東京多摩地区にお店を構えるエイジサイクル。ツール・ド・おきなわでも勝利経験のある店長の岩島啓太さんが台湾で行われたアマチュアステージレース、デフ・ツール・ド・フォルモサの参戦したレポートをお届け。休息日から最終第7ステージと総括を紹介する。


◆11/10休息日 ライバル考

最終ステージの前に1日休息日がある。参加する前は何故この日に?と思ったが、今は休息日がこの日で良かったと心から思った。疲れ切っている。丁度良くこの日は雨が降った。ここまで走ってきて、最終ステージのライバルとなる選手を予想する。

ライバルとして警戒すべきスロバキアのバビック選手ライバルとして警戒すべきスロバキアのバビック選手 (c)Cycling Formosa Deaf
●危険度★★★
E-ma 王選手、FTL 麦選手
●危険度★★
スロバキア バビック選手、SNY 蘇選手、呉選手
●危険度★
昇陽 ブースト選手、微程式 劉選手

王選手は後で調べたら数年前の台湾KOMのエリートクラスで入賞経験のある、台湾のイケメン有名クライマー。絶対マーク。麦選手はこれまで目立たないが要所々々の登りで強さを見せた。クライマー体型の細身のメガネ選手。

個性的なカラーリングのフォード個性的なカラーリングのフォード (c)Cycling Formosa Deaf
呉選手はいかにも自転車乗りの良い脚をしている。第3ステージも優勝もしているし、台湾KOMで年代別優勝もしているので要注意。だけど落車により怪我をしていて総合争いは一歩後退しているのでマークは緩めに。

スロバキアのバビック選手は今大会のデフの最強選手で、アタックを連発する積極的なU23の選手。今年のUCI世界選手権タイムトライアルにU23スロバキア代表として出場したらしい。デフ・ツール・ド・フォルモサは来年プロ活動するためのオフトレの一環で、シーズン中に比べると力を少し落としているとのこと。その他の選手も登りは強そうだが、シンプルに王選手と麦選手徹底マークの作戦でいく。

◆11/11第7ステージ
コース:宜蘭→太平山 距離62km 獲得標高2100m KOMあり
天候:晴れ 26℃

最終ステージは登りっぱなしの長距離ヒルクライムレース。最初の41kmで600mをだらだら登り、ラスト21kmで1500m平均勾配7.1%を登る超ハードなレイアウト。だけどヒルクライムは余計な駆け引きが無く気が楽だ。強い選手順でゴールするので、全力で挑むのみ。

第7ステージは登りっぱなしの長距離ヒルクライムレース第7ステージは登りっぱなしの長距離ヒルクライムレース (c)Cycling Formosa Deaf
最も怖いのはパンク。ここまでノートラブルで来れたが、このステージはチームカーがすぐに呼べない細い山道なので、念のためポケットにパンク修理剤を入れていく。パレード区間が終わり、私は当初の予定通り王選手と麦選手のみマークする。

途中の緩斜面区間で数名の逃げが発生。その中にバビック選手が含まれるが残り20kmで3分差までなら追いつけるとふんでいた。アタック・ペースアップを経て、ラスト21kmの登り口に到達。前の逃げとは約3分。ぎりぎり追いつけるか?勾配が急になる区間でまずブースト選手がペースアップ、一列棒状になる。登り始めて間もないが、既に集団は散り散りになっている。

ここにきてここまで大人しくしていた麦選手が遂に牙を剥いた。アタックとペースアップを繰り返し、あっという間に麦選手、王選手、私の3名に。ペースは衰えることなく、グイグイ先頭を走る。いままで後ろでマークに徹していた選手とは思えない違いだ、後続を引き離すため積極的にアタックを繰り出す。ずっと後ろでこらえていた王選手がたまらずに遅れ始める。

第7ステージ、ラスト3km地点のバビック選手、岩島選手、麦選手による攻防第7ステージ、ラスト3km地点のバビック選手、岩島選手、麦選手による攻防 (c)Cycling Formosa Deaf
私も麦選手に離された10mほどの差を埋められずにオーバーペースにならないぎりぎりで踏み続ける。この差は数kmに渡って続き、我慢比べの走りとなった。STRAVAの記録で見ると2017年にバーレーン・メリダのフェン・チュンカイ選手が記録したタイムを上回り、前半区間は軒並みKOM(1番時計)が獲れているほど速かった。少し勾配が緩くなるところを狙い、多少無理して一気に追いつく。その後はアタックされてもピッタリ貼り付き耐える。防戦一方。

