CW編集部のムラタとカマタによる横田基地の周辺を巡る福生グルメライド。予想外のボリュームを誇るビックタワーハンバーガーを食べた後は福生の町をポタリング。滝も見るし、ベーグルも食べます。ハムは買いません。



日本を代表する老舗ハム屋である大多摩ハム「シュトゥーベン・オータマ」日本を代表する老舗ハム屋である大多摩ハム「シュトゥーベン・オータマ」
ビックタワーハンバーガーを食べた後は福生の街ナカを巡るポタリング。といっても、ハンバーガーで思いのほか時間を取られてしまったので足早に巡っていく。ということで最初にムラタ&カマタが向かったのは長い歴史を持つ大多摩ハムである。

大正時代に創業したという大多摩ハムは、ドイツ人のアウグスト・ローマイヤーからハム造りを教わった小林榮次が1932年に設立。ロースハムやウインナー、ボロニアといった各種ハムを日本に普及させたことで知られる老舗ハム屋である。この福生市にある建物は「シュトゥーベン・オータマ」と呼ばれ、隣りにある工場で作られたハムを直売しているほか、ドイツの食事を提供するレストランとなっている。ハムでも買っていきたいところではあるが、時間もないのでここは華麗に通過していく。

福生駅の前を通過していく福生駅の前を通過していく
シュトゥーベン・オータマの前の道をそのまま行くと福生駅に到達。JR青梅線のみが乗り入れる小さな駅だが、駅前は横田基地に近いこともあってかスーパーや飲食店など立ち並ぶ。毎年8月にの第1木曜日には西口一帯にて「ふっさ七夕まつり」が行われ、毎年40万人もの人で賑わうという。とはいってもここも特に何かあるわけではないので、そのままスルーである。

福生の地元の人々に愛される福生神明社福生の地元の人々に愛される福生神明社
雄々しい狛犬が境内を守っている雄々しい狛犬が境内を守っている 手水場は例によって赤外線センサータイプ手水場は例によって赤外線センサータイプ


そうしてようやくたどり着いたのが福生駅から1kmほど行ったところにある福生神明社。ここまで通過してばっかりだったが、ここでは自転車を停め少しお詣りをする。この福生神明社は明治7年に各町会で祀られていた五柱の神々とともに七祭神を合祀した神社で、治水、産業、学問、衣食住など各方面に渡りご利益のある神社。言わば町のなんでも神社といったところである。

本殿は昭和57年に造影したばかりとあって、まだ新しく綺麗である。かなり多くの寄付が集まったこともあり荘厳かつ立派な仏閣を建てる事ができたんだとか。我々が訪れたときも地域に根ざした神社なのか、様々な人がお参りに来ていた。それにしても先程までの異国情緒からいきなり和の風景になったのは少しびっくりである。ムラタ曰く「アメリカと日本が共存しているのがここらへんの良い所。」なんだとか。

江戸時代から変わらない構造をもつという羽村取水堰江戸時代から変わらない構造をもつという羽村取水堰
玉川上水の工事に2度失敗した玉川兄弟玉川上水の工事に2度失敗した玉川兄弟 増水時には意図的に壊れ水が流れるようになっている投渡堰増水時には意図的に壊れ水が流れるようになっている投渡堰

この第2水門から第3水門までは水量が多いこの第2水門から第3水門までは水量が多い
その次に向かったのは福生神明社から3kmほど行ったところにある玉川上水の取水口、羽村取水堰。玉川上水については前編で説明した通りであるが、その水を多摩川から取水するのがこの羽村取水堰である。この堰は左岸のコンクリートで作られた固定堰と右岸の投渡堰で構成されているのが特徴となっている。投渡堰というのは堰の支柱に丸太を柵状に設置することで、増水時には堰が意図的に流され、玉川上水の水門を破壊や洪水を回避する仕組み。この基本的構造は江戸時代から変わっていないというから驚きである。

羽村取水堰の近くには玉川上水の開削の陣頭指揮を取ったと云われる玉川兄弟の像も立っている。江戸時代当時、玉川上水の工事は困難を極めたようで、2度の失敗を重ねながら1654年には開通を果たしたようである。何故指を指しているのかは分からないが、偉大な人なのである。こういった史跡を巡るのは私は楽しいのだが、ムラタはどこかつまらなげ。しょうが無い。日も傾いてきたので次の目的に向かおう。

