2015/10/30(金) - 09:13
富士山や八ヶ岳など、サイクリストにとって魅力的なロケーションが豊富な山梨県。しかし山梨の魅力はそれだけではない。まだまだあまり知られていない自転車天国・山梨を伝えるべく精力的な活動をしているNPO団体「やまなしサイクルプロジェクト」の活動を紹介します。
山梨の中央部を占める甲府盆地。富士山や八ヶ岳といった日本を代表するような名所を有する山梨県だが、それだけに他の地域は見逃されがちだ。そんな山梨のど真ん中の魅力を自転車によって再発見しよう!という取り組みを続けているのが、今回取材させていただいたNPO法人「やまなしサイクルプロジェクト」の皆さんだ。
道の駅富士川を拠点として、ツール・ド・富士川などのイベントや、スポーツバイク体験など様々な活動をしているやまなしサイクルプロジェクト(以下、YCP)。その活動を始めたきっかけは、少し意外なところにあった。約2年後に迫った中部横断道の完成。静岡県の清水から山梨、長野を経て日本海へと至る高速道路がYCPの成立へとつながったという。インフラの整備と自転車、直ぐには結び付かない二つについて、理事長を務める駒澤大学経営学部教授の青木茂樹さんが説明してくれた。
「高速道路が出来ると、アクセスが良くなる一方で地方からの都市への人口や資本などの流出が大きくなるんです。いわゆるストロー現象というものですね。観光地であればアクセスの良さはメリットになりますが、それ以外の地域にとってはデメリットが大きい。そこで、どうやってインフラを活かして人をこの峡南地域に呼ぶのかが課題になり、『中部横断道沿線地域活性化構想推進協議会』が立ち上がったんですね。」
平成20年に発足した協議会に青木さんが加わったのは平成22年のこと。それ以降、この山岳地域をどうデザインしていくのかを考え続けていたという。「実は兄がサイクリストで、時々こちらに泊まりに来ては走っていたんです。この周辺がいかに都内のサイクリストから見ると羨ましい環境なのかということを聞いている時に、これだ! と思ったんですね。昔、縁のあった今中大介さんに話を聞いても、やはりこの地域は自転車には最高だと。そうしていると、協議会に自転車好きのメンバーが加わり、さらに県と各町に大変なご協力も頂いて、実際にプロジェクトが動き出したんです。」
そのプロジェクトが初めて形になったのは、平成25年に始まったツール・ド・富士川。以来、3度目の開催で多くの人を集められるイベントに成長した。その原動力となったのは、やはりこの富士川流域がサイクリストにとって魅力的な環境だということ。地元食材を活かした季節の味を楽しめる「こしべんと」やぶどう、桃などのフルーツ、 宿場町の名残りあるお饅頭屋など、地域のグルメや眺望豊かなロケーションに加え、走りやすく整備された道路事情と、自転車乗りにとっては夢のような環境が広がっている。
顧問をつとめる今中大介さんもそんな山梨の魅力に憑かれた一人。「甲府の盆地沿いにある高台をつないで走ると、それはもう最高なんですよ! 南アルプス、八ヶ岳、天気が良ければ富士山も見えるし、なんといっても走りやすい。笛吹から山梨市へと向かうフルーツラインや甲府盆地を周遊するウェスタンラインは車も少ないし、アップダウンも適度にあって何度走っても楽しいんです。運が良ければ猿や鹿にも会えますし(笑)ぜひ一度走ってみてほしいですね。」と熱く語ってくれた。
しかし、ツール・ド・富士川の魅力はそれだけではない。より大会を良くしようという主催としての気持ちが熱いのも、大きな理由の一つとなるだろう。今年はエイドステーションでの提供物をより豪華にし、昨年は2種類から選べた「こしべんと」を3種類から選べるように拡大する。一方、初心者向けの「プチ・ツール・ド・富士川」についてもコースがリニューアルし、「南アルプス完熟農園」がコースに組み込まれるという。
「エイドももちろんですが、サイクリングイベント中に、地域の魅力的なスポットに直接立ち寄ってもらって、そこで気に入ったものがあればお土産を購入できるような、これまでのサイクリングイベントではあまり無かった試みを取り入れることで、地域の方の理解を得ることが出来ればと思っています。」とは理事であり、地元を拠点とする強豪チーム、フォルジーク山梨代表の渡辺祐樹さん。
