パリ、シャンゼリゼでの最終日となる第20ステージ。数日前からのウィギンズの言葉通り、マイヨ・ジョーヌが牽引するトレインからカヴェンディッシュが発射され、4年連続でシャンゼリゼのゴールを制した。選手たちはツールの感慨に浸る間もなく来週からのオリンピック準備に慌ただしい。

ステージ優勝のマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)

4年連続シャンゼリゼを制したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)4年連続シャンゼリゼを制したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ) photo:Makoto Ayano総合1位と2位、ステージ5勝もしくは……ともかく今日までのステージ勝利数を考えると、どう見てもツールで失敗したとは言いようがない(訳註:チームスカイはステージ6勝)。今日の最終ステージを勝てて素直に嬉しい。チーム全員で集団前方に上がった。信じられない光景だった。

世界チャンピオンのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)がシャンゼリゼの表彰台に上がる世界チャンピオンのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)がシャンゼリゼの表彰台に上がる photo:Makoto Ayanoオリンピックへもしっかり準備している。オリンピックの英国代表チームの5名中4名が、ツール・ド・フランスでステージ7勝している(カヴェンディッシュ3勝、ウィギンズ2勝、フルーム1勝、ミラー1勝)。つまり、とてつもなく強力なチームが誕生することになる。僕たちはオリンピックに参加して、ただ見ているつもりではない。全員のモチベーションも高い。あとは次の土曜日を待つだけだ。

脚はすごく調子が良い。今日のスプリントは本当に素晴らしかった。ゴールに飛び込む感じだった。僕は途方もないチームと一緒にロンドンで頑張るつもりだ。このツールで5名中4名がステージ優勝したチームだ……このチームが今年のツールで3ステージに1回は優勝していることになる。自転車競技に関わる国のひとつとして、これ以上の栄誉はない。

今日は英国の自転車競技ファンたちに素晴らしいものを見せることができた。ツール・ド・フランスの総合1位と2位の選手がメイン集団をコントロールし、さらにマイヨ・ジョーヌがラスト1kmでリードアウトした……そして僕がこのシャンゼリゼで4回目の勝利を獲得した。今日こうして信じられない3週間を締めくくることが、この上なく誇らしい。

青・白・赤の国旗でできた海のようだった。あれをパリで見るなんて信じられない。

総合優勝のブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)

凱旋門とブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)凱旋門とブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) photo:Cor Vosチャンスがやってきたときに、それを手にするのは難しい。シャンゼリゼでは周回を重ねるごとに冷や汗ものだった。僕たちには今日はマーク(カヴェンディッシュ)のための仕事があった。全員のモチベーションも高かったからレースのペースがとても速くなった。かなり集中できていたので、あんな感じでマークを発射できた……うん、あれ以上の出来はない。

もう何を言えばいいのかわからない。昨日すべて言ってしまった。

シャンゼリゼを凱旋するブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)シャンゼリゼを凱旋するブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) photo:Cor Vos素晴らしい。それ以外は言葉がない。24時間前とは違った感情だ。僕たちはここに来て、自分たちがやるべきことに専念した。だから「あぁ、これが総合優勝なんだ!」という感覚もない。ツールが始まると、とてもハードな日々が続いた。それがついさっきまで、残り1kmのリードアウトまで続いた。今はこの表彰台の下ですべてに身を任せてみる。今の僕の感情を正確に表現するのは難しい。不思議な感情だ、本当に——とても不思議だ。

僕たちのチームが集団から抜け出すと、今度はこの週末にこの場所に集った人々すべてが期待するものに気づいた。(凱旋門付近の)ターンにはまさに英国人の海ができていて、途方もない歓声だった。たとえるなら、アテネオリンピックでホームストレートに入ったときに近かった。そんな気持ちだった。驚異的だった。すべてが耳に入ってくるんだ。

今晩、僕は故郷に戻る。すべてをオリンピックに向けて備える。明日から自転車に乗って、僕はオリンピックのタイムトライアルでの勝利を目指す。それが現在の最優先事項だ。パーティもしないでパリを離れるのは、少し妙な気分だ。チームのみんなと同席して楽しむ時間は素晴らしかったはずだから。この優勝は、誰もがわかるように、チームの功績だ。今日のステージですら、彼らは信じられないグループを作った。この3週間のあいだ彼らと一緒に走る特権をもらった。まさに名誉だった。

