ホビーレーサーの甲子園として名高い「ツール・ド・おきなわ」。今年も開催が迫ってきた日本最高峰のホビーレースへと挑む、強豪レーサーたちのおきなわに対する思い、そして今年のレースへの意気込みを聞いた。



市民210kmの前年度覇者であり、4度目の優勝を狙う高岡亮寛

市民210kmのゴールに単独で飛び込む高岡亮寛(イナーメ信濃山形)市民210kmのゴールに単独で飛び込む高岡亮寛(イナーメ信濃山形) photo:Hideaki.Takagi
28kmを残し独走に出た高岡亮寛(イナーメ信濃山形)28kmを残し独走に出た高岡亮寛(イナーメ信濃山形) photo:Makoto.AYANOツール・ド・おきなわとはどのような大会ですか?
一年で一番重要視している大会です。距離、コースの難易度ともにホビーレーサーナンバーワンを決めるに相応しい大会であると思っています。

これまでの大会でもっとも印象深かった瞬間は?
2連覇をかけた2008年の大会で雨の中110kmを単独で逃げ、ゴールまで1.5kmを残して武末選手に抜き去られた時ですね。

今年の大会の抱負は?
この210kmというカテゴリーでの2連覇と通算4勝という記録はどちらも誰も達成していません。今年勝つことができれば、その記録を打ち立てることができるので、ぜひチャレンジしたい。

前人未踏の4勝目に向けて特別なトレーニングなどは行っていますか?
普通の生活をしていては、210kmでの勝負などできません。ですので練習、食事、睡眠など生活習慣全てをツール・ド・おきなわのために変えています。「勝つんだ」という気持ちを強く持つことが一番特別なことだと思います。


昨年2位に入った青木峻二

青木峻二(ウォークライド) 、井上亮(VCフクオカ)、高岡亮寛(イナーメ信濃山形)の3人の逃げが続く青木峻二(ウォークライド) 、井上亮(VCフクオカ)、高岡亮寛(イナーメ信濃山形)の3人の逃げが続く photo:Makoto.AYANO
高岡を追走する青木峻二(ウォークライド) と井上亮(VCフクオカ)高岡を追走する青木峻二(ウォークライド) と井上亮(VCフクオカ) photo:Makoto.AYANOツール・ド・おきなわとは青木さんにとってどのような大会ですか?
一年のうちで最も楽しみにしているレースです。コースが素晴らしく、景色がきれいであるとともに、アップダウンがあり非常に厳しいため、勝つためには実力が必要なところに魅力を感じています。UCIレースと同じコースでレースをすることができるということも魅力です。

過去のおきなわでもっとも印象に残った瞬間は?
昨年の勝負が決まる集団に残った場面です。先頭集団が4人となって、ゴールを目指していたときです。勝負が決まる集団だと思っていたのですが、最終的には遅れてしまいました。負けたくない気持ちが強かったのですが、暑さと疲れのため脚が動かなくて、きつかったです。

ツール・ド・おきなわへ向けた特別な対策はありますか?
特別なトレーニングは行っていませんが、普段から週末は180㎞ほど走っているので、その練習が沖縄対策になっていると思います。トレーニングではありませんが、シーズン最後のレースになるので、体調の管理には気を使っています。

今年の大会へ向けての抱負をお願いします。
毎年のことですが、レースを楽しみながら、笑顔でゴールしたいと思っています。できれば、昨年と同様に勝負が残る集団に残り、その中で、積極的に動いて、優勝したいです!



昨年3位という成績を残した井上亮

慶佐次の海岸線を逃げ続ける井上亮(VCフクオカ)、高岡亮寛(イナーメ信濃山形)、青木峻二(ウォークライド)の3人慶佐次の海岸線を逃げ続ける井上亮(VCフクオカ)、高岡亮寛(イナーメ信濃山形)、青木峻二(ウォークライド)の3人 photo:Makoto.AYANO
逃げ集団を牽く井上亮(VCフクオカ)逃げ集団を牽く井上亮(VCフクオカ) photo:Makoto.AYANO ツール・ド・おきなわとはご自身にとってどのような大会ですか?
仕事や家庭がある中で自転車のトレーニングを積んでいるホビーレーサーの方々の最高峰のレースということで、一年の中で一番の目標に置いている大会です。それと共に家族で一緒に遠征して、沖縄観光をするのを楽しみにしている大会でもあります。

過去に参加してきた中でもっとも印象深かったシーンは?
2014年の市民210kmで、2回目の普久川ダムで高岡さんら数人で抜け出して、その後とてもスムーズにローテーションを回して後続に差をつけていった時です。210kmは初めての参加だったのですが、この逃げの中で勝負が決まるなと思ってめちゃくちゃ楽しかったのが印象に残ってます。その後、キツくなって千切れてしまい結局5位だったのですが(笑)

ツール・ド・おきなわへ向けた特別なトレーニングや準備、対策は行っていますか?
シーズン中ずっと高いパフォーマンスを維持するのはホビーレーサーとしては厳しいと思うので、今シーズンは5月のスズカのエンデューロレースと6月の富士ヒルクライムをシーズン前半の目標として、その後はいったん休んで8月ぐらいから徐々に乗り込んでいくことで、ピークを11月にもってこようと計画していました。前半はうまく計画通りにいったと思っていたのですが、さあ乗り込んで行こうと思った時に思うように調子が上がらず、仕事も少々忙しくなってきて正直焦っていますがこれからの自分の頑張りに期待しています(笑)

