2018/06/20(水) - 09:00
日本各地で開催されるロングライドシリーズ”グレイトアース”が四国へ初上陸。日本一の美しさを誇る仁淀川(によどがわ)を300人のライダーたちが遡った。まずは地元グルメによさこいで歓迎された前夜祭編から。
奇跡の清流。仁淀ブルー。そんなキャッチフレーズがどんどん目に飛び込んでくる。今年初めて開催された「グレイトアース 高知仁淀ブルーライド」の事前記事を作成しているときのことだ。
四国の清流といえば「日本最後の清流」として知られる四万十川を想像する方が多いだろう、かくいう自分もその一人で、過去には四万十川を自転車でひたすら遡っていくライドへ挑戦したことも。ここ数年は、松野四万十バイクレースの過酷な記憶(特に去年は台風直撃で清流の面影は全くない濁流でしたが)と共に思い出される。
そんな四万十川の知名度が高すぎるせいか、見過ごされがちな存在だったのが仁淀川だ。確かに、地理の授業で聞いたことがあるような気はするけれど、どんな川なのかというイメージはほとんどゼロ。なので、色々と調べたところ、前述のキャッチコピーと共に、想像を絶するほど美しい水を湛えた流れを切り取った写真がざくざくと出てくる。
「やばい、行かなきゃ」。あまりの美しさに語彙が消滅した感想をモニターの前で呟いた私は、そのままグレイトアース高知仁淀ブルーライドの取材担当に立候補したのだった。
さて、そんなわけで高知龍馬空港に降り立った私。四万十を走った時は松山空港から車で移動したため、実は高知龍馬空港は初めて。空港の敷地に銅像が立っているので、すわ龍馬か!と思ったら吉田茂でした。騙されたぜバカヤロー!
吉田茂に見守られながら自転車を組立て、大会が行われるいの町へ。国道33号をずっと西へと向かっていけば、車で大体45分、自転車なら1時間半くらいだろうか。ちょうど中間地点のあたりに高知市街がある。町を見下ろす山の上に天守が聳え、その下に県庁、さらに路面電車が行き交う街並みはちょっと松山ぽくもある。時間があるなら、街並みの成立について調べてみたいなー、なんて思いつつ西へ。
小高い丘を一つ越えるともうすぐいの町。そして、驚いたのがずっと国道沿いを路面電車が走っていること。これは後で知ったのだけれど、この"とさでん"は日本一長い路面電車なのだ。しかも、高知で唯一の電車でもあるという。(高知を走るJRは気動車、つまりディーゼルカーで電化されていない)
そんなとさでんと並びながら西へと進むと、大きな川が現れた。こ、これがもしかして仁淀川?とテンションが上がる。仁淀川橋を渡って対岸が大会会場の波川公園だ。なんと、この公園では5月に川の中を350匹の鯉のぼりが泳ぐというイベントをやっているのだとか。この日はさすがに川の中にはいなかったけれど、グレイトアースの開催を祝って鯉のぼりが河川敷に揚げられ、サイクリストを歓迎するタペストリーが広げられているのを橋の上から発見!
なかなかこんなウェルカムムードのイベントってない。晴れ渡った空の下、大きな鯉のぼりが泳ぐ河原ではBBQに興じるファミリーが何組もいて、受付会場はとても長閑な雰囲気だ。ささっと受付完了し、グレイトアース名物のゼッケンへ名前を書き込む儀式を済ませたら、明日への準備は完了。
そして夕方からは、グレイトアース恒例の前夜祭が行われる”かんぽの宿いの”へと移動。本番前に、共に走る仲間たちと交流を深めよう、という目的で開催される前夜祭は、グレイトアースを楽しむに欠かせないイベント。続々と参加者の皆さんが集まると同時に、どんどんと郷土色豊かな料理が運ばれてくる。
The 高知!といわんばかりのカツオの藁焼きに始まり、仁淀川の美しい流れで育った鮎の塩焼きなどが盛られた大皿、そして桶いっぱいのお寿司がどどーんと並べられる。こんなたくさんのお寿司が用意されているとはなんて豪勢なんだ。
んん?でもこのお寿司なんだか違和感が。よく見ると、いなりずしだと思ったのはこんにゃくだったり、みょうがやしいたけなど、焼き鯖寿司以外は、全部山の幸がネタになっている!これがいわゆる高知名物の”田舎寿司”というもので、地元の方たちは大好きなのだとか。
ごちそうを前にうずうずしている皆さんの雰囲気を察してか、地元のお歴々のあいさつも短めに。カンパーイ!とビールをグイッと空けて、思い思いに料理をつつく。海の幸、川の幸、それらをはぐくむ山の幸、それぞれの旨味を味わうことが出来るのは、まさに地元に根差した郷土料理ならでは。
そんな料理をいただきつつも、ちらちら目線が向かうのは、会場前方にどーん!と鎮座まします巨大なマグロ!そう、この前夜祭のメインイベントとなるのは、高知海洋高校の女子生徒によるマグロ解体ユニット”ツナガール”によるマグロ解体ショーなのだ!
