ブエルタ・ア・エスパーニャを彩るのは、リーダージャージの証マイヨロホだけではない。緑のポイント賞「プントス」、青い水玉模様の山岳賞「モンターニャ」、そして白い複合賞「コンビナーダ」を懸けた闘いが同時進行で繰り広げられる。ここでは各賞の候補選手をピックアップしてみよう。

プントス(ポイント賞)

昨年ポイント賞に輝いたバウク・モレマ(オランダ、ラボバンク)昨年ポイント賞に輝いたバウク・モレマ(オランダ、ラボバンク) photo:Kei Tsujiプントスはスペイン語でポイントの意味。主にスプリンターを対象にしたポイント賞ジャージだ。ステージ上位15名と、中間スプリントポイント上位3名に与えられるポイントの積算により争われる。ジャージカラーは2009年以降ツールと同じグリーン。

獲得ポイントはステージ1位で25ポイント、2位20ポイント、3位16ポイント・・・15位1ポイント。中間スプリントポイントでは1位4ポイント、2位2ポイント、3位1ポイント。どれだけスプリント勝利を量産したとしても、マドリードまで辿り着けなければポイント賞獲得は無い。

ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター) photo:vueltapaisvasco.diariovasco.comツールとは異なり、平坦ステージでも山岳ステージでも同ポイントが与えられる。そのためスプリンターだけではなく、総合上位のオールラウンダーもポイント賞ランキングの上位に名を連ねる。約半数のステージに頂上ゴールが設定されている今年のブエルタは、ますますその傾向が強い。昨年は総合4位のバウク・モレマ(オランダ、ラボバンク)がポイント賞に輝いている。

ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ) photo:Riccardo Scanferlaここではポイント賞候補ではなく、注目のスプリンターにフォーカスしたい。「平坦ステージが少ない」という前評判も影響し、他のグランツールと比べるとピュアスプリンターの面子が薄い印象だ。

2007年ブエルタでポイント賞を獲得したダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レディオシャック・ニッサン)は、これまでステージ通算7勝を飾っている。ジロ(ステージ通算3勝)やツール(ステージ通算2勝)と比べて、明らかにブエルタと相性が良い。今シーズンまだ0勝であり、ブエルタでスランプを脱することが出来るか。

ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ)ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ) photo:A.S.O.「登れるスプリンター」として知られるホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)はブエルタに初出場する。エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)やナセル・ブアニ(フランス、FDJ・ビッグマット)、アラン・デーヴィス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)、そしてガーミン・シャープのクレダー兄弟(オランダ)らもスプリントに絡んでくるだろう。

今年ツール・ド・ポローニュでステージ2勝&ポイント賞を獲得しながら、ツールとオリンピックの選抜から外れたベン・スウィフト(イギリス)は、チームスカイのエーススプリンターとして出場。今年スクラッチレースで世界チャンピオンに輝いたそのスピードを披露したいところ。

ピュアスプリンターではないが、登りを含むコースでのスプリント勝負ではフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)に注目したい。昨シーズン18勝を飾ったワロンの星は、BMCレーシングチームに移籍した今年、まだシーズン0勝。ブエルタでは2010年にステージ2勝を飾り、5日間マイヨロホを着用している。

土井雪広擁するアルゴス・シマノは、昨年チームにグランツール初勝利をもたらしたマルセル・キッテル(ドイツ)ではなく、ジョン・デゲンコルブ(ドイツ)をエースに据える。「総合はトム(ドゥムラン)とアレックス(ジェニエ)、そしてスプリントはジョン。残りのメンバーは集団コントロール要員。今年もチームとして集団を引きまくるので目立つと思う。メンタルガ重要だってことを3週間の走りで表現したい」と土井。チームとしてデゲンコルブのスプリントを支える。

ブエルタ歴代ポイント賞獲得者
2011年 バウク・モレマ(オランダ)
2010年 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)
2009年 アンドレ・グライペル(ドイツ)
2008年 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー)
2007年 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア)
2006年 トル・フースホフト(ノルウェー)
2005年 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア)
2004年 エリック・ツァベル(ドイツ)
2003年 エリック・ツァベル(ドイツ)
2002年 エリック・ツァベル(ドイツ)
2001年 ホセマリア・ヒメネス(スペイン)
2000年 ロベルト・エラス(スペイン)
1999年 フランク・ファンデンブロック(ベルギー)
1998年 ファブリツィオ・グイディ(イタリア)
1997年 ローラン・ジャラベール(フランス)
1996年 ローラン・ジャラベール(フランス)
1995年 ローラン・ジャラベール(フランス)
1994年 ローラン・ジャラベール(フランス)
1993年 トニー・ロミンゲル(スイス)
1992年 ジャモリディネ・アブドヤパロフ(ウズベキスタン)
1991年 ウーヴェ・ラーブ(ドイツ)
1990年 ウーヴェ・ラーブ(ドイツ)


