学生クリテチャンピオンは草場啓吾(日本大)と岡本二菜(日本体育大)に。男女ともチームプレーが機能し、男子は日本大が2連覇、女子は岡本個人が2連覇を達成した。



男子決勝 9回目、草場啓吾(日本大)が1着男子決勝 9回目、草場啓吾(日本大)が1着 photo:Hideaki TAKAGI
19回目の学生選手権クリテ

大学生のクリテリウムチャンピオンを決める全日本学生選手権クリテリウム大会が、4月29日(土)、滋賀県東近江市の東近江ふれあい運動公園で行われ、男女のチャンピオンが決まった。今年で19回目を数えるこの大会は滋賀県草津市の立命館大学構内で第1回から第12回まで行われ、その後はおよそこの東近江市で行われている。その間に辻貴光・善光兄弟による4連覇や鹿屋体育大学の5連覇、女子では鹿屋体育大学が17回中10勝などの歴史がある。昨年は岡本隼(日本大)と岡本二菜(日本体育大)が優勝している。

12時30分からの男子予選の2組を終えた時点で激しい暴風雨と雷が轟き、レースは1時間半にわたって中断。その後に晴れ間が広がり好天となったためクラス3の決勝から時間を遅らせて開始された。このため女子決勝は2km×12周=24kmから1.8km×8周=14.4kmに、男子決勝は2km×20周=40kmから1.8km×10周=18kmへと短縮された。

男子決勝 日本大学勢は最後尾からスタート男子決勝 日本大学勢は最後尾からスタート photo:Hideaki TAKAGI男子決勝 1回目、徳田匠(鹿屋体育大)が1着男子決勝 1回目、徳田匠(鹿屋体育大)が1着 photo:Hideaki TAKAGI

男子は日本大のチームプレーで草場啓吾が優勝

男子のレースも短縮され18kmの短いレースに。ポイント方式で毎周回の着順で5点3点2点が与えられ、10回の合計で勝負が決まる。当初は2周毎に1回でかつゴール倍点だったが短縮の影響で変更された。予選2組各25人の勝ち上がりで50人によって決勝が行われた。予選で動きの良かった大学が人数をそろえ、鹿屋体育大が7人、京都産業大が6人そして日本大が5人で、これら大学勢を中心にレースが展開すると予想された。なお昨年の覇者である日本大の岡本隼は、日本代表チームとしてネイションズカップへ参戦しているため不在だ。

スタートから鹿屋体育大勢が先頭を固め、1回目は徳田匠、黒枝咲哉、重満丈で3着までを独占する。その後は各大学が動き、前半は鹿屋体育大と京都産業大が競り合い上位に入る。中盤過ぎた6回目にようやく日本大が動き、沢田桂太郎と草場啓吾が1着3着に入る。そして9回目はポイントリーダーの阿部将大(鹿屋体育大)を草場がかわして5点獲得。阿部、沢田と続く。この勢いのまま沢田と草場が先行し沢田が先頭固定で草場をリード、最終ポイントも草場が1着となり、阿部と同点だったが最終着順で草場が優勝した。

男子決勝 3回目 阿部将大(鹿屋体育大)が1着男子決勝 3回目 阿部将大(鹿屋体育大)が1着 photo:Hideaki TAKAGI男子決勝 4回目、曽我部厚誠(京都産業大)が1着男子決勝 4回目、曽我部厚誠(京都産業大)が1着 photo:Hideaki TAKAGI

男子決勝 2回目、中井唯晶(京都産業大)が1着男子決勝 2回目、中井唯晶(京都産業大)が1着 photo:Hideaki TAKAGI男子決勝 5回目、黒枝咲哉(鹿屋体育大)が1着男子決勝 5回目、黒枝咲哉(鹿屋体育大)が1着 photo:Hideaki TAKAGI

光った沢田桂太郎のアシスト

優勝した草場は「自分が3年生になって日大もそろそろチーム戦をしっかりやりたいと思い、昨日もミーティングをやって自分がエースで行くと決めました。今日は沢田が完全にアシストしてくれたので勝てたし、鹿屋のように完成していないけれどチームも成長できたレースを見せることができたと思います」と語る。

