第115回パリ〜ルーベでバトルを繰り広げたグレッグ・ヴァンアーヴェルマートやゼネク・スティバル、セバスティアン・ラングフェルド、そして引退レースを13位で終えたトム・ボーネンらのコメントを紹介します。



レースレポートはこちらをご覧ください。

1位 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)

最後の5つ星カルフール・ド・ラルブルでグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)がアタック最後の5つ星カルフール・ド・ラルブルでグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)がアタック photo: TDWsportキャリア初期、初めてルーベのヴェロドロームにフィニッシュした時(2007年29位)、あまりにも疲れ切っていてこのレースで勝つのは不可能だと思った。でもそれから10年という月日が経ち、今日こうして勝利をつかんだ。この勝利に向けてトレーニングを積み重ねてきた結果だ。毎年家族と力を合わせて能力を伸ばし、パリ〜ルーベで勝ったんだ。

スプリントでパリ〜ルーベ初制覇を果たしたグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)スプリントでパリ〜ルーベ初制覇を果たしたグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング) photo: TDWsportアランベール手前のタイミングで落車に見舞われた時、落ち着いていたし、チームメイトにサポートされて問題をクリアすることができた。追走に時間がかかったけど、力を無駄遣いすることなく集団に復帰。そこから素晴らしい走りを見せたダニエル・オスとともにチームとして動くことができた。すべての小さなパーツが集まって、正しい位置に収まり、勝利した。

家族と喜ぶグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)家族と喜ぶグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング) photo: TDWsport少人数のスプリントでは何度も勝っているので、ヴェロドロームでの勝負に持ち込むことができれば勝てると思っていた。ジャスパー(ストゥイヴェン)とモスコンの合流は予想していなかったけど、惑わされることなく万事順調にスプリントした。協力しようとしないゼネク・スティバルの存在は怖かった。でも今日のような長いサバイバルレースの最終スプリントは得意なんだ。

万年2位のポジションを脱し、今は勝ちパターンに乗っている。勝てば勝つほど自信が増し、チームの信頼も上がっていくんだ。

これからもオリンピックの金メダルがキャリア最大の勝利であり続けると思う。でもこうして長い年月の末にモニュメントのタイトルを獲得したことは格別だ。モニュメントで勝つ日がやってくると信じて競技に打ち込んできた結果であり、この勝利が次の勝利につながると思う。トム・ボーネンの最終レースで勝利した意味も大きい。昨晩トムの戦歴をウィキペディアでチェックして、改めて凄い選手なんだと思った。

2位 ゼネク・スティバル(チェコ、クイックステップフロアーズ)

先頭でヴェロドロームの最終周回に入るゼネク・スティバル(チェコ、クイックステップフロアーズ)先頭でヴェロドロームの最終周回に入るゼネク・スティバル(チェコ、クイックステップフロアーズ) photo: Makoto Ayano今日はトム(ボーネン)が絶対的エースだった。結果的に自分で勝利を狙う展開になったけど、残り4kmまではあくまでもトムのためのレースだった。レース前半からアシストとして動いて(消耗して)いたので役割のスイッチは簡単ではなかったよ。それに、常に(ヴァンアーヴェルマートらの)番手につけていたけど、パリ〜ルーベではスリップストリームに入っていることのアドバンテージは少ないんだ。力は尽くしたと言える。スプリント開始をあと50m遅らせれば結果は違っていたかもしれない。でもそれがバンクでのスプリントの難しさだ。

ヴェロドロームでトムのスプリントをアシストするのが理想的な展開だった。でもトムの合流が実現せず、残念な結果になってしまった。トムは非凡な選手であり、特別な人間で、素晴らしい友人なんだ。チームは全力を尽くしたけど、彼を表彰台の真ん中に立たせることができなかった。

3位 セバスティアン・ラングフェルド(オランダ、キャノンデール・ドラパック)

表彰台 2位ゼネク・スティバル(チェコ、クイックステップフロアーズ)、1位グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)、3位セバスティアン・ラングフェルド(オランダ、キャノンデール・ドラパック)表彰台 2位ゼネク・スティバル(チェコ、クイックステップフロアーズ)、1位グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)、3位セバスティアン・ラングフェルド(オランダ、キャノンデール・ドラパック) photo: TDWsportヴァンアーヴェルマートとスティバルとのスプリント勝負になれば不利だと分かっていたけど、チームのアンドレアス・クリアー監督に『今日は調子が良いから自分を信じるんだ』と言われてヴェロドロームの勝負に賭けたんだ。どの場面だったかは覚えてないけど、今日はパンクで一時はリタイアが頭をよぎる瞬間もあった。パンクから集団に復帰すると、周りの選手が疲弊しているように見えたので、有力選手よりも先にアタックして前で待つ作戦に出た。そこで良いメンバーが集まる逃げが始まった。

この2年間は怪我や病気、失望が続いていたので、自信を失ってしまっていた。実際にレースで勝てていなかったし、2012年から勝ち星はゼロ。だからこの結果はキャリアの中で光り輝いているし、こうしてトップレースの表彰台に戻ってこれたことをとても嬉しく思う。3位は最善の結果だった。

4位 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)

先行するジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)とダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)先行するジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)とダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング) photo: Makoto Ayano自分が好きなレースを楽しんで走ることができた。埃まみれだったけどそれは問題ではなく、4位という結果でクラシックシーズンを締めくくったことを嬉しく思う。先週まで自分にとってもチームにとっても良い結果を残せていなかったので、最後にこの結果が救ってくれた。いつの日かこのパリ〜ルーベで勝利したいという気持ちは変わらない。