モンターニャ(山岳賞)

ダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)ダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス) photo:Kei Tsujiモンターニャはスペイン語でマウンテンの意味。山岳の頂上通過順位に基づいて与えられるポイントの積算で争われる。ジャージデザインは青い水玉模様。

これまで多くの山岳スペシャリストを輩出してきたクライマー大国スペイン。今年で開催67回目を迎えるブエルタで、実に47回にわたってスペイン人選手が山岳賞を獲得してきた。そのうちの22回は、スペイン人選手が山岳賞ランキングのトップスリーを独占している。

フレデリック・ケシアコフ(スウェーデン、アスタナ)フレデリック・ケシアコフ(スウェーデン、アスタナ) photo:Makoto Ayano山岳賞争いは本命の総合争いの展開に左右されるため、候補をズバリ言い当てにくい。どれだけ山岳に強いクライマーでも、チーム内に総合狙いのオールラウンダーがいる場合は自由な動きが許されないのだ。ポイント賞同様、狙わずとも総合上位の選手が山岳賞トップに立つ可能性が高い。

獲得ポイントは、大会最高地点であるボラ・デル・ムンド先頭通過で20ポイント、頂上ゴールで15ポイント、1級山岳10ポイント、2級山岳5ポイント、3級山岳3ポイント。つまり低難易度の山岳でポイントをコツコツ積算しても、超級山岳の山頂フィニッシュで一発逆転も起こり得る。

2008年から4年連続で山岳賞を獲得しているダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)は、80年代に活躍したホセルイス・ラギア(スペイン)に並ぶ史上最多5度目の山岳賞獲得を目指す。コンタドールやロドリゲスら、総合狙いの選手がモンクティエのライバルとなるだろう。

昨年モンクティエとの山岳賞争いに敗れたマッテオ・モンタグーティ(イタリア、アージェードゥーゼル)や、今年のツール・ド・フランスで、12ポイント差でマイヨアポワ(山岳賞ジャージ)を逃したフレデリック・ケシアコフ(スウェーデン、アスタナ)も出場。スペインや南米出身クライマーも山岳賞争いに加わるはずだ。

ブエルタ歴代山岳賞獲得者
2011年 ダヴィ・モンクティエ(フランス)
2010年 ダヴィ・モンクティエ(フランス)
2009年 ダヴィ・モンクティエ(フランス)
2008年 ダヴィ・モンクティエ(フランス)
2007年 デニス・メンショフ(ロシア)
2006年 エゴイ・マルティネス(スペイン)
2005年 ホアキン・ロドリゲス(スペイン)
2004年 フェリックス・カルデナス(コロンビア)
2003年 フェリックス・カルデナス(コロンビア)
2002年 アイトール・オサ(スペイン)
2001年 ホセマリア・ヒメネス(スペイン)
2000年 カルロス・サストレ(スペイン)
1999年 ホセマリア・ヒメネス(スペイン)
1998年 ホセマリア・ヒメネス(スペイン)
1997年 ホセマリア・ヒメネス(スペイン)
1996年 トニー・ロミンゲル(スイス)
1995年 ローラン・ジャラベール(フランス)
1994年 リュク・ルブラン(フランス)
1993年 トニー・ロミンゲル(スイス)
1992年 カルロス・エルナンデス(スペイン)
1991年 ルイス・エレラ(コロンビア)
1990年 マルティン・ファルファン(コロンビア)


コンビナーダ(複合賞)

真っ白なデザインが目印のコンビナーダ(複合賞ジャージ)真っ白なデザインが目印のコンビナーダ(複合賞ジャージ) photo:Kei Tsujiコンビナーダはスペイン語でコンビネーションの意味。つまり複合賞ジャージだ。デザインは白色で、ジャージスポンサーは肥料メーカーのフェルティベリア社。初登場は1970年で、2度のブランクを経て、2002年に復活した。

以前はツールやジロでも採用されていた賞だが、現在は新人賞に取って代わられている。つまり現在グランツールで複合賞を採用しているのはブエルタだけだ。

総合順位とポイント賞順位、山岳賞順位の3つを合計し、その最も少ない選手が複合賞に輝く。この複合賞だけを狙ってブエルタに出場選手はいない。山岳やスプリント、タイムトライアルでコンスタントに上位を狙えるオールマイティーな選手が必然的に対象となっており、近年は総合優勝者がこの複合賞を獲得するのが通例だ。

ブエルタ歴代複合賞獲得者
2011年 ファンホセ・コーボ(スペイン)
2010年 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)
2009年 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン)
2008年 アルベルト・コンタドール(スペイン)
2007年 デニス・メンショフ(ロシア)
2006年 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン)
2005年 デニス・メンショフ(ロシア)
2004年 ロベルト・エラス(スペイン)
2003年 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン)
2002年 ロベルト・エラス(スペイン)

text:Kei Tsuji
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