今年3月のドーピング検査で血液データに異常値が見つかったとして、チームスカイ独自の判断でレース出場を取り止めていたセルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア)。数ヶ月に及ぶ検査の結果、ドーピングの事実は無いと結論付けられた。エナオモントーヤはツール・ド・スイスでレースに復帰する。



セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ) photo:Kei Tsuji「セルジオのレース復帰を大歓迎している。彼のツール・ド・スイス出場が楽しみだ。我々のアプローチは選手にとってもチームにとってもフェアなものだった」と、チームスカイのデイヴ・ブレイルスフォード代表はコメントする。

セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ) photo:Kei Tsujiエナオモントーヤは2月のツアー・オブ・オマーンを最後にチームスカイの戦力外扱いとなった。ドーピング検査で陽性反応が出たわけではないが、チームスカイの内規に沿ってレース活動を停止していたのだ。

血液データの異常値の原因究明のために、4月に入ってエナオモントーヤはコロンビアに一時帰国していた。コロンビアのアンチドーピング機構やシェフィールド大学の協力のもと、高地での生活が身体に与える影響を6週間にわたって監視。5月に渡欧し、低地で再び検査が行なわれた。エナオモントーヤはコロンビア中部のリオネグロ(標高2100m)出身だ。

数ヶ月に及んだ検査の結果、チームスカイが出した答えは「シロ」。つまり異常値はドーピングによるものではなく、標高の高い場所で生まれた選手の特性であると結論づけられた。

チームスカイはプレスリリースの中で「10週間の検査プログラムによって、セルジオの過去のデータが極めて信頼のおけるものだと判断した。更に、コロンビア出身クライマーのような"高地出身者"の生理学において貴重な洞察を示すものだった」とコメントしている。今回の調査結果はWADA(世界アンチドーピング機構)やUCI(国際自転車競技連合)に提出され、全てのデータはバイオロジカルパスポートに記録されるという。

エナオモントーヤは2012年ジロ・デ・イタリアで総合9位に入ったクライマー。同年ロード世界選手権9位、イル・ロンバルディア5位という成績を残している。2013年はフレーシュ・ワロンヌ2位、ブエルタ・アル・パイスバスコ総合3位、アムステル・ゴールドレース総合6位。なお、今年チームスカイ入りし、初出場のジロ・デ・イタリアで総合22位に入った20歳のセバスティアン・エナオゴメスはエナオモントーヤの従兄弟にあたる。

エナオモントーヤはツール・ド・スイスでレースに復帰。ツール・ド・フランスのメンバー入りが濃厚と見られている。フルームの山岳アシストとして走ることになりそうだ。

text:Kei Tsuji