トレーニング以外としては、自分はどうも長距離のレースで後半に補給食の消化吸収能力が落ちてパワーダウンする傾向にあるので、できるだけ消化できる補給食を日々の練習で見つけていくことと、できるだけ少ない食料摂取で済むように、エネルギー代謝における脂質代謝の割合を高めていけるように模索しています。

今年の大会へ向けての抱負をお願いします。
5位→3位ときたので今年は優勝を、とシーズン始めは意気込んでいたのですが、ここ最近のダメっぷりでとりあえずレースを楽しめるようにと弱気になっています(笑)



昨年の女子国際日本人最高位となった 金子広美

女子国際100km 3位 金子広美(イナーメ信濃山形)女子国際100km 3位 金子広美(イナーメ信濃山形) photo:Hideaki TAKAGI
金子さんにとってのツール・ド・おきなわとは?
一年の締めくくりとなる、大事なレースです。個人のレースですが、海外選手も参加するので自分にとっては負けられない、大事なレースとして挑んでいます。

過去のおきなわで強く印象に残っている瞬間は?
2014年に普久川ダムを越えた後は独りになり、かなりの距離を単独で走ったシーンですね。最終的にはゴールまで独走し優勝できたのですが、追走がいつ来るかと思いながら、必死で走った苦しさを今でも覚えています。

ツール・ド・おきなわに向けた特別なトレーニング等は行っているのですか?
ツール・ド・おきなわを想定した、アップダウンのあるコースを走っています。全部で160km程度ですが、30分程の長い登りも平地もあるコースで、練習仲間や時には単独で練習しています。

最後に、今年の大会の目標をお願いします。
自分の得意とする場面でチャンスがあれば積極的に仕掛けていき、優勝を勝ち取りたいですね。


地元選手として活躍する喜屋武敬

地元選手として活躍する喜屋武敬地元選手として活躍する喜屋武敬 photo:Makoto.AYANO
喜屋武さんにとって、ツール・ド・おきなわとはどういった位置付けのレースですか?
仕事や家庭の事情により、沖縄県外でのレースへの参加は出来ませんが、その分ツールドおきなわは、自分の力を試せる場であり、また日本中の強豪レーサーと一緒に走れるという自分にとって夢のような特別なイベントです。

過去に参加してきた中で最も思い出に残っている瞬間は?
5年前の大会の時、トップ集団で走っていたのですが、二回目の普久川ダムの登りでマシーントラブルの為に遅れてしまいました。その時は三年ぶりの参加で調子も良く、上位入賞へのチャンスでしたが、今考えても悔やまれます。

大会へ向けて特別なトレーニングなどは行っていますか?地元選手ならではの工夫などはありますか?
沖縄に住んでいる利点を生かし、コースを何度も走ることができます。また、沖縄にはオリンピック選手やジュニアの日本代表選手がいる為、時々彼らのトレーニングに参加させてもらってます。もちろん手も足も出ませんが(笑)本番までには210kmに耐えられる心と体を作りたいと思います。

今年の大会への抱負をお願いします
いつもスタートすると冷静さを失い、結果最後で失敗してしまっている為、今大会は冷静に自分をコントロールし、出来れば強豪のレーサーの方々と肩を並べ、上位でゴールできればと考えています。



地元女子選手として国際レースへと挑む成海綾香
2014年の市民レディースレース50kmで4位に入った実績を持つ成海綾香2014年の市民レディースレース50kmで4位に入った実績を持つ成海綾香 ※本人提供画像成海さんにとって、ツール・ド・おきなわとはどういった位置付けのレースですか?
毎年、ツール・ド・おきなわでの上位入賞を目標としており県内外、さらに国際レースとなれば国外からもトップ選手が出場するので私にとっては自分の実力を確認できるレースです。小学生の頃から参加していてすごく思い出深い大会です

これまでに参加してきた中で、もっとも嬉しかった時は?
2年前の中学2年生の時に出場した市民レースレディース50kmです。1年生の時は集団に付いていくので精一杯でしたが2年生では優勝を目標としていたので、積極的にレースを動かすことが出来ました。勝敗の決め手となる今帰仁村天底の坂でアタックを仕掛け、逃げ集団を作ることが出来たのがこの大会1番の収穫でした。優勝こそは逃しましたが自分でレースを作る楽しさを体感したレースでした。

今年の大会へ向けた特別なトレーニングはしていますか?
今回は市民レディースレースではなく国際レースに参加するため距離も100kmと長丁場のレースです。コースもアップダウンが多く厳しい戦いになる事が予想されるので、長い距離を乗り込む時にはツール・ド・おきなわをイメージしながら走っています。また、厳しいアップダウンでどのように走るかが勝敗を左右するので部活後にも自主練で坂を登ったりしています。

今年の抱負をお願いします。
今大会、初めての国際レースに出場するのですごく緊張しています。同時に国内外からのトップ選手と同じ舞台に立てることが嬉しくて本番がすごく待ち遠しいです。100kmという長丁場のレースも初めてなのでまずは完走することが目標です。また、挑戦者としてレースを積極的に動かすことが出来たらいいなと思います。


text.Naoki.YASUOKA
photo:Makoto.AYANO,Hideaki.TAKAGI

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