9月28日(土)と29日(日)、栃木県芳賀郡のツインリンクもてぎにて「楽しんだもの勝ち」がコンセプトのエンデューロレースイベント“もてぎ7時間エンデューロ”が開催された。初秋らしい絶好の天気に恵まれたサーキットが参加者の笑顔に包まれた。

ブリッツェンや愛三などのゲストライダーを先頭にレースがスタートブリッツェンや愛三などのゲストライダーを先頭にレースがスタート
舞台はモータースポーツのメッカとして知られる、栃木県芳賀郡の「ツインリンクもてぎ」。三重県の鈴鹿サーキットや静岡県の富士スピードウェイと並び、国際的に知名度の高いサーキットを使用して行われるエンデューロが”もてぎ7時間エンデューロ”、通称「もてぎ7耐」だ。

「楽しんだもの勝ち」がコンセプトで、5月上旬に行われた「もてぎ7耐GW」に続いての開催。秋の開催は今年で10回目を数える。今大会からは1日目の3時間エンデューロと2日目の4時間エンデューロの合計周回で争う“2daysエンデューロ”が新設されている。

ビギナーから上級者まで皆仲良しな良い雰囲気のチームが多く参戦ビギナーから上級者まで皆仲良しな良い雰囲気のチームが多く参戦 GW大会同様にウイダーガールが応援に駆けつけてくれたGW大会同様にウイダーガールが応援に駆けつけてくれた


取材を行った初日の9月28日(土)は絶好のレース日和となり、秋らしい青空が空に広がる。日の出前こそ肌寒さを感じたものの、試走が始まる8時を前に20℃を上回り、心地よい気温に。レース中も25℃を少し下回る程度で、上下半袖のウェアのみで全く問題ない程度であった。

当日は6時間の部と3時間の部、そして午後から開催される2時間の部、計3つの部のエンデューロが開催された。大会名にもなっている7時間の部と4時間の部はそのまま1時間ずつ短縮された格好だが、余裕のあるスケジューリングは当日入りや遠方から参加者にはむしろ嬉しいところだ。

栃木を中心に様々なイベントのサポートで大活躍の宇都宮ブリッツェン栃木を中心に様々なイベントのサポートで大活躍の宇都宮ブリッツェン マトリックスパワータグからはJBCFで大活躍中のビセンテ・ガルシア選手とキム・ドヒョン選手が参加マトリックスパワータグからはJBCFで大活躍中のビセンテ・ガルシア選手とキム・ドヒョン選手が参加

サプライズ参加の愛三工業レーシングからは中島康晴選手と綾部勇成選手が登場サプライズ参加の愛三工業レーシングからは中島康晴選手と綾部勇成選手が登場 同じく地元の那須ブラーゼンも駆けつけてくれた同じく地元の那須ブラーゼンも駆けつけてくれた


エンデューロのスタートに先立って開催されたのはキッズレース。未就学児から小学校低学年までのクラスと小学校高学年のクラスの2クラスで行わた。両クラス共に5月に開催された「もてぎ7耐GW」のチャンピオンが、チャンピオンジャージを着て参戦したり、中には大人顔負けの機材で出走するなど気合満点。大人顔負けの走りや駆け引きを見せるパワフルなキッズに会場中が和やか雰囲気に包まれる。

キッズレースの開催中に早くもスタートに並ぶ参加者が増え始め、緊張感が高まっていく。そして、午前10時に3時間と6時間の2部門に分かれてスタートしていく。2時間の部もあるが、スタート時間は3時間の部がゴールした後の午後2時に設定されている。

プロの選手と一緒に走れる貴重なチャンスプロの選手と一緒に走れる貴重なチャンス 大人顔負けの走りや駆け引きを見せるパワフルなキッズに会場中が和やか雰囲気に大人顔負けの走りや駆け引きを見せるパワフルなキッズに会場中が和やか雰囲気に


大会ゲストライダーには、地元栃木の宇都宮ブリッツェンや那須ブラーゼン、関西・中京圏からはマトリックスパワータグと愛三工業レーシング選手たちが登場した。そしてマトリックスの安原監督やブリッツェンの広瀬GM、モデルのRENさんもゲストとして参加。現役選手たちは、一般参加者とコミュニケーションを取りながら、大小様々な集団のをコントロールし、イベントの安全な進行に一役買っていた。

今大会では4輪2輪問わず各種の国際レースで使用される、1周4.8kmの「ロードコース」を使用する。高速コーナーからヘアピンまで左8ヶ所と右6ヶ所の計14ヶ所のコーナーに加え、最大長762mの直線などバリエーションに富んだコースレイアウトが特徴で、もてぎ7耐では自動車やオートバイとは逆の反時計周りに周回した。

大集団での走行はエンデューロイベントの醍醐味の1つ大集団での走行はエンデューロイベントの醍醐味の1つ
先頭集団には強豪ホビーレーサーが勢ぞろい先頭集団には強豪ホビーレーサーが勢ぞろい ダウンヒル後の高速V字コーナーではコーナリングテクニックが試されるダウンヒル後の高速V字コーナーではコーナリングテクニックが試される


また、小高い山々が連なる中にあることからアップダウンにも富んでおり、自転車でも十分にエキサイティングな走りが可能で、大集団内でのダウンヒルでは時速60km以上にも達する。しかし路面の舗装状態が良く、MotoGPなどの舞台となるだけあって「さすが」と思わせる滑らかさ。高速走行でも大きな不安を感じることは少ない。

