8月3・4日の2日間に渡り京都府南丹市美山町を舞台に、今年で2回目となる「京都美山サイクルグリーンツアー」が行われた。ロングライドだけでなく、キッズスクール、川遊び、農家体験など自転車を通じ多様な自然体験を満喫できた。イベント事務局長のブラッキー中島さんが紹介する。



ロングライド140のスタート。800名がその時を待つロングライド140のスタート。800名がその時を待つ
前夜祭で素晴らしい歌声を披露してくれた地元のフォークバンド「あぜみち」前夜祭で素晴らしい歌声を披露してくれた地元のフォークバンド「あぜみち」 去る8月3・4日の2日間、京都市内から北へ約60kmにある、茅葺き住宅が多く残ることで有名な南丹市美山町で、今年で第2回目となる「自転車を通じて自然を満喫する」サイクルイベント、「第2回 京都美山サイクルグリーンツアー」が開催された。

農家体験では、両手に一杯の野菜をゲット!農家体験では、両手に一杯の野菜をゲット! ご存じのように美山町は、京都国体以降、28年の歴史を誇る公道レース「美山サイクルロードレース」を開催し続けてきた町として、多くのサイクリストになじみの深い町。そしてなにより、森や清流など豊かな自然と、昔ながらの茅葺きの民家が多数現存する町としても近畿圏のサイクリストにとっては「一度は自転車で走ってみたい町」としても有名だ。

そんな美山町を「自転車に乗って楽しい町」にしようと、4年前から地元サイクリストが中心となって「自転車の聖地プロジェクト委員会」を発足。私たちはこれまで町内各所約30箇所にも及ぶバイクハンガー、無料貸し出しポンプや工具があるサイクルステーションを配備し、サイクリングマップなどの整備を行ってきた。

その同委員会が、全国のサイクリストと町民との交流を目的に、ただ自転車に乗るだけではなく、美山町の地域資源を活かした自然体験を軸とする宿泊型複合イベントを企画したのがこの京都美山サイクルグリーンツアーだ。サイクリングを通じたグリーンツーリズムを目指した大会も、今年で2回目となった。


今年も豪華なゲストが美山に集結!

大会を彩る豪華なゲスト陣大会を彩る豪華なゲスト陣 今大会を盛り上げるゲストとして、元プロロードレーサー山本雅道さんとバレーボール元日本代表でタレントの益子直美さんご夫妻をはじめ、バルセロナ五輪シンクロ銅メダリストの奥野史子さん、そして元F1ドライバーサイクルクリニックでは、ゲストに様々な質問が寄せられたサイクルクリニックでは、ゲストに様々な質問が寄せられた で自転車ロードレースチーム、Team右京の監督でもある片山右京さんが初参加。初日のイベント、サイクルクリニック、サイクル女子会、そして二日目のロングライドチャレンジ140と、二日間にわたって参加者と積極的に交流をしていた。

片山右京さんは参加者と一緒になってロングライド140を見事完走。「前日に地図を見ながら、全部のエイドステーションで全メニューを制覇しようと思ってたんですよ」という言葉通り、全エイドステーションだけでなく、すべてのチェックポイントや、町内各所のサイクルステーションにも顔を出し、地元の方々とのふれあいを楽しんだ。

奥野史子さんは、「このロングライドを一言で表すと、食べ走り。ほんとうに美味しい食べものが沢山あって、多くの地元の方々にやさしくしていただいた」とロングライドの感想を語った。そして二度目の参加となる山本雅道、益子直美ご夫妻は、プライベートチーム「チームマサミチ」のメンバーと一緒に、約80キロを楽しんだ。


前日は女子会やクリニック、トークショウ、農家体験や鮎つかみ体験と盛りだくさん

今回初めての試みのサイクル女子会では、自転車のことを忘れて話に夢中今回初めての試みのサイクル女子会では、自転車のことを忘れて話に夢中 グリーンツアーは初日から多彩なプログラムが用意されている。まずは益子直美さん、奥野史子さんが女子限定のサイクル女子会が、そして片山右京さん、山本雅道さん、そして一般参加してくれた元ロード日本チャンピオン阿部良之さんを交えたサイクルクリニックが行われた。

