4月24日の昼下がり、東京目黒の自転車文化センターにて「新城幸也 熊本地震支援チャリティートークショー&サイン会」が開催された。ゲストはJ SPORTSのロードレース解説でもおなじみの栗村修さん。被災地支援の主旨に賛同し、新城の呼びかけに応えて駆けつけてくれた。MCは新城のマネージャーでもある飯島美和さんが務めた。



イベントは新城幸也と栗村修さんのトークショーで開幕したイベントは新城幸也と栗村修さんのトークショーで開幕した photo:Yuichiro Hosoda
「被災地にたくさんの笑顔と元気を届けたい」と言う新城の想いに端を発したこのイベントは、わずか4日前に開催が発表されたにも関わらず、予想を遥かに超える参加者が来場。会場外の裏道まで長蛇の列が出来た。最終的には、用意されたグッズが列の半ばで全て完売となってしまうほどの規模となった。

トークショーでは九州地方と新城の繋がりについて栗村さんが質問。今回熊本とともに震災に遭った大分県で2度の全日本選手権優勝を飾っている事や、2年前から九州のイベントに参加している事などが語られた。

入り口で出迎えたランプレ・メリダジャージのマネキン入り口で出迎えたランプレ・メリダジャージのマネキン photo:Yuichiro Hosoda入り口に貼りだされた新城幸也のポスター。下のポスターでは出身地・沖縄の方言で九州を応援入り口に貼りだされた新城幸也のポスター。下のポスターでは出身地・沖縄の方言で九州を応援 photo:Yuichiro Hosoda

開場時は豊富に用意されていたグッズだが、予想以上の来場者数により、たちまち完売となった開場時は豊富に用意されていたグッズだが、予想以上の来場者数により、たちまち完売となった photo:Yuichiro Hosoda多くの来場者が駆けつけ、入場料を入れる箱があっという間に埋まっていった多くの来場者が駆けつけ、入場料を入れる箱があっという間に埋まっていった photo:Yuichiro Hosoda

また、自身の出身地・沖縄にも照らし合わせつつ「一般に九州・沖縄地方と言われる事も多いですし、こうして良い思い出や繋がりもあって、他人事とは思えないんです。東日本大震災の時には日本にいなくて何も出来なかったんですが、今回こうして日本にいますので、自分に出来る事をして、被災地の人にも少しでも元気になってもらえれば」と想いを語った。自転車選手として熊本競輪場が被災した事にも触れ、一緒にタイ合宿をした九州の高校生らの練習環境などについても心配していた。



この最中にも来場者の列が長くなり続け、会場外でトークを見られない人達が多く居ることにも配慮し、トークショーを早々に切り上げ、サイン会へ移ることが発表された。1時間の予定が10分程となったにも関わらず、状況を理解する会場からは拍手が贈られ、和やかなムードの中サイン会が始まった。

会場に全く収まりきれない315人もの来場者が駆けつけた会場に全く収まりきれない315人もの来場者が駆けつけた photo:Yuichiro Hosoda会場外でトークショーを見られない来場者が多く居ることへの配慮からトークは10分程で終了とし、イベントはサイン会へと移った会場外でトークショーを見られない来場者が多く居ることへの配慮からトークは10分程で終了とし、イベントはサイン会へと移った photo:Yuichiro Hosoda

会場の裏道まで、新城との交流を待つ長蛇の列が出来た会場の裏道まで、新城との交流を待つ長蛇の列が出来た photo:Yuichiro Hosoda大分出身のファンを気遣いながらサインしていた新城幸也大分出身のファンを気遣いながらサインしていた新城幸也 photo:Yuichiro Hosoda

その間MCの飯島さんと栗村さんがトークを引き継ぎ、新城は自身の復活を待つファンの声に応えながら、サインと記念撮影に全ての時間を費やした。大分に実家があると言うファンには「お家やご家族は大丈夫でしたか?」と優しく声をかける一幕も見られた。