太平洋をイメージさせる爽やかなブルーの法被に身を包んだツナガールが、授業で学んだことを活かしてどんどんと30kgはあるビンチョウマグロをばらしていく。一人が切り、一人がマグロについて解説していくスタイルで、おもわず見入って聞き入ってしまう。
可憐な女子高生が巨大なマグロを解体していくというのは、こうなんというか、倒錯的な雰囲気を醸し出している、とでもいうと思ったかこのHENTAI!別にそんなことは無く、「大変そうだな、頑張って!」と純粋に応援したくなる健気さでいっぱいだ。ホントデスヨ?
さて、無事解体が終わったビンチョウマグロはあっという間にサクへと姿を変え、大皿に盛られて皆さんのもとへ。切りたてのマグロ、これがまた旨いのなんの。カツオの藁焼きとはまた違った、ちょっと甘みを感じる旨味が口いっぱいに広がる。
そんなグルメを満喫していると、やってきたのは高知名物のよさこいの踊り手のみなさん。鳴子を両手に打ち鳴らし、キレのあるダンスを披露してくれた。参加者の皆さんも、一緒に手拍子でリズムをとって、あっという間に一体感が生み出されていく。
そして、よさこいで盛り上がったテンションを最高潮に持っていくのは地元名物が用意されたクイズ&じゃんけん大会。これまでは、クイズ大会とじゃんけん大会が別々に開催されていたけれど、今回は二つの複合競技(?)へと進化した。つまり、クイズに正解した人だけがじゃんけんへと参加できるトーナメント方式になったのだ。
知力と運(体力はいらないですね)を併せ持つ人だけが、豪華賞品を手にすることができるとあって、会場はさらにヒートアップ。製紙が有名な高知で作られた高級トイレットペーパーから、地酒まで高知ならではの景品が用意され、白戸さんの出した手に一喜一憂することに。
盛りだくさんのグルメに、マグロ解体ショー、よさこい踊りにご受けじゃんけん大会まで、お腹いっぱいの仕掛けがされたグレイトアース 高知仁淀ブルーライドの前夜祭。本番となる明日に向けて、英気を養う一夜となった。
text&photo:Naoki.YASUOKA
奇跡の清流。仁淀ブルー。そんなキャッチフレーズがどんどん目に飛び込んでくる。今年初めて開催された「グレイトアース 高知仁淀ブルーライド」の事前記事を作成しているときのことだ。
四国の清流といえば「日本最後の清流」として知られる四万十川を想像する方が多いだろう、かくいう自分もその一人で、過去には四万十川を自転車でひたすら遡っていくライドへ挑戦したことも。ここ数年は、松野四万十バイクレースの過酷な記憶(特に去年は台風直撃で清流の面影は全くない濁流でしたが)と共に思い出される。
そんな四万十川の知名度が高すぎるせいか、見過ごされがちな存在だったのが仁淀川だ。確かに、地理の授業で聞いたことがあるような気はするけれど、どんな川なのかというイメージはほとんどゼロ。なので、色々と調べたところ、前述のキャッチコピーと共に、想像を絶するほど美しい水を湛えた流れを切り取った写真がざくざくと出てくる。
「やばい、行かなきゃ」。あまりの美しさに語彙が消滅した感想をモニターの前で呟いた私は、そのままグレイトアース高知仁淀ブルーライドの取材担当に立候補したのだった。
さて、そんなわけで高知龍馬空港に降り立った私。四万十を走った時は松山空港から車で移動したため、実は高知龍馬空港は初めて。空港の敷地に銅像が立っているので、すわ龍馬か!と思ったら吉田茂でした。騙されたぜバカヤロー!
