ブライトンからリリースされているサイクルコンピューターシリーズ「Rider」をインプレッション。セッティング方法やデータのアップロード方法などが非常に手軽なことが魅力的なハイコストパフォーマンスなサイクルコンピューターだ。



ブライトン Riderシリーズブライトン Riderシリーズ
GPSサイクルコンピューターの選択肢が急激に増加したこの1、2年。これまではレース用、数多くの機能を備えた高級モデルが数多くリリースされてきた一方で、近年は必要最低限の機能を選りすぐり、比較的安価に手にできるモデルの数が増えてきた。

その代表の一角となるのが今回紹介するブライトンのサイクルコンピューター「Rider」シリーズである。ラインアップは本格的にトレーニングに励むアスリート向けのハイスペックモデル「Rider 530」と、手頃な価格だが高機能なミドルグレード「Rider 310」、アンダー1万円にも関わらずGPSセンサーを搭載した「Rider 10」という3種類。

全てのモデルに共通することは、GPSセンサーによるルートログ記録、速度計測/記録。別途速度センサーを購入、装着せずとも購入後すぐにこの2つのデータを記録することが特徴である。ややこしいセッティングなどを必要としないため、初めてサイクルコンピューターに触るという方でも気軽に利用できるのが嬉しいポイントだ。

ハンドルバーやステムに取り付けるマウントが標準。右側のアウトフロント型もオプションとして用意されているハンドルバーやステムに取り付けるマウントが標準。右側のアウトフロント型もオプションとして用意されている シンプルだが確実にホールドしてくれるマウントシステムシンプルだが確実にホールドしてくれるマウントシステム

ケイデンスセンサーとペアリングすると自動的に画面に項目が増える機能も備えられているケイデンスセンサーとペアリングすると自動的に画面に項目が増える機能も備えられている スピードセンサーも用意されているスピードセンサーも用意されている


ファームウェアアップデートについて

テスト用に借りたモデル全て工場出荷状態となっていたため、手始めに行う必要があったのはファームウェアのアップデートであった。最近のサイクルコンピューターは、高機能が故にバグ修正や機能向上のためアップデートがかかることがしばしばある。マメに最新状態にするためには、更新作業の手間が少ないと嬉しい。

Riderシリーズはパソコンにインストールした専用ツールでアップデートを行う。サイコンをPCに繋げ、ツールのボタンを押すだけでアップデートが必要か不必要であるか(ソフトが最新であるかどうか)の診断を行い、更新の必要があればもうワンクリックでアップデートが開始される。筆者としては、更新プログラムをDLし、ファイルに格納するものと比較すると非常に容易だという印象だ。

パソコン上でファームウェアのアップデートを行うパソコン上でファームウェアのアップデートを行う
一番の障壁となるのはPCへ繋げるということ。アップデートの習慣付けができていなければ、億劫と感じるかもしれない。スマートフォンのようにコードレスでアップデートすることができれば言うこと無いが、それは贅沢というもの。パソコンを数クリックし、数分待つだけでデバイス内に更新ファイルを取り込むことができるため、ネットサーフィンを楽しめば気になることではない。

気をつけてほしいのはファイルを取り込んだ後にパソコンから取り外し、デバイスの更新完了を待つ必要があること。こちらも数分かかるケースが有るため、サイクリング出発まで時間が少ない時は気をつけて欲しい。この間もネットサーフィンでも楽しんでおこう。

移動検知機能について

ソフトウェアを最新状態にしたところで、サイクリングへの準備は万端だ。これからはセンサーなどを装着せず走り出しても、GPSが現在地と移動を検知したところで「記録を開始しますか」のポップアップが出現し、データのレコードを始めることができる。もちろん各モデルとも記録開始ボタンを押してから走り出してもよい。

ブライトン Rider530ブライトン Rider530
実際筆者も記録開始ボタンを押し忘れてて、サイクリングのデータが残っていなかったという悲劇に見舞われたことは何度もある。走行開始直後にサイクルコンピューターが動いているか確認するためディスプレイに目を落とした際に、リマインダーのようにポップアップで知らせてくれるのは嬉しい。初めてサイクルコンピューターを使用する人でもボタンの押し忘れが少なくなるビギナーフレンドリーな仕様といえるだろう。