いっぽうで同点ながら2位となった阿部は「スプリント力のある3人(黒枝、徳田、阿部)で行くことにしていました。9回目のスプリントで自分が脚を使ったときに日大の2人に行かれてしまって」と終盤の動きを振り返る。国内でも随一のスピードを誇る沢田が草場を伴って逃げたら誰も追いつくことはできない。9回目のポイント時の動きが明暗を分けた。

男子決勝 優勝した草場啓吾とアシストが際立った沢田桂太郎男子決勝 優勝した草場啓吾とアシストが際立った沢田桂太郎 photo:Hideaki TAKAGI優勝した草場啓吾(日本大)はエヴァディオを使う優勝した草場啓吾(日本大)はエヴァディオを使う photo:Hideaki TAKAGI

女子は岡本二菜(日本体育大)がチームプレーで2連覇

女子はフィニッシュの着順で成績を決める方式で行われ、数をそろえる鹿屋体育大と日本体育大との戦いに。序盤から日本体育大3年の伊藤真生が逃げ続けるが6周目に吸収、代わって2年の岡本二菜(日本体育大)がアタック。これを中井彩子(鹿屋体育大)が追い1年の中村愛花(日本体育大)がチェックに入り残り2周へ。いったんはこの3人の先頭となるがここで中井が落車し日本体育大の2人が先頭を走る。2人はこのまま2周を逃げ切り、並んで2年の岡本、そして1年の中村の順でフィニッシュラインを越えた。

優勝した岡本は、「ゴールはどちらが行くか決めてなかったのですが譲ってもらった感じでしたね。私がゴールスプリントで行く役割で、先輩にずっと逃げてもらった後にカウンターで行きました。中村さんと2人になってからはうまく逃げられて良かったです。チームがうまく機能して勝てたと思います」と語る。チームも個人もうまく機能した結果の勝利だ。

女子決勝 ラスト2周、カウンターで岡本二菜(日本体育大)がアタック女子決勝 ラスト2周、カウンターで岡本二菜(日本体育大)がアタック photo:Hideaki TAKAGI女子決勝 ラスト1周へ、岡本二菜(日本体育大)と中村愛花(日本体育大)が逃げる女子決勝 ラスト1周へ、岡本二菜(日本体育大)と中村愛花(日本体育大)が逃げる photo:Hideaki TAKAGI

女子決勝 岡本二菜(日本体育大)と中村愛花(日本体育大)がワン・ツーフィニッシュ女子決勝 岡本二菜(日本体育大)と中村愛花(日本体育大)がワン・ツーフィニッシュ photo:Hideaki TAKAGI女子 個人とチームの力がかみ合った日本体育大学女子 個人とチームの力がかみ合った日本体育大学 photo:Hideaki TAKAGI

男子 表彰男子 表彰 photo:Hideaki TAKAGI女子 表彰女子 表彰 photo:Hideaki TAKAGI

男子クラス3決勝1組 鶴健志(法政大)が優勝男子クラス3決勝1組 鶴健志(法政大)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI男子クラス3決勝2組 中村圭佑(鹿屋体育大)が優勝男子クラス3決勝2組 中村圭佑(鹿屋体育大)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI

結果

全日本学生選手権
男子 18km
1位 草場啓吾(日本大)14点
2位 阿部将大(鹿屋体育大)14点
3位 曾我部厚誠(京都産業大)13点
4位 黒枝咲哉(鹿屋体育大)11点
5位 徳田匠(鹿屋体育大)8点
6位 中井唯晶(京都産業大)8点
7位 沢田桂太郎(日本大)7点
8位 風間翔真(東北学院大)5点

女子 14.4km
1位 岡本二菜(日本体育大)17分07秒
2位 中村愛花(日本体育大)
3位 高田奈生(鹿屋体育大)+07秒

クラス3 1組 12.8km
1位 鶴健志(法政大)17分13秒
2位 三宅大春(朝日大)
3位 二宮誉仁(関西大)

クラス3 2組 12.8km
1位 中村圭佑(鹿屋体育大)17分51秒
2位 久保田寛栄(朝日大)
3位 高橋翔(信州大)+01秒

photo&text:高木秀彰