フェルトのロードラインアップの中心であるオールラウンドモデル「FRシリーズ」3車種を乗り比べるインプレッション企画。Vol.2ではいよいよ中村龍太郎さんにセカンドグレードのFR1と、エントリーグレードのFR5の印象を語ってもらった。

「FRシリーズはリアが前作よりも柔らかくなり、身体に優しくなった」

FRシリーズはフロントの剛性が非常に高いかな。今乗っているARはフロントとリアが柔らかいという印象があるんですけど、FRは前が硬く、ハンドルを切った時にクイックな印象があります。

低速でS字を描くようにグニグニとバイクを曲げた時や、コーナーを抜ける時にバイクが押し返される感覚がありました。スキーでいうところだと、カービングの板を踏み込んだら力が返ってくるような感じです。そのような感覚がフロントにはあり、クリテリウムのコーナーといった場面でも立ち上がりが人より早くなるので、レースのアドバンテージになるなと。

「クイックなハンドリングがアドバンテージになる」「クイックなハンドリングがアドバンテージになる」 photo:Makoto.AYANO
対してリアは以前のFシリーズと比べると柔らかくなっています。前モデルは全体が硬くて自分が10踏んだら10の力を出してくれる1:1の感じでしたが、今作はリア側が柔軟なので振動吸収性がより良くなっています。硬いフレームは振動がそのままダイレクトに体に来るので見えないところで疲労が溜まっていくんですけれど、FRシリーズはレースの最後まで疲労が残らず走ることができるのかなと思います。僕らみたいなレーサーであれば長い距離のレースでは恩恵を受けられるはずです。

リアの柔らかさというのはどちらかと言うと縦方向で、横方向というのはそこまで柔らかさは感じませんでした。バイクを左右にふってダンシングした時は最初にポンと加速し、その後は伸びていくようなスピードの乗り方でした。総じてレースを志向する人のためのバイクだと感じました。

FR1インプレッション「スプリントマシンのFシリーズからオールラウンドに進化した」

FR1は弱虫ペダルサイクリングチームが使い、JBCFのエリート1で活躍しているので、レーサー向けのゴリゴリのガチガチのバイクかなと思っていたんですけど、色々な人が乗れるオーソドックスなバイクという印象を受けました。

以前乗っていたF FRDは完全にスプリント系のバイクだったので、脚がある人はレースの最後までいけるんですけど、踏めなくなると止まってしまうんですよ。対してFR1は少ない力で進んでくれる剛性を持っているので、アタックにパッと反応できたり、千切れてからも粘ってくれそうなので、乗っていて楽だと思いますね。

「スプリントマシンのFシリーズからオールラウンドに進化した」「スプリントマシンのFシリーズからオールラウンドに進化した」 photo:Makoto.AYANO
FRシリーズの肝となるリアの柔軟性向上に貢献するシートポスト周りFRシリーズの肝となるリアの柔軟性向上に貢献するシートポスト周り photo:Makoto.AYANO
TeXtreamカーボンが露出した仕上げがFR1の特徴だTeXtreamカーボンが露出した仕上げがFR1の特徴だ photo:Makoto.AYANO


フレームが軽く横剛性が高いので、ペダルを踏み込んだ1歩目の反応が早い。プラス、スピードが乗った時にグイグイ踏んでいっても進んでくれるので、スプリントやコーナーの立ち上がりが良いです。またシッティングでもダンシングでも加速するので、僕も使ってみたくなるバイクでしたね。

ただFR1はセカンドグレードといえばそうなんですけれど、トップグレードと言っても遜色のないレベルなので、コストパフォーマンスが非常に優れています。FR FRDのフレームセットは46万円なので、フレームの硬さとお値段を考えてもFR1で十分だと思います。

