勝負の分かれ目は勝ち方を知っている経験の差だった。ゴール勝負にまでもつれ込んだ女子エリートは萩原麻由子(サイクルベースあさひ)が3連覇。僅差の2位は與那嶺恵理(チーム・フォルツァ!)だった。

2周目、逃げる吉川美穂(サイクルベースあさひ)と木村亜美(鹿屋体育大)2周目、逃げる吉川美穂(サイクルベースあさひ)と木村亜美(鹿屋体育大) photo:Hideaki.TAKAGI4月29日(日)、エリート女子クラスのレースが8周126.4kmで行われた。昨年来、国内レースで無敵の萩原。今まで大会2連覇で、今年は3連覇がかかる。4月に入ってからもタイのステージレースで個人総合2位と好調のまま参戦。

朝8時05分に30人がスタート、女子のレースとしては長い4時間弱の戦いだ。

岩手山を望むコースが舞台岩手山を望むコースが舞台 photo:Hideaki.TAKAGI1周目から3人が逃げる。吉川美穂(サイクルベースあさひ)、木村亜美(鹿屋体育大)そして山下由起子(Vitese-Serotta-Feminin)だ。集団に約30秒の差をつけ、2周目には吉川と木村の2名に。

3周目、ここに萩原と與那嶺が合流して逃げは4名になる。しかし集団は片山梨絵(SPECIALIZED)らの引きでこれを吸収、振り出しに。ここから上野みなみ(鹿屋体育大)が抜け出すがほどなく吸収。上り区間は與那嶺と金子広美(イナーメ・アイランド信濃山形)がペースを作る。

6周目、抜け出した與那嶺恵理(チーム・フォルツァ!)を追ってアタックがかかる6周目、抜け出した與那嶺恵理(チーム・フォルツァ!)を追ってアタックがかかる photo:Hideaki.TAKAGI集団に動きができたのは6周目。上り区間でそれまでほぼ先頭固定で引いていた與那嶺のペースが速く、50mほど先行した。

これを目指して萩原がアタック、数人が反応して集団が分裂する。先行するのは萩原、與那嶺、金子、片山、上野。福本千佳(同志社大)はぎりぎり乗れず後方へ。

勝負はこの5人に絞られる。5人は均等に先頭交代してゴールを目指す。上り区間は與那嶺の引く時間が長い。そしてゴールまでの最後の上り。ここでペースを上げたのはやはり與那嶺。

ラスト2km、與那嶺恵理(チーム・フォルツァ!)先頭で萩原麻由子(サイクルベースあさひ)との勝負へラスト2km、與那嶺恵理(チーム・フォルツァ!)先頭で萩原麻由子(サイクルベースあさひ)との勝負へ photo:Hideaki.TAKAGI與那嶺のこの動きには萩原と金子が反応し3人に。さらにペースを上げる與那嶺に付けたのは萩原だけ。與那嶺が先頭固定のままゴールへ。ここでスパートをかけた萩原が與那嶺をかわして優勝。3連覇を達成した。

今までの萩原の勝ちパターンは自分で展開を作って圧勝するもの。だがこの日は違った。萩原は勝負に徹し、確実に優勝する道を選んだ。


驚異の強さの與那嶺恵理(チーム・フォルツァ!)

驚くのは2位に入った與那嶺だ。まだ自転車競技歴も浅い選手だ。
「萩原さんと競れるなんて思いもしなかった。下りもスプリントも不得意で、上りしか得意じゃない。今回は下りも直線的で私にとってはラッキーなコースでした。萩原さんを上りでちぎりたかったんですが、とても強くて無理でした」と語るが、その強さは共に走った誰もが認めるもの。

最後だけでなく周回中も上りはほとんどを、平坦区間なども人より多く先頭を引く走りで僅差の2位だ。自転車を始めてまだ1年、だが安定した走りは練習量が豊富なことを表す。與那嶺はこれからもっと伸びるはず。これからの走りが楽しみだ。

優勝は萩原麻由子(サイクルベースあさひ)優勝は萩原麻由子(サイクルベースあさひ) photo:Hideaki.TAKAGI

女子エリート表彰女子エリート表彰 photo:Hideaki.TAKAGI優勝した萩原麻由子(サイクルベースあさひ)のコメント

「3連覇は意識はしていませんでしたが、当然のことだと思っています。沖(美穂)さんは11連覇していますから、強すぎます。いつか越えたいと思っています」

「オリンピック出場の可能性は、5月末までの成績で順位が大きく変わるのでわかりません。それ以前に今日、この大会で優勝しないと話にならないので、勝つことが目標でした」




女子エリート(126.4km)結果
1位 萩原麻由子(サイクルベースあさひ)3時間46分32秒
2位 與那嶺恵理(チーム・フォルツァ!)
3位 金子広美(イナーメ・アイランド信濃山形)+36秒
4位 片山梨絵(SPECIALIZED)+1分03秒
5位 上野みなみ(鹿屋体育大)+1分09秒
6位 西加南子(LUMINARIA)+8分02秒
7位 豊岡英子(パナソニックレディース)
8位 高橋奈美(Vitese-Serotta-Feminin)
9位 福本千佳(同志社大)+8分10秒
10位 森本朱美(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)+8分14秒
11位 塚越さくら(鹿屋体育大)+8分40秒

以上完走者11名


photo&text:Hideaki.TAKAGI