毎年春秋の2回開催されているサーキットイベント「もてぎ7時間エンデューロ」。第6回を迎えた春大会が4月22日(日)に行われた。気温25度を超える快晴の下、約3,000人が参加した春の定番耐久レースをレポートします。



タンポポの綿毛が風になびく春のもてぎ7時間エンデューロタンポポの綿毛が風になびく春のもてぎ7時間エンデューロ
栃木県の南東部に位置する芳賀郡茂木町にある国際サーキット場「ツインリンクもてぎ」。モータースポーツのレース会場として、MotoGPやSUPER GTなどの大会が催される格式高いこのサーキットを舞台に、毎年春秋の2回開催されている自転車イベントが「もてぎ7時間エンデューロ」である。

例年5月のゴールデンウィークに開かれていた春大会だが、今年は4月22日(日)開催と2週間ほど早まった日程に。それだけに、このもてぎエンデューロから今年のシーズンインというライダーも多かったに違いない。他の自転車イベントと日程がバッティングしてしまった影響もあり、昨年よりはエントリー数を減らしたと言うが、それでも約3,000人ものサイクリストがここもてぎに集結。普段はレーシングカーやレーシングバイクが駆けるサーキットも、この日ばかりはロードバイクで埋め尽くされることとなった。

約3,000人ものエントリーで例年通り賑わいを見せた約3,000人ものエントリーで例年通り賑わいを見せた
地元栃木の那須ブラーゼン始め多数のプロライダーがレースをサポート地元栃木の那須ブラーゼン始め多数のプロライダーがレースをサポート スタートラインに立つ我が子をスマホでパシャリスタートラインに立つ我が子をスマホでパシャリ

2、4、7時間エンデューロの3つの種目が設けられ、決められた時間内に1周4.8kmのコースをどれだけ周回できたかで順位を競うもてぎエンデューロ。部門もロードやMTB・クロスバイク、ミニベロ、ママチャリと細かく分かれている他、ソロやウーマン、チームといった自分の楽しみ方に合ったカテゴリーを選ぶことができ、初心者からレーサーまで幅広い参加者が集まるのも、もてぎエンデューロの特徴と言える。

加えて未就学児や小学生のカテゴリーも設けられているため、家族での行楽やお子さんのレースデビューにもピッタリのイベントとなっている。これだけクラス分けが多いのにも関わらず、すべてのカテゴリーが表彰対象になっているのは嬉しいところ。今年も多くの参加者が豪華賞品を手にしていた。またもてぎエンデューロでお馴染みの水玉のチャンピオンジャージは、例年のスカイブルーから今年は爽やかなレモン色が採用されており、獲得したライダーも気分新たに袖を通せたことだろう。

マヴィックカーを先頭にもてぎ7時間エンデューロがスタート!マヴィックカーを先頭にもてぎ7時間エンデューロがスタート!
集団に危険の無いようサポートライダーがペースメーク集団に危険の無いようサポートライダーがペースメーク 暑いのでこまめに水分補給をしよう暑いのでこまめに水分補給をしよう

ツインリンクのサーキットといえば、広いコース幅とダイナミックなコーナリングが楽しめる幾多のカーブ・コーナーが特徴的。東側の直登区間が参加者を苦しめつつも、それ以外は流れるようにスピードに乗るため、走力に関係なく軽快なサーキットライドを満喫できるのがもてぎの醍醐味である。

大会当日は天気予報通りの快晴で、4月ながら日中の最高気温は28度にも達する夏日となった。会場のアナウンスではしきりに熱中症対策が呼びかけられるほどの暑さで、飲食ブースでは夏を先取りしたかき氷が盛況な様子。参加者の大多数が半袖ジャージでボトルは2本、中には背中のポケットに3本目を入れて水分対策に余念がないライダーも見られるほどであった。

親子で楽しく走れるところももてぎエンデューロの良いところ親子で楽しく走れるところももてぎエンデューロの良いところ MTBやクロスバイクの参加者も多数、各々のバイクでサーキットライドを楽しもうMTBやクロスバイクの参加者も多数、各々のバイクでサーキットライドを楽しもう

