イギリスのパーツブランド「ファブリック」が東京サイクルデザイン専門学校とコラボして開催している、同社Cellサドルを用いたバイクデザインコンテスト。5月から続くコンペは、いよいよ完成したフレームの発表会となった。お披露目されたバイクの中から、最終審査会に進める4台のバイクを紹介する。



Cellに似合うバイクをデザイン・制作するデザインアワードCellに似合うバイクをデザイン・制作するデザインアワード
英国のサイクリングパーツブランド、ファブリックが今年の9月からのグランドロンチに向けて開催しているデザインアワード。このアワードは国内唯一の自転車専門学校である「東京サイクルデザイン専門学校(東京・青山)」の学生がファブリックのアイコンともいえる「CELL」からインスパイアされたバイクをデザインし、双方が注力する高い「創作性」をアピールするというもの。

このデザインアワードが目的とするものは2つ。一つ目は才能あるデザイナー/クリエイターを発掘する事。そして、今までに無かったユニークな打出しによりクリエイティブでスタイリッシュなブランドイメージの発信すること。

ターゲットや使用シーンなど細かくプレゼンを行ったターゲットや使用シーンなど細かくプレゼンを行った (c)ファブリック・ジャパンファブリック・ジャパンの池田社長も自ら学生のプレゼンを聴くファブリック・ジャパンの池田社長も自ら学生のプレゼンを聴く (c)ファブリック・ジャパン

中には複雑な形のフレームも登場中には複雑な形のフレームも登場 (c)ファブリック・ジャパン各グループとも独創的なフレームのバイクをデザインした各グループとも独創的なフレームのバイクをデザインした (c)ファブリック・ジャパン


5月の企画説明会から2ヶ月経過した7月18日、9月8日(火)の最終審査会に向けて完成フレーム確認会が開催された。最終審査に進むグループが選抜される大切な機会となるため、コンペに参加した学生たちは緊張しながらもプレゼンテーションで、自ら制作したバイクの説明を行った。ファブリック・ジャパンはプレゼンテーション内容をイギリス本社のCEO、ニック・ラーセン氏へ即時レポートし、全9グループの中から最終審査へ進む4グループを選んだ。

どのグループも甲乙付けがたいクオリティの作品を制作してきたが、今回選出された4グループは、特にデザイン力、技巧力、そしてオリジナリティーのあるアイディア提案力が高く、審査員の目に留まったのだ。これから最終審査に進む4台のバイクを紹介する。



TEAM E Model Name: HEXAGON BIKE(ヘキサゴン・バイク)

TEAM EのHEXAGON BIKE(ヘキサゴン・バイク)TEAM EのHEXAGON BIKE(ヘキサゴン・バイク) (c)ファブリック・ジャパン好きなファッションとコーディネートしやすいユニセックスデザインだという好きなファッションとコーディネートしやすいユニセックスデザインだという (c)ファブリック・ジャパン

CELLらしい六角形にインスパイアされてデザインされたCELLらしい六角形にインスパイアされてデザインされた (c)ファブリック・ジャパンターゲットを細かく絞り、それにあわせてバイクのデザインを決定するターゲットを細かく絞り、それにあわせてバイクのデザインを決定する (c)ファブリック・ジャパン


ターゲットユーザーはあえてユニセックスに設定し、幅広い客層に支持されるCELLのようにニュートラルなデザインが採用された。これによって男女問わず、好きなファッションとコーディネートのしやすくなっているという。フレームは10km圏内の自転車通勤や街乗りでの使いやすさを加味し、CELLからインスパイアされたヘキサゴン・シルエットをベースにしたデザインとなっている。左リア三角形に追加されたパイプは、剛性向上の他にアイキャッチなポイントだ。

このバイクが最終選考に残った理由は、六角形のシェイプを意識したデザインとリアだけに設けられた補強用パイプもキャッチーであり、にオリジナリティーを感じられたためという。



TEAM F Model Name: FUSION(フュージョン)