鮎つかみ体験では採った鮎をその場で塩焼きに!鮎つかみ体験では採った鮎をその場で塩焼きに! サイクル女子会は、まさに女性限定。サイクリングの目的地は美山町産の素材にこだわったスイーツのお店で、美味しいケーキを食べながら女子会ならではのトークで盛り上がった。参加者からは「話が弾みすぎて時間の経つのがあっという間だった。来年もぜひ開催して欲しい」という声も。

サイクルクリニックは、ロングライドチャレンジの前に、長距離を走るためのコツなどをゲストが解説。補給のとり方や疲れないための乗車フォームのポイントなどが、楽しいトークと共に繰り広げられた。

そのほか、町内各所で自然農法の畑での野菜もぎ取りや、おくどさんで有機栽培米を炊く体験、そしてブルーベリー摘みなど盛りだくさんのまるごと農家体験、清流美山川での鮎とり体験などが行われた。鮎つかみ体験は20人の子どもたちが120匹の鮎を捕まえ、その場で塩焼きに舌鼓をうった。前夜祭は、ゲスト4人のトークショウが行われ、会場では地鶏の丸焼きが振る舞われるなど盛況に終わり、我々も一安心だ。


全国から800名を超すサイクリストが集結

2日目早朝。全国から大人と子供を合わせ約850名がメイン会場の南丹市役所美山支所に集結。見事に晴れ渡る空の下、南丹市佐々木市長の挨拶とともに始まった開会式を経て、本大会のメインプログラム「ロングライド140」と「キッズ夏休みチャレンジ」がスタートした。

かやぶきの里美山町全体がコースとなるかやぶきの里美山町全体がコースとなる 会場のバイクハンガーは、米作りの町美山らしく、刈った稲を干す稲木の脚が利用された会場のバイクハンガーは、米作りの町美山らしく、刈った稲を干す稲木の脚が利用された


キッズチャレンジは美山町を本拠地とする「ウィーラースクールジャパン」の教育メソッドを使った自転車安全教室を皮切りに、実際に公道をサイクリングし、行き先の川で思い切り川遊びをすると言うもの。参加者総数は50名を数え、美山の清流は色とりどりの水着をつけた子どもたちで埋め尽くされた。

「ロングライド140」とは、他ではあまり見ないオリエンテーリング形式のロングライド。町内各所に用意された9箇所のチェックポイントを自由にまわり、それぞれに用意されたリストバンドを受け取り、スタート時の一つとあわせて全部で10個のリストバンドを8時間の制限時間内にそろえるもの。全部集めたら140km走破が認められる。

伝統建築物保存地区の茅葺きの集落では、多くのサイクリストが停まり景色を堪能した伝統建築物保存地区の茅葺きの集落では、多くのサイクリストが停まり景色を堪能した 美山町は自転車の聖地を掲げるだけあって、初心者の方でも気軽に走れるアップダウンの少ないコースが主体なので、長距離サイクリングコースの設定が可能だ。おまけに車の交通量も少なく、路面もきれいに整備されたところが多いため、サイクリストそれぞれの体力のレベルに関係なく、ロングライドを愉しんでいただける点が美山の良さだ。

暑さに耐えきれず(?)そのまま川へ飛び込む、阿部良之さんを先頭にしたアベルチーム暑さに耐えきれず(?)そのまま川へ飛び込む、阿部良之さんを先頭にしたアベルチーム 参加者には当日、コースマップが配られるがコースの指示はない。自分で行きたい場所やその順番を考え、自由に走ることがこのロングライドの真骨頂。中にはエイドだけを全制覇した参加者もいたのだが、こうして自由に走ることができるのは、我々のイベントならではと言える部分だろう。

だからこそサイクリストがコース各所ですれ違う機会も多く、「あと何キロ」「がんばれ!」など、挨拶を交わしたり、励まし合ったり、道路の情報を積極的に交換しあったりなど声を掛け合うシーンが多くなり、参加者同士がイベントの一体感をもてる切っ掛けとなった。今後は、コースの詳細や、周辺情報をさらにわかりやすく記載したマップを提供していきたいと感じる。