広いコース幅とコーナーの多いダイナミックな走行を楽しめるのがもてぎの醍醐味広いコース幅とコーナーの多いダイナミックな走行を楽しめるのがもてぎの醍醐味
さてエンデューロ種目に先立って、朝一からは子どもたちが熱戦を繰り広げるひよこ・キッズレースが行われた。スタートとともに元気よく駆けていく姿が微笑ましく、我が子が走る姿を写真に収めようとコース脇には親御さんもずらり。伴走も可能なので小さいお子さんでも安心してレースを楽しむことができたはず。先頭では白熱したレースが展開されており、大人顔負けの走りに周りからも大きな歓声が上がっていた。

その後すぐさま4・7時間エンデューロ参加者がコースイン。マヴィックカーを先頭に、選手たちの先導を行う宇都宮ブリッツェン・那須ブラーゼン・Honda栃木・マトリックスパワータグのサポートライダーも総勢30名弱が並んだ。プロライダーがレースのペーシングをしてくれる他、トラブルにも即座に対応してくれるので非常に心強い存在である。

宇都宮ブリッツェン清水監督による初心者向けクリニックも開かれた宇都宮ブリッツェン清水監督による初心者向けクリニックも開かれた 実践的な走行クリニックは那須ブラーゼンのお二人が指導実践的な走行クリニックは那須ブラーゼンのお二人が指導
華麗な喋りで会場を盛り上げてくれたMCシンジさんと宇都宮ブリッツェン廣瀬GM華麗な喋りで会場を盛り上げてくれたMCシンジさんと宇都宮ブリッツェン廣瀬GM 子どもたちが応援の声を飛ばしてくれた子どもたちが応援の声を飛ばしてくれた

1周してスタート/ゴール地点に戻ってくるころにはすでに先頭は棒状の縦一列。バチバチのレースの雰囲気を醸し出している。ただ長丁場のイベントだけに、体力の使いすぎには注意が必要だ。適度に水分や補給を取りながら各々のペースでサーキットライドを楽しもう。

疲れてきたらピットインしてチームのメンバーと交代、その間に休憩して体力回復だ。日差しを避けられるピット内にはシートや折りたたみ椅子を持参して、横になったり座ったりで仲間と談笑しつつ出番を待つ時間もまたエンデューロイベントらしさを感じられる部分だろう。外にはテントゾーンも設けられ、レースを観戦しつつパドックでまったりアウトドアな休日を過ごしたなんて方もいたのではなかろうか。

流れるようにスピードに乗るサーキット特有の軽快感がたまらない流れるようにスピードに乗るサーキット特有の軽快感がたまらない
コース脇には各所に注意喚起の看板が設置されているコース脇には各所に注意喚起の看板が設置されている 仲間と一緒に協力して周回を重ねるのもエンデューロの楽しみだろう仲間と一緒に協力して周回を重ねるのもエンデューロの楽しみだろう

ソロ参加者には専用のピットスペースも用意された他、東パドックには水分を補給できるエイドステーションも設置されており、長時間走行へのイベント側の配慮が各所に見て取れるというもの。加えて安全対策としてコース脇には随所に「コーナー注意」や「スピード注意」といった危険喚起の看板も。初めてツインリンクを走るという人も、気をつけどころが分かりやすいよう工夫されているのはもてぎエンデューロの大きな特徴だろう。

また午前中には宇都宮ブリッツェンの清水監督が講師となって初心者向けの安全走行クリニックが2回開かれた。自転車イベントに初めて出るから勝手が分からないという人も、これを聞けば走りのいろはが学べるのだ。さらにはビギナークラス参加者向けにより実践的な集団走行の走り方を、こちらは那須ブラーゼンの岩井GMと若杉社長がレクチャー。イベントの走り方だけでなく今後のサイクリングにも役立つ知識が吸収できるため、もてぎエンデューロに来た人はぜひ受けてみて欲しい。

