ツール・ド・フランスの第1週を締めくくる第9ステージ・個人タイムトライアル。マイヨジョーヌ争いの行方を占うこの重要な局面で、チームスカイの2人が他を圧倒した。総合リードを広げたブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)は最高の形で休息日を迎える。

第9ステージ・コースプロフィール第9ステージ・コースプロフィール image:A.S.O.今年のツールはとにかく個人タイムトライアルの距離が長い。初日のプロローグとこの日の第9ステージ、そして最終日前日の第19ステージを合計すると、その全長は101.4kmに達する。「個人タイムトライアルの比率が高い」というのが専らの前評判だ。

スタート台を駆け下りるブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)スタート台を駆け下りるブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) photo:Cor Vos第9ステージは、世界遺産の王立製塩所前をスタートし、森の中を抜けてブザンソンまで。細かいアップダウンとコーナーを繰り返す気が抜けないコースレイアウト。インナーローまで落とすような登りも中盤に登場する。一定ペースで淡々と走るコースではなく、リズムの変化に対応出来なければ好タイムは期待出来ない。

夏の青い空の下、マイヨジョーヌを着るウィギンズは2つの中間計測ポイントでトップタイムを連発。TTスペシャリストのファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン)が保持していたトップタイムをクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)が次々に塗り替える光景に人々は驚いたが、エースのウィギンズは更にその上を行った。

直接的なライバルであるカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)は第1計測(16.5km地点)でまさかの1分02秒遅れ。その後ペースを取り戻したが、ウィギンズとのタイム差は縮まること無く広がり続ける。

最終的にマイヨジョーヌのウィギンズは平均スピード48.4km/hで41.5kmを走りきり、51分24秒のトップタイムで優勝。35秒差の2位にフルーム。カンチェラーラの力をもってしてもウィギンズには57秒届かず、チームスカイ勢がワンツーを決めた。

マイヨジョーヌを着て走るブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)マイヨジョーヌを着て走るブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) photo:Cor Vosスタートの時を待つカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)スタートの時を待つカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) photo:Cor Vosレース前半に暫定トップタイムをマークしたトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)レース前半に暫定トップタイムをマークしたトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Cor Vos

ステージ上位6名の中間計測タイム推移
第1計測(16.5km地点)
1位 ウィギンズ    21'05"
2位 フルーム      +05"
3位 ヴァンガーデレン  +29"
4位 カンチェラーラ   +32"
5位 シャヴァネル    +39"
13位 エヴァンス    +1'02"
第2計測(31.5km地点)
1位 ウィギンズ    39'02"
2位 フルーム      +16"
3位 ヴァンガーデレン  +36"
4位 カンチェラーラ   +38"
5位 シャヴァネル   +1'04"
6位 エヴァンス    +1'19"
ゴール地点
1位 ウィギンズ    51'24"
2位 フルーム      +35"
3位 カンチェラーラ   +57"
4位 ヴァンガーデレン +1'06"
5位 シャヴァネル   +1'24"
6位 エヴァンス    +1'43"



快走するブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)快走するブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) photo:Cor Vosツールのステージ初優勝を飾ったウィギンズは「最初の一踏みで調子の良さを感じた。全てがファンタスティックな感覚だった」と、そのパーフェクトな走りを振り返る。

「これまで準備してきたことに自信をもって、コース上ですべきことをしたまで。タイムトライアルの走り方を心得ている。計測タイムなどに気をそらさずに、ただ自分の走りをするだけだ」。

ウィギンズから1分43秒遅れたカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)ウィギンズから1分43秒遅れたカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) photo:Cor Vosウィギンズはツール初制覇に向けたレースをスムーズに進み続ける。「マイヨジョーヌ獲得のタイミングを選ぶなんて不可能。もちろん最終個人タイムトライアルで獲得することが(チーム力を温存出来るため)理想的。ツールにはあと少し山岳が残っていて、簡単なレースにはならないだろう。でも良いポジションに付けていることは間違いない」。

フルームも調子の良さを見せており、チームスカイは波に乗っている。山岳にもTTにも強いオールラウンダーを2人抱えることは、マイヨジョーヌ争いにおいて大きなアドバンテージだ。

ステージ3位に入ったファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン)ステージ3位に入ったファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン) photo:Cor Vos結局エヴァンスは1分43秒遅れ。総合2位の座は守ったが、1週目を終えた時点ですでにウィギンズとのタイム差は2分近くにまで広がっており、その背後にはフルームが迫っている。ステージ8位&総合4位のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)は、総合表彰台への希望を残した。

また、3分29秒遅れのステージ28位に終わったレイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)に代わって、1分06秒遅れのステージ4位に入ったティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)で新人賞トップに。23歳のヴァンガーデレンは中間計測ポイントでカンチェラーラを上回るタイムを連発し、エースのエヴァンスを37秒上回るタイムでゴールしている。

新城幸也(ユーロップカー)は7分14秒遅れのステージ125位。なお、ステージ最下位は1時間2分34秒(ウィギンズから11分10秒遅れ)のジミー・アングルヴァン(フランス、ソール・ソジャサン)で、全ての選手が規定であるトップタイムの25%(12分51秒遅れ)以内でゴールした。

選手コメントはレース公式サイトより。


ツール・ド・フランス2012第9ステージ結果
1位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)            51'24"
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)                +35"
3位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン)     +57"
4位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)    +1'06"
5位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ) +1'24"
6位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)       +1'43"
7位 ペーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ)   +1'59"
8位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)   +2'07"
9位 デニス・メンショフ(ロシア、カチューシャ)               +2'08"
10位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック・ニッサン)    +2'09"
125位 新城幸也(日本、ユーロップカー)                   +7'14"

個人総合成績 マイヨ・ジョーヌ
1位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)          39h09'20"
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)       +1'53"
3位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)               +2'07"
4位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)   +2'23"
5位 デニス・メンショフ(ロシア、カチューシャ)               +3'02"
6位 アイマル・スベルディア(スペイン、レディオシャック・ニッサン)     +3'19"
7位 マキシム・モンフォール(ベルギー、レディオシャック・ニッサン)     +4'23"
8位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)    +5'14"
9位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)       +5'20"
10位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル)        +5'29"
121位 新城幸也(日本、ユーロップカー)                   +48'25"

ポイント賞 マイヨ・ヴェール
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)

山岳賞 マイヨ・ブラン・アポワ・ルージュ
フレデリック・ケシアコフ(スウェーデン、アスタナ)

新人賞 マイヨ・ブラン
ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)

チーム総合成績
レディオシャック・ニッサン

敢闘賞
設定無し

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos

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