2011年6月12日、秋田県大潟村の広大な干拓地を舞台に、全日本選手権タイムトライアルが開催される。完全にフラットなコースに、今年はジロ・デ・イタリアを完走したばかりの別府史之(レディオシャック)が挑む。その前に立ちはだかるのは、優勝経験者の福島晋一(トレンガヌ・プロアジア)や盛一大(愛三工業レーシングチーム)だ。

3日前に帰国したばかりの別府史之(レディオシャック)3日前に帰国したばかりの別府史之(レディオシャック) photo:Kei Tsujiジロを完走したフミは、閉幕後すぐフランスの自宅に戻った。翌日は普通にカラダは動いたというが、2日後にはカラダがストップ。山岳の厳しさが際立ったジロで受けたダメージは予想以上に大きく、数日を休養に充てる必要があったという。

しかし数日後には回復を見せ、インターバルを含めたトレーニングに復帰。6月8日に帰国し、すぐに秋田入りした。今回使用するバイクやヘルメットなどの機材一式は、ジロ閉幕時に梱包し、そのまま秋田に持ち込んだものだ。

メカニックとバイクのセッティングの打ち合わせをする別府史之(レディオシャック)メカニックとバイクのセッティングの打ち合わせをする別府史之(レディオシャック) photo:Kei Tsuji「フランスで上手くリカバリーできたし、この全日本TTに合わせた調整ができている」。前日にコースを試走したフミは、移動の疲れを感じさせないリラックスした表情でそう語る。改めてコースを走った印象をもとに、慎重に使用ホイールやギアを選んでいく。

フミの全日本TT出場は2006年大会ぶり(当時の優勝タイムは38分30秒)。今年は6月にかけてヨーロッパレースの出場予定が空いたため、全日本TTとロードへの出場を決めた。

別府史之(レディオシャック)が駆るトレック・スピードコンセプト別府史之(レディオシャック)が駆るトレック・スピードコンセプト photo:Kei Tsujiコースは大潟村のソーラースポーツライン。かつて日本第2位の面積を誇った八郎潟の広大な干拓地を、ほぼ一直線、ほぼ真っ平らなコースが貫く。風向きによって往復の平均スピードが大きく変わってくるため、風を読んだペース配分が必要とされる。エリート男子は15kmコースを往復する30km。

昨年は、レース中盤にパンクしながらも38分07秒のコースレコードを叩き出した福島晋一(トレンガヌ・プロアジア)が優勝。今年9月に40歳の誕生日を迎える福島は、昨年2位のチームメイト奈良基とともに大会連覇を目指す。

2年前の優勝者で、同年トラックワールドカップ第5戦スクラッチ覇者の盛一大(愛三工業レーシングチーム)や、佐野淳哉(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO)も上位に絡んでくるだろう。普段オランダで走り、一時帰国中の阿部嵩之(シマノレーシング)にも注目。シマノレーシングからは、昨年大会5位の村上純平や、2010年学生個人ロードTT覇者の西薗良太も出場する。

U23は嶌田義明(ブリヂストン・エスポワール)、女子は萩原麻由子(サイクルベースあさひ)がそれぞれ4連覇を狙っての出場となる。

text&photo:Kei Tsuji