山門が閉まっている長徳寺山門が閉まっている長徳寺 田村酒造も工事中だった田村酒造も工事中だった


次に向かうは長徳寺と道を挟んで反対にある田村酒造場なのだが、どちらも閑散とした雰囲気。室町時代に創建されたという長徳寺は山門も本堂の戸も閉まっている状態である。お寺に営業時間があるというのは聞いたことが無いが、最早そのような感じ。対して田村酒造場は白壁の酒造がポイントの建物だが、こちらも工事中の残念な姿に。しょうが無いのでここは軽くスルーして流していく。

住宅地に突如として現れる本格的な寺院「清岩院」住宅地に突如として現れる本格的な寺院「清岩院」
美しい日本庭園。雪化粧した姿は更に美しいという美しい日本庭園。雪化粧した姿は更に美しいという
室町時代に立てられたという本堂は非常に立派な造り室町時代に立てられたという本堂は非常に立派な造り 池に近寄ると大きな鯉が餌をくれると思って近づいてくる池に近寄ると大きな鯉が餌をくれると思って近づいてくる


そこから1kmほど走ったところにあるのが清岩院。1394から1428年という応永年間に建てられたこのお寺は、臨済宗建長寺派の寺院。境内は管理が行き届いており、本格的な日本庭園や本堂も非常に美しいのが特長である。境内に湧き出る水は「東京の湧水57選」に選ばれる透明度らしく、池には大きな鯉が沢山おり、池に近づくと餌をくれると思って寄ってくる。奥には立派な清岩院幼稚園を有しており、この地域の父母さんには人気の幼稚園だとか。

まさかの福生でこんなに本格的な寺院があるとは思いもしなかったが、普段は参拝する人など全くいないのだろう。境内はしんと静まり返っている。幼稚園があるため、子供を迎えに来る親御さんとすれ違うが、不審者に思われていそうで何とも言えない気分である。その幼稚園事業がこのお寺を美しく保っているのかもしれないが。

京都の本格的な寺院の雰囲気を醸し出す京都の本格的な寺院の雰囲気を醸し出す
正直、ここまでちょっと見所に欠けるスポットが連続していたように思えてしまうのだが、今回のコース案を考えたムラタにその旨聞いてみると「まぁ、確かにここまでは不発揃いだったかもしれないけど、これから行く縞屋の滝は凄いらしいから!なんせこの街ナカに滝だぜ!?気になるでしょ!」んー、確かにこんな所に滝があったら面白いかもしれないけど、大丈夫か?少し疑惑の眼差しを向けながらも付いていく。

そこから1km走ると突然ムラタが「これだ!」と叫ぶ。びっくりしてブレーキを掛けると、道っぱたに出現したのが縞屋の滝である。「これが滝ですか?」思わずそう嘆いてしまったが、どうやらこれが滝らしい。フェンス越しにしか見えない”滝のようなもの”は落差1m程をちょろちょろと水が流れるのみだ。これを滝だと案内する福生市が少し可哀想になってくるスケール感である。

路端に突如として現れる縞屋の滝路端に突如として現れる縞屋の滝
ちょろちょろと流れるのが縞屋の滝だちょろちょろと流れるのが縞屋の滝だ
「ちょっと思ったより小さかったね。」と言うムラタだが、思ったよりというか滝の定義から考え直さなければなるまい事案だぞこれは。そのままその通りを進むと福生ホタルドームなる建物が見えてくる。市内9ヶ所に湧水がある福生市は実は水が綺麗なことでも知られており、その水を活かしてホタルの育成を行っているそうだ。6月中旬になるとホタルが飛び交う姿が見られるようで、福生ほたる祭りも行われるとか。東京でも蛍が見られる場所があるなんて驚きである。

6月中旬になるとホタルが飛び交う姿が見られる「ほたる公園」6月中旬になるとホタルが飛び交う姿が見られる「ほたる公園」
この水路で蛍を育てているそうだこの水路で蛍を育てているそうだ 福生ほたるドームの中では蛍を養成している福生ほたるドームの中では蛍を養成している


そろそろ次に行こうかとした時、ムラタが「この後はおやつにベーグルを食べるために横田基地方面へ戻りますぜ!」などと言い出す。そんな馬鹿な。さっき大きなタワーハンバーガーを食べたばっかりじゃないか。いくらなんでも私の胃にはベーグルの入る余地はない。と文句を言っていると、「自転車乗りにとって甘いものは別腹でしょ。」と常識のように言うムラタ。まぁ確かに私にもそういう時期はあったけれど、悲しきかな今はそうではないのだよ。