「地域の人と自転車乗りとのふれあいや共生といったものが、YCPの持つビジョンの一つです。閉ざされた競技者の世界では無くて、地域の人こそが『なんかおもしろそうなことやってるな?ちょっと行ってみるか?』というような興味を持ってきてもらえるようなイベントや企画を進めていきたいんです。」と続ける渡辺さん。
その理念をより濃く反映しているのが、もうひとつの主催イベントであるシクロクロス富士川だ。昨年初開催されたシクロクロス富士川は、あえてAJOCCへの加盟はせずに開催することを決めたという。そんなシクロクロス富士川の中心人物となるのはYCP理事であり、YOUCAN山梨店の店長でもある高野淳さんだ。
「シリアスなレーサーたちは、あまり念頭にありませんでした。ストイックに成績を求める人達には信州クロスもありますので、富士川はシクロクロスに興味があるけれど一歩踏み出せない人のためのイベントとして開催したんです。そうすると、驚くほど子どもたちの参加人数が多くて、びっくりしたんですよ。」と高野さんは初回大会を振り返る。
「きっかけづくり」というYCPの理念にしたがって、よりファミリー層が楽しめるような施策を打っていきたいと語る高野さん。
小学生クラスや幼稚園以下のキッズクラス、ママチャリでも走ることができるエンジョイクラスといったクラスが全体の半分を占めていることからも、いかにシクロクロス富士川が子どもたち、初心者たちを向いているかは分かろうというものだ。
イベントだけがYCPの活動というわけではない。「道の駅富士川」には、「ツール・ド・やまなしサイクリングブース」を設置している。等身大の今中大介さんのパネルが迎えてくれるブースには、カーボンフレームの軽さやホイールの回転の滑らかさを体験できるような展示、山梨県内のサイクリングコースの紹介パネルなどが用意され、よりスポーツサイクリングの世界をより身近に感じてもらうことができるブースとなっている。
道の駅富士川にて、もうひとつ用意されているプログラムが今年の9月から開始した「ロードバイクレンタル@富士川」。名称こそレンタサイクルのようだが、その中身はスポーツバイク入門教室といったもの。クォータやキャノンデールのロードバイクや、シクロクロスといった本格的なバイクが用意されているのが特徴で、ブレーキのかけ方やシフトチェンジといった基礎の部分からレクチャーしてもらえる、本格的なスポーツバイクの世界を味わえるプログラムとなっている。
そんなロードバイクレンタル@富士川を主に担当しているのが、山梨県甲府市にあるサイクルショップ Spring Wind 230の店長である、理事の小泉卓也さんだ。「今年の9月に初めてから、毎週末の開催で120組ほどの方に参加していただきました。
当初は、とりあえずやってみるか!という勢いだったので、予想以上に反響があったことに驚きました。だいたい一組あたり30〜40分ほどかけてレクチャーしていますね。家族連れも多いので、キッズバイクも人気なんですよ。」と、この2ヶ月間の活動を振り返る。
これから寒い時期に入るため、ロードバイクレンタル@富士川の今年度の営業は終了となっているが、スポーツバイクに乗ったことが無い人にとって、サイクリングへの門戸を開いてくれる貴重な場として、来年以降の活動にも期待大だ。
道の駅富士川はサイクリングの拠点としての役目も果たすこととなる。駐車場を無料で利用することができるため、愛車を自動車に積んでくれば都内在住のサイクリストも、広大な甲府盆地を眼下に望む走りやすく変化に富んだコースを身軽に楽しむことができるのだ。中部横断自動車道の増穂ICから約1分という好立地にあり、都内からも2時間かからずにアクセスできるため、より山梨が身近になるはず。
さらには12年後の2027年にはリニア新幹線で品川からわずか25分で新甲府駅に着くことに。「トンネルを抜けるとそこは緑の盆地だった」なんて夢のような話が現実になるのだ。