画面自動カスタマイズ機能について

連携したセンサーのデータを自動的に表示してくれる機能も非常に便利だ。デバイスをポチポチと何度もクリックして表示項目をカスタマイズする作業は、思っているよりも手間がかかる。Riderシリーズではデバイスでペアリングした時から表示してくれるため、わざわざ画面カスタマイズの必要もないのだ。

例えばパワーメーターであれば、1ページめに測定中の数値、2ページめには3秒間平均、3ページめには最大数値が現れる。この3項目を新たに画面上に表示させようとすると何クリック必要なのだろうか。そう考えると面倒くさがり屋の筆者にとっては、この上なく嬉しい機能であることは間違いない。

薄型でスマートなデザインのRider530。左右どちらの側面にもボタンが2つ備えられる薄型でスマートなデザインのRider530。左右どちらの側面にもボタンが2つ備えられる デバイス下部にもボタンが備えられ、計6つで操作を行うデバイス下部にもボタンが備えられ、計6つで操作を行う


一方で、標準表示項目「速度、登坂高度、走行時間、距離」からひと項目ずつ増加していくため、ペアリングするデバイスが多いほど、表示される文字の大きさが小さくなるのには注意したい。Rider530のように大画面のモデルでは、たくさんの項目を一気に表示できることも魅力だが、目を画面に落としただけでも数値が読み取れる文字の大きさというのも魅力としてある。好みの問題だが、大きな文字が好きな方は改めてカスタマイズしたほうが良いかもしれない。

と、ここまでが全てのモデルに共通するところ。これからは各モデルを掘り下げていきたい。まずテストを行ったのはハイエンドモデルのRider530。他の2機種には備えられていないナビゲーションシステムを備える唯一のモデルであるため、その機能を中心に紹介しよう。

Rider530について

Rider530は記録したライドのルートやデータのログを確認することができるRider530は記録したライドのルートやデータのログを確認することができる ライドルートのプロフィールも表示可能ライドルートのプロフィールも表示可能 スピードのグラフも確認することができるスピードのグラフも確認することができる

ルートナビゲーションは線で行き先を案内するルートナビゲーションは線で行き先を案内する ワークアウトも備えられており、トレーニングの相棒としても活躍するワークアウトも備えられており、トレーニングの相棒としても活躍する


Rider530がトップグレードたる所以はルートナビゲーションシステムにある。Riderのスマホアプリで作成したルート、パソコンから取り込んだGPXなどルートデータをもとに、ライダーを目的地まで導いてくれるのだ。

ナビ画面には目的地までの線と自分の現在地を表す矢印、右上に目的までの距離、右下に走行スピードが表示される。常に自分の目線が画面上を向くヘッドアップ方式となっており、次はどちらに曲がるのかを直感的に把握しやすい。スマホアプリで制作したルートならば、曲がり角の距離や曲がる方向を示す表示が加えられるのも嬉しい仕様。

実際に試用してみたところ画面表示は非常にシンプルだという印象を受けるが、目的地までたどり着くには必要十分だ。一方で、細かい路地を走行する時に曲がり角がわかりにくく、通り過ぎてしまうということも何度かあった。道を間違えてもすぐに画面上で確認することができるため、迷子にはなりにくいと感じた。

Rider310について

ブライトン Rider310ブライトン Rider310
Rider310は実際に使用してみてもRider530と比較してもGPSの精度などデバイスの性能に差は見受けられず、トップグレードと遜色ないサイクルコンピューターだというのがファーストインプレッションだった。

Rider530はナビゲーションシステムとシマノDi2との連携、大画面というメリットが大きな魅力であり、そのために選ぶ価値は十分にある。一方で、走行ルートのログと走行データなど最低限の記録さえできていれば十分というサイクリストであれば、Rider310でも満足できるのではないかと思う。

