東京・神田錦町にオープンした自転車通勤者のための話題の施設「ジテ通ハウス」。今回は代表の原田敬史さんにジテ通ハウスを立ち上げたきっかけ、営業するに当たって苦労した点、メディア等の反響の大きさなどを伺ってみた。

ジテ通ハウス代表、原田敬史さんジテ通ハウス代表、原田敬史さん 東京のど真ん中、神田錦町にオープンしたジテ通ハウス。自転車通勤をしている人、これからしたい人のための夢のような施設を作ったのが、今回インタビューさせて頂いた原田敬史さんだ。

なぜ、ジテ通ハウスを作ろうと思ったのだろうか? 営業する上で、どんな点に苦労するのだろうか? 実際に営業を始めて、反響はどの程度なのだろうか? それでは、さっそくのインタビューをご紹介しよう。

― さて、まずはジテ通ハウスを開業しようと思ったきっかけを教えて頂けますでしょうか?

原田 「実は数ヶ月前まで私もサラリーマンで、自転車通勤をしていたのですが、汗だくになって会社についてもシャワーもなければロッカー室もないという不便な状況でした。だから、昔から頭の中には『こんな施設があったらイイなぁ』という考えがあったのです。それが頭の中でだんだん具体的になっていって、気が付いたら会社を早期退職して、ジテ通ハウスを立ち上げていたという感じです(笑)」

― なるほど、定年前に会社を辞めたとは、なかなか思い切りましたね。

原田 「そうですね。でも『思い立ったが吉日』って言うじゃないですか。色々な人の助けを借りながら、ほぼ理想通りの『ジテ通ハウス』ができたと思っています。

広々とした店内広々とした店内 ― 確かに、場所は絶好だし、施設はキレイで何でも揃っているし、言うことなしですね。さぞかし、家賃も高いのでしょうね?

原田 「物件探しはとても苦労しましたが、場所や広さには妥協しませんでした。その結果、とても良い物件が見つかったと思っています。実はここは倉庫物件なんです。だから、事務所物件の半額くらいの家賃。もしこれが事務所物件なら、家賃が高すぎてとても借りられませんでした」

― なるほど、それをここまでキレイに仕上げるのには、相当苦労されたでしょうね?

原田 「そうですね。1Fがガレージ、地下が作業場という設計でシャワーのための給湯施設がありませんでしたし、建築基準法や消防法の絡みで自由に間仕切りをしたりすることが出来ないなど制約が多かったです。少ない予算のため、ラックは自作したり、出来るだけのことはやったつもりです。」

お客様の自転車をメンテナンスする原田さんお客様の自転車をメンテナンスする原田さん ― 実際に営業を始めてみて、苦労された点は?

原田 「まずは多くの自転車好きの方に知って頂くということですね。雑誌に大々的に広告を出せるほどの資金もありませんし、まずは郊外のショップにお邪魔して、自転車通勤をされているお客様に知って頂けるようパンフレットを置かせてもらったりしました」

― 反響はいかがでしたか?

原田 「最初はなかなか知名度が上がらず、お客様もなかなか集まりませんでしたが、口コミで『こんな施設があるよ』というのが広がって、開業1ヶ月目くらいからぼちぼちとお問い合わせを頂くようになりました。サイクルモードでもずいぶん宣伝をさせて頂いたので、最近はたくさんのお問い合わせを頂いています。あっ、シクロワイアードに掲載して頂いてからも、とても反響が大きいですよ(笑)」

― ありがとうございます。いくら良い施設でも、まずは皆さんに知って頂かないと、しょうがないですからね。ジテ通ハウスの「ここが売り」という部分を教えて頂けますか?

原田 「まずは、営業時間内は有人対応なので、高価なロードバイクを安心して預けられるという点ですね。盗まれる心配がないというのは、ジテ通をしている人にとって、とても重要な要素だと思います。次に、着替えをするためのスペース、ロッカールーム、汗を流せるシャワー室があるという点。これはジテ通をする人にとって、ネックとなる部分ですね。実際、会社にシャワーがないので、ジテ通をあきらめているという人はとても多いですからね」

― なるほど。たしかにどれも基本的なことばかりですが、日本の会社ではそれらの設備がちゃんとあるところは、極めて少ないですよね。

原田さんの人柄を慕い、お客さんや自転車仲間が自然と集まる原田さんの人柄を慕い、お客さんや自転車仲間が自然と集まる 原田 「そうなんです。それがジテ通ハウスを始めた最も大きなきっかけなんです。また、急な用事や雨などの時には、自転車を置いて電車で帰りたいこともありますよね。だから、ジテ通ハウスでは翌日以降までの留め置きもできるようにしています。

― 素晴らしいですね。その他には?

