1月24日(水)、ミヤタサイクルが東京都港区の東京プリンスホテルにてE-バイクの発表会を行った。昨年9月に発表済みのE-クロスバイク「CRUISE」と、先日発表されたばかりのE-MTB「RIDGE-RUNNNER」の説明と試乗でその魅力に触れた。



2018年モデルとして2車種のE-バイクを用意したミヤタサイクル2018年モデルとして2車種のE-バイクを用意したミヤタサイクル
2017年、シマノ STEPSをはじめ、日本の電動アシスト事情に最適化させたスポーツバイク用ユニットが国内に上陸。年が明け2018年、いよいよ2月1日よりミヤタサイクルが放つE-バイク第1弾クロスバイク型の「CRUISE(クルーズ)」が、4月中に第2弾MTB「RIDGE-RUNNER(リッジランナー)」が発売される予定となっている。

CRUISE発売に先立ちミヤタサイクルは実車の展示と試乗会を伴った製品説明会を開催。東京タワーの足元にある東京プリンスホテルにメディアと販売店が集った。

説明会ではドイツの2017年におけるE-バイク需要が、自転車総需要330万台に対し、約20%の68万台にも上る状況であると発表。その背景には脚力の衰えてきた中高年の方々をはじめ、グループサイクリングでの脚力差を埋めたいと考える方たちにE-バイクが選ばれていることがあるという。夫婦の奥さんがE-バイクに乗ると、元々脚力があった旦那さんよりも速く走れてしまい、終いには旦那さんもE-バイクに乗り換えるケースがあるとも。

説明会冒頭でヨーロッパの現状などを説明した高谷・ミヤタサイクル社長説明会冒頭でヨーロッパの現状などを説明した高谷・ミヤタサイクル社長 テクニカルな部分を説明してくれた藤井ブランドマネジメントディレクターテクニカルな部分を説明してくれた藤井ブランドマネジメントディレクター

数多くの販売店が集まった数多くの販売店が集まった 先日発表されたばかりのRIDGE-RUNNERには多くの注目が集まった先日発表されたばかりのRIDGE-RUNNERには多くの注目が集まった


それだけではなく「ヨーロッパでは夏のスキー場で遊ぶレジャーとして定着しており、日本でも早晩、このような状況が到来すると考えている」と高谷・ミヤタサイクル社長は言う。そのE-バイクというジャンルのトップランナーとなるべく、ミヤタサイクルは昨年始めよりシマノとの協力しE-バイクの開発を行い、E-クロスバイク「CRUISE」とE-MTB「RIDGE-RUNNNER」をリリースすることに。

ミヤタサイクルが用意したE-バイクの特徴は大きく3つ。まずはシマノ STEPSの大容量バッテリーを採用することで、CRUISEが最大115km、RIDGE-RUNNNERが最大140kmの連続走行距離を実現している点。ブランドマネジメントディレクターの藤井さんによると、テストライドを行い、神奈川県の箱根湯本から静岡県の御殿場まで峠越えを行ったのち、箱根湯本に引き返してくることができたという。その際の電池残量は24%。

このタフなランタイムは、これまでロングライドに難しいと感じていた方々の行動範囲を広げてくれ、トレイルヘッドまで自走でオフロードまでアプローチが可能になるだろう。航続距離が長いことはクロスバイク、MTBどちらにとっても大きなメリットだ。

ミヤタ CRUISEミヤタ CRUISE
2つ目は、アシストをオフにした状態でもスポーツバイクならではの軽快な走り心地を追求していること。重量はユニットなしに勝ることはないが、比較的軽量なSTEPSのユニットを採用している事と、通常の自転車と同じようなジオメトリーを採用することで優れた走行性能を確保した。

CRUISEは、ミヤタサイクルが取り扱うメリダのクロスバイク「Crossway」とほぼ同様のジオメトリーを採用。特に走行性能に大きく影響を与えるリアセンターは460mmと同一となっていることがポイントだ。また、重量に関してはユニットが2.8kg、バッテリーが2.5kg、フレームとフォークで3.17kg、その他装備を加え18.6kgとなっている。

