厳しい山岳コースの第2ステージは4人が逃げ切り、ベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ)が優勝。リーダージャージに袖を通した。

1回目の丸山千枚田をメイン集団が上る1回目の丸山千枚田をメイン集団が上る photo:Hideaki TAKAGI
最高難易度の下りを含む山岳コース

ツール・ド・熊野の大勢を決する山岳コースの第2ステージが5月30日(土)に、三重県熊野市で行なわれた。コースは宿泊・観光リゾート「熊野倶楽部」をパレードスタートし、丸山千枚田からいったん下って札立峠を越え、ふたたび丸山千枚田を経てフィニッシュ地点に至る119.2km。大きな上りは3箇所でそれぞれにKOMが配される。なかでも札立峠は上りだけでなく下りが厳しいことで有名。車の離合が出来ない狭く曲がりくねった林間の道で、しかもドライ路面とはいえ緑色の苔があり、国内ロードレースで最高難易度の下り区間。

熊野倶楽部がスタート地点熊野倶楽部がスタート地点 photo:Hideaki TAKAGI熊野灘を望むパレード走行熊野灘を望むパレード走行 photo:Hideaki TAKAGI

1回目の丸山千枚田をメイン集団が上る1回目の丸山千枚田をメイン集団が上る photo:Hideaki TAKAGI30km地点、逃げる8人にメイン集団が迫る30km地点、逃げる8人にメイン集団が迫る photo:Hideaki TAKAGI

100名でスタートした第2ステージ。序盤からアタック合戦となり4名の逃げができる。メンバーは木村圭佑(シマノレーシング)、鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)ら。この4人で1回目の千枚田を上りKOMは鈴木真理が先頭で通過し下りへ。金山交差点へ向けての下り区間で伊丹健治(キナンサイクリングチーム)や平塚吉光(愛三工業レーシングチーム)ら4人が合流し8人となる。メイン集団はブリヂストンアンカー勢がおもにコントロールし、札立峠の起点である金山交差点前までに吸収し集団はひとつに。

46km地点、札立峠を前にして集団はひとつに46km地点、札立峠を前にして集団はひとつに photo:Hideaki TAKAGI札立峠序盤からハイペースに札立峠序盤からハイペースに photo:Hideaki TAKAGI

札立峠で3人が先行


札立峠入り口から道が狭くなり各チーム位置取りが激しくなる。ここからダミアン・モニエ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)、ベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ)そして中根英登(愛三工業レーシングチーム)の3人がアタックし先行。これに集団も反応し20人ほどで先頭集団を作ってKOMへ向かう。この手前でふたたび中根、モニエ、プラデスの3人が先行し中根とプラデスがKOMを競いわずかに中根が先着して下りへ。4番手で通過はジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム)、そして10人ほどが続いて下りへ。この下り区間でクロフォードが落車し10人ほどの集団に下がって合流。

70km地点、先行する4人を追走する第2集団70km地点、先行する4人を追走する第2集団 photo:Hideaki TAKAGI2回目の丸山千枚田上りへ2回目の丸山千枚田上りへ photo:Hideaki TAKAGI

この札立峠を下りきった育成では先頭3人に30秒ほどの差で13人が続く。13人はイリヤ・ゴロドニチェフ(RTSサンティックレーシングチーム)、ホセ・ビセンテ(マトリックスパワータグ)、クロフォード、トマ・ルバ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)、初山翔(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)、平塚吉光(愛三工業レーシングチーム)、伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)、鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)、土井雪広(チーム右京)、ベンジャミン・ディボール(アヴァンティレーシングチーム)、テイラー・ガンマン(アヴァンティレーシングチーム)。

2回目の丸山千枚田上り、4人で逃げ続ける2回目の丸山千枚田上り、4人で逃げ続ける photo:Hideaki TAKAGI
追走13人を振り切り4人の勝負をベンジャミン・プラデスが制する

