3万5000人が走り、世界屈指の絶景コースが舞台となるロングライドイベント「ケープタウンサイクルツアー」。去る3月、南アフリカで開催されたこの大会を2年ぶりに完走したハシケン。当日の実走レポートの様子は、Vol.1から。この世界的なロングライドを知ってしまったら、来年は参加してみたくなること間違いなしだ。そして、このVol.2では、サイクルツアーと合わせて楽しめる南アフリカ観光の魅力をレポートしよう。



ケープタウンの街を見下ろすテーブルマウンテンケープタウンの街を見下ろすテーブルマウンテン photo:Kenji.Hashimoto
南アフリカの魅力はケープタウンサイクルツアーだけではない。観光都市のケープタウンの街を中心に広がる大自然。さらには、ポートエリザベスでのサファリ体験。今回の旅では、南アフリカならではの数々のプライスレスな出会いが待っていた。

まずは、ケープタウンサイクルツアーの会場となるケープタウンの魅力から紹介しよう。テーブルマウンテンとライオンズヘッドという雄大な山容が街を見守るように広がる。そして、レストランやホテルなどが集まるウォーターフロントは、世界各国からの観光客で活気に溢れている。2010年にはサッカーのワールドカップが開催されるなど、スポーツも盛んな街としても知られる。

朝日を浴びてスタートする参加者たち朝日を浴びてスタートする参加者たち photo:Kenji.Hashimoto沿道の途切れない応援はサイクルツアーの風物詩沿道の途切れない応援はサイクルツアーの風物詩 photo:Kenji.Hashimoto


大西洋沿岸を走る世界屈指の美しいシーサイドライン大西洋沿岸を走る世界屈指の美しいシーサイドライン photo:Kenji.Hashimoto
サイクルツアーに参加した3年間、いずれも宿泊ホテルは大会会場から自転車で5分ほどの好立地だった。街中が会場なので初めての海外イベントでも安心して大会に参加できる。ケープタウンサイクルツアー大会期間中、街はサイクリストの熱気で溢れる。地元の人たちにとっては世界中からサイクリストを受け入れる一大イベント。大会前日、ホテルの部屋でくつろいでいたら、突然ドアをノックされた。開けてみると、ホテルスタッフから自転車をモチーフにした手作りオブジェのプレゼント。なんとも粋な計らいだ。

大会前日は、翌日のコース試走も兼ねてケープ半島へと出かけた。街を一歩出れば、そこには大自然が広がる。気軽に野生動物の世界を体験でき、この日の朝から夕方までで、ケープペンギンやオットセイ、ダチョウ、バブーンなど、南アフリカならではのたくさんの動物たちに出会えた。ここは動物園ではない。あくまで自然そのものなのだ。さらに、南アフリカといえばココ!という場所へ。そう、喜望峰だ。そして、大海原を見渡せるケープポイントの展望台から、全身で地球を感じたのだった。

ケープタウンの街のシンボル「ライオンズヘッド」ケープタウンの街のシンボル「ライオンズヘッド」 photo:Kenji.Hashimoto
ケープ半島には野生のダチョウが生息しているケープ半島には野生のダチョウが生息している photo:Kenji.Hashimotoステレンボッシュでのワイナリーツアーも魅力ステレンボッシュでのワイナリーツアーも魅力 photo:Kenji.Hashimoto


ケープポイントの展望台からの眺めは360°のパノラマビューケープポイントの展望台からの眺めは360°のパノラマビュー photo:Kenji.Hashimoto
自然だけでなく、文化や歴史など多様な楽しみ方ができるのも南アフリカの魅力。大会前日の過ごし方は人それぞれ。世界的なワインの産地として知られるワインランドの中心となる町ステレンボッシュは、ケープタウンから東に50kmほど。ワイナリーの中で、優雅なランチやワインテイスティングを楽しみながら大会前日を過ごすこともできる。

ケープタウンサイクルツアーを無事に走り終え、その余韻に浸りながらケープタウンから1時間20分ほど国内線に乗り、東ケープ州の観光拠点となる都市ポートエリザベスに到着した。ここ東ケープ州では、今年の9月に「アイアンマン70.3」(ハーフアイアンマン)の世界選手権がネルソン・マンデラ・ベイを舞台に開催予定だ。観光都市のケープタウンに比べて、落ち着きのある港町といった印象だ。ホテルからのシーサイドラインの美しさといったら……。

ポートエリザベスの美しい1日のはじまりポートエリザベスの美しい1日のはじまり photo:Kenji.Hashimoto
南アフリカはサーフィンのメッカでもある南アフリカはサーフィンのメッカでもある photo:Kenji.Hashimoto
ケープタウンサイクルツアー参加3年目にして初めてのポートエリザベス。現地に着いてから、ワクワクドキドキが止まらない。なぜなら、この街を拠点にして、野生動物たちが生きるサファリの世界を体験できるからだ。