レースは混乱や目立った事故も無く、序盤から順調に進む。様々なレベルの参加者が一緒に走っているのだが、コース幅が広く、バイクによる先導など安全対策がしっかりと行われていたため、特に混走すること無く、イベント初参加と思われるライダーや女性、キッズでも十分にレースを満喫出来ている様子がなんとも印象的だった。

チームプレーが出来るのもエンデューロの魅力の1つチームプレーが出来るのもエンデューロの魅力の1つ 90度コーナー後の登りはツインリンクもてぎ最大の難所90度コーナー後の登りはツインリンクもてぎ最大の難所

青空の下、颯爽とサーキットを駆け抜けていく青空の下、颯爽とサーキットを駆け抜けていく ばっちりと機材とウェアを決めた女性ライダーが多かったばっちりと機材とウェアを決めた女性ライダーが多かった

夫婦やカップルで助け合いながらのレースを楽しんでいる方も多数夫婦やカップルで助け合いながらのレースを楽しんでいる方も多数 お父さんに見守られながら走るキッズレーサーお父さんに見守られながら走るキッズレーサー


ビギナーに間口が広い大会ではあるが、リピーターが多いことも確か。GW大会の際に見かけた参加者やチームがちらほら。そして、ホンダのお膝元とあって自動車関連企業の社内チームや、地元栃木のブリッツェンとブラーゼンのウェアで決めたライダーが多い。

そして、もてぎ7耐名物のコスプレも然り。お色気満点のナースやGW大会にも出走していた人気アイドルグループのコスプレをする人、初音ミク、某魔法少女、果ては宇宙人まで何でもありの状態で、周りの参加者の目を楽しませていた。中でも目立っていたのはウェディングドレスのライダーで、多くの仮装ライダーが3時間の部に出走する中、6時間の部で男勝りの走りを披露していた。

仮装しながら走るのもエンデューロイベントの楽しみ方仮装しながら走るのもエンデューロイベントの楽しみ方 この日最も注目を集めていたウェディングドレスのライダーは婚活中?この日最も注目を集めていたウェディングドレスのライダーは婚活中?

黒いスーパーマンが90度コーナーを攻める黒いスーパーマンが90度コーナーを攻める マイペースで走るセクシーなナース姿のライダーマイペースで走るセクシーなナース姿のライダー


中盤以降、コース上では参加者同士が声を掛け合うことで集団が形成され、その数は時間を追うごとに増えていった。素晴らしい天候と路面コンディション、普段では味わえない様な速度での走行に、参加者全員が楽しげな表情でサーキットを駆け抜けて行く。

もてぎ7耐はレース以外にもピット裏での催し物が充実していることも特徴で、最新モデルの展示や思わずおなかが減ってしまう飲食ブースが多数出展。総合ケミカルメーカー「Wako's(ワコーズ)」のブースでは無料でチェーンのメンテナンスが受けられるとあって常に人が絶えない盛況ぶり。

ピット裏のブースには多くのメーカーが出展していたピット裏のブースには多くのメーカーが出展していた ブラーゼンによるレースクリニックでは集団走行をレクチャーブラーゼンによるレースクリニックでは集団走行をレクチャー


また、メインステージ前で午前と午後の2回に渡って開催されたブリッツェンの講習会や、2時間エンデューロに参加するビギナー向けに開催されたブラーゼンのレースクリニックにも多くの参加者が集まった。

ホームストレートの風向きが追い風から向かい風に逆転。順調に進行したレースは午後1時に3時間の部がゴールの時間を迎え、参加者の多くがラストスパートをかけてゴールに飛び込む。

愛三の中島選手(右端)が制限時間ギリギリでゴールラインを通過した集団を鼓舞する愛三の中島選手(右端)が制限時間ギリギリでゴールラインを通過した集団を鼓舞する
強豪ライダーが多く参戦する中、独走で総合優勝を手にしたのは実業団レースでも活躍する風間博之選手(サイクルフリーダム)。平均時速は唯一40kmを越えた40.19kmだった。続く2時間の部ではサイクルスポーツ誌の日本最速店長を勝ち取った岩佐昭一選手(サイクルフリーダム店長)が制し、サイクルフリーダムが2部門を制覇した格好だ。6時間の総合を手にしたのは保川信行選手で、48周/230kmを駆け抜けた。

絶好の天気に恵まれた秋のもてぎ7耐。家族や仲間との思い出づくりに参加する人、競技として記録にチャレンジするライダーやチーム、イベントデビューを果たしたビギナーまで楽しみ方や目的は様々である。しかし、ゴール後の皆さんの笑顔と充実感に満ちた表情が物語っているように、参加者それぞれが思い思いに楽しめたことだろう。

1周でも多く走ろうとエンデューロの終了時刻前にも関わらずスプリント1周でも多く走ろうとエンデューロの終了時刻前にも関わらずスプリント 3時間の部を独走で制したのは風間博之選手(サイクルフリーダム)3時間の部を独走で制したのは風間博之選手(サイクルフリーダム)

最後は体を目一杯使ってスプリント最後は体を目一杯使ってスプリント チームで助け合いながら、充実感に満ちた表情でゴールチームで助け合いながら、充実感に満ちた表情でゴール


もてぎ7耐GW2014の開催が決定!
今年初開催となったゴールデンウィークのもてぎ7耐が、来年5月に再び開催されることが決定した。ビギナーからトップアマチュアまで様々なライダーが楽しめるイベントなので、是非参加してみてはいかがだろうか。


text&photo:Yuya.Yamamoto

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