南イタリアのナポリを発ち、半島を南から北まで巡る3週間。2013年のジロ・デ・イタリアは、フランスのガリビエ峠に立ち寄り、ガヴィア峠やステルヴィオ峠、ジャウ峠、トレチーメ・ディ・ラヴァレードなど、厳しいドロミテの峠を越えて行く。例年よりタイムトライアルの距離が長いのが特徴だ。

ジロ・デ・イタリア2013コースマップジロ・デ・イタリア2013コースマップ image:Press Ciclismo RCS9月30日、イタリアのミラノで、ジロ・デ・イタリア第96回大会のコースプレゼンテーションが行なわれた。アルベルト・コンタドール(スペイン)やライダー・ヘジダル(カナダ)、ホアキン・ロドリゲス(スペイン)、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)といった有力選手を招いた会場で、3405kmにおよぶ3週間の闘いの全貌が明らかにされた。

2013年大会はナポリで動き出す。周回コースを回る平坦ステージで幕開け、翌日にフェリーで沖合に浮かぶイスキア島へ。17.4kmのチームタイムトライアルをこなし、本土に戻って半島南下を開始する。

イタリア半島の南端に近いセッラ・サンブルーノにゴールする大会最長244kmの第4ステージで、早速マリアローザ候補が動くはず。そこからジロは北に進路を取り、キエーティの激坂が登場する第7ステージや、同年ロード世界選手権の舞台となるフィレンツェ周回コースにゴールする第9ステージを経て、ようやく1回目の休息日を迎える。イタリア南部から中部を駆け抜けるこの1週目は、とにかく移動距離が長い。

ジロ・デ・イタリア2013コースプレゼンテーションジロ・デ・イタリア2013コースプレゼンテーション image:Press Ciclismo RCS大きく注目を集めているのが、アドリア海の海岸近くを走る第8ステージの個人タイムトライアルだ。その距離は実に55.5kmで、近代ジロの中ではかなり長い部類に入る。タイムトライアルに秀でたオールラウンダーたちが、クライマーたちからリードを奪うだろう。

オーストリアに近いドロミテ山塊を走る第10・11ステージには、頂上ゴールが設定されているものの、まだまだ後半戦に向けての脚試しといったところ。そこからジロは急いで西に向かい、平坦ステージをこなしながらアルプス山脈に移動する。

ジロ・デ・イタリア2013第15ステージ・コースプロフィールジロ・デ・イタリア2013第15ステージ・コースプロフィール image:Press Ciclismo RCSバルドネッキア(標高1908m)にゴールする第14ステージと、モンスニ峠(標高2095m)を越えてフランスに入る第15ステージで総合は大きく動く。特に第15ステージは、事前の発表の通り、フランスのテレグラフ峠(標高1566m)を越えてガリビエ峠(標高2642m)にゴールする難関ステージ。まだ厚い雪が残るガリビエ決戦を終えると、ジロはフランスで2度目の休息日を迎える。

ジロ・デ・イタリア2013第19ステージ・コースプロフィールジロ・デ・イタリア2013第19ステージ・コースプロフィール image:Press Ciclismo RCSアルプス山脈で加熱したマリアローザ争いは、第18ステージからの3日間で決する。第18ステージは大会2回目の個人タイムトライアル。距離19.45kmで標高差1008mを駆け上がるヒルクライムTTだが、勾配が緩いため(平均勾配5.2%)クライマーたちがTTスペシャリストたちに対して大きなタイム差を付けるとは考えにくい。

ジロ・デ・イタリア2013第20ステージ・コースプロフィールジロ・デ・イタリア2013第20ステージ・コースプロフィール image:Press Ciclismo RCS第19ステージは、例年チーマコッピ(大会最高地点)に設定されるガヴィア峠(標高2618m)とステルヴィオ峠(標高2758m)を立て続けにクリア。コース全長は138kmと短いが、最後にはヴァルマルテッロ(標高2051m)の頂上ゴールが待つ。

ドロミテ山塊を貫く第20ステージは過酷そのもの。コスタルンガ峠、サンペッレグリーノ峠、ジャウ峠、トレクローチ峠を経て、トレチーメ・ディ・ラヴァレード(標高2304m)にゴール。3つの岩峰(トレチーメ)が天に伸びる雄大な景勝地で、マリアローザ争いはクライマックスを迎える。