3ボタン式の操作方法も非常にわかりやすく、左のバックボタン/カーソルボタン、中央のエンターボタン、右のカーソルボタンと覚えていれば、直感的に操作が行える。多数の画面でカーソルが一方通行であるためシチュエーションによっては不便を覚えるかもしれないが、慣れの範囲内だろう。項目数が多い画面では左ボタンにカーソルが割り当てられるため、自由に項目を選ぶことができる。

Rider10について

ブライトン Rider10ブライトン Rider10
GPSサイクルコンピューターの最初の1台として選びやすい価格帯、機能のRider10。記録したGPSログの精度も上位機種とは遜色なく、サイクリングの軌跡を残すのであれば十分だ。画面に表示される文字サイズは上段が大きく、中段は小さいが色分けされ、下段はやや大きめで読み取りやすいのも美点であると感じる。

一方で、ライド中に表示しているデータ内容がどの項目であるか把握するのに慣れが必要という印象を受けた。ロゴマークが表示されているので直感的には理解できるのだが、前方から視線を外したくないライド中でも内容をしっかりと把握したいのであれば、説明書を読んでロゴ暗記してから望むと良いだろう。

表示されている内容を読み取ることも重要だが、ライド後にパソコンで確認することができるため、差し迫るような重要性は無いのかもしれない。走行中のデータを気にするほど追い込むサイクリストではなく、帰宅後にルートログなどデータをのんびり見て楽しむ方が適していると感じた。なにはともあれアンダー1万円でGPSのログを記録できるサイクルコンピューターというのは魅力だろう。

記録したデータについて

ログデータはスマホアプリで管理するログデータはスマホアプリで管理する ライド後はスマホで走行データを確認できるライド後はスマホで走行データを確認できる スピードなど各種データもチェック可能スピードなど各種データもチェック可能


記録したデータはブライトンのスマホアプリで管理することが基本となる。ライド終了後にアプリと同期させるだけで、ライドデータのアップロードが完了するというお手軽設計。加えて、スマホアプリ側でStravaと連携する設定を済ませておけば、スマホアプリと同期が完了した段階でStravaにもアップロードされる。

スマホに電話やメールが入っていないかの確認作業とあわせたスマホ操作の一連の流れとして習慣づけてしまえばデータのアップを忘れないはずだ。スマホのロックを解除し、アプリを起動、同期ボタンを押すだけなので作業としては何分もかからない。シャワーを浴びる前に手軽に済ませられるのは非常に便利だ。

アクティブブライトンスポーツというPCサイトでもログの管理が行えるアクティブブライトンスポーツというPCサイトでもログの管理が行える ルート作成も連携しているルート作成も連携している


Rider530に限ってはWi-Fiをあらかじめ設定しておくことで、ライド終了後サイクルコンピューターから直接スマホアプリとStravaにアップロードすることが可能となっている。メニュー開き、上から2番めの項目を選ぶのみ。その間わずか2クリック。自宅のWi-Fiを登録しておくと、帰宅と同時にアップを行えるため、スマホとの連携よりも楽に作業が行える。

ライド前の設定からライド後の作業まで非常に容易に行えるブライトンのRiderシリーズ。至れり尽くせりな機能を備えていながらも手を伸ばしやすい価格設定とされており、ホビーで自転車を楽しむ層や、これからハードにトレーニングを積もうと考えている層など、数多くのサイクリストの選択肢に入るサイクルコンピューターだと感じた。




ブライトン Rider530
付属品:本体、USBケーブル、バイクマウント、Fマウント、スタートガイダンス
    センサーセット(スピード、ケイデンス、心拍)
価 格:21,300円(税抜)、30,800円(税抜、センサー同梱セット)

ブライトン Rider310
付属品:本体、USBケーブル、バイクマウント、スタートガイダンス、(ケイデンスセンサー、セットのみ)
価 格:11,800円(税抜)、14,300円(税抜、センサー同梱セット)

ブライトン Rider10
カラー:ブラック、ホワイト
付属品:本体、USBケーブル、バイクマウント、スタートガイダンス、(ケイデンスセンサー、セットのみ)
価 格:7,400円(税抜)、9,900円(税抜、センサー同梱セット)
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