吉田茂に見守られながら自転車を組立て、大会が行われるいの町へ。国道33号をずっと西へと向かっていけば、車で大体45分、自転車なら1時間半くらいだろうか。ちょうど中間地点のあたりに高知市街がある。町を見下ろす山の上に天守が聳え、その下に県庁、さらに路面電車が行き交う街並みはちょっと松山ぽくもある。時間があるなら、街並みの成立について調べてみたいなー、なんて思いつつ西へ。
小高い丘を一つ越えるともうすぐいの町。そして、驚いたのがずっと国道沿いを路面電車が走っていること。これは後で知ったのだけれど、この"とさでん"は日本一長い路面電車なのだ。しかも、高知で唯一の電車でもあるという。(高知を走るJRは気動車、つまりディーゼルカーで電化されていない)
そんなとさでんと並びながら西へと進むと、大きな川が現れた。こ、これがもしかして仁淀川?とテンションが上がる。仁淀川橋を渡って対岸が大会会場の波川公園だ。なんと、この公園では5月に川の中を350匹の鯉のぼりが泳ぐというイベントをやっているのだとか。この日はさすがに川の中にはいなかったけれど、グレイトアースの開催を祝って鯉のぼりが河川敷に揚げられ、サイクリストを歓迎するタペストリーが広げられているのを橋の上から発見!
なかなかこんなウェルカムムードのイベントってない。晴れ渡った空の下、大きな鯉のぼりが泳ぐ河原ではBBQに興じるファミリーが何組もいて、受付会場はとても長閑な雰囲気だ。ささっと受付完了し、グレイトアース名物のゼッケンへ名前を書き込む儀式を済ませたら、明日への準備は完了。
そして夕方からは、グレイトアース恒例の前夜祭が行われる”かんぽの宿いの”へと移動。本番前に、共に走る仲間たちと交流を深めよう、という目的で開催される前夜祭は、グレイトアースを楽しむに欠かせないイベント。続々と参加者の皆さんが集まると同時に、どんどんと郷土色豊かな料理が運ばれてくる。
The 高知!といわんばかりのカツオの藁焼きに始まり、仁淀川の美しい流れで育った鮎の塩焼きなどが盛られた大皿、そして桶いっぱいのお寿司がどどーんと並べられる。こんなたくさんのお寿司が用意されているとはなんて豪勢なんだ。
んん?でもこのお寿司なんだか違和感が。よく見ると、いなりずしだと思ったのはこんにゃくだったり、みょうがやしいたけなど、焼き鯖寿司以外は、全部山の幸がネタになっている!これがいわゆる高知名物の”田舎寿司”というもので、地元の方たちは大好きなのだとか。
ごちそうを前にうずうずしている皆さんの雰囲気を察してか、地元のお歴々のあいさつも短めに。カンパーイ!とビールをグイッと空けて、思い思いに料理をつつく。海の幸、川の幸、それらをはぐくむ山の幸、それぞれの旨味を味わうことが出来るのは、まさに地元に根差した郷土料理ならでは。
そんな料理をいただきつつも、ちらちら目線が向かうのは、会場前方にどーん!と鎮座まします巨大なマグロ!そう、この前夜祭のメインイベントとなるのは、高知海洋高校の女子生徒によるマグロ解体ユニット”ツナガール”によるマグロ解体ショーなのだ!
太平洋をイメージさせる爽やかなブルーの法被に身を包んだツナガールが、授業で学んだことを活かしてどんどんと30kgはあるビンチョウマグロをばらしていく。一人が切り、一人がマグロについて解説していくスタイルで、おもわず見入って聞き入ってしまう。
可憐な女子高生が巨大なマグロを解体していくというのは、こうなんというか、倒錯的な雰囲気を醸し出している、とでもいうと思ったかこの
さて、無事解体が終わったビンチョウマグロはあっという間にサクへと姿を変え、大皿に盛られて皆さんのもとへ。切りたてのマグロ、これがまた旨いのなんの。カツオの藁焼きとはまた違った、ちょっと甘みを感じる旨味が口いっぱいに広がる。
そんなグルメを満喫していると、やってきたのは高知名物のよさこいの踊り手のみなさん。鳴子を両手に打ち鳴らし、キレのあるダンスを披露してくれた。参加者の皆さんも、一緒に手拍子でリズムをとって、あっという間に一体感が生み出されていく。
そして、よさこいで盛り上がったテンションを最高潮に持っていくのは地元名物が用意されたクイズ&じゃんけん大会。これまでは、クイズ大会とじゃんけん大会が別々に開催されていたけれど、今回は二つの複合競技(?)へと進化した。つまり、クイズに正解した人だけがじゃんけんへと参加できるトーナメント方式になったのだ。
知力と運(体力はいらないですね)を併せ持つ人だけが、豪華賞品を手にすることができるとあって、会場はさらにヒートアップ。製紙が有名な高知で作られた高級トイレットペーパーから、地酒まで高知ならではの景品が用意され、白戸さんの出した手に一喜一憂することに。
盛りだくさんのグルメに、マグロ解体ショー、よさこい踊りにご受けじゃんけん大会まで、お腹いっぱいの仕掛けがされたグレイトアース 高知仁淀ブルーライドの前夜祭。本番となる明日に向けて、英気を養う一夜となった。
text&photo:Naoki.YASUOKA
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