滞在初日はオーシャンサファリへ。港から小型ボートに乗り込み、イルカやサメ、クジラの生息海域へ。カワサキのエンジンを鳴り響かせながら、波をかき分けるようにして約1時間。キャプテンが紺碧の海に向かって指差した先には、太陽に照らされ黒光りしたイルカの群れが。しかも、百頭近くが大海原を悠然と泳いでいる。そこに人工的な要素は一切なく、ただただ自然の雄大さに言葉を失うのだった。

イルカの群れに遭遇できるオーシャンサファリイルカの群れに遭遇できるオーシャンサファリ photo:Kenji.Hashimoto
定員6名のツアーボートに乗り込みインド洋の沖合へ定員6名のツアーボートに乗り込みインド洋の沖合へ photo:Kenji.Hashimoto間近を遊泳するイルカの群れに感動間近を遊泳するイルカの群れに感動 photo:Kenji.Hashimoto

ボートに乗り込みオーシャンサファリを満喫ボートに乗り込みオーシャンサファリを満喫 photo:Kenji.Hashimoto野生のアフリカペンギンの住む島へ野生のアフリカペンギンの住む島へ photo:Kenji.Hashimoto


沖合の島まで行くと本当の海洋生物の世界に出会える沖合の島まで行くと本当の海洋生物の世界に出会える photo:Kenji.Hashimoto
オーシャンサファリの翌日は、街中からハイウェイを飛ばして70kmほどの場所に広がる「アドゥー・エレファント国立公園」へ。南アフリカには、この他にも大小の複数のナショナルパークが点在しているが、ここは、保護区が内陸部から海岸線まで広がり、地球上で最も多様性に富んだ自然動物保護区のひとつとして知られている。ポートエリザベスからも近く、人気のサファリエリアだ。自然動物保護区とはいえど、そこには純然たる大自然が広がっている。ゾウやシマウマだけでなく、ライオンなどの肉食動物も普通に生活している。

サファリに精通したレンジャーが運転するジープに乗り込んで、いざ憧れの陸のサファリへ。ジープには、特別な柵があるわけではなく、とても開放的だ! ライオンが飛び込んできたら……なんていうスリリングさも抱きつつ(笑)

ブッシュがどこまでも広がる陸のサファリブッシュがどこまでも広がる陸のサファリ photo:Kenji.Hashimoto
アドゥー・エレファント国立公園のゲートアドゥー・エレファント国立公園のゲート photo:Kenji.Hashimoto人間もゾウも子供の可愛らしさは共通人間もゾウも子供の可愛らしさは共通


保護区へのゲートをくぐると、そこには広大なブッシュが広がっている。そして、動物たちを探す間もなく、水浴び中のアフリカゾウの群れの目の前を通過。フィルターを通すことなく、目の前に広がる野生動物たちの世界。感動!

幼少時代にテレビで見た「地平線に沈む太陽と大草原を駆け抜ける動物たちの姿」の記憶と重ね合わせ、今、その体験をリアルにしていることに感激!ジープは砂埃を立てながらブッシュのど真ん中へどんどん進んでいく。バッファロー、シマウマ、エランド、サイ……。日中に出会うことが難しい百獣の王ライオンも、木陰にわずかに寝姿を発見! これはこれで感動。ライオンを筆頭に、ゾウ、ヒョウ、バッファロー、サイに出会える「ビッグファイブ・サファリ」体験は、まさにプライスレスだ。

ジープの前を通り過ぎるエランドの群れジープの前を通り過ぎるエランドの群れ photo:Kenji.Hashimoto
草食動物の代表でもあるシマウマにも出会える草食動物の代表でもあるシマウマにも出会える photo:Kenji.Hashimoto
サファリでは弱肉強食の世界を垣間見ることができるサファリでは弱肉強食の世界を垣間見ることができる photo:Kenji.Hashimoto
慌ただしくも感動体験の連続の南アフリカ滞在。ケープタウンサイクルツアーに始まり、ケープ半島の自然観光巡り、ポートエリザベスでの海と陸のサファリ。南アフリカは遠いから……、旅費がかかるから……。そんな考えはもったいない。そう感じる感動の出会いと体験だった。

これまでフランスのアルプスやピレネー、ハワイやグアムなど世界中の美しいコースを走ってきた。それらにも勝ると断言できるケープタウンサイクルツアーの圧倒的な魅力。イベントと合わせて楽しめるオーシャンサファリと陸のサファリに代表される南アフリカ観光。来年のケープタウンサイクルツアーは3月10日(日)に開催が決定している。もう参加しない理由はないはずだ。

世界最大のケープタウンサイクルツアーは来年3月10日開催予定世界最大のケープタウンサイクルツアーは来年3月10日開催予定 photo:Kenji.Hashimoto

text&photo:Kenji.Hashimoto