2013年の終着地はロンバルディア州第2の都市ブレシア。緩い登りを含む周回コースで、3週間の闘いに幕が下ろされる。

コース全長は3405kmで、1ステージの平均距離は162.2km。頂上ゴールは6ステージ、スプリンター向きの平坦コースは7ステージ。「山岳が厳しいジロ」に変わりはないが、そこに55.5kmの第8ステージを含む合計92.3kmのタイムトライアルが加わった。コンタドールやヘジダル、さらにはブラドレー・ウィギンズ(イギリス)やカデル・エヴァンス(オーストラリア)といった選手たちに適したコースレイアウトであると言える。

今年カナダ人選手として初めてグランツールを制したヘジダルは「最初から最後まで気が抜けないコースだ。距離の長いタイムトライアルでは、コンディションがそのままタイムに反映される。ツールを見据えて、100%の力でジロに挑みたい」と、大会連覇を狙う構え。一方、コンタドールはジロ出場について「ツールやブエルタのコース発表を待ってから判断したい」とコメントしている。

プレゼンテーションに出席したコンタドール、フィニー、デヘント、カヴェンディッシュ、バッソ、ヘジダル、ニーバリ、ウラン、ロドリゲスプレゼンテーションに出席したコンタドール、フィニー、デヘント、カヴェンディッシュ、バッソ、ヘジダル、ニーバリ、ウラン、ロドリゲス image:Press Ciclismo RCS


ジロ・デ・イタリア2013ステージリスト(☆は難易度)
5月4日(土)第1ステージ ナポリ〜ナポリ 156km 平坦 ☆
5月5日(日)第2ステージ イスキア〜フォリオ 17.4km チームTT ☆☆☆
5月6日(月)第3ステージ ソレント〜マリーナ・ディ・アシェーア 212km 中級山岳 ☆☆☆
5月7日(火)第4ステージ ポリカストロ・ブゼンティーノ〜セッラ・サンブルーノ 244km 中級山岳 ☆☆☆
5月8日(水)第5テージ コセンツァ〜マテーラ 199km 平坦 ☆☆
5月9日(木)第6ステージ モーラ・ディ・バーリ〜マルゲリータ・ディ・サヴォイア 154km 平坦 ☆
5月10日(金)第7ステージ サンサルヴォ〜ペスカーラ 162km 中級山岳 ☆☆☆
5月11日(土)第8ステージ ガビッチェ・マーレ〜サルターラ 55.5km 個人TT ☆☆☆☆
5月12日(日)第9ステージ サンセポルクロ〜フィレンツェ 181km 中級山岳 ☆☆☆
5月13日(月)休息日
5月14日(火)第10ステージ コルデノンス〜アルトピエーノ〜デル・モンタジオ 167km 超級山岳 ☆☆☆☆
5月15日(水)第11ステージ タルヴィジオ〜ヴァイオント 184km 中級山岳 ☆☆
5月16日(木)第12ステージ ロンガローネ〜トレヴィーゾ 127km 平坦 ☆
5月17日(金)第13ステージ ブッセート〜ケラスコ 242km 平坦 ☆☆
5月18日(土)第14ステージ チェルヴェレ〜バルドネッキア 156km 超級山岳 ☆☆☆☆
5月19日(日)第15ステージ チェザーナ・トリネーゼ〜コル・ドゥ・ガリビエ 150km 超級山岳 ☆☆☆☆☆
5月20日(月)休息日
5月21日(火)第16ステージ ヴァロワール〜イヴレア 237km 中級山岳 ☆☆
5月22日(水)第17ステージ カラヴァッジオ〜ヴィチェンツァ 203km 平坦 ☆
5月23日(木)第18ステージ モーリ〜ポルサ 19.4km 個人TT ☆☆☆☆
5月24日(金)第19ステージ ポンテ・ディ・レーニョ〜ヴァル・マルテッロ 138km 超級山岳 ☆☆☆☆☆
5月25日(土)第20ステージ シランドロ〜トレチーメ・ディ・ラヴァレード 202km 超級山岳 ☆☆☆☆☆
5月26日(日)第21ステージ リエーゼ・ピオ・デーチモ〜ブレシア 199km 平坦 ☆

text:Kei Tsuji