山間部の美山町といえど、この時期、昼に近くなるとやはり暑い。途中、あまりの暑さに思わずジャージ姿のまま清流に飛び込むサイクリストも続出。阿部良之さん率いるチームアベルのメンバーは、福居チェックポイントの川にジャージ姿のままドボン。奥野史子さんも、途中川に飛び込みシンクロのポーズを披露するなどの楽しくも貴重な場面もあったとは、同行した益子直美さん談。


エイドステーションでは美山の美味しい食べ物が振る舞われた

沿道で鮎の塩焼きサービスの売店をだしていた地元の老舗旅館「枕川楼」の娘さん。「このイベントに関わるのが本当に楽しい」そうだ沿道で鮎の塩焼きサービスの売店をだしていた地元の老舗旅館「枕川楼」の娘さん。「このイベントに関わるのが本当に楽しい」そうだ 本大会の大きな柱となっているのが、地元産の食材をふんだんに使った料理を提供するエイドステーションで、これを楽しみに参加する方も多かった。美しい水や豊かな自然が多く残る美山町で採れる農作物は、本当に美味しい。これを知ってもらいたいために、各地区の住民が様々なアイデアや趣向を凝らした地元ならではの食材を多数用意してくれた。

鹿肉を素材にした鹿コロッケや鹿カレー、冷やした新鮮野菜や果物、鯖街道の鯖寿司やしそジュースなどなど、それぞれのエイドステーションでは、美味しい料理がたっぷりと振る舞われた。

またエイドステーション以外にもコース内各所で参加者が足を止めて美山の美味しいどころを満喫。途中、このイベントのために鮎の塩焼きを安価で販売する出店が出たりするなど、町をあげて盛り上げようという心意気が垣間見えた。「食べ過ぎた…」などという声が各所から聞こえてきたのも、われわれのイベントならではと胸を張りたい。

午後3時半のタイムアップを迎える頃になると、会場は達成感一杯のサイクリストであふれかえった。走り終えた参加者には、それぞれの距離に応じた完走証と美山の無農薬有機栽培米が参加賞として配られた。


より楽しい「京都美山サイクルグリーンツアー」を目指して

[img_assist|nid=116267|title=自転車がつなぐ都会と田舎の交流をこれからも続けていきたい|desc=|link=node|align=right|width=340|height=]今回、閉会式のみは雨で中止となってしまったものの、それ以外は好天に恵まれた素晴らしい大会となった。

スタッフの総数二日間でのべ250名以上。本当に多くのスタッフが美山のこれからに思いをはせて活躍した。
運営業者に頼らずそのほとんどを町民が手作りで作り上げたこの大会は、大きな広告も打たず、WEBやSNSなどを出来る限り有効に使った広報しか行わなかった。

それでも参加者は前年度比約1.5倍、 北は北海道から南は沖縄まで参加者の幅が広がったことは、自転車の聖地京都美山町が全国的にも認知されてきた証拠だと思う。そしてなにより美山町内でもこうしたサイクルイベントへの理解が少しずつ浸透し、多くの住民の協力を得られるようになってきたことが大きい。

また、通常のロングライドと違い、広域に参加者が散らばることを踏まえ、今回は地元・美山アマチュア無線クラブと協力して、京都府下最大の面積340.47平方キロメ-トルを網羅する無線網を整備した。その他クラブチーム、大学生などのボランティア協力を得て約40名のサポートライダーグループを形成そし、8時間くまなくコースを巡回する安全体制がとられるなど、実行委員会として安全管理に大きく力を注いだ。参加者の皆さんの安全への高い意識もあり、結果800名を超すロングライドは、無事故という素晴らしい結果をもたらした。かかわったすべての方に感謝したい。

今後も、自転車への理解の深いまちづくり、自転車を通じた地域の振興を目指して、主催者もそして参加者も意識を高くして努力していくことが、末永く大会を続けていくために大切なことだと感じる。

茅葺きの里として有名な京都美山町だが、その歴史と景観を守るために「自転車」が寄与できれば、美しい日本の田園風景の中を走ることを愛するサイクリストにとって、この上ない幸せだろう。


Report:ブラッキー中島


最新ニュース(全ジャンル)