全日本TTより、日本最速の座を争ったTTバイク11台を2編に分けて紹介。後編は與那嶺恵理(サクソバンク FX証券)、萩原麻由子(Wiggle Honda)、小石祐馬(CCT p/b CHAMPION SYSTEM)、西薗良太(ブリヂストンアンカー)、佐野淳哉(那須ブラーゼン)、綾部勇成(愛三工業レーシング)のバイクをチェックします。



與那嶺恵理(サクソバンク FX証券)のスウィフトカーボン NEUROGEN

與那嶺恵理(サクソバンク FX証券)のスウィフトカーボン NEUROGEN與那嶺恵理(サクソバンク FX証券)のスウィフトカーボン NEUROGEN photo:Yuya.Yamamoto
イーストンEC90 AERO 55のフロントに、ライトウェイトのディスクホイールという組み合わせだイーストンEC90 AERO 55のフロントに、ライトウェイトのディスクホイールという組み合わせだ ハンドルまわりはプロファイルデザインで統一。サイクルコンピューターには「心に炎を」の文字ハンドルまわりはプロファイルデザインで統一。サイクルコンピューターには「心に炎を」の文字


2年ぶりに全日本TT王者へと返り咲いた與那嶺恵理(サクソバンク FX証券)のバイクは、スウィフトカーボン「 NEUROGEN」。最小サイズのトップチューブ長が497mmと、恐らく700CのTTバイクとしては最も短い部類で、身長160cmの與那嶺でも無理なく理想のポジションが出せている様だ。

コンポーネントはシマノDURA-ACE Di2がメイン。クランク周りはロードバイクと共通で、クランク式パワーメーターPower2maxのローター3D+モデルに、同じくローターの楕円チェーンリングQ-RINGSを組み合わせている。歯数はフロントが53-38T、リアが11-28Tであった。

サドルはスペシャライズド SITEROサドルはスペシャライズド SITERO 目一杯ハンドル位置を下げるために、アジャスタブルステムを使用し、ヘッドパーツからトップキャップを取り外している目一杯ハンドル位置を下げるために、アジャスタブルステムを使用し、ヘッドパーツからトップキャップを取り外している

Power2maxのローター3D+モデルに、同じくローターの楕円チェーンリングQ-RINGSを組み合わせるPower2maxのローター3D+モデルに、同じくローターの楕円チェーンリングQ-RINGSを組み合わせる タイヤはスペシャライズドの国内未発売モデルTURBO ALLROUNDタイヤはスペシャライズドの国内未発売モデルTURBO ALLROUND


ホイールは、フロントがロードでも好んで使用しているイーストンEC90 AERO 55で、リアがライトウェイトというセットアップだ。タイヤはスペシャライズドの国内未発売モデルで、悪天候でのグリップ性能を高めたという「TURBO ALLROUND」。ハンドルまわりはプロファイルデザインで、目一杯ハンドル位置を下げるために、アジャスタブルステムを使用し、ヘッドパーツからトップキャップを取り外している。



萩原麻由子(Wiggle Honda)のコルナゴ K-ZERO

萩原麻由子(Wiggle Honda)のコルナゴ K-ZERO萩原麻由子(Wiggle Honda)のコルナゴ K-ZERO photo:Yuya.Yamamoto
リアホイールはカンパニョーロ BORA ULTRA DISCリアホイールはカンパニョーロ BORA ULTRA DISC 低い位置にセットアップされたハンドルバー低い位置にセットアップされたハンドルバー


昨年のTT女王で、今年は2位でフィニッシュした萩原麻由子(Wiggle Honda)。バイクはコルナゴ K-ZERO。身長が高いことから、ポジションに関する規定を難なくクリアできている様で、男子選手のバイクと比較してもシートポストの突き出し量や、サドルとハンドルの落差が大きい。

コンポーネントはカンパニョーロで、SUPERRECORDとRECORDがミックスされている。男子顔負けの歯数はフロントが55-42Tで、リアが11-29T。ホイールもカンパニョーロで、フロントがBORA ULTRA 80、リアがディスクタイプのBORA ULTRA TTという組み合わせだ。

サドルはフィジークのTT用モデルTRITONEサドルはフィジークのTT用モデルTRITONE コンポーネントはカンパニョーロで、RECORDとSUPERRECORDのミックスコンポーネントはカンパニョーロで、RECORDとSUPERRECORDのミックス

スプロケットの歯数は11-29Tスプロケットの歯数は11-29T トラディショナルなアメサイドのタイヤはヴィットリア CORSA SCトラディショナルなアメサイドのタイヤはヴィットリア CORSA SC