周辺のサイクリングスポットが分からないという声に応えるような新サービスも準備中という。「百坂」というサイトで、山梨県内のお勧めできる坂をシェア出来るSNSを間もなく立ち上げる予定とのことだ。ハード・ソフト両面を揃えることで、山梨にサイクリストを呼び込む準備は整っている。
「ツール・ド・富士川」に「シクロクロス富士川」、道の駅富士川でのブース展示やスポーツバイク教室といった活動を紹介してきたが、YCPには一つの目標があるという。それが「ツール・ド・やまなし」の開催だ。1日だけではなく、何日かにわたって山梨の魅力をたっぷりと味わうことができるロングライドイベントをメルクマール(指標)としているとか。
「甲府盆地をぐるっと回るような、大規模なイベントとしていつか『ツール・ド・やまなし』を開きたいんです。そのためには、もちろん行政側の理解も必要です。しかし、山梨県全体として地域資源、人的資源、地域課題を考えた時に、サイクリングが極めて有効なプロジェクトとして認められれば、実現への道はそう遠くないと思っています。」と熱い思いを語るのは青木理事長。
「勝沼あたりでは下界一面にブドウ畑が広がっていたり、春には桃の花と菜の花が綺麗なコントラストで、まさに『桃源郷』といった景色が広がっています。さくらんぼが獲れる5月から、桃、ブドウ、有名なあんぽ柿が獲れる冬まで、ほとんど一年中フルーツを楽しめるんですよ。あまり知られていない魅力が山梨にはまだまだあって、それをぜひ知っていただきたいですね。」とYCPのみなさん。
そんな山梨の魅力がギュッと詰め込まれた「ツール・ド・やまなし」がいつ開催されるのか、今から待ち遠しくなってくるのは、きっと私だけではないはず。
とはいえ、イベントでなくとも山梨の魅力は味わえる。朝、車を道の駅富士川に停めて、周りの走りごたえのある坂を巡り、フルーツやほうとう、馬刺しといった山梨ならではの味覚を味わって、温泉に浸かって帰る。そんなプランを思い描いただけでワクワクしてしまうのは、サイクリストならば仕方のないことだろう。そして、そのための環境はやまなしサイクルプロジェクトが用意してくれている。これからホットなエリアになりそうな、山梨県峡南エリアから目が離せなさそうだ。
text&photo:Naoki.Yasuoka
山梨の中央部を占める甲府盆地。富士山や八ヶ岳といった日本を代表するような名所を有する山梨県だが、それだけに他の地域は見逃されがちだ。そんな山梨のど真ん中の魅力を自転車によって再発見しよう!という取り組みを続けているのが、今回取材させていただいたNPO法人「やまなしサイクルプロジェクト」の皆さんだ。
道の駅富士川を拠点として、ツール・ド・富士川などのイベントや、スポーツバイク体験など様々な活動をしているやまなしサイクルプロジェクト(以下、YCP)。その活動を始めたきっかけは、少し意外なところにあった。約2年後に迫った中部横断道の完成。静岡県の清水から山梨、長野を経て日本海へと至る高速道路がYCPの成立へとつながったという。インフラの整備と自転車、直ぐには結び付かない二つについて、理事長を務める駒澤大学経営学部教授の青木茂樹さんが説明してくれた。
「高速道路が出来ると、アクセスが良くなる一方で地方からの都市への人口や資本などの流出が大きくなるんです。いわゆるストロー現象というものですね。観光地であればアクセスの良さはメリットになりますが、それ以外の地域にとってはデメリットが大きい。そこで、どうやってインフラを活かして人をこの峡南地域に呼ぶのかが課題になり、『中部横断道沿線地域活性化構想推進協議会』が立ち上がったんですね。」
平成20年に発足した協議会に青木さんが加わったのは平成22年のこと。それ以降、この山岳地域をどうデザインしていくのかを考え続けていたという。「実は兄がサイクリストで、時々こちらに泊まりに来ては走っていたんです。この周辺がいかに都内のサイクリストから見ると羨ましい環境なのかということを聞いている時に、これだ! と思ったんですね。昔、縁のあった今中大介さんに話を聞いても、やはりこの地域は自転車には最高だと。そうしていると、協議会に自転車好きのメンバーが加わり、さらに県と各町に大変なご協力も頂いて、実際にプロジェクトが動き出したんです。」
