺める絶景が楽しめ、園内にはカフェも併設されていたりとサイクリングの小休止にはもってこいの場所。栗嶋社は縁を結ぶ神様として女性の願いを叶えてくれるパワースポットだそうだ。

再スタートを切り、自転車を進める。国東半島は険しい地形からトンネルが多いのが特徴で、小さなトンネルが連続する区間や、長めのトンネルなど、そのバリエーションは豊か。国道から少し逸れ、旧道を通れば雰囲気ある手掘りの隧道が数多く現れるとのことで、そちらを探検してみるのも面白いかもしれない。

少年自然の家のような雰囲気ある国東ユースホステル少年自然の家のような雰囲気ある国東ユースホステル
たこ飯、おこわ、豚の角煮というボリュームたっぷりのメニューたこ飯、おこわ、豚の角煮というボリュームたっぷりのメニュー ボリュームたっぷりの昼食に皆さん満足げだボリュームたっぷりの昼食に皆さん満足げだ


国見エリアに入ると権現崎へ至る小道に入る。そろそろお昼時ということで、昼食を用意してもらっている国東ユースホステルへ。林の中に現れた施設は中高生の時に泊まった少年自然の家のような雰囲気で、どこか懐かしい気持ちになる。

昼食のメニューは沖合に浮かぶ姫島の名産である「くにさき姫だこ」を使ったたこ飯、もち米を蒸したおこわと、豚の角煮だ。身が引き締まったたこは噛めば噛むほどに旨味が広がり、シンプルに美味。素朴で懐かしい味の1皿だったが、みなさんペロリと平らげていた。

国東ユースホステルの自転車ラックにズラリと並んだバイクたち国東ユースホステルの自転車ラックにズラリと並んだバイクたち 夫婦でユースホステルを経営している吉田夫妻夫婦でユースホステルを経営している吉田夫妻


国東半島の魅力を存分に味わえるユースホステルだ国東半島の魅力を存分に味わえるユースホステルだ
国東ユースホステルのペアレント(施設管理人さん)は笑顔が素敵な吉田夫妻。旦那さんの拓也さんはイタリアンレストランで経験を積んだシェフ。奥さんのスミ真由美さんはアウトドアが得意でトレイルや登山のガイドの資格も持つという。サイクリングの経験もあるため、オススメスポットなども教えてくれるだろう。ピザ窯もあるため、定期的にピザパーティーなども開催されるようだ。

後編へ続く

text&photo:Kosuke.Kamata
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