タイヤはアメサイドが特長的なヴィットリアの定番レーシングタイヤ「CORSA SC」の23mm。メカニックによると、急勾配区間前の急カーブで勢いを殺さないために比較的低めに設定したそうで、「基本は9Barで、雨だったら6.8~7Barぐらいまで落とす」とのこと。ハンドル及びステムはフレームの付属品としている。



小石祐馬(CCT p/b CHAMPION SYSTEM)のREVEN

小石祐馬(CCT p/b CHAMPION SYSTEM)のREVEN小石祐馬(CCT p/b CHAMPION SYSTEM)のREVEN photo:Yuya.Yamamoto
ホイールは前後ともベルギーブランドのSONICホイールは前後ともベルギーブランドのSONIC 日本人ライダーとしては珍しいDHバーとベースバーの落差を大きく取ったセットアップ。日本人ライダーとしては珍しいDHバーとベースバーの落差を大きく取ったセットアップ。


アジア選手権銅メダルの実力を遺憾なく発揮し、U23でTT王者に輝いた小石祐馬(CCT p/b CHAMPION SYSTEM)。バイクはチームの活動拠点ベルギーのREVENだが、今回小石が駆ったTTバイクは一般には販売されていないモデルのよう。前後ともブレーキは一般的なキャリパータイプに対応するなど、オーソドックスな仕様の1台である。

コンポーネントはスラムFORCEがメイン。チェーンリングはFSAのTTモデルKRONOに換装されている。ホイールは前後ともハンドメイド・イン・ベルギーのSONICというブランドのもの。こちらもフレーム同様にオーソドックスな造りとなっている。組み合わせるタイヤはIRCが開発を進めるチューブラー仕様のプロトタイプFormula PRO RACE TEAMとした。

ヴェロのTTサドルを使用するヴェロのTTサドルを使用する アジャスターブルステムを用いることで、ベースバーの位置を下げているアジャスターブルステムを用いることで、ベースバーの位置を下げている

メインコンポーネントはスラムFORCEだメインコンポーネントはスラムFORCEだ IRCが開発を進めるチューブラー仕様のプロトタイプ Formula PRO RACE TEAMIRCが開発を進めるチューブラー仕様のプロトタイプ Formula PRO RACE TEAM


ハンドルはブランドロゴが一切ないカーボン製で、海外のTTスペシャリストの様に、DHバーとベースバーの落差が大きく取っている。サドルはヴェロ製で、恐らくプロモーションのために、本来は同社のコンフォートモデルブランドである「Senso」のロゴがあしらわれていた特別仕様の様だ。



西薗良太(ブリヂストンアンカー)のアンカー RT9

西薗良太(ブリヂストンアンカー)のアンカー RT9西薗良太(ブリヂストンアンカー)のアンカー RT9 photo:Yuya.Yamamoto
ハンドルはPROのMISSILE EVO。ステムはアルミ削り出しの専用品だハンドルはPROのMISSILE EVO。ステムはアルミ削り出しの専用品だ フロントブレーキはダイレクトマウントタイプだフロントブレーキはダイレクトマウントタイプだ


2012年の全日本TT王者であり、現役復帰後の今大会では2位に入った西薗良太が駆ったのは、アンカー初のTTバイクとして今シーズンデビューし注目を集める「RT9」。他モデル同様に開発にはチームが深く関わった1台で、156cmのライダーに適応するサイズもラインナップされるなど、日本人にマッチした設計の1台となっている。

コンポーネントはシマノDURA-ACE Di2で統一。歯数はフロントが56-44Tで、リアが11-28T。パワーメーターはパイオニアのペダリングモニターながら、サイクルコンピューターはサポートを受けるガーミンとしている。フロントディレーラー取付部にはチェーンキャッチャーを装着することで、チェーン落ちのリスクを最小限に留めた。

サドルはロードでも使用するフィジークANTARESサドルはロードでも使用するフィジークANTARES ホイールは前後ともPRO。4本スポークのバトンに、Textreamカーボンを用いたディスクという組み合わせだホイールは前後ともPRO。4本スポークのバトンに、Textreamカーボンを用いたディスクという組み合わせだ

パイオニアのペダリングモニターを使用パイオニアのペダリングモニターを使用 チェーンキャッチャーを装着することで、チェーン落ちのリスクを最小限に留めているチェーンキャッチャーを装着することで、チェーン落ちのリスクを最小限に留めている