そんな中、栗村さんはファンから渡されたユキヤマスクを被り、ニセユキヤとして列に混じって暗躍。ファンサービスではこの人も別方向で負けてはいない。順番を待つ来場者達が長時間飽きることなく笑顔で並んでいたのは、栗村さんの存在も大きかったと言えよう。この日の助演男優賞は間違いなくこの人だ。

愛犬コリンも凛々しい顔でポーズを決める愛犬コリンも凛々しい顔でポーズを決める photo:Yuichiro Hosodaベルギー人のユキヤファン親子。2012年のツール、母国で新城を応援した時の写真にサインしてもらい笑顔ベルギー人のユキヤファン親子。2012年のツール、母国で新城を応援した時の写真にサインしてもらい笑顔 photo:Yuichiro Hosoda

ニセユキヤに扮した栗村さんがファンとの記念撮影などに応じて会場を駆けまわったニセユキヤに扮した栗村さんがファンとの記念撮影などに応じて会場を駆けまわった photo:Yuichiro Hosodaニセユキヤがサインに励む。さて、誰のサインでしょう?ニセユキヤがサインに励む。さて、誰のサインでしょう? photo:Yuichiro Hosoda

栗村さんが「新城選手のサイン、僕が書きましょうか。僕、昔今中大介さんのサインも書けたんですよ、実は」と言うと、飯島さんは「私も新城のサイン書けるんですよー。いやいやいや書いてませんけどねっ」とウソかマコトか?ちょっと危険なジョークを時々飛ばし合っていた。「昨年フランスの自転車メディアに最も登場した日本人は新城だったんです」と言う発表には会場から歓声が挙がった。



イベント終了後の報告によると、入場料とグッズの売上を合わせ、85万5217円もの善意が集まったと言う。入場者数は315名と発表された。グッズを購入する際には「お釣りも寄付で」と申し出る人までおり、販売価格以上の義援金が集まったようだ。この収益金は全額が被災地へ寄付される。この辺りもまた新城の人柄を表すと共に、短期間の広報で賛同者が多く集まった所以と言えそうだ。

最後の来場者が入場料を入れ、2つめの箱も義援金でいっぱいになった最後の来場者が入場料を入れ、2つめの箱も義援金でいっぱいになった photo:Yuichiro Hosoda懐かしいポストカードを持ち込んだファンもいた懐かしいポストカードを持ち込んだファンもいた photo:Yuichiro Hosoda

「どうしても欲しかったんです!」と新城幸也モデルの腕時計を閉会まで待ちに待ってゲットした熱心なファン。もちろんこれも全て義援金となっている「どうしても欲しかったんです!」と新城幸也モデルの腕時計を閉会まで待ちに待ってゲットした熱心なファン。もちろんこれも全て義援金となっている photo:Yuichiro Hosoda約85万円と言う多くの善意が集まった募金箱を手に、笑顔の栗村修さんと新城幸也約85万円と言う多くの善意が集まった募金箱を手に、笑顔の栗村修さんと新城幸也 photo:Yuichiro Hosoda

この日のお手伝いに名乗りを上げてくれたスタッフの皆さんと共に。もちろん皆ボランティアだこの日のお手伝いに名乗りを上げてくれたスタッフの皆さんと共に。もちろん皆ボランティアだ photo:Yuichiro Hosoda
大腿骨骨折と言う大怪我からおよそ2ヶ月、リハビリを終えレースへの復帰はまだこれからと言う状況にも関わらず、数時間立ったまま笑顔を絶やさずファンと交流し続ける新城の姿には、見ているこちらが勇気づけられるものがあった。もちろん義援金自体が具体的な支援の形に違いないのだが、彼やファンの熱い想いもまた、被災地の皆さんに届く事を願ってやまない。

新城はこの後5月4日にタイへと旅立ち、より本格的なトレーニングに励む予定だ。

text&photo:Yuichiro Hosoda

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