ドーフィネ・リベレ(UCIプロツアー)第2ステージは雨の集団スプリント勝負に持ち込まれ、注目のボーネンを破ったアンジェロ・フルラン(イタリア、ランプレ)が久々のビッグレース勝利を飾った。スプリントに絡んだ新城幸也(Bboxブイグテレコム)は11位。惜しくもトップ10入りを逃した。

田園風景の中を通ってナンシーからディジョンに向かう田園風景の中を通ってナンシーからディジョンに向かう photo:Cor Vosドーフィネ2日目。ナンシーからディジョンまでの228kmには2つの山岳ポイントが登場した。いずれもカテゴリー4級で、しかもゴールまで距離があるため勝負に関係しない。スタート直後、ステファヌ・オジェ(フランス、コフィディス)ら5名が逃げを決めた。

リーダージャージ擁するサイレンス・ロットはこの5名に最大9分15秒のリードを与え、やがてレース後半に入ると、スプリンターチームが教科書通りの集団コントロールでタイム差を削り取っていく。ゴールが近づくにつれて、空からは冷たい雨が降り注いだ。

レース序盤はリーダージャージ擁するサイレンス・ロットが集団コントロールレース序盤はリーダージャージ擁するサイレンス・ロットが集団コントロール photo:Cor Vos逃げスペシャリストのオジェは絶妙のペース調整で集団を振り切ろうとするが、ラスト5kmでクイックステップが牽引するメイン集団に飲み込まれていく。カウンターアタックが連発する落ち着かない状況下、ラスト4kmでデーヴィッド・ミラー(イギリス、ガーミン)が一人飛び出し、得意の高速巡航に入った。

濡れた路面で慎重な走行を強いられる集団を振り切り、10秒ほどのアドバンテージを得たミラー。先頭で最終ストレートに姿を現したミラーを追ったのは、早めにスプリントを開始したトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)だ。

集団内に息をひそめるトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)集団内に息をひそめるトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ) photo:Cor Vosミラーはチームサイト内のダイアリーで終盤の展開をこう振り返る。「頭を下げて数百メートル全開で走り、後ろに誰も付いてないことを確認してTTモードに切り替えた。ラスト1kmのアーチが見えたときには逃げ切りが可能だと思ったけど、ラスト600mの最終コーナーで減速してしまって、最終ストレートで後続を振り切れなかった・・・。たぶん最後の20〜30mで吸収されたと思う。勝利は“近いけど遠かった”」。

何とかミラーを捕らえたボーネンだが、逆方向からスプリントするフルランまで抑え込むことは不可能だった。後方で発射台を務めたバンディエラが手を挙げる中、フルランがガッツポーズ。今シーズン初勝利を決めた。

競り合うボーネンとフルラン、後方に新城幸也(Bboxブイグテレコム)の姿が競り合うボーネンとフルラン、後方に新城幸也(Bboxブイグテレコム)の姿が photo:Cor Vos「チームが苦難の時期を迎えているこのタイミングで、勝利を掴んだことがまず嬉しい」。ドーフィネで初のステージ優勝、ならびにランプレ移籍後初勝利を飾ったフルランはガゼッタ紙に対してそう語る。ランプレはジロ・デ・イタリアで思うような結果(ステージ0勝、ブルセギン総合10位、クネゴ総合19位)を残せず、世界チャンピオンのアレッサンドロ・バッラン(イタリア)も療養のため戦線を離れ、先日レースに復帰したばかり。沈黙していたイタリアチームがここで息を吹き返した。

「チームは一日中働き続け、ゴール前で僕を好ポジションまで連れて行ってくれた。ボーネンの後ろについて、ラスト250mからスプリントを開始。ボーネンと肩をつき合わせたスプリントで勝利出来たことは素晴らしいよ。スプリント勝負では運も味方につけなければならない。今日は運に加えて脚もあった」。

近年ビッグレースでの勝利から見放されていたフルランだが、アレッシオ時代の2002年には、24歳の若さでブエルタ・ア・エスパーニャでツァベル(ドイツ)やペタッキ(イタリア)を破ってスプリント2勝を飾っている。「明日はコースの難易度が上がるから、今日が大会唯一のチャンスだったんだ」。狙った獲物は逃さなかった。

有力スプリンターが競り合う先頭集団に残り、スプリントに絡んだ新城幸也は11位でゴール。トップ10には僅かに届かなかったが、トップスプリンターに混じっての11位。本当に脚がなければ不可能な順位だ。Bboxブイグテレコムはこの日、逃げに乗ったアレクサンドル・ピショ(フランス)が山岳賞ジャージを獲得している。

選手コメントはイタリア・ガゼッタ紙、ガーミン公式サイト、ランプレ公式サイトより。

ドーフィネ・リベレ2009第2ステージ結果
1位 アンジェロ・フルラン(イタリア、ランプレ)5h35'04"
2位 マルクス・ツベルグ(スイス、BMCレーシング)
3位 トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)
4位 マルコ・バンディエラ(イタリア、ランプレ)
5位 マルセル・シーベルグ(ドイツ、チームコロンビア)
6位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル)
7位 ヘルト・ステーグマン(ベルギー、カチューシャ)
8位 アルノー・コワイオ(フランス、ケースデパーニュ)
9位 デーヴィッド・ミラー(イギリス、ガーミン)
10位 クリスティアン・クネース(ドイツ、ミルラム)
11位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)

個人総合成績
1位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)5h50'40"
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)+08"
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)+23"
4位 セバスティアン・ロセレル(ベルギー、クイックステップ)+33"
5位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)+34"
6位 フランティセク・ラボン(チェコ、チームコロンビア)
7位 クリスティアン・クネース(ドイツ、ミルラム)
8位 ブノワ・ヴォグルナール(フランス、フランセーズデジュー)+36"
9位 ホセイバン・グティエレス(スペイン、ケースデパーニュ)
10位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン)+37"
56位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)+1'05"

ポイント賞
カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)

山岳賞
アレクサンドル・ピショ(フランス、Bboxブイグテレコム)

チーム総合成績
サイレンス・ロット