原田 「汗だくになったウェアを帰宅時までに洗って乾かすサービスもしています。また、ご希望があれば洗車やチェーンへの注油などのメンテナンスもやっています。さらに少し変わったサービスとして、室内にエアロバイク(4台)やローラー台を設置して冬場や雨の日など自由にトレーニングが出来るようにもなっています。」

― ホントに至れり尽くせりですね。ところで、ジテ通ハウスの最寄り駅はどこなんですか?

原田 「一番近いのは、都営地下鉄の「小川町」ですが、その他にもJRならば「御茶ノ水」、「神田」、「東京」など、東京メトロなら「淡路町」、「新御茶ノ水」、「神田」、「神保町」、「竹橋」、「大手町」など、都営地下鉄ならば「神保町」なども十分に歩いて通える距離にあります」

― ずいぶんたくさんの駅が近いんですね。それだけ色々な駅のアクセスが良ければ、利用可能な方も多いでしょうね。

原田 「そういう場所を探すのに苦労しましたからね(笑)」

― 気になるのは料金ですが、どのような設定になっているのですか?

原田 「通勤のスタイルにより選んで頂けるよう設定しました。毎日使う方用にパスポート会員12,000円/月、週に1回程度の方用にマンスリー会員6,800円/月(4回利用)、たまにという方用にビジター会員2,300円/1回、回数券は20,000円/10回で、団体での利用やお友達との複数での使用もできます。又、出来るだけ背負って走る荷物は少なくしたいと思いますので、自分専用に荷物を預けておくための占有契約ロッカーは小物用1,000円、中型2,000円、スーツ用5,000円を用意しています。その他ではランドリーサービスが200円/1回、貸しタオル200円/1回とさせて頂いてます。」

― たしかにリーズナブルな価格設定ですね。営業時間は何時から何時までなのですか? それから休日は?

原田 「朝は7:30~11:00、日中は施設のメンテナンスのため一度閉めて夕方は16:00~20:30の設定です。土日・祝日は休業します。 ただ上記営業時間外での自転車の出し入れなども事情によりご相談に応じることにしていますし、特にもう少し遅くまでという希望が多いので、地下の更衣室にセキュリティシステムを導入し、無人での対応(22時か23時まで)が出来るようにすべくビル側と協議検討中です。」
「ジテ通ハウスがきっかけとなり、もっと自転車通勤がさかんになるとイイですね」と熱く語る原田さん「ジテ通ハウスがきっかけとなり、もっと自転車通勤がさかんになるとイイですね」と熱く語る原田さん
― それはとても便利ですね!

原田 「初めて使うお客様のために、更衣、シャワー、自転車・荷物預かりで1000円というお試し価格も設定させて頂きました(注:電話03-3518-2805又はメール[email protected]で要予約)。

― 素晴らしいですね。ぜひ、多くのお客様に利用して頂いて、ジテ通がもっと盛んになることを期待したいですね。

原田 「そうですね。自転車は環境にも優しいし、スポーツとしても魅力的だし、多くの方にロードバイクの魅力を知って頂けたら、私も幸いです」

― 今日はお忙しい中、ありがとうございました。

原田 「こちらこそ、ありがとうございました」




自転車通勤について熱く語ってくれた原田さん。こんな施設がもっと増え、自転車通勤をする人が今の5倍、10倍になれば、日本の自転車シーンもかなり変わってくるのではないだろうか? シクロワイアードも、ジテ通ハウスの動向をこれからも追っていきたい。

■問い合わせ
ジテ通ハウス
〒101-00 東京都千代田区神田錦町1-10 第二西村ビル1F
TEL. 03-3518-2805
http://www.jite2.com/


取材・文:仲沢 隆

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