そして3つ目は有数の歴史を誇るミヤタサイクルが培ってきたノウハウを投入していることだ。フレームの強度や走行性能に関してはもちろんのこと、身長155cmの女性でも乗れるようなサイズ展開にできることや、E-バイクでの遊び方などソフト面にミヤタサイクルの知見を活かして開発を進めていくという。

ユニットのアシストモードを切り替えるボタンは指にフィットするユニットのアシストモードを切り替えるボタンは指にフィットする 独自に制作したサイクルコンピューター独自に制作したサイクルコンピューター

JIS規格よりも数倍の明るさを誇るライトが搭載されるJIS規格よりも数倍の明るさを誇るライトが搭載される 大容量のバッテリーが長い航続距離を実現する大容量のバッテリーが長い航続距離を実現する

シマノ STEPSを搭載するシマノ STEPSを搭載する ローターにスピードセンサーが装着されているローターにスピードセンサーが装着されている


「ミヤタはスポーツバイクブランドとして、KOGAとジョイントし世界にスチールバイクで進出、日本では一世を風靡した旧RIDGE-RUNNERをリリースするなど、各時代に名前を残してきました。しかし、その次というのが暫くありませんでした。これから先はアシストバイクという世界が広がっていくので、そこにおけるミヤタの存在を出していければと考え、E-バイク開発に注力しました」とブランドマネージャーの藤井さん。

「ただ物を作るだけではなく、それを楽しむ場所と楽しみ方を開発していこうと考えています。既にあるインフラを活用するのがメリダエクスペリエンスセンターなどでした。そこにもう1つベースになるものや、楽しみ方などをレクチャーするサービスメニューをリリースしていくつもりです」と藤井さんは今後の展望を語る。

「自転車に乗る楽しさを体験できるものづくり」をコンセプトに開発されたミヤタのE-バイク。CRUISEの詳細は発表当時のレビュー(リンクはこちら)を参照して欲しい。先日発表されたばかりのRIDGE-RUNNNERの製品詳細と、今回の試乗会でE-バイクに初乗車した編集部員・藤原によるミニインプレを以下にて紹介する。



ミヤタ RIDGE-RUNNER

ミヤタ RIDGE-RUNNERミヤタ RIDGE-RUNNER
さて、ここからは往年の名車RIDGE-RUNNERの名前を冠した新型E-MTBの紹介に移ろう。日本で展開されるE-バイクは街乗りや気軽なサイクリングに適したモデルが多いなか、何故CRUISEの発表から間もなくMTBを投入したのか、ブランドマネージャーの藤井さんは次のように語る。

「日本のMTB事情としては、走ることができる場所の減少と同時に競技人口や楽しむ人々も一時のMTBブームより遥かに減少しています。その要因は様々ありますが、国土の7割が山岳という日本はMTBに適したロケーションを持っているんですよね。MTBがブームとなった当時を再現させるためにミヤタとして出来ることとしてバイクを開発しました。」

そんな想いを受け生み出されたRIDGE-RUNNERは、最近のトレンドとなっているブーストと27.5+という規格が採用されたトレイルライド系の1台。SRサンツアー製130mmトラベルのフロントサスペンション、2.8インチというセミファットタイヤをアッセンブル、ドロッパーシートポストを装備しており、レースというよりもフリーライドにピッタリな仕様となっていることが特徴だ。

100mm可動するドロッパーシートポストが標準装備となる100mm可動するドロッパーシートポストが標準装備となる サイコンのマウントも独自製品だサイコンのマウントも独自製品だ

2.8インチのプラスサイズタイヤが採用されている2.8インチのプラスサイズタイヤが採用されている ダウンチューブにスマートに収まるバッテリーダウンチューブにスマートに収まるバッテリー


リアリジットのトレイルバイクである理由は「一般の方々がチャレンジしようとする時、XCレーシングバイクではハードルが高いから」と藤井さん。さらに「ドイツでは里山を回る1泊のツーリングが一般的に行われており、そういう楽しみ方ができる機能を持つバイクへとシフトしていこうという考えもあり、リアリジットのトレイルバイクという選択を行いました」と言う。