そのプロジェクトが初めて形になったのは、平成25年に始まったツール・ド・富士川。以来、3度目の開催で多くの人を集められるイベントに成長した。その原動力となったのは、やはりこの富士川流域がサイクリストにとって魅力的な環境だということ。地元食材を活かした季節の味を楽しめる「こしべんと」やぶどう、桃などのフルーツ、 宿場町の名残りあるお饅頭屋など、地域のグルメや眺望豊かなロケーションに加え、走りやすく整備された道路事情と、自転車乗りにとっては夢のような環境が広がっている。
顧問をつとめる今中大介さんもそんな山梨の魅力に憑かれた一人。「甲府の盆地沿いにある高台をつないで走ると、それはもう最高なんですよ! 南アルプス、八ヶ岳、天気が良ければ富士山も見えるし、なんといっても走りやすい。笛吹から山梨市へと向かうフルーツラインや甲府盆地を周遊するウェスタンラインは車も少ないし、アップダウンも適度にあって何度走っても楽しいんです。運が良ければ猿や鹿にも会えますし(笑)ぜひ一度走ってみてほしいですね。」と熱く語ってくれた。
しかし、ツール・ド・富士川の魅力はそれだけではない。より大会を良くしようという主催としての気持ちが熱いのも、大きな理由の一つとなるだろう。今年はエイドステーションでの提供物をより豪華にし、昨年は2種類から選べた「こしべんと」を3種類から選べるように拡大する。一方、初心者向けの「プチ・ツール・ド・富士川」についてもコースがリニューアルし、「南アルプス完熟農園」がコースに組み込まれるという。
「エイドももちろんですが、サイクリングイベント中に、地域の魅力的なスポットに直接立ち寄ってもらって、そこで気に入ったものがあればお土産を購入できるような、これまでのサイクリングイベントではあまり無かった試みを取り入れることで、地域の方の理解を得ることが出来ればと思っています。」とは理事であり、地元を拠点とする強豪チーム、フォルジーク山梨代表の渡辺祐樹さん。
「地域の人と自転車乗りとのふれあいや共生といったものが、YCPの持つビジョンの一つです。閉ざされた競技者の世界では無くて、地域の人こそが『なんかおもしろそうなことやってるな?ちょっと行ってみるか?』というような興味を持ってきてもらえるようなイベントや企画を進めていきたいんです。」と続ける渡辺さん。
その理念をより濃く反映しているのが、もうひとつの主催イベントであるシクロクロス富士川だ。昨年初開催されたシクロクロス富士川は、あえてAJOCCへの加盟はせずに開催することを決めたという。そんなシクロクロス富士川の中心人物となるのはYCP理事であり、YOUCAN山梨店の店長でもある高野淳さんだ。
「シリアスなレーサーたちは、あまり念頭にありませんでした。ストイックに成績を求める人達には信州クロスもありますので、富士川はシクロクロスに興味があるけれど一歩踏み出せない人のためのイベントとして開催したんです。そうすると、驚くほど子どもたちの参加人数が多くて、びっくりしたんですよ。」と高野さんは初回大会を振り返る。
「きっかけづくり」というYCPの理念にしたがって、よりファミリー層が楽しめるような施策を打っていきたいと語る高野さん。
小学生クラスや幼稚園以下のキッズクラス、ママチャリでも走ることができるエンジョイクラスといったクラスが全体の半分を占めていることからも、いかにシクロクロス富士川が子どもたち、初心者たちを向いているかは分かろうというものだ。
イベントだけがYCPの活動というわけではない。「道の駅富士川」には、「ツール・ド・やまなしサイクリングブース」を設置している。等身大の今中大介さんのパネルが迎えてくれるブースには、カーボンフレームの軽さやホイールの回転の滑らかさを体験できるような展示、山梨県内のサイクリングコースの紹介パネルなどが用意され、よりスポーツサイクリングの世界をより身近に感じてもらうことができるブースとなっている。