追走13人は先頭3人に一時20秒ほどに詰めるが再び差は開いていく。先頭に乗せているチーム、乗せられていないチームの思惑の違いで追走13人はペースが上がらない。ここで追走からゴロドニチェフが単独で抜け出し先頭3人に合流する。そして千枚田を下る直前で後方から西薗良太(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)が単独で上がり、追走集団に合流する。西薗は札立峠頂上からの約25kmを独走したことになる。

ラスト10km、第2集団は思惑が一致せず差が開いていくラスト10km、第2集団は思惑が一致せず差が開いていく photo:Hideaki TAKAGIラスト5km、先頭の4人は協力して差を広げるラスト5km、先頭の4人は協力して差を広げる photo:Hideaki TAKAGI

プラデス、ゴロドニチェフ、モニエ、中根の先頭4人は協調して逃げ続け、2回目の千枚田上りもクリアし下りへ。いっぽうで追走13人からはガンマンが脱落し12人で進むが引くメンバーは限られ、差は1分を超える。ラスト2km、先頭からモニエがアタックするが吸収されフィニッシュ前の500m直線へ。ここで横一線からラスト200mで4人がスプリントを開始、プラデスが先行のまま逃げ切って優勝。追走集団では西薗が頭を取って5位に。

プラデスは「3人で逃げ切るか後ろのホセを待つかの選択だったが、ゴロドニチェフが合流してからペースが上がったので逃げ切ることを選んだ」と語る。10日前のTOJ南信州ステージで優勝した好調のプラデスは、総合2位のゴロドニチェフに8秒の差をつけて最終第3ステージへ向かう。スプリントポイントでのボーナスタイムや逃げ切りでのタイム差などで上位3人は予断を許さない状況が続く。

ベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ)がステージ優勝でリーダーにベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ)がステージ優勝でリーダーに photo:Hideaki TAKAGI
結果
第2ステージ熊野山岳
5位集団は西薗良太(ブリヂストンアンカー)が先頭5位集団は西薗良太(ブリヂストンアンカー)が先頭 photo:Hideaki TAKAGI個人総合リーダージャージに袖を通したベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ)個人総合リーダージャージに袖を通したベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ) photo:Hideaki TAKAGI1位 ベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ)2時間46分20秒
2位 イリヤ・ゴロドニチェフ(RTSサンティックレーシングチーム)
3位 ダミアン・モニエ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)
4位 中根英登(愛三工業レーシングチーム)+20秒
5位 西薗良太(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)+1分05秒
6位 ホセ・ビセンテ(マトリックスパワータグ)
7位 ジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム)
8位 初山翔(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)
9位 平塚吉光(愛三工業レーシングチーム)
10位 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)

個人総合 第2ステージ終了時点
1位 ベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ)5時間22分53秒
2位 イリヤ・ゴロドニチェフ(RTSサンティックレーシングチーム)+08秒
3位 ダミアン・モニエ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)+10秒
4位 中根英登(愛三工業レーシングチーム)+31秒
5位 ホセ・ビセンテ(マトリックスパワータグ)+1分16秒
6位 ジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム)+1分17秒
7位 初山翔(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)+1分18秒
8位 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)
9位 平塚吉光(愛三工業レーシングチーム)
10位 西薗良太(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)

個人総合新人賞  第2ステージ終了時点
1位 アイマン・カヤディ(ペガサスコンチネンタルサイクリングチーム)

個人総合ポイント 第2ステージ終了時点
1位 ニール・ヴァンデルプローグ(アヴァンティレーシングチーム)35点
2位 ベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ)30点
3位 ティノ・ソメル(RTSサンティックレーシングチーム)23点

個人総合山岳 第2ステージ終了時点
1位 中根英登(愛三工業レーシングチーム)15点
2位 ベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ)14点
3位 ダミアン・モニエ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)8点

チーム総合 第2ステージ終了時点
1位 ブリヂストンアンカーサイクリングチーム 16時間11分28秒
2位 愛三工業レーシングチーム +17秒
3位 チーム右京 +4分51秒

photo&text:Hideaki TAKAGI

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