1990年に宇都宮でロード世界選手権が開催されてから22年の月日が経つ。世界選のメモリアルレースとして始まったジャパンカップは今年で開催21回目。土曜日に宇都宮の中心地で行なわれるクリテリウムレースや、名物・古賀志林道の登りを含む151.3kmのコースで行なわれるUCI HCレースの見どころをチェックしておこう。

世界選手権のメモリアル大会として1992年にスタート

1990年ロード世界選手権 ワンツー勝利を飾ったルディー・ダーネンスとディーク・デヴォルフのベルギーコンビ1990年ロード世界選手権 ワンツー勝利を飾ったルディー・ダーネンスとディーク・デヴォルフのベルギーコンビ photo:Cor Vos1990年に宇都宮を舞台に開催されたロード世界選手権。宇都宮市と鹿沼市をまたぐ時計回り(現在と逆回り)の周回コースで、アルカンシェルを懸けた闘いが繰り広げられ、ルディー・ダーネンスとディーク・デヴォルフのベルギーコンビがワンツー勝利を飾っている。公式の記録によると、コースに詰めかけた観客の数は12万人。

その2年後の1992年、ジャパンカップはロード世界選手権のメモリアルレースとして産声をあげた。初回大会を制したのは、パリ〜トゥールでの優勝をひっさげて来日したヘンドリック・ルダン(現ユナイテッドヘルスケア監督)。1993年からは、世界屈指のクライマーとして知られたクラウディオ・キャプッチ(イタリア)が3連覇を果たした。

1996年にはUCIワールドカップの最終戦に組み込まれ、「ウツノミヤ」や「ジャパンカップ」の名前がヨーロッパでも知られた存在に。以降、毎年晩秋の宇都宮に世界のトップ選手が集結し、シーズン最後のレースとしてバトルを繰り広げた。1997年には、当時の世界トップチームであるマペイに所属していた阿部良之が日本人選手として初めてジャパンカップを制している。

2008年からは、アジア最高峰のカテゴリーであるHC(超級クラス)レースとして開催。2010年からは宇都宮市のど真ん中でクリテリウムレースが併催されている。

ジャパンカップクリテリウム:宇都宮の目抜き通りを駆ける

直線的なコースには180度コーナーが2カ所ある直線的なコースには180度コーナーが2カ所ある photo:Kei Tsuji2010年に初開催されたクリテリウム。今年もHCレース前日の土曜日に開催される。宇都宮市の目抜き通りである宇都宮市大通りを規制して作られた1周1.55kmの直線的なコースが舞台だ。

選手たちはパレード走行としてこの周回を3周後、20周に及ぶバトルに挑む。クライマー有利なジャパンカップ本戦とは異なり、クリテリウムはスプリント力のある選手たちの活躍の場。毎年平均45km/h前後のハイスピードなバトルが繰り広げられる。

ラスト600mの最終180度ターンを好位置で抜け、熾烈なポジション争いを制し、宇都宮の空に両手を突き上げるのは果たして誰か?今年も幾重にも重なった大観衆が選手たちの闘いを待っている。

ジャパンカップクリテリウム・コースマップジャパンカップクリテリウム・コースマップ photo:www.japancup.gr.jp/

ジャパンカップ:獲得標高差2800mの全長151.3kmコース

ジャパンカップ・コースマップジャパンカップ・コースマップ photo:www.japancup.gr.jp/宇都宮市森林公園の赤川ダム近くをスタート/フィニッシュとする14.1kmの周回コースは、ワールドカップ開催時に導入されたもの。1990年の世界選手権とはスタートやフィニッシュの位置が異なり、周回の方向は反対となる。

最終周回(11周目)のみ後半部をカットした10.3kmのコースが使用される。阿部良之が優勝した1997年以降、11周回・全長151.3kmのコースに変更は加えられていない。

観客が詰めかけた古賀志林道頂上付近観客が詰めかけた古賀志林道頂上付近 photo:Kei Tsujiコース最大の難所として知られているのが、スタート後すぐに始まる古賀志林道の登りだ。標高差185mを一気に駆け上がるこの名物坂には、毎年大勢の観客が詰めかけ、思い思いの方法で選手たちに声援を送る。その頂上には山岳ポイントが設定され、3周毎に山岳賞が与えられる。

頂上を越えると、カーブが連続するハイスピードダウンヒルが登場。普段から交通量が少ないため、苔に覆われている箇所もあり、雨が降れば危険な下りになる。危険が伴うため、古賀志林道の頂上から県道に至るまでの約3.5kmは、観客の立ち入り禁止区域に指定されている。

少人数の集団によるゴールスプリント少人数の集団によるゴールスプリント photo:Kei Tsuji県道合流後は、萩の道の上りを含むアップダウンをこなし、鶴カントリークラブ前の上りを経てスタート地点に戻る。鶴カントリーの上りは登坂距離こそ短いものの勾配はキツい。14.1km周回コースの獲得標高差は約260m。合計2800m前後になる計算だ。

毎年レース終盤に向けてヨーロッパチームがペースを上げ、残り数周の古賀志林道で有力選手たちが動き始めるのがお決まりのパターン。最終周回は萩の道と鶴カントリーの上りがカットされるため、古賀志林道の頂上からゴールまでは約8kmだ。

最後の古賀志林道で飛び出し、後続を引き離した数名によるスプリント勝負が毎年のように繰り広げられてきた。近年では、2007年のマッシミリアーノ・モーリ(イタリア)、2009年のクリスアンケル・セレンセン(デンマーク)、2010年のダニエル・マーティン(アイルランド)が単独逃げ切りを成功させている。

ジャパンカップ・コースプロフィールジャパンカップ・コースプロフィール photo:www.japancup.gr.jp/

シクロワイアードではジャパンカップのテキストライブを開催予定。レースプレビュー・選手編は後ほど掲載します。

ジャパンカップ2012日程
10月19日(金)
18:00〜19:00 オープニングイベント(オリオンスクエア)
19:00〜21:00 チームプレゼンテーション(オリオンスクエア)

10月20日(土)
9:00〜9:50 オープニングフリーラン
10:00〜10:50 チャレンジレース
11:05〜13:30 オープンレース男子/女子
10:00〜21:00 ジャパンカップイベントステージ(オリオンスクエア)
15:30〜16:45 ジャパンカップクリテリウム(宇都宮市大通り周回コース)

10月21日(日)
10:00〜14:30 ジャパンカップ(森林公園周回コース)
14:30〜    表彰式

text:Kei Tsuji

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