道の駅富士川にて、もうひとつ用意されているプログラムが今年の9月から開始した「ロードバイクレンタル@富士川」。名称こそレンタサイクルのようだが、その中身はスポーツバイク入門教室といったもの。クォータやキャノンデールのロードバイクや、シクロクロスといった本格的なバイクが用意されているのが特徴で、ブレーキのかけ方やシフトチェンジといった基礎の部分からレクチャーしてもらえる、本格的なスポーツバイクの世界を味わえるプログラムとなっている。
そんなロードバイクレンタル@富士川を主に担当しているのが、山梨県甲府市にあるサイクルショップ Spring Wind 230の店長である、理事の小泉卓也さんだ。「今年の9月に初めてから、毎週末の開催で120組ほどの方に参加していただきました。
当初は、とりあえずやってみるか!という勢いだったので、予想以上に反響があったことに驚きました。だいたい一組あたり30〜40分ほどかけてレクチャーしていますね。家族連れも多いので、キッズバイクも人気なんですよ。」と、この2ヶ月間の活動を振り返る。
これから寒い時期に入るため、ロードバイクレンタル@富士川の今年度の営業は終了となっているが、スポーツバイクに乗ったことが無い人にとって、サイクリングへの門戸を開いてくれる貴重な場として、来年以降の活動にも期待大だ。
道の駅富士川はサイクリングの拠点としての役目も果たすこととなる。駐車場を無料で利用することができるため、愛車を自動車に積んでくれば都内在住のサイクリストも、広大な甲府盆地を眼下に望む走りやすく変化に富んだコースを身軽に楽しむことができるのだ。中部横断自動車道の増穂ICから約1分という好立地にあり、都内からも2時間かからずにアクセスできるため、より山梨が身近になるはず。
さらには12年後の2027年にはリニア新幹線で品川からわずか25分で新甲府駅に着くことに。「トンネルを抜けるとそこは緑の盆地だった」なんて夢のような話が現実になるのだ。
周辺のサイクリングスポットが分からないという声に応えるような新サービスも準備中という。「百坂」というサイトで、山梨県内のお勧めできる坂をシェア出来るSNSを間もなく立ち上げる予定とのことだ。ハード・ソフト両面を揃えることで、山梨にサイクリストを呼び込む準備は整っている。
「ツール・ド・富士川」に「シクロクロス富士川」、道の駅富士川でのブース展示やスポーツバイク教室といった活動を紹介してきたが、YCPには一つの目標があるという。それが「ツール・ド・やまなし」の開催だ。1日だけではなく、何日かにわたって山梨の魅力をたっぷりと味わうことができるロングライドイベントをメルクマール(指標)としているとか。
「甲府盆地をぐるっと回るような、大規模なイベントとしていつか『ツール・ド・やまなし』を開きたいんです。そのためには、もちろん行政側の理解も必要です。しかし、山梨県全体として地域資源、人的資源、地域課題を考えた時に、サイクリングが極めて有効なプロジェクトとして認められれば、実現への道はそう遠くないと思っています。」と熱い思いを語るのは青木理事長。
「勝沼あたりでは下界一面にブドウ畑が広がっていたり、春には桃の花と菜の花が綺麗なコントラストで、まさに『桃源郷』といった景色が広がっています。さくらんぼが獲れる5月から、桃、ブドウ、有名なあんぽ柿が獲れる冬まで、ほとんど一年中フルーツを楽しめるんですよ。あまり知られていない魅力が山梨にはまだまだあって、それをぜひ知っていただきたいですね。」とYCPのみなさん。
そんな山梨の魅力がギュッと詰め込まれた「ツール・ド・やまなし」がいつ開催されるのか、今から待ち遠しくなってくるのは、きっと私だけではないはず。
とはいえ、イベントでなくとも山梨の魅力は味わえる。朝、車を道の駅富士川に停めて、周りの走りごたえのある坂を巡り、フルーツやほうとう、馬刺しといった山梨ならではの味覚を味わって、温泉に浸かって帰る。そんなプランを思い描いただけでワクワクしてしまうのは、サイクリストならば仕方のないことだろう。そして、そのための環境はやまなしサイクルプロジェクトが用意してくれている。これからホットなエリアになりそうな、山梨県峡南エリアから目が離せなさそうだ。
text&photo:Naoki.Yasuoka
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