TEAM FのFUSION(フュージョン)TEAM FのFUSION(フュージョン) (c)ファブリック・ジャパン六角形を忠実に再現したフレームシルエットが高評価につながった六角形を忠実に再現したフレームシルエットが高評価につながった (c)ファブリック・ジャパン
発表会前にパーツを組み上げるTEAM F発表会前にパーツを組み上げるTEAM F (c)ファブリック・ジャパンCELLから受けるスマートやヘキサゴンというイメージを忠実に再現したというCELLから受けるスマートやヘキサゴンというイメージを忠実に再現したという (c)ファブリック・ジャパン


CELLから受けるスマート、イノベーション、ヘキサゴンというイメージをキーポイントにデザインがされた1台。広告代理店勤務の几帳面な性格の男性(28)をターゲットに設定し、カメラ、カフェ周り、フットサルなどの趣味の行動パターンで使い勝手の良いデザインが考えられているという。フレームのバランスとフュージョン(融合)が剛性とファッション性を高めている。

CELLの特徴である六角形を忠実に再現したフレームシルエットがキレイであり、男女問わず使えるユニセックスデザインで実用的であることが、最終選考に残った理由。審査員からはねじれ剛性を持たせるなど追加機能が必要だったとの声もあがった。



TEAM H Model Name: MIYABI(ミヤビ)

TEAM HのMIYABI(ミヤビ)TEAM HのMIYABI(ミヤビ) (c)ファブリック・ジャパン女性っぽさ、みやび(日本の伝統)をキーワードにフレームがデザインされた女性っぽさ、みやび(日本の伝統)をキーワードにフレームがデザインされた (c)ファブリック・ジャパン


原宿、ヘキサゴン、女性っぽさ、みやび(日本の伝統)をキーワードに、チャーミングな印象となるようにデザインされたMIYABI。ターゲットはファッション専門学校に通う19歳の女性は"きゃりーぱみゅぱみゅ"が好きな、おしゃれ女子。そんなターゲットに振り向いてもらえるように、カーブラインを多く採用することで、アールデコ様式のようなゴージャスな装飾性を高め、女性らしい華やかな雰囲気に仕上げたという。

フレームシルエットの美しさ、技能的に形にするのがとても難しいフレームデザインを形にした点が評価され最終選考に進んだ。ターゲット設定も独創的で、目を引いたようだ。



TEAM I Model Name: URBAN BEACH RACER(アーバン・ビーチ・レーサー)

TEAM IのURBAN BEACH RACER(アーバン・ビーチ・レーサー)TEAM IのURBAN BEACH RACER(アーバン・ビーチ・レーサー) (c)ファブリック・ジャパンクールでアクティブ、ヘルシーでナチュラルがキーワードとなったURBAN BEACH RACERクールでアクティブ、ヘルシーでナチュラルがキーワードとなったURBAN BEACH RACER (c)ファブリック・ジャパン

各所にエラストマーを設けることでCELLのイメージをバイクに取り入れた各所にエラストマーを設けることでCELLのイメージをバイクに取り入れた (c)ファブリック・ジャパンUrban Beach Racerという新しいカテゴリを仮定しプレゼンを行ったTEAM IUrban Beach Racerという新しいカテゴリを仮定しプレゼンを行ったTEAM I (c)ファブリック・ジャパン


「38歳で大手広告代理店に勤めるプランナーは、トレンドと新しさに敏感。」というペルソナをもとにデザインが考えられたという。クールでアクティブ、ヘルシーでナチュラルがキーワード。このチームはこれまでに無かった、街乗りとビーチレーサーを合わせた“Urban Beach Racer(アーバン・ビーチ・レーサー)” という新しいジャンルを仮定し、独創的な方向性を提案した。各所に振動吸収材も兼ねるエラストマーを使用し、CELLの素材感とバイクのイメージをリンクさせたデザインが特徴だ。

このバイクはファブリックが意識するバイクと身体が接触するコンタクトポイントに焦点を置いた斬新なアイデア、それを実現させた技巧の高さが評価された。クラシカルな印象とモダンなイメージを絶妙なバランスで、スタイルを綺麗に表現した点も評価されたようだ。



以上が選出された4グループだ。次回が最終ステージで、この4グループの中から順位が付けられます。長い期間に渡るコンペティションも佳境を迎えるため、今後の動きも目が離せなさそうだ。

今後の活動スケジュール
■2015年9月8日(火)【最終審査会】 
■2015年9月12日(土)~【店頭展示スタート】