ものすごい解放感があると思っていたのだけど、終わってみると本当に不思議な感覚だ。去年カデル(エヴァンス)が総合優勝するのを見て「神よ、あれは素晴らしいに違いない」と考えたことを思い出した。でも、実際にそうなってみると、自分の想像していた感情にはならない。不思議な感覚だ。とても現実離れした感じだ。

ポイント賞のペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)

初出場でマイヨヴェールを獲得したペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)初出場でマイヨヴェールを獲得したペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) photo:Cor Vos今年のツール・ド・フランスにとても満足している。この結果は僕にとっても驚きだった。ステージ3勝とマイヨヴェール……素晴らしい。将来については、今は考えていない。このシーズンをいい調子で終えたい。オリンピックのレースや世界選手権でも頑張りたい。たぶん、その後になってからクラシックレースについて考え始めるつもりだ。

他の選手たちは何年もかけて有名な選手に成長した。でも、僕は本来のペーター・サガンのままであり続けたい。


総合敢闘賞のクリスアンケル・セレンセン(デンマーク、サクソバンク・ティンコフ)

この賞を受けて、とても光栄だ。このツールの期間中に頑張ったことを誇りに思う。ステージ優勝を目指して機会があるごとに何度も挑戦した。成功はしなかったけど、こうして認められたことに満足している。でも、これはチームへの賞で、チームの功績が認められたのだと思う。僕たちはあらゆる場所でチームカラーを見せ、一丸となって働いた。誰もレースをリタイアしなかった。今は少し休んで家族と過ごしたい。

新人賞のティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)

マイヨブランを守り抜いたティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)マイヨブランを守り抜いたティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) photo:Makoto Ayanoこの新人賞ジャージに込められた義務と期待については、それに応じる準備も意思もある。もう数年もしたら、ジャージの色を変えることを考えないといけないのだけど、幸いなことに僕は来年もまだこの白色を着る資格がある。だから、また新人賞を狙うつもりだ。それから大きな賞に移りたい。

壮大な3週間だった。ジョージ(ヒンカピー)やカデル(エヴァンス)などのベテラン勢から学べたし、自分が3週間の大きなレースでも持ちこたえられることがわかった……激しかったけれど、とても楽しかった。

今はオリンピックに備えて回復に専念したい。気楽に構えてリラックスして、少し楽しむ。それがロンドンに備える最良の方法だと思う。

チームが総合優勝したクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・ニッサン)

チーム総合優勝の獲得はいつも格別だ。このレースに6名しか残っていなかったのだから、なおさらだ。この総合優勝で、僕たちのチームが20ステージのあいだ強力だったことを示せた。いくつかの困難な局面もあったけど、なんとかリードを守りきった。僕たちに信頼を寄せてくれたタイトルスポンサー3社への恩返しとしては、最適な方法だろう。

総合2位のクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)

総合2位クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)総合2位クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Makoto Ayano僕たちのチームが、この3週間に達成したものに圧倒されている。まさに偉業だ。

自転車競技への参戦歴が比較的浅いチーム——チームスカイは今年でまだ3年目だ。そういうチームの選手がシャンゼリゼの表彰台で、1位と2位の場所に立っている……本当に特別なことだ。これを僕たちの先例として、未来に進んで行ければいいと思う。

自分自身に驚いている。ツールに来たときからコンディションが良かったのはわかっていた。でも、自分の敵がどこに潜んでいるかはわからないし、このレースの上位に行くなんて思いもよらなかった。この場所に立つことができて心から嬉しい。この先もこうやって戦い続けたいと思う。

チームを変えてまでツール・ド・フランスの総合優勝を狙おうとは思わない。いつかは勝ちたいとは思っている……それに、今年はレースの上位にいることで多くのことを学んだ。でも、リーダーとしてのプレッシャーは受けなかった。こういう経験から学んで、できれば将来に繋げたい。

こんな日が来るとは思っていなかった。だからこれ以上の喜びはない。

コメントはプレスリリース、チーム公式サイト、選手個人サイト、TVインタビュー、twitterなどより。

text: Taiko YAMASAKI + Seiya YAMASAKI

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