レースは序盤からペースが速かったけど、チームは良いポジションで良い展開に持ち込めていたと思う。前半のパヴェ区間ではカチューシャがペースを上げて集団を破壊。アランベールを抜けた時点でトレック・セガフレードはメンバーを揃えていたので攻撃に転じた。集団を割ることに成功し、タイミングよくサガンらと抜け出したけど、サガンがパンクで脱落したのでオスと先頭は2人に。お互いに攻撃し合うことなく、協力しながら、力を溜めながら、良いテンポで逃げ続けた。今思うと、そこから追い風が吹いていたので良い動きだった。モンサンペヴェルまでオスとのタンデム走行がスムーズに続いた。

3名が追いつき、加えてヴァンアーヴェルマートらも合流。そこからはアタックの応酬で、自分も動いたけど崩れなかった。向かい風が吹くカルフール・ド・ラルブルで(ヴァンアーヴェルマートから)20mほどの距離を失い、その距離が50m、100mと広がった。自分よりも若いモスコン(ストゥイヴェン24歳、モスコン22歳)と協力して追撃。ヴェロドロームで追いついたけど、前の3人は牽制で脚を溜めていた。映像を見れば明らかだと思うけど、追撃に力を使った自分とモスコンは完全に売り切れていた。

7位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)

アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)らを含む追走集団アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)らを含む追走集団 photo: Makoto Ayano残り30km地点でパンクしたけど追走集団に復帰。55kmの石畳を含む257kmレースの最後のスプリントは、ステージレースの200kmレースとは話が違う。自分の7位という成績を誇りに思う。

終盤に形成された35名の追走集団の中にロット・ソウダルは5名を残していたし、ユルゲン(ルーランズ)が先頭でレースを展開していた。チームのパフォーマンスにはとても満足しているし、再びこの戦いに挑戦して良い結果をつかみたい。

10位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)

カチューシャが序盤から攻撃を仕掛けたのでハードな展開だった。アランベールを終えてトレック・セガフレードが攻撃を仕掛けて、ジャスパー(ストゥイヴェン)を前に送り込むことに成功。でもその動きも決まらず、状況が刻々と変わっていった。カルフール・ド・ラルブルまでチームは完璧なレース運びをできていた。

11位 マシュー・ヘイマン(オーストラリア、オリカ・スコット)

ディフェンディングチャンピオンとして走ったパリ〜ルーベを楽しめたけど、結果には満足していない。ざっくり言って、昨年と同じような展開だった。殺伐とした前半100kmを切り抜けて後半へ。でも決定的な動きを逃してしまった。勝つためにはもっと前で前で展開する必要があった。

13位 トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップフロアーズ)

安定感ある走りで石畳をクリアするトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップフロアーズ)安定感ある走りで石畳をクリアするトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップフロアーズ) photo: TDWsport常にデゲンコルブにマークされていたので動けなかった。自分は絶好調とは言えない状態だったこともあり、比較的フリーに動けていたスティバルにアタックの指示を出した。あの状況で切るべき正しいカードだったと思う。タイム差が広がり始めても、やがては追いついて勝てると信じていた。でもタイム差は30秒を超え、沈静化した集団のペースは一向に上がらなかった。

この数週間は感情のジェットコースターだったよ。今朝、スタート地点に集まったサポーターの数を見て感激した。15年間ずっと応援してくれたファンの皆に心から感謝している。今日は勝つことだけを考えて走ったので、レース中は引退のことはあまり考えていなかった。残り5kmの標識を見てようやく「ああ、自分のキャリアがついに終わりを迎えるんだ」と考え始めた。

21位 ダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)

献身的な走りでヴァンアーヴェルマートをサポートしたダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)献身的な走りでヴァンアーヴェルマートをサポートしたダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング) photo: TDWsport自分が勝ったような気持ちに包まれている。昨晩のミーティングで、自分に何ができて、どうすればチームとして勝利を狙えるかを確認した。自分の仕事は有力選手たちよりも先に動いて前で待つこと。

グレッグ(ヴァンアーヴェルマート)が後方で有力選手たちと勝負を繰り広げていることは分かっていたし、とにかく出来るだけ大きなリードを築いて前で待ち続けた。後続とのタイム差が10秒まで縮まったところでグレッグを待ち、そこからは全力で彼を引き続けた。これ以上の結果はないよ。

31位 オリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール)

フラストレーションを抱えながらクラシックシーズンを終えることになってしまった。2つめの石畳セクターで落車し、その後は2度パンク。ヴァンデンベルフがアシストしてくれたけど届かなかった。先週のロンド・ファン・フラーンデレンに続いて不運でレースを落としてしまった。

38位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)

数度のパンクに苦しめられたペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)数度のパンクに苦しめられたペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo: TDWsportとてもタフで、とても速いパリ〜ルーベだった。1日を通してチームメイトは素晴らしいアシストぶりを見せてくれたけど、重要な局面でパンクが続いてしまった。アタックして抜け出す度にパンクで止まった。パリ〜ルーベで勝つためには良いコンディションだけでは足りないんだ。でもそれを含めてロードレースであり、来年またチャレンジしたい。

チームスカイのセルファイス・クナーフェン監督(2001年大会優勝者)

5位に入ったジャンニ(モスコン)の走りに満足している。彼は指示通りに動きに反応し、最後は優勝をかけたスプリントにも絡んだ。彼はまだ22歳で、輝かしい未来が待っている。歳を重ねるごとに経験を積んで、確実に強くなっている。今日彼はもっと上を目指せることを証明した。

今日は一旦トラブルで脱落すると復帰できないようなスピードだった。集団内でも力を使う展開。メカトラで遅れたイアン(スタナード)とルーク(ロウ)は何とか集団に復帰したものの、落車で再び遅れてしまった。

各チーム公式サイトならびにベルギーのスポルザ、イタリアのガゼッタより。

text:Kei Tsuji