E-バイクの心臓部とも言えるアシストユニットにはCRUISE同様にシマノ「STEPS E8080」を使用する。全く同じユニットであるが、バッテリー容量がCRUISEと比較し大きくなり、航続距離が伸びていることがポイントだ。36V、14.0Ahという大容量バッテリーを採用することで、HIGHは95km、NORMALは130km、ECOは140kmもの距離をアシストしてくれるランタイムを実現している。アシストの仕方については、各バイクのタイヤ周長とギア比に適したプログラムがされているため、どちらかのバイクのアシストに違和感が発生するという心配はない。

「ブームの時にMTBに乗っていた方って非常に多いんです。当時、遊んでいた人たちも40代過ぎると、子供もいるし、体力も衰え、仕事が忙しくなり、MTBをやめてしまっています。そういった方たちも、当時の話やE-MTBの話をすると目を爛々と輝かせるんですよね。またその当時、MTBに乗れなかった層も多くいたんです。そういった方々の背中をポンと押せる存在にE-バイクは成れると思います」と藤井さんは言う。

ドロッパーシートポストを収めるため、ボトルケージ台座が10mmオフセットされているドロッパーシートポストを収めるため、ボトルケージ台座が10mmオフセットされている SRサンツアーのraidon、130mmトラベルサスが装備されているSRサンツアーのraidon、130mmトラベルサスが装備されている


MTBがブームとなり、その中で時のバイクとなったRIDGE-RUNNERの名前が2018年に復活。大きな期待が乗せられたE-MTBのサイズは380mm、430mmという2種類。価格は369,000円(税抜)。販売は4月10日、グリーンシーズンが始まろうかと言う時期にリリースされる。



東京タワーの足元で新型E-バイクの性能を確かめた東京タワーの足元で新型E-バイクの性能を確かめた
愛宕神社脇の坂でもその性能を確かめた愛宕神社脇の坂でもその性能を確かめた トラックの荷台を利用し登坂時のアシストを体感トラックの荷台を利用し登坂時のアシストを体感


ここからは編集部員・藤原が東京プリンスホテルの駐車場と愛宕神社脇にある坂でプチ試乗した際のミニインプレをお届けする。

実際の走行感というと、E-バイクのアシストはペダルが上死点を越えたところから効き始め、フロントが浮き上がるのかと思うほどグングンと加速していき、スピードが上昇するとともにアシストが薄くなってくる。軽いギアで回していれば、気が付かないうちにアシストが切れるスピードまで上昇しているが、重いギアを踏んでいる時は自動負荷調整機能が備えられたローラー台のように徐々にペダルが重くなる感覚を受ける。

最大15%ある愛宕神社脇の道路でのヒルクライムでは、ギアをロー側に入れ軽い力でペダリングしているにも関わらず速度は20km/hにも上った。ロードバイクで一生懸命になって登るような斜度の上り坂を軽々と走ってしまい、アシストパワーの絶対的なアドバンテージを感じさせられた。

走行後に考えたことは「E-バイクで思う存分に遊びたい」ということ。CRUISEで峠を含む楽々サイクリングをしてみたいし、RIDGE-RUNNERでトレイルヘッドまで気軽にアクセスし、オフロードのダウンヒルを行いたい。思い切り楽しんだ後に、再びE-バイクの可能性を感じてみたい、今はそういう気持ちでいっぱいだ。



ミヤタ CRUISE
フレーム/フォーク:アルミ製
ユニット:シマノ STEPS
モード:HIGH、NORMAL、ECO
バッテリー:36V、11.6Ah
アシスト距離:78km/HIGH、106km/NORMAL、115km/ECO
ブレーキ:シマノDEORE
ドライブトレイン:シマノALIVIO
ホイール:シマノWH-RX010
サイズ:430mm、460mm
重量:18.7kg
カラー:マットブラック
価格:269,000円(税抜)
発売時期:2018年2月1日

ミヤタ RIDGE-RUNNER
フレーム:アルミ製
フロントサスペンション:130mmトラベル
ユニット:シマノ STEPS
モード:HIGH、NORMAL、ECO
バッテリー:36V、14Ah
アシスト距離:95km/HIGH、130km/NORMAL、140km/ECO
コンポーネント:シマノDEORE
サイズ:380mm、430mm
カラー:クリアブラック
価格:369,000円(税抜)
発売時期:2018年4月10日


text&photo:Gakuto Fujiwara

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