ホイールは前後ともPROで、4本スポークのバトンに、Textreamカーボンを用いたDiscという組み合わせ。タイヤはヴィットリアで、定番モデルのCORSA CXよりもやや粗いトレッドパターンを採用したCORSA SRの24mmを選使用。メカニックによれば空気圧は8Barとしたとのこと。ハンドルはPROのMISSILEで、DHバーはスキーベンドを選択。ステムはアルミ削り出しのRT9専用品だ。サドルはロードでも使用するフィジークANTARESとしている。



佐野淳哉(那須ブラーゼン) のボーマ SWOOP

佐野淳哉(那須ブラーゼン) のボーマ SWOOP佐野淳哉(那須ブラーゼン) のボーマ SWOOP photo:Yuya.Yamamoto
ホイールもボーマとしているホイールもボーマとしている エアロVブレーキを使用するエアロVブレーキを使用する


チームの活動拠点での優勝が期待された佐野淳哉(那須ブラーゼン)が駆ったのは、カーボン繊維商社を前身とする国内ブランド・ボーマのTTバイク「SWOOP」。サポートチームのフィードバックを基に開発された日本人設計の1台で、専用ハンドルバーやエアロVブレーキとあわせてエアロ性能を高めている。

コンポーネントはシマノULTEGRA Di2をメインに、クランクのみ旧型DURA-ACEのFC-7900としている。歯数はフロントが56-44Tで、リアが11-25T。なお、佐野はカーボンドライジャパンより個人サポートを受けており、下側15Tの大口径プーリーを搭載した「ビッグプーリーキット」や、ドライカーボン製チェーンキャッチャーを組み合わせてる。パワーメーターはチームカラーのパイオニア ペダリングモニター。ボルト類はほとんどが興津螺旋のチタンボルトへ換装されていた。

サドルはサンマルコAspide TTサドルはサンマルコAspide TT フレーム専用設計のハンドルフレーム専用設計のハンドル

耐パンク性を重視したというパナレーサーのプロトタイプタイヤ耐パンク性を重視したというパナレーサーのプロトタイプタイヤ メインコンポーネントはシマノULTEGRA Di2。カーボンドライジャパンなどのカスタムパーツを多用するメインコンポーネントはシマノULTEGRA Di2。カーボンドライジャパンなどのカスタムパーツを多用する


ホイールはフレームと同じくボーマ製。タイヤはパナレーサーのプロトタイプ。メカニックによれば、メインバイクには耐パンク製を重視した仕様の、スペアバイクにはレイン仕様のテストモデルを装着。空気圧は9Barとのこと。その他サドルはサンマルコAspide TT、バーテープはスパカズ、ペダルはルックKeO 2 Maxとしている。



綾部勇成(愛三工業レーシング)のスコット PLASMA 3

綾部勇成(愛三工業レーシング)のスコット PLASMA 3綾部勇成(愛三工業レーシング)のスコット PLASMA 3
スコットのサポートを受ける愛三工業レーシングのTTバイクは「PLASMA 3」。2015モデルでは後継モデルとしてPLASMA 4がデビューしているが、その優れたエアロ性能は今なお健在で、他ブランドの現行モデルと比較しても遜色ないか、それ以上の走行性能を有してる名車である。

コンポーネントはシマノDURA-ACE Di2がメインだが、リアブレーキのみ2世代前のBR-7800としている。なお、綾部勇成のバイクの歯数はフロントが55-42Tで、リアが11-25T。ホイールはフロントが供給品のWH-9000-C75-TUで、何故かリアはサポートを受けるPROではなく、ビニールテープでロゴを隠したマヴィックCOMETEとしている。タイヤはコンチネンタルの定番レーシングモデル「COMPETITION」だ。

サドルはプロロゴのTT用ショートデザインモデルZero IIサドルはプロロゴのTT用ショートデザインモデルZero II ハンドルはPROのMISSILE EVO。DHバーとベースバーが共に斜めを向いた、国内ではあまり見かけないセットアップとされているハンドルはPROのMISSILE EVO。DHバーとベースバーが共に斜めを向いた、国内ではあまり見かけないセットアップとされている

シートステー根元の造形。整流フィンを設けることで、エアロ性能を高めているシートステー根元の造形。整流フィンを設けることで、エアロ性能を高めている タイヤはコンチネンタルの定番レーシングモデル「COMPETITION」だタイヤはコンチネンタルの定番レーシングモデル「COMPETITION」だ


ハンドルはPROのMISSILE EVO。DHバーとベースバーが共に斜めを向いた、国内ではあまり見かけないセットアップとされている。サドルはプロロゴのTT用ショートデザインモデルZero IIだ。



text&photo:Yuya.Yamamoto

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