ハンドサイクルやリカンベントのクラスも設けられるハンドサイクルやリカンベントのクラスも設けられる もてぎエンジェルもママチャリで走るもてぎエンジェルもママチャリで走る

4時間エンデューロが走り終えると時刻は13時過ぎ、ちょうど昼食の時間とあって走り終えたその足で敷地内のレストラン「グランツーリスモカフェ」でひと休み。はたまた飲食ブースにはホットドッグや唐揚げ、牛串焼きといったケータリングサービスも並んでいるため、走り終えてお腹ペコペコという人もお昼ご飯には困らなかったはず。

もしくは帰宅ついでに「道の駅もてぎ」に寄って、道の駅グルメ全国No.1に輝いたゆず塩ラーメンを食べて帰るというのはどうだろう。地元産の材料を使った手作りアイスクリームも人気なので、そちらもぜひご賞味あれ。ツインリンク自体は山がちな地域にあるため、補給食やおやつは来場前にコンビニ等で買い込んでいくのが吉だ。

コース上では7時間クラスの参加者が周回を重ねており、自分のペースで淡々と走る人、同じ走力の人と協力してペースアップを図る人などその様子はさまざま。「疲れるとフラつきがちだし、うつむきがちになります。しっかり前を見て走って下さいね」とMCを務める宇都宮ブリッツェン廣瀬GMもアナウンス席からアドバイスを送る。

参加者のゴールを笑顔で迎えてくれたもてぎエンジェルの皆さん参加者のゴールを笑顔で迎えてくれたもてぎエンジェルの皆さん 手をつないで一緒にゴール!手をつないで一緒にゴール!
7時間エンデューロを制した高岡亮寛選手(Roppongi Express)7時間エンデューロを制した高岡亮寛選手(Roppongi Express) 4時間企業対応を制した山下ゴムのお二人。今回のチャンピオンジャージはイメージを変え、爽やかなレモン色を採用4時間企業対応を制した山下ゴムのお二人。今回のチャンピオンジャージはイメージを変え、爽やかなレモン色を採用

14時からは2時間エンデューロ参加者もスタートし、フレッシュなライダーによって活性化したトレインが日が傾き始めたサーキットを駆けていく。2時間エンデューロには、国内イベントでは珍しいハンドサイクルとリカンベントのクラスも設けられ、エントリー数は少ないながらロードバイクの参加者に混じってレースを楽しんだ様子だった。

ラスト2時間となっても強豪ライダーが集まった7時間クラスの先頭集団は、相変わらずの高速ペースを刻み続ける。レース終了の16時、7時間の激闘を制して悠々とフィニッシュラインに現れたのは、言わずと知れた社会人最強レーサーの高岡亮寛選手(Roppongi Express)。ロードソロでエントリーした高岡さんは、7時間無休憩で走り続けなんと61周、290kmもの距離を走ったというから驚きである。

最後は表彰式とともに、参加者全員に賞品プレゼントのチャンスがある抽選会も行われた。入賞できなかったなという参加者もここで当たれば儲けもんと言った感じで、自分のゼッケンナンバーが呼ばれることを祈るばかり。ぜひイベントの最後まで残って豪華賞品を手にして欲しい。

チーム参加で仲間との絆も深まったはず。暑い中、お疲れ様でした!チーム参加で仲間との絆も深まったはず。暑い中、お疲れ様でした!
丸一日日差しを浴びてキレイに日焼けをしたことと思うが、それだけ身体へも疲労が溜まったことだろう。車の運転は安全に気をつけつつ、温泉に寄るも良し餃子を食べて帰るも良し、自宅まで無事に帰ってようやくイベント終了である。参加した皆さん、お疲れ様でした。また、来る11月23日(金・祝)に秋のもてぎ7時間エンデューロも開催が決定している。大会情報をチェックして、再度ここツインリンクもてぎに足を運んでほしい。

text&photo:Yuto.Murata

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