日本人選手が初めてツール・ド・フランスの表彰台に登った。逃げの切っ掛けを作り、ラスト8kmまで逃げた新城幸也(ユーロップカー)が敢闘賞を獲得。レース後のインタビューでは「もっと見せ場をいっぱい作りますので、これからも楽しみにしててください」という力強いコメントも飛び出した。

新城幸也(ユーロップカー)がアマチュア時代にフランスでお世話になった恩人たちと新城幸也(ユーロップカー)がアマチュア時代にフランスでお世話になった恩人たちと photo:Makoto Ayanoツールは英仏海峡を望む美しいアルバートル海岸に沿って駆ける。アブヴィルを発ち、4つのカテゴリー山岳を越えてルーアンを目指す214kmの道のり。その昔この一帯に住み、アマチュアレースでフランス初勝利を飾ったユキヤがスタート直後に逃げた。

クリスティアン・プリュドム氏が正式なスタートを告げる旗を振ると同時に飛び出したユキヤ。このファーストアタックが見事に決まり、ダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)とアントニー・ドゥラプラス(フランス、ソール・ソジャサン)が合流。エスケープトリオが形成された。

逃げる新城幸也(ユーロップカー)ら3名逃げる新城幸也(ユーロップカー)ら3名 photo:Makoto Ayano最大8分30秒のリードを得たユキヤら3名。前日の第3ステージを終えた時点で総合2分03秒遅れのユキヤがバーチャルリーダーとして暫定的に総合首位に立つ。逆にマイヨジョーヌを守る立場のレディオシャック・ニッサンがメイン集団を率い、逃げとのタイム差を調整した。

ユキヤはカテゴリー山岳に興味を示さず、140km地点の中間スプリントポイントを1位通過。後方のメイン集団では、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)が余裕のスプリントで先頭通過(4位通過)する。

フランス北部の海岸線に沿って西進するフランス北部の海岸線に沿って西進する photo:A.S.O.やがてアルバートル海岸を離れ、内陸のルーアンに向けて方向転換。体力温存のためにあえてペースを落としていたユキヤらは、ここからアクセルを吹かせてペースを上げ始める。これに呼応するように、メイン集団もスプリンターチームに導かれる形でペースアップ。タイム差が7分、6分、5分と、着実に縮まり始める。

ラスト42kmで発生したヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)を含む落車や、突然降り出した豪雨にも、メイン集団のスピードは落ちない。タイム差は4分、3分、2分に。ユキヤら3名は、1分ほどのリードを守った状態でラスト10kmの短い登りに差し掛かった。

逃げる新城幸也(ユーロップカー)ら3名逃げる新城幸也(ユーロップカー)ら3名 photo:Makoto Ayano

逃げるダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)や新城幸也(日本、ユーロップカー)逃げるダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)や新城幸也(日本、ユーロップカー) photo:A.S.O.この高低差100mほどの丘で、先頭からドゥラプラスがアタック。モンクティエとユキヤはこれに食らいつき、3名のまま丘を登りきる。

一方、勢い良く登りに突入したメイン集団からはフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)やシルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)がアタック。ここまで206kmにわたって逃げていたユキヤらを丘の頂上でキャッチした。

晴れと曇りを交互に繰り返し、ときに雨が降る天候晴れと曇りを交互に繰り返し、ときに雨が降る天候 photo:A.S.O.カウンターアタックで飛び出したシャヴァネル、サミュエル・ドゥムラン(フランス、コフィディス)、ワウテル・ポエルス(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)が先頭で粘るも、ビッグスプリンターを抱えるチームがこれを封じる。負傷しているトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)らが脱落する中、160名ほどの大集団がルーアンの街の入り口に差し掛かった。

スプリンターチームが競り合いながらラスト3kmアーチを通過。最も積極的にトレインを組んだのはロット・ベリソル。その最終車両グライペルのすぐ後ろ、おおよそ10番手あたりで落車が発生する。

ゴールスプリントを制したアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)ゴールスプリントを制したアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) photo:Cor Vosこのラスト2.5km地点での落車の犠牲になったのは、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)やベルンハルト・アイゼル(オーストリア、チームスカイ)、ロバート・ハンター(南アフリカ、ガーミン・シャープ)。落車を免れたロットトレインはそのままゴールに向かって突進した。

マルセル・シーベルグ(ドイツ)、ユルゲン・ルーランズ(ベルギー)、グレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド)がトレインを組み、グライペルをトップスピードで解き放つ。パワフルなスプリントで、グライペルがチームのミッションを完遂させた。