前を走っている逃げ集団が見えてきた。更にバビック選手だけ前を独走しているようだ。逃げ集団6名を追い越しざまに麦選手が再度アタック。私のみついていくことができて、前を1人で走るバビック選手を追う。やがてバビック選手が見えてきた。残り5km以上あるので、想定より早く追いついた。ここにきてようやく麦選手のアタックが鈍ってきた。

第7ステージで互いに力を出し合う岩島選手と麦選手第7ステージで互いに力を出し合う岩島選手と麦選手 (c)Cycling Formosa Deaf
麦選手アタック→私がマーク→少し遅れたバビック選手がペースで追いつく。という牽制気味の動きを数回繰り返し、残り1km。ここからは私と麦選手が横並びになって意地の張り合いでペースが上がっていく、バビック選手はついてこれない。

ゴールが見えた。両者共最後の力を振り絞ってラストスプリント。私が先着でゴール。ラストステージも優勝+KOM獲得で締めくくった。ラスト20kmの平均登坂速度VAMは1303m、会心のヒルクライムが出来た。デフ・ツール・ド・フォルモサ個人総合優勝!登りはじめ15分は平均344W、ゴール前ラスト1分は平均500Wくらい出ていて、最高の集中力で走れた。これがマイヨジョーヌマジックか!

第7ステージ、大平山山頂ゴールは岩島選手がトップでフィニッシュ第7ステージ、大平山山頂ゴールは岩島選手がトップでフィニッシュ (c)Cycling Formosa Deaf
◆総括

今回はデフの選手の出場数が少なかったらしく、前回の約半分ほどのこと。しかし、単騎参戦でも全ステージの完走率は高く、総合力は皆高かったです。今回欠場だったロシアのデフチームが最強で、少なくとも私より強い選手がチームで4名揃っているとのこと。デフのオリンピックであるデフリンピックが2021年に開催され、次回のデフ・ツールド台湾はその直前開催ということで更にレベルの高いものになるでしょう。

日本国旗を掲げてジャパンチームで記念撮影日本国旗を掲げてジャパンチームで記念撮影
その他の台湾のトップアマチュアもそれぞれアグレッシブにレースを楽しんでいた感じでした。開催に際しては、交通整理など国を挙げての理解と努力が必要なので、多大な労力が必要とされていると思います。デフの選手と健聴選手がお互い能力を高め合う場として、日本と台湾の選手が競い合って走る友好の場として末永く続いてくれることを祈っております。

最後にこの度はデフジャパンチームと日本健聴チームの方々には大変お世話になりました、ありがとうございました! 初参加で個人総合優勝できたのもひとえに皆様のお陰です。ステージレースの優勝は1人ではなしえないものだと痛感しました。レベルは違いますが、ツール・ド・フランス等のステージレースの厳しさの一端を垣間見たような気がしました。

今回ツール・ド・おきなわと日程がかぶってしまい、悩んだ末にデフ・ツールド台湾を選んだのですが、ハードだけど刺激的で楽しい経験が出来て良かったです。日本の強豪アマチュアレーサーとして、台湾KOMで名を馳せる森本さんの次くらいに台湾で有名になれたかな?

個人総合優勝を果たした岩島選手。第7ステージゴール後、皆で記念撮影個人総合優勝を果たした岩島選手。第7ステージゴール後、皆で記念撮影
仕様機材・サプリメント
フレーム:SCOTT FOIL PREMIUM
ホイール:XENTIS SQUAD4.2SL TLR
タイヤ:HUCTHINSON 11STORM FUSION5 TLR 25C 6.6BAR
コンポ:SHIMANO DURAACE R9150-9070
ギア比:52-36RIDEA、11-28
ヘルメット:OGK KABUTO AERO R-1
ウェア:SUNVOLT PROパフォーマンスセパレートワンピース Mサイズ
シューズ:SIDI WIRE
サプリメント:GNLab 、MEITAN、WINZONE、MEDALIST、Mag-on
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