シャープなハンドリングを生み出す高剛性なヘッドシャープなハンドリングを生み出す高剛性なヘッド photo:Makoto.AYANO
FR1のハンドリングは自分で操作する必要があるレース向けという感じがあります。僕は自分が思ったラインでコーナーに入っていきたいんですが、レースでは他の人がラインに入ってきて移動しなければならないとか、落車を避けなければいけません。そういった時に自分でハンドリングできる方が僕は安心して走ることができるので、好印象の味付けでしたね。

このバイクに似合うホイールはリムハイトが低いものだと思いますが、そうすると完成車の重量が6.8kg切ってくるんですよね。なのでリム高60mmまではいかないけれど、40mmぐらいのものを履かせてあげて、重量を調整しつつ平坦で伸ばしてあげると良いでしょうね。

FR5インプレッション「走りをサポートしてくれる安定感」

今乗っているAR FRDとは直接比較するようなグレードではないですけど、乗る前は重いだとかマイナスな印象を正直持っていましたが、FR5はグレードが低くても軽く、エントリーモデルとしてはかなり好印象を受けました。

FR1とは下りとか高速域になった時の安定感が違いましたね。FR1は自分でハンドル操作しないといけないタイプですが、FR5は若干怖くなるくらい自転車がぶれず、ハンドルが真っ直ぐの状態を維持したがるんですよ。普通に走っている分には感じないんですが、高速域になると直進性が非常に高くなりライドをサポートしてくれるような印象があるので、レース志向だけど走り方がわかっていない方の最初に持つ相棒としてはいいバイクだと思います。

「走りをサポートしてくれるような安定感があるバイク」「走りをサポートしてくれるような安定感があるバイク」 photo:Makoto.AYANO
FR1とFR5の安定性の違いをジオメトリーを変えずに、カーボンの素材だけでできるというのはスゴイですね。感動しました。

バイクの剛性ですが、FR1と同じく縦方向に柔らかく、横方向には硬いです。急な上りをシッティングでグイグイ踏んで登る、佐野淳哉さんみたいな走り方すると、少し加速の伸びが弱いです。対して、横剛性が強いのでダンシングでバイクをふったほうが、一歩一歩進んでくれる感覚がありました。

平坦か登りかどちらかと聞かれれば、得意なシチュエーションは登りだと思います。クリテリウムでもコーナーを抜けた後の立ち上がりの良さで有利になりますが、横剛性の強さを考えると登りの方が向いているでしょう。

ただ完成車パッケージのホイールは重いというデメリットがありますが、エントリーグレードのホイールとしては頑丈だと思うので十分でしょう。走り込んで力がついてきたら新しいホイールに変えれば良いことですし。

「想像以上に軽く、エントリーグレードとしては好印象」「想像以上に軽く、エントリーグレードとしては好印象」 photo:Makoto.AYANO
チューブが丸みを帯びたFシリーズからスクエアなタイプになったとか、ブレーキがBB下になったことでシートステーがスッキリしたので、ホイールもスッキリしたものを装着したほうが格好いいと思います。例えばシマノのC24チューブラーなどハイトが低く、軽さを求めたカーボンホイールですね。

完成車で25万円は安いと思いますね。コストパフォーマンスは非常に良いと思います。僕は自転車を大学時代からはじめて、先輩から10万円で譲り受けたアンカーに乗っていたんですけど、大学生が自転車を買うとなるとどうしてもコストでシビアになります。1ヶ月、2ヶ月バイト頑張れば買えて、そのまま乗れるので、エントリーグレードとしては手が届きやすいかなと思います。

まとめるとJBCFのE3とかは10kmぐらいの短期決戦で終わってしまうので縦の剛性レベルとしてはもう少し硬くていいかなと思います。ただ硬いフレームはパワーがないと乗りこなせないと思うので、フェルトがリアを柔らかくしたのは、どのような人でも使いこなせるように門を広げたといっても良いかもしれません。これからレースを始める人向けのバイクです。
提供:ライトウェイプロダクツジャパン 制作:シクロワイアード編集部