スプリント勝利を手にしたアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)スプリント勝利を手にしたアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) photo:Makoto Ayanoグライペルのツールステージ優勝は2回目。最大のライバルであるカヴェンディッシュを欠くスプリントだったが、勝者に相応しい堂々とした勝ちっぷりを披露した。

「勝利を手にして非常にエモーショナルだ。世界最高峰のリードアウト要員のおかげで、トップスピードでスプリントに持ち込めた。ステージ優勝という最初の目標は達成されたけど、この先のステージでは2勝目を狙っていくよ」と、勝者は語る。

グライペルはポイント賞3位にジャンプアップ。ステージ5位に絡んだペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)が圧倒的なポイント数でマイヨヴェールを維持している。その他、各賞ジャージ保持者に変更は無く、落車を免れたファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン)がマイヨジョーヌをキープ。

各賞ジャージの表彰台後、MCのダニエル・マンジャス氏がユキヤの名前をコールする。敢闘賞を獲得したユキヤが自身初めて、そして日本人選手として初めてツールの表彰台に登った。

日本人選手による敢闘賞獲得は、2009年大会の別府史之(オリカ・グリーンエッジ)に続く2人目。しかし当時はパリの最終ステージだったため敢闘賞授賞式は無し。今回ユキヤは初めて表彰台に登り、そして敢闘賞ゼッケンを付けて翌日の第5ステージを走る。

敢闘賞を受賞した新城幸也(ユーロップカー)敢闘賞を受賞した新城幸也(ユーロップカー) photo:Makoto Ayano敢闘賞のプレートを手に笑顔を浮かべる新城幸也(ユーロップカー)敢闘賞のプレートを手に笑顔を浮かべる新城幸也(ユーロップカー) photo:Makoto Ayano

新城幸也コメント
今日、横風だったり、天気がわからなかったんで、最後、ほんとに追い風だったらチャンスあるかなと思って頑張ったんですけど……ちょっと難しかったですね。敢闘賞は最初にアタックしたのが僕だったので、このまま行けば「そうかな?」と走りながら思ってましたけど。(最後2回ほど離されそうになったが)まあ、それぐらじゃ千切れないです。

一応、山岳とスプリントは3人で話しながら通過したので、あとは最後頑張ってみました。3人の中で、いちばんスプリント力があったのがぼくだったので、逃げ切れればステージ優勝の可能性があった。だから少し長めに引いて逃げ切りを狙いました。逃げに入ることがミーティングで言われたこと。なかなか行っていいという日がないので、自分から行っちゃいました。

僕がアタックするときにカンチェラーラが「カミカゼ」って言ってました。さっきポディウムの裏で会った時になんでカミカゼかって聞いたら「お前の名前がカミカゼだ」って言われちゃいました。(ポディウムは)意外とあっという間に終わっちゃいました。裏で着替えてインタビューを受けて、ポディウムに呼ばれて、上って降りて。なんかちょっとせわしなかったですね。

次(のチャンス)はもうちょっと後になりますかね。ちょっとお休みして。(赤ゼッケンは)ちょっとうれしいですね。みなさん、叫んでもらえてたらうれしいんですけど。まだまだこれから、もっと応援してもらえるように見せ場いっぱい作りますので、これからも楽しみにしててください。まだまだ余裕があるので。

選手コメントはレース公式サイトならびにJ-SPORTS電話インタビューより。

ツール・ド・フランス2012第4ステージ結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)          5h18'32"
2位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)
3位 トム・フィーラース(オランダ、アルゴス・シマノ)
4位 マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
5位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)
6位 ジョナサン・キャントウェル(オーストラリア、サクソバンク・ティンコフバンク)
7位 ダリル・インペイ(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)
8位 クリス・ボックマンス(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)
9位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)
10位 ルーベン・ペレス(スペイン、エウスカルテル)
110位 新城幸也(日本、ユーロップカー)

個人総合成績 マイヨ・ジョーヌ
1位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン)20h04'02″
2位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)           +07"
3位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)
4位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)   +10"
5位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)     +11"
6位 デニス・メンショフ(ロシア、カチューシャ)              +13"
7位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)      +17"
8位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)  +18"
9位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・シャープ)
10位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック・ニッサン)    +19"
54位 新城幸也(日本、ユーロップカー)                 +02'03"

ポイント賞 マイヨ・ヴェール
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)

山岳賞 マイヨ・ブラン・アポワ・ルージュ
ミカエル・モルコフ(デンマーク、サクソバンク・ティンコフバンク)

新人賞 マイヨ・ブラン
ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)

チーム総合成績
チームスカイ

敢闘賞
新城幸也(日本、ユーロップカー)

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, Makoto Ayano, A.S.O.
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