ということで半ば強引に連れてこられたのが国道16号沿いにあるフレッシュベーグルHOOP。2014年の4月にオープンしたこのお店はモチモチのベーグルサンドが頂けるカフェ。ベーグル屋らしからぬお店の大きさとスタイリッシュさで、今福生で1番話題のスポットなんだとか。ベーグルサンドはハムやレタスを挟んだ食事系から甘いクリームを挟んだデザート系までラインアップ。その他にもスパゲティやピザなど充実しており、カフェとしてのレベルも高い。

福生で話題のお店フレッシュベーグルHOOPで一休み福生で話題のお店フレッシュベーグルHOOPで一休み
その中でも今回私達が注文したのは、チーズクリームを塗ったベーグルに凍らせたみかんやいちごといったフルーツを乗せたしろくまサンド。甘いものが食べたいというのと、インスタ映えするものが良いという要望を組み合わせた結果だ。男2人で1つのベーグルを注文したので、店員さんに少し疑われてしまった可能性があるが、私は少しかけらを頂ければそれで十分だ。

しばらくしてドリンクと共にベーグルが到着。私が注文したココアはサービスということでクリームが盛られて激甘仕様になっていた。何の配慮だろうか。ベーグルはフルーツがてんこ盛りのインスタ映えバッチシの見た目で結構美味しいそう。ムラタに失礼して最初に少し頂くと、クリームチーズが結構ベーグルに合う。ベーグル自体はセミハード系でギュッとした噛みごたえ。なるほどこれは女子人気が高いわけだ。このフレッシュベーグルHOOP、福生の本店以外にも、立川のルミネ1階にも出店しているそうで、今度行ったら買って帰りたいものである。

ベーグルにクリームチーズを塗り、凍らせたフルーツを乗せたしろくまサンドベーグルにクリームチーズを塗り、凍らせたフルーツを乗せたしろくまサンド ココアを注文したらクリームいっぱいの激甘仕様だったココアを注文したらクリームいっぱいの激甘仕様だった


お店は綺麗で居心地も良く、店員さんも可愛いフレッシュベーグルHOOP。だが日没も近づいているためそこまでゆっくり出来ないのが悲しい所である。30分ほどでお店を出て次なる目的地へ向かうことに。残すは2ヶ所、どうどうの滝と石川酒造だ。

フレッシュベーグルHOOPから多摩川方面へ3kmほど行ったところにあるのが”どうどうの滝”。といっても、予想通りというか、水が用水路を多摩川へ流れるだけのようだ。確かに先程の縞屋の滝に比べたら流れ落ちる水量も高さも増しているが、これを滝というのはやはり厳しいものを感じざる得ない。ムラタに至ってはこれが滝だと認めたくないのか、周りをウロチョロして他のものを探す始末。とりあえず1枚写真を撮り、次へ向かう。

石川酒造を流れ出た水が多摩川に流れていくどうどうの滝石川酒造を流れ出た水が多摩川に流れていくどうどうの滝
そこから500mほど行ったところにあるのが石川酒造。文久3年(1864年)に創業したという石川酒造は田村酒造と並ぶ老舗酒造。清酒はもちろんのこと、明治20年にはまだ世間に普及していなかったビールを醸造していた歴史もあるそうだ。現在ではそのビールを111年ぶりに復活させた「多摩の恵」やクラフトビール「TOKYO BLUES」を生産している。

石川酒造の酒蔵は常時開放されており、大きな土蔵を見学できるほか、「福生のビール小屋」と称したクラフトビールとイタリアンが楽しめるレストランや、石川酒造のお酒各種が購入できる売店「酒世羅」があり、ちょっとしたお酒のテーマパークといった建物になっている。福生観光でここはマストだろう。

お酒のテーマパークとなっている石川酒造お酒のテーマパークとなっている石川酒造
おいしいお酒はきれいなお水からおいしいお酒はきれいなお水から 国登録の有形文化財である本蔵は明治13年の建築国登録の有形文化財である本蔵は明治13年の建築


この時点で辺りは既に日が落ち、真っ暗に。冬のサイクリングはもう少し早く出るか、お昼ごはんに巨大タワーバーガーを食べるべきではないということを学んだ。しかし編集部にもほど近い福生は飲食店も多く中々楽しい街であった。この街でポタリングを楽しんでも良し、五日市や奥多摩へのサイクリングの行き帰りにグルメを楽しむでも良し、鉄道の駅も近いので様々な楽しみ方が出来るのが福生である。

さて、次はどこに行こうか。

text:Kosuke.Kamata
photo:Kosuke.Kamata,Yuto.Murata


最新ニュース(全ジャンル)